こんにちの文学の礎を築いた坪内逍遥、樋口一葉、斎藤緑雨、山田美妙、尾崎紅葉ら明治の「文豪」を著者ならではの炯眼で描いている。当時の評論、当人たちの文章を適時引用・構築するという評伝の姿を借りつつ、人間ドラマを描いているところが清張の清張たる所以だ。
作中に清張自身が経験したであろう当時の「文壇」に対する批判がもぐりこませてあったりして、おもしろい。
清張の推理小説は、読んでいるうちに背中から深い闇が迫ってきて、つい後ろを振り返ってみたくなる衝動に襲われるが、この評伝を読んでいるときも、一葉が後ろに立っているような気がしてならなかった。

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文豪 (文春文庫 ま 1-87) 文庫 – 2000/6/10
松本 清張
(著)
逍遙の死と妻を巡る異説。紅葉=鏡花師弟の確執。密かに一葉を想う緑雨の孤高。明治文壇の強烈な個性の栄光と悲惨を描く連作小説
- 本の長さ366ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2000/6/10
- ISBN-104167106876
- ISBN-13978-4167106874
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2000/6/10)
- 発売日 : 2000/6/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 366ページ
- ISBN-10 : 4167106876
- ISBN-13 : 978-4167106874
- Amazon 売れ筋ランキング: - 179,287位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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(1909-1992)小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。1958年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年9月21日に日本でレビュー済み
大部分は坪内逍遥とその妻センについてですが、最後の斎藤緑雨についての章が一番資料的価値があると思いました。斎藤緑雨は、よく聞く名前なものの、系統だった研究はあまりされていないし、こちらには「松本清張が料理する斎藤緑雨」という魅力もあります。文庫版で絶版のようですが、興味のある方は図書館での一読をお薦め致します。小説なのか研究なのかはっきりしないという点で☆一つ減らしましたが、読んで損は無い内容です。
2012年10月30日に日本でレビュー済み
大変面白かった。作品紹介は次のとおり。坪内逍遙の死と妻を巡る異説。尾崎紅葉=泉鏡花師弟の確執。密かに樋口一葉を想う斎藤緑雨の孤高。従来の評論家・文学研究者と異なる角度から光を当て、取材と推理を駆使して定説の盲点を突く。明治文壇史に燦然と輝く強烈な個性の栄光と悲惨を描き、文学研究者からも高い評価を受けた評伝的連作小説。
一般文学通算116作品目の読書完。通算118冊目の作品。1977/02/09
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