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菊五郎の色気 (文春新書 574) 新書 – 2007/6/21
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- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2007/6/21
- ISBN-104166605747
- ISBN-13978-4166605743
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2007/6/21)
- 発売日 : 2007/6/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 278ページ
- ISBN-10 : 4166605747
- ISBN-13 : 978-4166605743
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著者について
長谷部 浩(はせべ ひろし、1956年12月17日 - )は、演劇評論家、東京藝術大学教授。(美術学部先端芸術表現科)
埼玉県生まれ。本名・松野誠。慶應義塾大学法学部卒業。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科助教授、同准教授を経て、2010年より同教授。2020年夏学期には、ウィーン大学演劇・映画・メディア研究所のプロフェッショナル・リサーチ・フェローを務める。
現代演劇から歌舞伎まで広く論じる。日本経済新聞(現代演劇)、東京新聞(歌舞伎)で劇評担当を歴任。雑誌「悲劇喜劇」(早川書房)で、「シーン・チェンジズ」を連載。
新作歌舞伎、蜷川幸雄演出『NINAGAWA 十二夜』(2005年初演、2009年ロンドン・バービカン劇場で再演)では、ドラマターグの役割を務める。読売演劇大賞選考委員などを歴任。現在は、紀伊国屋演劇賞審査委員。
著書
4秒の革命 東京の演劇1982-1992 河出書房新社 1993.8
傷ついた性 デヴィッド・ルヴォー演出の技法 紀伊國屋書店 1997.11
盗まれたリアル 90年代演劇は語る アスキー・アスペクト 1998.9
野田秀樹論 河出書房新社 2005.1
菊五郎の色気 文春新書 2007.6
菊之助の礼儀 新潮社 2014.11
野田秀樹の演劇 河出書房新社 2014.12
天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎 文春新書 2016.2
権力と孤独 演出家蜷川幸雄の時代 岩波書店 2017.4
共著
演出術 蜷川幸雄共著 紀伊國屋書店 2002.1 ちくま文庫 2012.7
プロデュース! パルコ劇場30周年記念の本 扇田昭彦、パルコ劇場共編 パルコエンタテインメント事業局 2003.5
坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ(編)岩波書店 2008.7 岩波現代文庫 2015.6
坂東三津五郎 踊りの愉しみ(編)岩波書店 2010.9 岩波現代文庫 2015.6
監修
森山威男 スイングの核心 ヤマハミュージックメディア 2017.11
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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一部ではおおざっぱに菊五郎丈の襲名までの流れや父、梅幸の生涯、初代から六代目までの流れをさらい、音羽屋がどのような家かを明かし、二部ではいよいよ演目ごとの菊五郎論に入ります。桜丸、弁天、お嬢、助六、直侍、五郎蔵、宗五'郎、新三と立ち役を論じたあとで、女方の大役、玉手や政岡、それから舞踊の『鏡獅子』『道成寺』「吉野山」、新作として蜷川演出の『十二夜』のあと、真骨頂ともいうべき『忠臣蔵』の判官と勘平で結ばれます。
ファンであるだけに、これらの役柄をほとんど菊五郎丈で観てきたため、他の役者とどこが大きく違うのか、どこが彼の特有の「色気」なのかを、かえってつきつめて考えたことがなかったのに気づかされました。それも本書の大きな収穫でした。
一冊まとめて菊五郎丈を語った本は初めて読みましたが、「あっさりした芸風」というとらえ方にまず驚き、続いて当時の、あるいはそれまでの他の俳優の演技との比較、脇役とのバランス、菊五郎丈ならではの工夫、口伝が感慨深く、中でも寺島しのぶ、菊之助のふたりが父を語った言葉には重みがありました。寺島しのぶの「お客さんと時間を共有するのがうまい」「父が出てくると、一枚、照明が明るくなった気がする」、菊之助の「何もしていないかに見せて、大きくお客さんを取りに行くやりかた」など、俳優ならではのとらえかたが印象的です。
著者も何度か「豊満な色気」「一点のくもりもない明るさ」というような言葉を使っていますが、確かに菊五郎丈の華やかな匂いたつようなオーラは、芝居そのものとしてはストレート、それゆえ芸風としては「あっさり」なのかもしれない、と納得しました。
また耐える芝居や、『文七元結』のような市井の人情物のような役柄に、年齢を加えた品位がにじみ出るという指摘も新鮮でしたし、菊五郎丈自身の芸談として、近代劇のように心理を一本に通しておくのではなく、その場その場のお客さんの心理に合わせて見せてゆく(「弁天」や「新三」など)快感なども、歌舞伎ならではの特色を再認識しました。
しかし本書でもっとも素晴らしかったのは、著者が狂言のストーリーや場面を語りながら、そこに菊五郎丈の表現や在り方をぬりこめてゆき、まことに濃密な「読む芝居」がたちあがっていることでした。陶酔を誘う美しい文章でありながら、的確にドラマのエッジを押さえており、かつて観たあれこれの舞台が彷彿とたちあがるとともに、新たな意味を与えられ、もう一度脳内で上演されたかのような感動を覚えました。
菊五郎丈のひいきでなくても、歌舞伎をほんの少し見始めたファンであっても、これらの各演目の描写に引き込まれて、ぜひとも歌舞伎を観に行きたいと思わされるのではないでしょうか。
歌舞伎俳優は画家のように絵を残すわけではなく、息子を生きたキャンヴァスとして芸を残してゆく、というくだりがありましたが、菊之助丈の最近の躍進ぶりと父写しの判官などを観るにつけて、改めて七代目の偉大な輪郭とは何かを考えさせられます。
五年近く前の本になりますが、十分に菊五郎丈の今を語っていると思います。
「耐え忍ぶ」役が菊五郎に向いているなど、洞察力の高い内容である一方で、菊五郎が得意とする役や演目に関する解説が充実し過ぎているため、歌舞伎初心者には親切ではあるが観劇歴の長い読者にはいささか緩慢となっているのが玉に瑕。