自身の主義や主張を排して公平に歴史を見ようとする良心こそ
我々が学ぶべき点であるとおもう。
ノモンハンは日本の勝ちとか
南京虐殺はないとか
始めに自己の主張したい解釈が立っている
二流の筆者の書物など
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日本人の歴史観 黒船来航から集団的自衛権まで (文春新書 1043) 新書 – 2015/9/18
安倍総理の「戦後70年談話」は、日本の歴史認識のひとつの到達点となりました。また、それに先立ち、集団的自衛権の容認も閣議決定されています。東京裁判史観の偏向した論理によって歪められてきた日本の近代への理解が、正常な形に戻りつつある証左でしょう。
これらの動きの原点ともいえる鼎談が、2002年に月刊『諸君!』に掲載された「21世紀『日本丸』の航海図」でした。その後、岡崎久彦氏は、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の有識者委員として集団的自衛権の容認を実現し、北岡伸一氏は「戦後70年談話」有識者懇談会座長代理として、安倍談話の道筋をつけました。鼎談の直後に逝去された坂本多加雄氏が、「新しい教科書をつくる会」理事として、これらの動きの先駆となったことも忘れてはいけません。
この鼎談では、黒船来航から集団的自衛権論争まで、時代を区分して、それぞれの時代に対する理解を歪めてきた偏向史観を徹底的に論破します。勝者がつくってきたデタラメな歴史観に対する実証的な異議申し立てに、目からウロコが落ちます。そして曇りなき眼で、我々日本人がそれぞれの時代をいかに生きてきたのかを論じます。日本の近代史としても決定版といえる内容になっています。
10時間を超える白熱した討論は、まさに日本の「歴史認識」の原点であり、これからの日本の行くべき方角を示す羅針盤でもあります。
これらの動きの原点ともいえる鼎談が、2002年に月刊『諸君!』に掲載された「21世紀『日本丸』の航海図」でした。その後、岡崎久彦氏は、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の有識者委員として集団的自衛権の容認を実現し、北岡伸一氏は「戦後70年談話」有識者懇談会座長代理として、安倍談話の道筋をつけました。鼎談の直後に逝去された坂本多加雄氏が、「新しい教科書をつくる会」理事として、これらの動きの先駆となったことも忘れてはいけません。
この鼎談では、黒船来航から集団的自衛権論争まで、時代を区分して、それぞれの時代に対する理解を歪めてきた偏向史観を徹底的に論破します。勝者がつくってきたデタラメな歴史観に対する実証的な異議申し立てに、目からウロコが落ちます。そして曇りなき眼で、我々日本人がそれぞれの時代をいかに生きてきたのかを論じます。日本の近代史としても決定版といえる内容になっています。
10時間を超える白熱した討論は、まさに日本の「歴史認識」の原点であり、これからの日本の行くべき方角を示す羅針盤でもあります。
- 本の長さ220ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2015/9/18
- ISBN-104166610430
- ISBN-13978-4166610433
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2015/9/18)
- 発売日 : 2015/9/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 220ページ
- ISBN-10 : 4166610430
- ISBN-13 : 978-4166610433
- Amazon 売れ筋ランキング: - 600,462位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,167位文春新書
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代史は証人や証拠も多く、かえって理解しがたいところがありますが、本書もひとつの理解のための道しるべと理解して何度か読みました。
2023年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
・もう少し真っ当な議論を期待したのだが、外れました。
岡崎氏の感情を剝き出しにした物云いにも、呆れが先に立ちました。
北岡、坂本両氏は学者だけに、根拠無き発言を控える抑制は働かせているが、坂本氏は最後の方は切れていましたね。
そもそも表題にあるように、日本人に定まった歴史観があるか、あったか、と云えば『ない』が正答で、それを敢えて問うところに引かれたが、結局そこにフォーカスした分析や見解は披露されてなく、残念にも表題を裏切る本でしかなかった、これが率直な感想です。相容れない歴史観を唯々攻撃するのではなくて、歴史観は、このような思考を経て構築すべき、そんな議論が行われても良かったのではないか、との感想も持ちました。
岡崎氏の感情を剝き出しにした物云いにも、呆れが先に立ちました。
北岡、坂本両氏は学者だけに、根拠無き発言を控える抑制は働かせているが、坂本氏は最後の方は切れていましたね。
そもそも表題にあるように、日本人に定まった歴史観があるか、あったか、と云えば『ない』が正答で、それを敢えて問うところに引かれたが、結局そこにフォーカスした分析や見解は披露されてなく、残念にも表題を裏切る本でしかなかった、これが率直な感想です。相容れない歴史観を唯々攻撃するのではなくて、歴史観は、このような思考を経て構築すべき、そんな議論が行われても良かったのではないか、との感想も持ちました。
2015年11月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本の古代から現在までの支配的日本史観を概説。時事問題の背景理解の一助になる好適書です。
2018年8月24日に日本でレビュー済み
保守陣営の信頼に足る論客の鼎談ですから保守現実主義者の私としては、大筋には違和感なく読めました。
ただ、日中15年戦争の総括として岡崎氏の「満州事変は日本が仕掛け、支那事変は中国が仕掛けた」という断定的な発言はちょっと気になりました。
日本の満州に対する主権(領土権)は認めずとも権益についてはリットン調査団には暗黙の了解があり、アメリカも鉄道財閥のハリマンが南満州鉄道の共同経営を申し出てきており、小村寿太郎の強い異論がなければ日米帝国主義の共同の満州運営があり得たとの話は興味深かった。
確かに、蒋介石国民政府も日本の満州の占領は棚上げして毛沢東共産党を当面の主要な敵とする戦略をとっていた時期もあり、日本陸軍内部でも究極の敵はソ連として中国本土に深入りすべきにあらずという石原莞爾の意見もあったのに、近衛首相が「蒋介石を相手にせず」という一方的声明で、陸軍の強硬派をして南京、重慶の大陸内部まで進出し蒋介石国民政府と闘ったのは毛沢東のしたたかな「漁夫の利」戦略に乗せられたということでしょうか。
安倍首相の言に「侵略にも色々ある」とのことですが、安倍首相の進める集団的自衛権の理論構築者である北岡氏ははっきり「日本は中国を侵略した」と明言していますね。保守現実主義者の私としては、北岡氏に賛成ですな。
侵略を認めず南京事件の存在そのものを否定するネット右翼などにはついていけませんね。もちろん南京事件の被害者30万人の中国政府の大法螺は、私としても噴飯ものだと思っていますが。事実は事実として認め、虚偽については断固として反論するのが保守現実主義者の骨頂と考えます。
60年安保改定騒動で左翼から米帝国主義の追随者として指弾された岸首相には、ある意味国家社会主義者の一面があり、友人の社会党幹部の伝手で社会党から立候補することも考えたことがあったとのことで、実は現在の社会保障の柱となった国民皆保険、国民年金の制度を作ったのは岸首相だったんですね。
私などは、十代の頃から自民党支持者でありましたから安保騒動に際しての岸首相の退陣を口惜しく思いましたね。東西冷戦の厳しい歴史を捨象し「日本の戦後70年の平和は憲法第9条のお陰」などと能天気な意見を吐く人たちには呆れますね。
さて、自分の興味ある事項につき先走り、これでは本書を紹介したことにはなりませんので、目次と要旨について以下にコピーしておきます。
1853(嘉永6)年〜1895(明治28)年
第一章 黒船来航から日清戦争まで
明治維新は“中途半端な革命”ではなかった。連続性のなかに大きな変化を起こした
という意味で、世界史上稀に見るナショナリズム革命だったのだ。
1904(明治37)年〜1945(昭和20)年
第二章 日露戦争から大東亜戦争まで
大正デモクラシーは政党政治のひとつの到達点だった。その豊かな可能性は
世界経済の嵐と中国情勢の緊迫のなかで潰え、軍部抬頭の時代を迎える。
1945(昭和20)年〜1980(昭和55)年
第三章 占領期から「60年体制」期まで
いまも日本を呪縛する歪んだ平和主義と東京裁判史観。GHQの負の遺産を
守り育んだものこそ、長期にわたった与野党馴れ合いの構図だった。
1989(昭和64)年〜2002(平成14)年
第四章 “空白の十年”そして未来へ
冷戦構造崩壊後、退潮したかに見えた左翼思想は、グローバリズムや市民
主義の衣装をまとって延命し、いまも空虚な幻想を振りまき続けている。
2002(平成14)年〜
終章 国家を動かすエリートの役割
21世紀に入り、世界は再び変化を始めた。新しい時代を生き抜くためには有リーダーが必要
だ。それこそが日本の近代が遺した教訓なのだ。
保守でもTPPには賛成の人もいれば反対という人もいますね。自民党も政権を奪還する前は必ずしもTPPに全面敵に賛成でなかった。
北岡先生はTPPにはどのようなお考えを持たれているのでしょうか。
ただ、日中15年戦争の総括として岡崎氏の「満州事変は日本が仕掛け、支那事変は中国が仕掛けた」という断定的な発言はちょっと気になりました。
日本の満州に対する主権(領土権)は認めずとも権益についてはリットン調査団には暗黙の了解があり、アメリカも鉄道財閥のハリマンが南満州鉄道の共同経営を申し出てきており、小村寿太郎の強い異論がなければ日米帝国主義の共同の満州運営があり得たとの話は興味深かった。
確かに、蒋介石国民政府も日本の満州の占領は棚上げして毛沢東共産党を当面の主要な敵とする戦略をとっていた時期もあり、日本陸軍内部でも究極の敵はソ連として中国本土に深入りすべきにあらずという石原莞爾の意見もあったのに、近衛首相が「蒋介石を相手にせず」という一方的声明で、陸軍の強硬派をして南京、重慶の大陸内部まで進出し蒋介石国民政府と闘ったのは毛沢東のしたたかな「漁夫の利」戦略に乗せられたということでしょうか。
安倍首相の言に「侵略にも色々ある」とのことですが、安倍首相の進める集団的自衛権の理論構築者である北岡氏ははっきり「日本は中国を侵略した」と明言していますね。保守現実主義者の私としては、北岡氏に賛成ですな。
侵略を認めず南京事件の存在そのものを否定するネット右翼などにはついていけませんね。もちろん南京事件の被害者30万人の中国政府の大法螺は、私としても噴飯ものだと思っていますが。事実は事実として認め、虚偽については断固として反論するのが保守現実主義者の骨頂と考えます。
60年安保改定騒動で左翼から米帝国主義の追随者として指弾された岸首相には、ある意味国家社会主義者の一面があり、友人の社会党幹部の伝手で社会党から立候補することも考えたことがあったとのことで、実は現在の社会保障の柱となった国民皆保険、国民年金の制度を作ったのは岸首相だったんですね。
私などは、十代の頃から自民党支持者でありましたから安保騒動に際しての岸首相の退陣を口惜しく思いましたね。東西冷戦の厳しい歴史を捨象し「日本の戦後70年の平和は憲法第9条のお陰」などと能天気な意見を吐く人たちには呆れますね。
さて、自分の興味ある事項につき先走り、これでは本書を紹介したことにはなりませんので、目次と要旨について以下にコピーしておきます。
1853(嘉永6)年〜1895(明治28)年
第一章 黒船来航から日清戦争まで
明治維新は“中途半端な革命”ではなかった。連続性のなかに大きな変化を起こした
という意味で、世界史上稀に見るナショナリズム革命だったのだ。
1904(明治37)年〜1945(昭和20)年
第二章 日露戦争から大東亜戦争まで
大正デモクラシーは政党政治のひとつの到達点だった。その豊かな可能性は
世界経済の嵐と中国情勢の緊迫のなかで潰え、軍部抬頭の時代を迎える。
1945(昭和20)年〜1980(昭和55)年
第三章 占領期から「60年体制」期まで
いまも日本を呪縛する歪んだ平和主義と東京裁判史観。GHQの負の遺産を
守り育んだものこそ、長期にわたった与野党馴れ合いの構図だった。
1989(昭和64)年〜2002(平成14)年
第四章 “空白の十年”そして未来へ
冷戦構造崩壊後、退潮したかに見えた左翼思想は、グローバリズムや市民
主義の衣装をまとって延命し、いまも空虚な幻想を振りまき続けている。
2002(平成14)年〜
終章 国家を動かすエリートの役割
21世紀に入り、世界は再び変化を始めた。新しい時代を生き抜くためには有リーダーが必要
だ。それこそが日本の近代が遺した教訓なのだ。
保守でもTPPには賛成の人もいれば反対という人もいますね。自民党も政権を奪還する前は必ずしもTPPに全面敵に賛成でなかった。
北岡先生はTPPにはどのようなお考えを持たれているのでしょうか。
2016年12月6日に日本でレビュー済み
『歴史認識』の原点がここにある、と帯は言います。本書を三読して、わたしなりに読みとった「原点」を下記します。
【明治維新はすぐれた革命】
・私は昭和四十二年に大学に入りましたが、あのころの通説は、明治維新は不徹底な革命である、というものでした。
・アメリカの経済学者、ケネス・ボールディングは、『歴史はいかに書かれるべきか」で、明治維新はコストが少なく成果の大きい非常にすぐれた革命である、と書く。アメリカの独立戦争と日本の明治維新が世界に冠たる革命であると。
・いちばん大きな変化は、身分制を壊し、すべての階層からの人材登用を可能にしたことである。
・マルクス主義の全盛期であった戦後初期に、マルクス主義から離れた目で、結局これはナショナリズムの革命だと言われたのが、岡義武先生で、それは正しかったと思います。
【デモクラシーの変質と終焉】
・あらゆる偏向史観の最大の犠牲者が大正デモクラシー。薩長史観から見れば
民党というのは乱臣賊子。次に皇国史観や軍国主義史観になると腐敗堕落の象徴。戦後左翼史観になると跳ね上がりばかり褒めて、議会活動をしていた正統派は「裏切り」ということになる。
・もう一つ大きいのが占領史観で、アメリカの占領のお陰で日本は民主化したということになっているから、大正期すでに民主主義があると
矛盾してしまう。そこで大正デモクラシーは民主主義ではないということにされてしまった。
・ポツダム宣言でさえ「民主主義的傾向の復活強化」と書いてあるのですから、日本の戦前に民主主義があったのは明らかです。いちばんおかしいのは、あの戦争はデモクラシー対全体主義の戦争だと言い出したことです。英米はいいとしても、どうしてスターリンのソ連がデモクラシーか、蔣介石の国民政府がデモクラシーか、そういう矛盾が出た。しかし戦後最初の世代の政治学者たちは、北朝鮮も中国共産党もソ連共産党もみんなデモクラシーで、戦前の日本だけがそうではないという議論をしたんです。
【地政学で東アジアをとらえる】
・1920年代に中国駐在公使を務め、当時のアメリカでは有数の極東通と言われた、ジョン・マクマリーは三十五年にこう述べます。
・ワシントン会議に基づく当時の国際秩序を乱している元凶は、通説に反して、日本ではなくむしろ中国であると考えます。そして、日英米は結束して中国の前に立ちふさがるべきである。さもなくば、やがて日中は全面的な戦争に突入し、アメリカもこれに引きずり込まれることは必定。この戦いで国民党は疲弊し、結局、東アジアは中国共産党とソ連の手に落ちるであろう、と大筋で極めて正確な読みを披露しています。日本を中心にして彼の主張を要約すれば、東アジアの安定のために、日本というカードをもっと有効に利用せよ、ということになる。
【新憲法】
・マッカーサーは、日米両国民の歓呼と喝采のうちに占領を仕上げ、帰国して大統領になるというシナリオを思い描いていた。そのためには金をかけすぎてもいけないし、流血の惨事があってもいけない。その一方、日本は変わったという目につきやすい成果を挙げ、天皇制は残して、ということになると、落としどころはあの憲法しかなかったともいえます。
【「六十年体制」は克服できたか】
・六十年あたりを境に、もう高邁な政策論争を戦わせるのはやめようという暗黙の了解が政界を包み込むようになったのではないか。これは明らかに岸信介が安保改定で挫折したのを見てのリアクションでした。
・同じ敗戦国であるドイツは、戦後、東西に分割されて長い年月を過ごしますが、日本は表向きの統合を保ったまま、親ソ、反ソが国内に共存し、膠着状態をカタチつくるようになりました。
・不幸なことに、その克服に多大な時間を要しているわけです。有事法制の話題などが出るたびに、日本でしか通用しない特殊な安全保障のスタンダードが出てきて、議論を不毛なものにしている。その温床となったのは、こうした日本の戦後社会に特有な与野党のあり方といえるでしょう。
【明治維新はすぐれた革命】
・私は昭和四十二年に大学に入りましたが、あのころの通説は、明治維新は不徹底な革命である、というものでした。
・アメリカの経済学者、ケネス・ボールディングは、『歴史はいかに書かれるべきか」で、明治維新はコストが少なく成果の大きい非常にすぐれた革命である、と書く。アメリカの独立戦争と日本の明治維新が世界に冠たる革命であると。
・いちばん大きな変化は、身分制を壊し、すべての階層からの人材登用を可能にしたことである。
・マルクス主義の全盛期であった戦後初期に、マルクス主義から離れた目で、結局これはナショナリズムの革命だと言われたのが、岡義武先生で、それは正しかったと思います。
【デモクラシーの変質と終焉】
・あらゆる偏向史観の最大の犠牲者が大正デモクラシー。薩長史観から見れば
民党というのは乱臣賊子。次に皇国史観や軍国主義史観になると腐敗堕落の象徴。戦後左翼史観になると跳ね上がりばかり褒めて、議会活動をしていた正統派は「裏切り」ということになる。
・もう一つ大きいのが占領史観で、アメリカの占領のお陰で日本は民主化したということになっているから、大正期すでに民主主義があると
矛盾してしまう。そこで大正デモクラシーは民主主義ではないということにされてしまった。
・ポツダム宣言でさえ「民主主義的傾向の復活強化」と書いてあるのですから、日本の戦前に民主主義があったのは明らかです。いちばんおかしいのは、あの戦争はデモクラシー対全体主義の戦争だと言い出したことです。英米はいいとしても、どうしてスターリンのソ連がデモクラシーか、蔣介石の国民政府がデモクラシーか、そういう矛盾が出た。しかし戦後最初の世代の政治学者たちは、北朝鮮も中国共産党もソ連共産党もみんなデモクラシーで、戦前の日本だけがそうではないという議論をしたんです。
【地政学で東アジアをとらえる】
・1920年代に中国駐在公使を務め、当時のアメリカでは有数の極東通と言われた、ジョン・マクマリーは三十五年にこう述べます。
・ワシントン会議に基づく当時の国際秩序を乱している元凶は、通説に反して、日本ではなくむしろ中国であると考えます。そして、日英米は結束して中国の前に立ちふさがるべきである。さもなくば、やがて日中は全面的な戦争に突入し、アメリカもこれに引きずり込まれることは必定。この戦いで国民党は疲弊し、結局、東アジアは中国共産党とソ連の手に落ちるであろう、と大筋で極めて正確な読みを披露しています。日本を中心にして彼の主張を要約すれば、東アジアの安定のために、日本というカードをもっと有効に利用せよ、ということになる。
【新憲法】
・マッカーサーは、日米両国民の歓呼と喝采のうちに占領を仕上げ、帰国して大統領になるというシナリオを思い描いていた。そのためには金をかけすぎてもいけないし、流血の惨事があってもいけない。その一方、日本は変わったという目につきやすい成果を挙げ、天皇制は残して、ということになると、落としどころはあの憲法しかなかったともいえます。
【「六十年体制」は克服できたか】
・六十年あたりを境に、もう高邁な政策論争を戦わせるのはやめようという暗黙の了解が政界を包み込むようになったのではないか。これは明らかに岸信介が安保改定で挫折したのを見てのリアクションでした。
・同じ敗戦国であるドイツは、戦後、東西に分割されて長い年月を過ごしますが、日本は表向きの統合を保ったまま、親ソ、反ソが国内に共存し、膠着状態をカタチつくるようになりました。
・不幸なことに、その克服に多大な時間を要しているわけです。有事法制の話題などが出るたびに、日本でしか通用しない特殊な安全保障のスタンダードが出てきて、議論を不毛なものにしている。その温床となったのは、こうした日本の戦後社会に特有な与野党のあり方といえるでしょう。
2016年2月15日に日本でレビュー済み
とても興味深く読ませていただきました。大きなスパンでのコメントは大変勉強になりました。「はじめに」にある通りこの鼎談は、今をさる十三年程前に行なはれて「諸君!」(懐かしの)に掲載されてゐますが、本書を読んでゐる途中で氣になって私の持ってゐるバックナンバーを調べてみると既に一度通読してゐた事が判明しました。このやうな鼎談があった事は、私自身全く忘却してゐましたが、引いてある沢山の線の箇所が本書に引いてゐたものと殆ど同じやうな所で引いてあるのには正直驚きました。当時も今も光ってゐる所は変はらないのだと思ひました。日清戦争が日本から戦ひを求め、シナ事変がシナから戦ひを求めたといふ事実が常識の如く語られてゐるのには新鮮な感じを覚えました。又、戦前期の政治についてのコメントも中々と感じました。齋藤隆夫の所謂「反軍演説」の評価、近衛文麿、広田弘毅、杉山元の三人の不作為が敗戦を導いたといふ指摘、そして、英国主導のシナの幣制改革推進による可能性への考察は、あるべき政治といふものを考へさせてくれました。更には、占領期の異常な脅迫状況が戦後の歪みをつくってゐる事も確認出来ました。終りに際しては、エリートとしての政治家が田中角栄後に変質した事への課題を語ってゐます。国家の存在、エリートの必要性、同盟国の大切さ等を歴史の中から学び直さねばならないと改めて感じ次第です。
2022年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良質な保守の歴史観を期待したけれど、近現代史に限って言えば疑問を持つ発言がいくつかあった。坂本氏の慰安婦問題に対する認識などは、ネトウヨと変わらず驚くばかり。