経済企画庁を経てきた著者による、日本のデフレの要因を分析した本。
アメリカの大恐慌や日本の過去のデータを用いて、
「今の日本のデフレが金融政策の失敗によるものである」
という明快な結論を導いている。
また、「日本がデフレを終結させないのは、デフレで得をする人(銀行、安定的労働者、高齢者)が存在するからではないか」
との推察も、私は当たっていると思う。
マネーサプライ、貨幣流通速度、物価上昇率
といった基礎的なデータを過去から引っ張り出してきて、現在の日本と比較するという
単純だが面倒な分析を通じた、その的確な論証は見事である。
ただ、難点は、数値を扱う内容が多いのに縦書きの新書であり読みづらいことと(横書きの新書にすればよかったのに)、
途中の貨幣流通速度、マネーサプライ、物価の増加率に関する関係式が突然出てきて、説明が足りない印象を受けること。
それを差し引いても、十分素晴らしい作品と思う。
2004年に出版されているが、デフレが持続する2011年現在においても重なる部分が多く、読みごたえがあった。
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デフレはなぜ怖いのか (文春新書 407) 新書 – 2004/10/20
原田 泰
(著)
- 本の長さ180ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2004/10/20
- ISBN-104166604074
- ISBN-13978-4166604074
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2004/10/20)
- 発売日 : 2004/10/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 180ページ
- ISBN-10 : 4166604074
- ISBN-13 : 978-4166604074
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,190,901位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 191位経済事情(一般)関連書籍
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- - 58,887位投資・金融・会社経営 (本)
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2011年11月6日に日本でレビュー済み
2015年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
長年の疑問に答えてくれました。
なぜ、日本が小さくなるデフレに歴代首相と日銀は手を打たなかったのか?
それは、デフレにメリットを感じる人がいて、インフレ政策を嫌うからなどと、なるほどと思います。
経済理論でわからないところが残りますが、全体的に過去読んだ財政・経済の本で最も日本のデフレ危機に切り込んでいると思います。
なぜ、日本が小さくなるデフレに歴代首相と日銀は手を打たなかったのか?
それは、デフレにメリットを感じる人がいて、インフレ政策を嫌うからなどと、なるほどと思います。
経済理論でわからないところが残りますが、全体的に過去読んだ財政・経済の本で最も日本のデフレ危機に切り込んでいると思います。
2012年11月28日に日本でレビュー済み
2012年12月16日の選挙を前に、自民党安倍総裁の唱える「デフレ脱却のための大胆な金融緩和」が議論を呼んでおりますので、投票の一助になるかと思い手に取りました。(これが掲載される頃にはもう選挙が終わってるかもしれませんが・・・)
結論から申しますと、この本の内容は安倍氏の主張を完全に支持しているようです。
デフレが直近よりも未来に悪影響を及ぼすことを強調し、金融緩和によるデフレ脱却を訴えています。
「そんなに素晴らしい政策だということが明白なのになぜ日銀他の担当者はそれをしないのか?」という
当然の疑問には、「正社員などの既得権益者はデフレで得をするから」と答えています。
私には、「高給が保障されている官僚が自分の損得で国家全体の政策判断を左右させるものだろうか?」という疑問がいまだ残りますが(そうならないために高給が保障されているのです!)一応の回答ではあります。
結論から申しますと、この本の内容は安倍氏の主張を完全に支持しているようです。
デフレが直近よりも未来に悪影響を及ぼすことを強調し、金融緩和によるデフレ脱却を訴えています。
「そんなに素晴らしい政策だということが明白なのになぜ日銀他の担当者はそれをしないのか?」という
当然の疑問には、「正社員などの既得権益者はデフレで得をするから」と答えています。
私には、「高給が保障されている官僚が自分の損得で国家全体の政策判断を左右させるものだろうか?」という疑問がいまだ残りますが(そうならないために高給が保障されているのです!)一応の回答ではあります。
2009年12月1日に日本でレビュー済み
デフレの問題点、デフレ脱却を阻む要因を分析して、その克服は金融政策によって可能であることを説く。
インフレが悪いことはわかっていてもデフレが悪いことがわからない人は多い。自分のその一人であったが、それらの人は実は既に既得権益者になっているという指摘にも納得。本書でデフレの問題点は明確に分かった。
5年前の書であるにもかかわらず、デフレが懸念される2009年においても、その指摘と対応策は有効と思われる。
インフレが悪いことはわかっていてもデフレが悪いことがわからない人は多い。自分のその一人であったが、それらの人は実は既に既得権益者になっているという指摘にも納得。本書でデフレの問題点は明確に分かった。
5年前の書であるにもかかわらず、デフレが懸念される2009年においても、その指摘と対応策は有効と思われる。
2006年4月9日に日本でレビュー済み
デフレとは何か、デフレはなぜ怖いか、デフレを解決する方策は何かなどについて、19世紀末の世界不況や1920〜30年代の世界恐慌を例にとって経済学的な観点から考察しています。では、そんなに怖いデフレをなぜ解決しないのかという点まで触れている点は痛快で、健全な経済のあり方を唱えています。
2004年11月5日に日本でレビュー済み
新書版だが、内容はその辺の分厚い経済書をしのぐ。
経済思想や経済理論を素人にも分かるように、しかも、実際のデータを使って説いている。とてもわかりやすい。デフレ現象を具体的な事実として扱い、かつその発生原因や対策をこれほど説得力をもって説明した書物はないのではなかろうか。長年、19世紀後半の大不況現象に関心を持ちながら、その原因やメカニズムを知りたかった小生には、目が開かれる思いである。当然、今の日本のデフレや1930年代の大恐慌もあつかっている。俗説や他の経済学者の説にさりげなく証拠をあげて反論しているから面白い読み物にもなっている。本書を読んで、マーシャルを読みたくなった。
経済思想や経済理論を素人にも分かるように、しかも、実際のデータを使って説いている。とてもわかりやすい。デフレ現象を具体的な事実として扱い、かつその発生原因や対策をこれほど説得力をもって説明した書物はないのではなかろうか。長年、19世紀後半の大不況現象に関心を持ちながら、その原因やメカニズムを知りたかった小生には、目が開かれる思いである。当然、今の日本のデフレや1930年代の大恐慌もあつかっている。俗説や他の経済学者の説にさりげなく証拠をあげて反論しているから面白い読み物にもなっている。本書を読んで、マーシャルを読みたくなった。