大きな荷を背に男が「かわせみ」の軒先で雨宿りをしていた。
聞けば、二十数年前に生き別れた兄を尋ね、本所深川の寺を廻っているという。
偶然のきっかけで、兄弟は再会を果たすも、結局は永久の別れを迎えてしまう。
悲しみ、辛さのなかでも優しかった兄の面影を胸に生きてきた弟の、その人生が悲しくてなりません。
その悲しさを綴った表題作ほか、「尾花茶屋の娘」「春の鬼」「百千鳥の琴」など七篇を収録しています。
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