残念ながら、今年永眠された指揮者岩城 宏之さんが書かれたこの『音の影』は音楽愛好家だけでなく、多くの人に読んでいただきたいエッセイ集だと思いました。
堅い内容では全くなく、どちらかと言えば、筆者独特のユーモアに溢れていると言えましょう。クラシック音楽をテーマにした本としては、洒脱でとても読みやすい文章が嬉しいですね。
クラシックの有名な作曲家にまつわる36篇のエピソードを岩城さん自身の思い出とともに記したもので、「週間金曜日」の2001年5月18日号〜2004年4月9日号まで連載されたものを単行本にしたものです。
アルファベット順の最初にでてくるアルベニスの「エスパーニャ」の曲にまつわる筆者自身の青春のエピソードを書いた「1秒間のキス」のくだりとか、バッハの「マタイ受難曲」が大好きだった武満徹を偲んだ「武満徹さんが最後に聞いた曲」でのしんみりとする交遊録など興味深いエピソードが綴られています。
作曲家のことを書きながら、実際は岩城 宏之さんの追想録のような色彩も帯びています。長年様々なガンと戦ってこられた筆者ですから、音楽表現だけでなく、文章でもその足跡を残される気持ちがあったのかも知れません。
痛快な学生時代の交遊録の『森のうた―山本直純との芸大青春記』や、岩波新書の『フィルハーモニーの風景』、『楽譜の風景』などを以前読んでいますので、岩城さんの文章力や表現力は理解済みですが、病気と戦い、忙しい演奏活動の合間にこれだけの文を残された才能に驚きを禁じ得ません。合掌。
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音の影 (文春文庫 い 7-6) 文庫 – 2007/8/3
岩城 宏之
(著)
B=ベートーヴェン、C=ショパン。ABC順にその頭文字を持つ音楽家を選び、その思い出、面白エピソードをつづった軽妙エッセイ
- 本の長さ299ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2007/8/3
- ISBN-104167271079
- ISBN-13978-4167271077
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2007/8/3)
- 発売日 : 2007/8/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 299ページ
- ISBN-10 : 4167271079
- ISBN-13 : 978-4167271077
- Amazon 売れ筋ランキング: - 209,728位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 45位演奏家・指揮者・楽器の本
- - 2,850位文春文庫
- - 9,684位楽譜・スコア・音楽書 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2006年10月1日に日本でレビュー済み
2010年3月8日に日本でレビュー済み
2000年に出た単行本の文庫化。
もともと『週刊金曜日』に連載されたもの。
アルファベット順に作曲家を紹介していくというエッセイで、アルベニスから始まり、バッハ、ボッケリーニ、ベルリオーズと進んでいく。ひとつの文字に複数人が当てられ、飛ばされている文字もある。複数回にわたる作曲家も。
まあ、そんな堅苦しい内容ではないということだ。
自身の作曲家との交流、曲の好み、指揮をしてみての感想などが軽妙に語られている。面白くてためになるという文章だ。
もともと『週刊金曜日』に連載されたもの。
アルファベット順に作曲家を紹介していくというエッセイで、アルベニスから始まり、バッハ、ボッケリーニ、ベルリオーズと進んでいく。ひとつの文字に複数人が当てられ、飛ばされている文字もある。複数回にわたる作曲家も。
まあ、そんな堅苦しい内容ではないということだ。
自身の作曲家との交流、曲の好み、指揮をしてみての感想などが軽妙に語られている。面白くてためになるという文章だ。
2007年8月13日に日本でレビュー済み
岩城宏之氏の最後の文庫本です。
私は文庫本派なのでずっと前から音の影を読みたいと思っていましたが我慢していました。
そして、いよいよ文庫本になったのでうれしく思い一気に読んだのですが
よく考えるとこれ以上岩城氏の新作を読むと言うことはないんですね。
なんだか楽しみにしていた反面、読み終わった後なんだか寂しくなりました。
「棒振り旅がらす」や「岩城宏之のからむこらむ」などの著作を読んできた私には
岩城氏は会ったこともないのにとても親しい感じがします。
そんな岩城氏の著作が今後、読めないのはとても残念です。
絶筆となった「いろはうた」も是非本にしてほしいです。
私は文庫本派なのでずっと前から音の影を読みたいと思っていましたが我慢していました。
そして、いよいよ文庫本になったのでうれしく思い一気に読んだのですが
よく考えるとこれ以上岩城氏の新作を読むと言うことはないんですね。
なんだか楽しみにしていた反面、読み終わった後なんだか寂しくなりました。
「棒振り旅がらす」や「岩城宏之のからむこらむ」などの著作を読んできた私には
岩城氏は会ったこともないのにとても親しい感じがします。
そんな岩城氏の著作が今後、読めないのはとても残念です。
絶筆となった「いろはうた」も是非本にしてほしいです。
2007年8月20日に日本でレビュー済み
ほっとしました。
クラシック音楽は好きだけど、たまに演奏会に行くと気持ちよくなって寝てしまう。
そんな自分は人として少々ダメなのではないかと思っていたのです。
この本を読み、岩城さんも同じだと知って、少しうれしくなりました。
作曲家や演奏家、そのほかクラシック音楽にまつわる楽しいエピソード満載の本ですが、一貫して底に流れているのは「小難しいことは抜きにして、すばらしい音楽を楽しもう」という著者の心意気。
今でこそ「のだめ」がクラシックの裾野を広げてくれましたが、もう何十年も岩城さんは同じことを言いつづけてきたんだなあ。
作曲家メシアンとの温かい交流を記した項、ちょっとジーンときましたよ。
クラシック音楽は好きだけど、たまに演奏会に行くと気持ちよくなって寝てしまう。
そんな自分は人として少々ダメなのではないかと思っていたのです。
この本を読み、岩城さんも同じだと知って、少しうれしくなりました。
作曲家や演奏家、そのほかクラシック音楽にまつわる楽しいエピソード満載の本ですが、一貫して底に流れているのは「小難しいことは抜きにして、すばらしい音楽を楽しもう」という著者の心意気。
今でこそ「のだめ」がクラシックの裾野を広げてくれましたが、もう何十年も岩城さんは同じことを言いつづけてきたんだなあ。
作曲家メシアンとの温かい交流を記した項、ちょっとジーンときましたよ。
2008年2月20日に日本でレビュー済み
●「しかし、絶対音感を持つことと、音楽的才能とは別のことである」という言葉も著者ならではの信頼性がある。アルファベット順に音楽家について書かれたエッセイ。
・A アルベニス
:
・XYZ ヤング
●クラシックにほとんど興味がない人でも、岩城さんの本は不思議と面白く惹かれる。
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:
・XYZ ヤング
●クラシックにほとんど興味がない人でも、岩城さんの本は不思議と面白く惹かれる。