個人的には、ウォール街の没落ぶりには興味なかったが、いくつか本質的で大切なことを示唆された。
「GDPを伸ばさなければ、売上・利益を増やさなければ…と数字にこだわってきた結果、生まれたのは借金に支えられた砂上の楼閣、見せかけの繁栄だった」とし、「本物の成長は真の技術革新からしか生まれない」と述べている。
そして、「何のための成長なのか、何をもって成長と考えるのか」という根本的な議論がなされないまま、闇雲に突っ走ってきた副作用が、いまの日本に現れ始めている。すなわち、富の偏在、格差拡大、心の疲弊、薄れる思いやりの心、コミュニティの断絶など。
現状に安住してはならない。しかし、「どのように成長するのか、何を頑張るのか」といった根本的な議論がなされておらず、闇雲に頑張っても疲弊するだけである。
働く人の間で心の疲弊がクローズアップされているが、その背景には、こうした議論がなされぬまま、既存の価値観やパラダイムのもとで数字ばかりを追いかける企業経営者や管理者がいまだに多いことが一因にあるのではないか。
成功の復讐とはよく言ったものだが、経営者や管理者は過去の成功に決別し、謙虚な態度で客観的に世の中や現場と向き合うことも必要なのではないか。
そして、(自分への戒めでもある)「このままでいたい」という葛藤をどのように乗り越えていくか!
欧米や日本のいわゆる先進国(?)は、「欲望こそが発展と成長のドライブ」というパラダイムの終焉を迎えているかもしれない。ブータンのようにGNHという考え方もこうした議論の中にあってよいと思う。
気軽に手にした本書だったが、いろいろと考えさせられた。
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強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書 663) 新書 – 2008/10/17
神谷 秀樹
(著)
我が世の春を謳歌し世界中のビジネスマンのお手本だったウォール街は、何を間違えたのか。米国経済の「失敗の本質」を鋭く暴く。
- ISBN-104166606638
- ISBN-13978-4166606634
- 出版社文藝春秋
- 発売日2008/10/17
- 言語日本語
- 本の長さ208ページ
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2008/10/17)
- 発売日 : 2008/10/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 4166606638
- ISBN-13 : 978-4166606634
- Amazon 売れ筋ランキング: - 116,786位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 263位文春新書
- - 740位経済学 (本)
- - 9,169位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2010年9月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2008年12月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
藤原正彦氏の本を読んだときのような気分である。
評者は全くの経済不通である。だから多くの今回のサブプライム関連の本を見たが、中々読み通せない。
原因は多分自分の無知の所為であろうが、多くの経済用語というより金融商品の名前がアルファベット頭文字の羅列で出てくるからだろう。
この本ではそれは最小限に押さえられているような気がする。
レーガノミックスが登場したとき、これはおかしいと思ったが、矢張りそうだったのかと威張りたい気分だ。
前川レポートは、今時々善玉や、悪玉になって登場するが、矢張りおかしかったのか。
下村治氏の、「日本は悪くない」は昔読んで“そうだ、でも日本はアメリカの属国だからなあ”と思ったものだが、案外常識の世界なんだな、経済も。
素人のアメリカ経済はおかしいという不快感、不安感の根源を教えてもらった。
評者と同じく経済音痴でありながら、証券界に興味を持っている皆さんには、この本を読んでから、もっと専門的な本を読まれるようにお勧めしたい。
さて、オバマ大統領はどんな解決の道を探るだろうか。
資本主義から、一気に国家管理の経済にもならないと思えるが、この本を読むと何が起こっても不思議でないような気がしてくる。
評者は全くの経済不通である。だから多くの今回のサブプライム関連の本を見たが、中々読み通せない。
原因は多分自分の無知の所為であろうが、多くの経済用語というより金融商品の名前がアルファベット頭文字の羅列で出てくるからだろう。
この本ではそれは最小限に押さえられているような気がする。
レーガノミックスが登場したとき、これはおかしいと思ったが、矢張りそうだったのかと威張りたい気分だ。
前川レポートは、今時々善玉や、悪玉になって登場するが、矢張りおかしかったのか。
下村治氏の、「日本は悪くない」は昔読んで“そうだ、でも日本はアメリカの属国だからなあ”と思ったものだが、案外常識の世界なんだな、経済も。
素人のアメリカ経済はおかしいという不快感、不安感の根源を教えてもらった。
評者と同じく経済音痴でありながら、証券界に興味を持っている皆さんには、この本を読んでから、もっと専門的な本を読まれるようにお勧めしたい。
さて、オバマ大統領はどんな解決の道を探るだろうか。
資本主義から、一気に国家管理の経済にもならないと思えるが、この本を読むと何が起こっても不思議でないような気がしてくる。
2008年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
■ 【著者は、バンカー 】
著者は、ニューヨーク在住で自ら投資銀行を設立。16年
になるという。早大を卒業後、住友銀行に入行、その
後、ゴールドマンサックスに転職・退職の経歴を持つ。
■ 【商業銀行⇔投資銀行、金融資本⇔産業資本 】
著者の姿勢は、住銀時代に築かれた「金融機関は、
[(実業の)脇役である]基本を失ってはいけない。」に軸
足を置いている。従って、今のウォール街には「(経営者
の相談に乗る)バンカー」不在で、「(スクリーンを見て証
券の売買をする)トレーダー」ばかりであり、又、合法で
あれば手段を選ばない(日本人から見ると四乗、五乗
も)阿漕な輩ばかりであると嘆いている。
■ 【商売は、昔から、阿漕である 】
ところで、こういった輩は、別にITに伴って出現した訳で
はないだろう。「ベニスの商人」に代表される様に商売に
は、大昔から付きものだと思う。著者の言葉では、
(ウォール街の輩は)「(今日の)儲けは、自分のもの、
(明日の)損は、君のもの。」そして更に嘆く。「金融の世
界の人間の学習能力は、低い。」と。
■ 【金融工学を複雑にする(なる)理由は? 】
しかし、嘆く前に、疑問を提示したい。「自助努力」の名
の元にリスクを取るべきだと言う風潮を助長する一方、
ババを掴んで潰れる金融機関・大企業などに「小口の投
資家、企業家を救済する為。」という大義名分で投入さ
れる公的資金と言う税金。又、「時価会計のルール緩
和」、「金融機能強化法」など、法制度をも自在に変形す
る魑魅魍魎の金融業界の学習効果など期待は無理。そ
れが、著者の言う『強欲資本主義』の本質ではないか。
(それは、あたかもレオナルド・ダ・ヴィンチが「天文対
話」を誰もがわかるイタリア語で刊行したが為に教皇庁
から罪に咎められた様に。誰もが理解されると困る5%
の強欲な輩がいるからではないでしょうか。)
著者は、ニューヨーク在住で自ら投資銀行を設立。16年
になるという。早大を卒業後、住友銀行に入行、その
後、ゴールドマンサックスに転職・退職の経歴を持つ。
■ 【商業銀行⇔投資銀行、金融資本⇔産業資本 】
著者の姿勢は、住銀時代に築かれた「金融機関は、
[(実業の)脇役である]基本を失ってはいけない。」に軸
足を置いている。従って、今のウォール街には「(経営者
の相談に乗る)バンカー」不在で、「(スクリーンを見て証
券の売買をする)トレーダー」ばかりであり、又、合法で
あれば手段を選ばない(日本人から見ると四乗、五乗
も)阿漕な輩ばかりであると嘆いている。
■ 【商売は、昔から、阿漕である 】
ところで、こういった輩は、別にITに伴って出現した訳で
はないだろう。「ベニスの商人」に代表される様に商売に
は、大昔から付きものだと思う。著者の言葉では、
(ウォール街の輩は)「(今日の)儲けは、自分のもの、
(明日の)損は、君のもの。」そして更に嘆く。「金融の世
界の人間の学習能力は、低い。」と。
■ 【金融工学を複雑にする(なる)理由は? 】
しかし、嘆く前に、疑問を提示したい。「自助努力」の名
の元にリスクを取るべきだと言う風潮を助長する一方、
ババを掴んで潰れる金融機関・大企業などに「小口の投
資家、企業家を救済する為。」という大義名分で投入さ
れる公的資金と言う税金。又、「時価会計のルール緩
和」、「金融機能強化法」など、法制度をも自在に変形す
る魑魅魍魎の金融業界の学習効果など期待は無理。そ
れが、著者の言う『強欲資本主義』の本質ではないか。
(それは、あたかもレオナルド・ダ・ヴィンチが「天文対
話」を誰もがわかるイタリア語で刊行したが為に教皇庁
から罪に咎められた様に。誰もが理解されると困る5%
の強欲な輩がいるからではないでしょうか。)
2008年12月10日に日本でレビュー済み
三流週刊誌のようなタイトルの本ですが、中身も週刊誌並みにペラペラです。
筆者は元住友銀行、元ゴールドマン・サックスということですが、肩書きは単なる「ヴァイスプレジデント」、つまり日本の組織に直せば「課長」程度です。やっていた仕事も「ジャパンデスク」、つまり単なる「通訳」に過ぎません。とてもインベストメントバンカーとは言えません。他社の新書でもリップルウッドの元ヴァイスプレジデント程度の人間が、何やら偉そうに投資銀行やウォールストリートを語っていますが、この程度のキャリアの人間はウォールストリートの中枢はおろか、空気すら吸ったことがありません。そもそも資本主義とは「欲望」に基づいて成り立っています。それを否定して理想主義を掲げても、金融危機の本質など理解できません。
筆者は元住友銀行、元ゴールドマン・サックスということですが、肩書きは単なる「ヴァイスプレジデント」、つまり日本の組織に直せば「課長」程度です。やっていた仕事も「ジャパンデスク」、つまり単なる「通訳」に過ぎません。とてもインベストメントバンカーとは言えません。他社の新書でもリップルウッドの元ヴァイスプレジデント程度の人間が、何やら偉そうに投資銀行やウォールストリートを語っていますが、この程度のキャリアの人間はウォールストリートの中枢はおろか、空気すら吸ったことがありません。そもそも資本主義とは「欲望」に基づいて成り立っています。それを否定して理想主義を掲げても、金融危機の本質など理解できません。
2015年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1984年にゴールドマン・サックスに転職した著者がウォール街の実態を描いている。
金融畑でずっと生きてきた著者のウォール街の観察はさすがにするどい。
最後の部分で少し楽観的すぎる今後の展望に関する部分は、金融屋として生きてきた著者の領分を超えているので仕方がないか。
その他の点はとても良かった。ウォール街をずっと見てきた生き証人が書いた本として価値があると思う。
金融畑でずっと生きてきた著者のウォール街の観察はさすがにするどい。
最後の部分で少し楽観的すぎる今後の展望に関する部分は、金融屋として生きてきた著者の領分を超えているので仕方がないか。
その他の点はとても良かった。ウォール街をずっと見てきた生き証人が書いた本として価値があると思う。
2011年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
近代から現代にかけての金融業の変遷や,近年のウォール街の阿漕なやり方を実名で記していたりと,興味深いです.リーマンショックから一年経ち(注:このレビューは2009/10に書きました),「懲りない人々」がまた同じことを繰り返そうとしていますが,本書を読むとそれが納得できるというものです.全く陰鬱な気分になります.
本書では,金融業界用語を説明なく使っている箇所が多く,僕のような素人には読みづらい部分がありました.また,先日のNHKでの特集で取り上げられていたような,金融工学に基づく金融商品についての記述がないのも残念でした.業界の仕組みを知るための本というよりは,暴露本的な本だと思います.
本書では,金融業界用語を説明なく使っている箇所が多く,僕のような素人には読みづらい部分がありました.また,先日のNHKでの特集で取り上げられていたような,金融工学に基づく金融商品についての記述がないのも残念でした.業界の仕組みを知るための本というよりは,暴露本的な本だと思います.
2013年12月18日に日本でレビュー済み
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「ほぼ新品」というレーベルを見たから買った。
確かにうそじゃない。
傷などの欠点が全然ない。
ただ出版された年数がちょっと古いかも。
内容がまだ三分の一しか読まないから、特に評価したいところがない。
確かにうそじゃない。
傷などの欠点が全然ない。
ただ出版された年数がちょっと古いかも。
内容がまだ三分の一しか読まないから、特に評価したいところがない。
2009年1月13日に日本でレビュー済み
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強欲は やはり というか 案の定 自爆するという本
アメリカの金融市場が崩壊になったのは
合法なら なんでもしていいというアメリカの精神がある
そこには 金が第一だという資本主義が蔓延していて
ものづくりをやらなくも 金を回していけばという
金融技術だけを頼りにした金融立国の姿がある
そういう自爆にいたるまでのことを わかりやすく 書いている本
下村博士の卓見は 今後の処方箋としてどう展開してのかが書かれていると良いと思う
アメリカの金融市場が崩壊になったのは
合法なら なんでもしていいというアメリカの精神がある
そこには 金が第一だという資本主義が蔓延していて
ものづくりをやらなくも 金を回していけばという
金融技術だけを頼りにした金融立国の姿がある
そういう自爆にいたるまでのことを わかりやすく 書いている本
下村博士の卓見は 今後の処方箋としてどう展開してのかが書かれていると良いと思う