日本経済新聞の掲載された実力派作家の現代小説。日経の読者を意識した金融業界の裏事情や、政界、官僚との絡みなどは図式的・表面的で決してこの作家の本領が発揮されたとは思えない。物語の面白さと現代小説の「語り」のスタイルを両立させる作家の手腕は、後退している。
主人公の人物設定は、いかにもで出自とその後の「育ち」に絡んでくる年上の女性とのエピソードはあまりに通俗的だ。作家みずからエンターテインメントを謳って恥じないのならば、「左様ですか」というほかないが、『ジャスミン』などの力作をものしてきた大家だけに残念でならない。やはり経済新聞での連載という制約が大きいのか。
<文学の最先端で物語を語る>ことのできる数少ない作家であるだけに、以上は決して無いものねだりではないと思うが如何であろう。
とはいえ、件の年上女性の造形や、濡れ場の詩情は同じ新聞連載の渡辺淳一何某とはレヴェルが違う。『ジャスミン』の完成度には及ばないが。浅はかな経済新聞の範疇に収まらない作品を期待したい。
![Kindleアプリのロゴ画像](https://m.media-amazon.com/images/G/09/kindle/app/kindle-app-logo._CB666561098_.png)
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
発熱 上 (文春文庫 つ 8-5) 文庫 – 2005/3/10
辻原 登
(著)
ウォール街帰りの凄腕ファンド・マネージャーが巨大銀行つぶしに挑む。マネーウォーに複雑な色恋が絡む大人のエンタテインメント
- 本の長さ350ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2005/3/10
- ISBN-104167316080
- ISBN-13978-4167316082
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2005/3/10)
- 発売日 : 2005/3/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 350ページ
- ISBN-10 : 4167316080
- ISBN-13 : 978-4167316082
- Amazon 売れ筋ランキング: - 971,921位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
![辻原 登](https://m.media-amazon.com/images/I/01Kv-W2ysOL._SY600_.png)
1945年、和歌山県生まれ。1985年「犬かけて」でデビュー。90年「村の名前」で第103回芥川賞受賞。99年『翔べ麒麟』で第50回読売文学賞、 2000年『遊動亭円木』で第36回谷崎潤一郎賞、05年「枯葉の中の青い炎」で第31回川端康成文学賞、06年『花はさくら木』で第33回大佛次郎賞、 10年『許されざる者』で第51回毎日芸術賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 闇の奥 (ISBN-13: 978-4163288802 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
星5つ中4.4つ
5つのうち4.4つ![](https://m.media-amazon.com/images/S/sash//GN8m8-lU2_Dj38v.svg)
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
5グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2003年8月25日に日本でレビュー済み
主人公として登場する龍という男に象徴されるように,この物語自体が「繊細さと荒々しさ」とを兼ね備えたとても美しい作品だと思いました。
描かれている日常は、私のような一般人からすれば現実離れしたものです。権力と欲望の渦巻く「力」こそが絶対の世界。
しかし、こんな世界もあるのかも?あるのならば覗いてみたいし触れてみたい、そう感じさせるのは登場人物の持つ理念の奇抜さと力強さ、また、登場人物の所為の「美しさ」のためでしょう。
この著者の他の作品も読んでみたいと思わせる作品でした。
描かれている日常は、私のような一般人からすれば現実離れしたものです。権力と欲望の渦巻く「力」こそが絶対の世界。
しかし、こんな世界もあるのかも?あるのならば覗いてみたいし触れてみたい、そう感じさせるのは登場人物の持つ理念の奇抜さと力強さ、また、登場人物の所為の「美しさ」のためでしょう。
この著者の他の作品も読んでみたいと思わせる作品でした。