伯父に頼まれ購入させていただきましたが、非常にキレイでしたと報告を受けました。
機会があればまた宜しくお願いします。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
凡宰伝 (文春文庫 さ 11-5) 文庫 – 2003/6/1
佐野 眞一
(著)
「真空」と呼ばれた総理は本当に無能だったのか
ガイドライン、盗聴法、日の丸・君が代、二千円札……政界で軽んじられ続けた男が、重大法案を次々に通しながらいかに燃えつきたか
ガイドライン、盗聴法、日の丸・君が代、二千円札……政界で軽んじられ続けた男が、重大法案を次々に通しながらいかに燃えつきたか
- 本の長さ279ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2003/6/1
- ISBN-104167340054
- ISBN-13978-4167340056
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2003/6/1)
- 発売日 : 2003/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 279ページ
- ISBN-10 : 4167340054
- ISBN-13 : 978-4167340056
- Amazon 売れ筋ランキング: - 276,610位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1947(昭和22)年東京生れ。
出版社勤務を経てノンフィクション作家に。主著に、民俗学者・宮本常一と渋沢敬三の交流を描いた『旅する巨人』(大宅賞)、エリートOLの夜の顔と外国人労働者の生活、裁判制度を追究した『東電OL殺人事件』、大杉栄虐殺の真相に迫り、その通説を大きく覆した『甘粕正彦 乱心の曠野』『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』など多数。
カスタマーレビュー
星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
25グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
佐野眞一の書く評伝は、その対象者にスッポンのごとく食らいつくことで、いわばその人物を丸裸にして本質を語るのが特徴である。ただ、甘粕正彦や正力松太郎のように、対象者はどちらかというと故人が多かった。そのため、本書の発売こそ小渕氏の没後ではあるものの、その小渕氏本人と対談が主要な部分を占める、佐野氏の著作としては珍しい作品である。
佐野氏の問題意識は、どこから見ても田舎の小市民といった様子の垢抜けない小渕氏が、いかにして日の丸・君が代問題に手をつけ、通信傍受法を通し、サミットを沖縄で開催するという離れ業を、実質わずか1年半でやってのけたかという点にある。例によって例のごとく、佐野氏はまず小渕氏の家族関係と旧群馬三区を地道に調査することから始めているが、同じ選挙区だった中曽根・福田両氏のような煌びやかな才覚はなく、小渕氏の一族が地に足のついた活動をしていることが分かる以外、後の小渕氏に繋がる特筆すべきような事実は見つからなかったと言っていい。だから、佐野氏がしばしば使う、「〇〇の生まれ育った土地や家族こそが、○○をのちにこのような行動へと駆り立てた」という手法は、こと本作ではあまり効果を発揮していない。
小渕氏との対談は、自民党内の権力闘争の様子などが垣間見えてなかなか興味深い。ブッチホンと呼ばれる電話魔だったことは有名だが、その気配りなど、サラリーマンでも見習うべき点は少なくない。また、権力闘争の相手だった梶山氏や加藤氏への意外な酷薄さなどについても、小渕氏はかなりあけすけに佐野氏に語っている。ただ、どちらかというと中曽根氏のようなイデオロギー色の強い政治家が好んで扱いそうな法案を、なぜイデオロギーとは無縁に見える小渕氏が、政権を失うリスクを覚悟で通したのかという点には、佐野氏は迫り切れていない。佐野氏のがぶり寄りを、小渕氏がうまくいなしていたように見える。
そうした事情があってか、佐野氏は暴論スレスレの断定的な物言いをよくするが、本作では氏本来の歯切れの良さは見当たらない。その意味では、佐野氏にとっては本作は自信作ではなく、むしろ失敗作に属するものかもしれない。
ただ、これは佐野氏の意図したことではないだろうが、佐野氏のようなしつこいジャーナリストが「凡人」という仮面を最後まで剥がしきれなかったという点で、逆説的に小渕恵三という人物の凄味というか底知れなさを感じた。実際、小渕氏の実績を見ると、提唱者の中曽根氏ではなく、小渕氏こそが戦後政治の総決算をやってのけたとも言える。それに、当時から何かと評判の悪い公共事業の拡大(≒借金財政)だが、政府以外にカネを出す人間が誰もいなかったあの頃、小渕氏が前任の橋本氏同様に財政規律を優先していたら、日本経済は奈落の底まで落ちていただろう。また、本書ではほとんど語られなかった外交面でも、金大中率いる韓国と歴史的な和解に導く一方、江沢民による過去の歴史への謝罪要求には頑として応じない強さがあった。これらのことを平然とやってのける小渕氏の胆力の大きさというか図太さは、他の首相経験者と比較しても傑出している。
わたしは、この底知れぬ「凡人」が首相だったことは日本にとって幸運であり、その任期がわずか1年半で終わったことは日本の不幸だったと思っている。そのような問題意識をもって本書を読んだので、本書は実に面白く読めた。佐野氏にとっては不本意かもしかもしれないが、その失敗もまた小渕恵三という人物を知るうえで実に興味深い示唆を与えてくれる。
佐野氏の問題意識は、どこから見ても田舎の小市民といった様子の垢抜けない小渕氏が、いかにして日の丸・君が代問題に手をつけ、通信傍受法を通し、サミットを沖縄で開催するという離れ業を、実質わずか1年半でやってのけたかという点にある。例によって例のごとく、佐野氏はまず小渕氏の家族関係と旧群馬三区を地道に調査することから始めているが、同じ選挙区だった中曽根・福田両氏のような煌びやかな才覚はなく、小渕氏の一族が地に足のついた活動をしていることが分かる以外、後の小渕氏に繋がる特筆すべきような事実は見つからなかったと言っていい。だから、佐野氏がしばしば使う、「〇〇の生まれ育った土地や家族こそが、○○をのちにこのような行動へと駆り立てた」という手法は、こと本作ではあまり効果を発揮していない。
小渕氏との対談は、自民党内の権力闘争の様子などが垣間見えてなかなか興味深い。ブッチホンと呼ばれる電話魔だったことは有名だが、その気配りなど、サラリーマンでも見習うべき点は少なくない。また、権力闘争の相手だった梶山氏や加藤氏への意外な酷薄さなどについても、小渕氏はかなりあけすけに佐野氏に語っている。ただ、どちらかというと中曽根氏のようなイデオロギー色の強い政治家が好んで扱いそうな法案を、なぜイデオロギーとは無縁に見える小渕氏が、政権を失うリスクを覚悟で通したのかという点には、佐野氏は迫り切れていない。佐野氏のがぶり寄りを、小渕氏がうまくいなしていたように見える。
そうした事情があってか、佐野氏は暴論スレスレの断定的な物言いをよくするが、本作では氏本来の歯切れの良さは見当たらない。その意味では、佐野氏にとっては本作は自信作ではなく、むしろ失敗作に属するものかもしれない。
ただ、これは佐野氏の意図したことではないだろうが、佐野氏のようなしつこいジャーナリストが「凡人」という仮面を最後まで剥がしきれなかったという点で、逆説的に小渕恵三という人物の凄味というか底知れなさを感じた。実際、小渕氏の実績を見ると、提唱者の中曽根氏ではなく、小渕氏こそが戦後政治の総決算をやってのけたとも言える。それに、当時から何かと評判の悪い公共事業の拡大(≒借金財政)だが、政府以外にカネを出す人間が誰もいなかったあの頃、小渕氏が前任の橋本氏同様に財政規律を優先していたら、日本経済は奈落の底まで落ちていただろう。また、本書ではほとんど語られなかった外交面でも、金大中率いる韓国と歴史的な和解に導く一方、江沢民による過去の歴史への謝罪要求には頑として応じない強さがあった。これらのことを平然とやってのける小渕氏の胆力の大きさというか図太さは、他の首相経験者と比較しても傑出している。
わたしは、この底知れぬ「凡人」が首相だったことは日本にとって幸運であり、その任期がわずか1年半で終わったことは日本の不幸だったと思っている。そのような問題意識をもって本書を読んだので、本書は実に面白く読めた。佐野氏にとっては不本意かもしかもしれないが、その失敗もまた小渕恵三という人物を知るうえで実に興味深い示唆を与えてくれる。
2006年6月18日に日本でレビュー済み
著者は人間そのものを描こうとするノンフィクション作家である。その人物をそのような人間にしたものは何か…合理的には説明できない何かを、膨大な資料や執拗な取材を行うことによって突き止め、その人物を描き出そうとする作家である。だから、この作品も故小渕総理の政治的業績から分析したものではない。あくまで、人間としての小渕恵三を描こうとしている。
著者は小渕自身にもインタビューを何度も行い(このインタビューでの小渕の話が結構笑える)、そしていつものように、その生い立ちにまで遡り、細かい取材を重ねて、彼のパーソナリティーを形作った何かを探し出そうとするのだが、つかみどころがなく、どうもすっきりとはいかない過程がうかがえて非常に面白い。
そんな、著者が最後にたどり着いた「小渕の政治行動は今までもおそらく、永田町の論理いうよりも…旧群馬三区で身につけた大衆の論理によって突き動かされている」という結論は、陣笠にもなれなかったといえそうな父の跡を継ぎ、福田赳夫、中曽根康弘という大物との選挙を戦い抜き、最大派閥(当時)の領袖にまでなっていた人物が「人柄の小渕」「凡人」などと呼ばれていたことに違和感を覚えていた私にとって非常に納得のいくものであった。
この作品を今読むと、そういえばそうだったよなぁという読み方ができるのだが、発売当時(小渕はこの作品の発売前に倒れた)に読んだ時は、総理大臣まで登りつめた政治家の、政治的闘争が殆ど描かれていない「評伝」が、ここまで“滑稽”で面白いのは、日本にとって不幸なことだったのではと感じたものである。
政治家としての小渕恵三は忘れられたのだろうが、この作品で描かれた「人間」としての小渕恵三は、政治家にしておくのが惜しかったくらい?の面白い人物である。
著者は小渕自身にもインタビューを何度も行い(このインタビューでの小渕の話が結構笑える)、そしていつものように、その生い立ちにまで遡り、細かい取材を重ねて、彼のパーソナリティーを形作った何かを探し出そうとするのだが、つかみどころがなく、どうもすっきりとはいかない過程がうかがえて非常に面白い。
そんな、著者が最後にたどり着いた「小渕の政治行動は今までもおそらく、永田町の論理いうよりも…旧群馬三区で身につけた大衆の論理によって突き動かされている」という結論は、陣笠にもなれなかったといえそうな父の跡を継ぎ、福田赳夫、中曽根康弘という大物との選挙を戦い抜き、最大派閥(当時)の領袖にまでなっていた人物が「人柄の小渕」「凡人」などと呼ばれていたことに違和感を覚えていた私にとって非常に納得のいくものであった。
この作品を今読むと、そういえばそうだったよなぁという読み方ができるのだが、発売当時(小渕はこの作品の発売前に倒れた)に読んだ時は、総理大臣まで登りつめた政治家の、政治的闘争が殆ど描かれていない「評伝」が、ここまで“滑稽”で面白いのは、日本にとって不幸なことだったのではと感じたものである。
政治家としての小渕恵三は忘れられたのだろうが、この作品で描かれた「人間」としての小渕恵三は、政治家にしておくのが惜しかったくらい?の面白い人物である。
2022年11月23日に日本でレビュー済み
「宿命に生まれ 運命に挑み 使命に燃える」この言葉を残した
「凡人」「冷めたピザ」と言われた小渕恵三元首相の評伝「凡宰伝」を読了。首相として沖縄サミットの開催を決断しながら、その日を見ることなく亡くなった小渕恵三さんの言葉です。サミット会場になった沖縄県名護市に小渕さんの銅像が建てられました。その台座に、小渕さん自身の筆による言葉が刻まれています。よく生きるとはどういうことなのか考えさせられます。古い本ですが、最近、何かと岸田首相の引き合いに出されることが多いので手に取りました。小渕元首相も二世議員ですが、父親は衆議院選挙に三度も落選するぐらい弱かった。また、小渕元首相自身も同じ選挙区に福田元首相、中曽根元首相がおり、毎回、選挙では苦戦したことから逞しく意外なほど執念深い粘着質な性格、マキャベリストになっていきました。小渕元首相は就任時、内閣支持率が低く、あまり期待されていませんでしたが、野党の金融改革法案の丸飲み、自自公連立政権の成立などで内閣支持率も上昇していきました。岸田首相も小渕元首相の逞しさ、したたかさ、野中官房長官のような強力なブレーンの活用などに学んでほしいと思います。
「凡人」「冷めたピザ」と言われた小渕恵三元首相の評伝「凡宰伝」を読了。首相として沖縄サミットの開催を決断しながら、その日を見ることなく亡くなった小渕恵三さんの言葉です。サミット会場になった沖縄県名護市に小渕さんの銅像が建てられました。その台座に、小渕さん自身の筆による言葉が刻まれています。よく生きるとはどういうことなのか考えさせられます。古い本ですが、最近、何かと岸田首相の引き合いに出されることが多いので手に取りました。小渕元首相も二世議員ですが、父親は衆議院選挙に三度も落選するぐらい弱かった。また、小渕元首相自身も同じ選挙区に福田元首相、中曽根元首相がおり、毎回、選挙では苦戦したことから逞しく意外なほど執念深い粘着質な性格、マキャベリストになっていきました。小渕元首相は就任時、内閣支持率が低く、あまり期待されていませんでしたが、野党の金融改革法案の丸飲み、自自公連立政権の成立などで内閣支持率も上昇していきました。岸田首相も小渕元首相の逞しさ、したたかさ、野中官房長官のような強力なブレーンの活用などに学んでほしいと思います。
2007年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「平成おじさん」こと小渕恵三の人生を当人にも多く取材して描いたベテランジャーナリストの書籍である。
周囲から「凡人」と思われていたこの人物の凄み――人心収攬から不気味なまでのしたたかさ――を取り上げる一方で、その限界点も指摘する。
一国の宰相を無闇にヨイショしたり、逆に罵倒するのでもなく、その複雑な内面まで分け入った評伝として興味深く読める。
周囲から「凡人」と思われていたこの人物の凄み――人心収攬から不気味なまでのしたたかさ――を取り上げる一方で、その限界点も指摘する。
一国の宰相を無闇にヨイショしたり、逆に罵倒するのでもなく、その複雑な内面まで分け入った評伝として興味深く読める。
2009年3月23日に日本でレビュー済み
この本から小渕が偉人でも凡人でもない特殊な人間だと分かる。
そのような小渕の人格をそのルーツから探って見ようを試みた本。
そのため政治家としての活動や総理の業績に関する記述は少なく、
中心は小渕の父の活動や政治家になるまでの小渕やインタビュー
になる。華麗な経歴を持つ政治家とも庶民とも異なる小渕の前半生
はそれなりの面白みがある。読んだ後に感じたことは小渕は永田町
の常識に囚われない政治家だったし多くの業績も上げたが、理想の
総理ではないだろうということである。バランス感覚や政治的センス
は天性のものがあったが、その経歴、人柄から考えるにたとえ天命を
全うしていたとしても1.5流どまりの政治家で終わっていただろう。
そのような小渕の人格をそのルーツから探って見ようを試みた本。
そのため政治家としての活動や総理の業績に関する記述は少なく、
中心は小渕の父の活動や政治家になるまでの小渕やインタビュー
になる。華麗な経歴を持つ政治家とも庶民とも異なる小渕の前半生
はそれなりの面白みがある。読んだ後に感じたことは小渕は永田町
の常識に囚われない政治家だったし多くの業績も上げたが、理想の
総理ではないだろうということである。バランス感覚や政治的センス
は天性のものがあったが、その経歴、人柄から考えるにたとえ天命を
全うしていたとしても1.5流どまりの政治家で終わっていただろう。
2008年10月10日に日本でレビュー済み
総理大臣をまがいなりにも2年近く務めた人物にしては、この人物を取り上げた著作は少ない。貴重な書であるが、読めば読むほどこの人物が分からなくなる。著者自身もどう評価すべきなのか非常に悩んでいる節が見受けられる。
小渕が単なる凡人で無いことは、本書を読むと良く分かるが、本当にこの人物を首相としてこの国は良かったのか?考えさせられます。とは言え福田さんよりは良いような気もしますが。
小渕が単なる凡人で無いことは、本書を読むと良く分かるが、本当にこの人物を首相としてこの国は良かったのか?考えさせられます。とは言え福田さんよりは良いような気もしますが。
2003年12月8日に日本でレビュー済み
佐野眞一の伝記物、例えば、
『巨怪伝』(正力松太郎)とか、『カリスマ』(中内功)とかを
読むのは、すこしつらいかもしれない(なんせ、分厚いから)
と思っているかたは、
この『凡宰伝』から読み始められたらいいのではないかと思う。
佐野スタイルというべきかどうかはわからないが、
対象とする人物が、若い頃どういう人であったかということや、
その家族が、どのように生きていたのか、
という部分にこだわりをみせる記述の仕方。
いいかえるならば、
伝記で描かれる人物とその周辺にいた人間との、
様々なエピソードを通じて、
対象を浮かび上がらせようという、
佐野眞一流の方法、そのエッセンスが、
この本にはつまっている、と私は思う。
凡人と中傷されながらも、重要な法案を、あっさりと
通した小渕という男が、
実際に凡庸なはずがない。
その当たり前のことを、この本は、丁寧に教えてくれる。
佐野眞一に興味はなくとも、
小渕首相には興味があるという人が、
この本を通過することで、
上で挙げたものを代表とする、数々のぶっとい(骨太の)の
作品を読むことになれば、
さらに奥深き佐野ワールドへと、いざなわれることは間違いない。
『巨怪伝』(正力松太郎)とか、『カリスマ』(中内功)とかを
読むのは、すこしつらいかもしれない(なんせ、分厚いから)
と思っているかたは、
この『凡宰伝』から読み始められたらいいのではないかと思う。
佐野スタイルというべきかどうかはわからないが、
対象とする人物が、若い頃どういう人であったかということや、
その家族が、どのように生きていたのか、
という部分にこだわりをみせる記述の仕方。
いいかえるならば、
伝記で描かれる人物とその周辺にいた人間との、
様々なエピソードを通じて、
対象を浮かび上がらせようという、
佐野眞一流の方法、そのエッセンスが、
この本にはつまっている、と私は思う。
凡人と中傷されながらも、重要な法案を、あっさりと
通した小渕という男が、
実際に凡庸なはずがない。
その当たり前のことを、この本は、丁寧に教えてくれる。
佐野眞一に興味はなくとも、
小渕首相には興味があるという人が、
この本を通過することで、
上で挙げたものを代表とする、数々のぶっとい(骨太の)の
作品を読むことになれば、
さらに奥深き佐野ワールドへと、いざなわれることは間違いない。