そこまで厚い本ではないので本が苦手な人でも読みやすい。
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ダイヤモンドダスト (文春文庫 な 26-1) 文庫 – 1992/2/8
南木 佳士
(著)
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火の山を望む高原の病院。そこで看護士の和夫は、様々な過去を背負う人々の死に立ち会ってゆく。病癒えず逝く者と見送る者、双方がほほえみの陰に最期の思いの丈を交わすとき、時間は結晶し、キラキラと輝き出す…。絶賛された芥川賞受賞作「ダイヤモンドダスト」の他、短篇三本、また巻末に加賀乙彦氏との対談を収録。
南木氏はこれまで、医師の立場から死んでゆく末期癌の患者の日常を緻密に描くことで人間の生と死の意味を問いつづけてきたが、今回の「ダイヤモンドダスト」では、医師をベテラン看護士に変えて視野をひろげ、変貌する別荘地の病院を中心にそこの自然と住人たちの生活を、リズミカルでしっとりと落ち着いた文章で厚み豊かに描き出すことに成功している。登場人物のうちでも、以前は火山の裾をめぐる軽便鉄道の運転手だった主人公の父親と、かつてはベトナムでファントム戦闘機に乗っていたが今は重い肺癌で入院している四十五歳の米人宣教師が、とりわけよく描けていた。百回記念の芥川賞にふさわしい出色の作品だと思う。(三浦哲郎「芥川賞選評」より)
南木氏はこれまで、医師の立場から死んでゆく末期癌の患者の日常を緻密に描くことで人間の生と死の意味を問いつづけてきたが、今回の「ダイヤモンドダスト」では、医師をベテラン看護士に変えて視野をひろげ、変貌する別荘地の病院を中心にそこの自然と住人たちの生活を、リズミカルでしっとりと落ち着いた文章で厚み豊かに描き出すことに成功している。登場人物のうちでも、以前は火山の裾をめぐる軽便鉄道の運転手だった主人公の父親と、かつてはベトナムでファントム戦闘機に乗っていたが今は重い肺癌で入院している四十五歳の米人宣教師が、とりわけよく描けていた。百回記念の芥川賞にふさわしい出色の作品だと思う。(三浦哲郎「芥川賞選評」より)
- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1992/2/8
- ISBN-104167545012
- ISBN-13978-4167545017
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1992/2/8)
- 発売日 : 1992/2/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 238ページ
- ISBN-10 : 4167545012
- ISBN-13 : 978-4167545017
- Amazon 売れ筋ランキング: - 158,941位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2018年9月16日に日本でレビュー済み
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阿弥陀堂だよりを読んでから本作を読みました。
読後は本作と阿弥陀堂だよりが混濁してしまい、思い出したときにどちらがどうだったかわからなくなりました。
2冊に出てくる人々が同じ村に住んでるみたいな気分になりました。
読後は本作と阿弥陀堂だよりが混濁してしまい、思い出したときにどちらがどうだったかわからなくなりました。
2冊に出てくる人々が同じ村に住んでるみたいな気分になりました。
2016年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
死に臨む者もそれを看取りつつある者も死それ自体を直視しようとはしない。
病床で、カンボジア難民医療活動のもよう、青春時代の想い出、ベトナム戦争の武勇伝が語られる。
漆黒の死から目を逸らすように、両者は、過去の行跡をきかせ、相手もその話にのめりこむ。
「冬への順応」「ダイヤモンドダスト」は、死の直視を拒否しつつも、避け得ぬ死を静謐に描き出している。
いわば、凝視せずとも、会話による慰めを貫き、死の輪郭を刻む。
とりわけ後者は、マイクと松吉の淡く美しい交流、詩的な締めくくりなどを含め、なかなかの佳品と思う。
※ 写真・自己紹介は無視して下さい
病床で、カンボジア難民医療活動のもよう、青春時代の想い出、ベトナム戦争の武勇伝が語られる。
漆黒の死から目を逸らすように、両者は、過去の行跡をきかせ、相手もその話にのめりこむ。
「冬への順応」「ダイヤモンドダスト」は、死の直視を拒否しつつも、避け得ぬ死を静謐に描き出している。
いわば、凝視せずとも、会話による慰めを貫き、死の輪郭を刻む。
とりわけ後者は、マイクと松吉の淡く美しい交流、詩的な締めくくりなどを含め、なかなかの佳品と思う。
※ 写真・自己紹介は無視して下さい
2015年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「医学生」を読んで、その流れで注文した。
第100回芥川賞受賞作の「ダイヤモンドダスト」が
収監されてる短編集である。
1988年受賞といえば、今が2015年で27年前である
時代背景といえば
世の中バブル絶頂期で景気も株も土地も上がり
続けると誰もが勘違いしてた時代で、
地方に住み、地に足をついて、地味に地道に
生きた医師が書いた、普通の人たちの普通の
日常を描いた小説であるが、たいへん読み応えがあった
著者の他の作品も今後読みすすめたいと
おもいます。
第100回芥川賞受賞作の「ダイヤモンドダスト」が
収監されてる短編集である。
1988年受賞といえば、今が2015年で27年前である
時代背景といえば
世の中バブル絶頂期で景気も株も土地も上がり
続けると誰もが勘違いしてた時代で、
地方に住み、地に足をついて、地味に地道に
生きた医師が書いた、普通の人たちの普通の
日常を描いた小説であるが、たいへん読み応えがあった
著者の他の作品も今後読みすすめたいと
おもいます。
2012年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この間読んだ、「医学生」に啓発されてアマゾンで買って妻に送ってもらった。ちょうど今は、Ahmed Rashidの「Pakistan on the Brink」を読んでいる時だったが、日本からこの本が届いたので中休みで読んだのである。
ダイヤモンドダストで芥川賞を取ったのだそうだ。物語は、妻に先立たれた看護士の和夫とその息子の正史と父親の松吉の家族と、幼なじみの悦子、そして病院長の香坂、患者の宣教師マイク・チャンドラーなどが織りなす普通の人達の話である。
巻末に、加賀乙彦氏と南木佳士さんの対談があったが、加賀氏に主人公を医者ではなく看護士にした理由を聞かれて、「医者が主人公だとどうしても患者を上から見るような感じになるので、できるだけ視点を下げたかった」というようなことを言っていた。全体に外連味(けれんみ)のない淡々とした話で、好感が持てた。特に、元ジェット戦闘機乗りでヴェトナム戦争を戦ったマイク・チャンドラーと松吉の電車の話がよかった。マイク・チャンドラーが松吉に、「人の作る機械は、その速度が速くなればなるほど大きな罪を造るようです。乗るなら罪の少ない乗り物に越したことはないのです。」という行(くだり)は、なかなかいい台詞である。
この作品の他に、「冬への順応」、「長い影」、「ワカサギを釣る」があったが、いずれもカオイダンを背景にしており、あの難民キャンプでの経験が作者に大きく影響していることが感じ取られるのだった。いずれも良い作品だった。
改めて、こういうことを書く作家であれば、もっと読んでみたいと思った。それこそ友人が言っていたが、作家で幸せな人はつまらない、(要するに人生の苦労をしていない作家、という意味で友人は言ったのだが)、が当てはまるような、人の心の痛みや心情を分かってくれる書きぶりに好感を持ったものである。
ダイヤモンドダストで芥川賞を取ったのだそうだ。物語は、妻に先立たれた看護士の和夫とその息子の正史と父親の松吉の家族と、幼なじみの悦子、そして病院長の香坂、患者の宣教師マイク・チャンドラーなどが織りなす普通の人達の話である。
巻末に、加賀乙彦氏と南木佳士さんの対談があったが、加賀氏に主人公を医者ではなく看護士にした理由を聞かれて、「医者が主人公だとどうしても患者を上から見るような感じになるので、できるだけ視点を下げたかった」というようなことを言っていた。全体に外連味(けれんみ)のない淡々とした話で、好感が持てた。特に、元ジェット戦闘機乗りでヴェトナム戦争を戦ったマイク・チャンドラーと松吉の電車の話がよかった。マイク・チャンドラーが松吉に、「人の作る機械は、その速度が速くなればなるほど大きな罪を造るようです。乗るなら罪の少ない乗り物に越したことはないのです。」という行(くだり)は、なかなかいい台詞である。
この作品の他に、「冬への順応」、「長い影」、「ワカサギを釣る」があったが、いずれもカオイダンを背景にしており、あの難民キャンプでの経験が作者に大きく影響していることが感じ取られるのだった。いずれも良い作品だった。
改めて、こういうことを書く作家であれば、もっと読んでみたいと思った。それこそ友人が言っていたが、作家で幸せな人はつまらない、(要するに人生の苦労をしていない作家、という意味で友人は言ったのだが)、が当てはまるような、人の心の痛みや心情を分かってくれる書きぶりに好感を持ったものである。
2018年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容:主人公は看護士の男。ボケ始めた父との生活や、そんな父に代わり、生活を支えてくれる同級生の女との交流、病院の入院患者の死等、人々とその生活がリアルに描かれる。
感想:読んだときの自分の心の状態や、年齢によってこの本の感想は大きく変わるんだろうな、と思える一冊でした。多分大学生の時に読んだら、そんに楽しめないかも笑。でも今は、何となく穏やかに読める本でした。
感想:読んだときの自分の心の状態や、年齢によってこの本の感想は大きく変わるんだろうな、と思える一冊でした。多分大学生の時に読んだら、そんに楽しめないかも笑。でも今は、何となく穏やかに読める本でした。
2011年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドラマチックでは全然ないが、実在感が当然あって(著者の体験がもとになっている)面白く読めた。
2016年1月14日に日本でレビュー済み
若い時はともかく、年齢を重ねた人間にとって、「死」は最も切実なテーマの一つと言えるでしょう。その死について、あうだこうだと小難しい考察を連ねる下手な哲学書よりも、『ダイヤモンドダスト』(南木佳士著、文春文庫)を読むほうがよっぽどましだと感じました。
地方の小さな町立病院の看護士になって10年の和夫が、この小説の主人公です。和夫はさまざまな死に遭遇します。和夫が小学4年生の時の母の病死。悪性腫瘍の肺転移による、24歳という若過ぎる妻の死。入院患者で肺がんがあちこちの臓器に転移した45歳のアメリカ人宣教師の死。そして、惚けた父の死。これらの死が静謐に淡々と描かれていきます。人は死ぬ時はあっけないほど簡単に死んでしまうことを思い知らされます。
登場する人物は、死者も生者も、いわゆる普通の人たちですが、死者たちはじたばたとあがくことなく、従容と死に向き合っています。
例えば、妻・俊子の場合は、このようです。「(短大1年の時に)左腕の腫瘍を手術してから、私は自分が死ぬ日のことを考えながら生きてきた、と病床で俊子は言った。明日や、今日の午後の存在すら頼りにできない生活は、今を大事にするしかないので、一所懸命だった。隠すつもりはなかったけれど、明日を信じる人たちにとっては聞きたくないはずの暗い話題をあえて口にすることができなかった。医者からはっきり予後を告げられたことはなかったけれど、だめになっていく体のリズムの変調は自分が一番よく分かった。結婚して、子供を産んで、勝手だし変な話だけれど、動物の、哺乳類の雌として果すべき役割りができたことに不思議な安心感がある。こんな生活を提供してくれたことに心から感謝したい。最後の数年間を、東京のビルに圧迫された土地ではなく、この深い森に囲まれた家の一員としてすごせたことは、死を安らかなものと思い込むのにとても役に立った。勝手を許してくれてありがとう。病床で俊子は多くのことを語ったが、要約すると以上のようになる。・・・自分が死ぬ時期を知ってるってことは、もしかしたら幸福なことなのかも知れないって、最初は無理に思い込んでたんだけど、今ではほんとうにそういう気がするの。先に行ってます。待ってたら悪いから、とにかく先に行ってますね」。
宣教師、マイク・チャンドラーの場合は、こう描かれています。「『どうしました』。(ナースコールで呼ばれた)和夫は窓とマイクの間に割り込んだ。『ああ、あなたでよかった』。マイクは蒼白な顔に、口の周囲だけシワを寄せた。話をすると、肉の落ちた目の縁を眼鏡がすべり落ち、一瞬、完璧な老人の顔になった。『星を見ていたら、たまらなく誰かと話がしたくなったのです。ご迷惑ではありませんか』。マイクは眼鏡を右手で押さえながら、頭を下げた。・・・マイクは落ちてくる眼鏡をいく度も右手で押し上げていたが、やがて高い鼻の先端にとどめたままにし、顔をのけ反らせて夜空を仰いだ。『誰かこの星たちの位置をアレンジした人がいる。私はそのとき確信したのです。(ヴェトナム戦争で対空砲火を受けて)海に落ちてから、私の心はとても平和でした。その人の胸に抱かれて、星たちとおなじ規則でアレンジされている自分を見出して、心の底から安心したのです。今、星を見ていて、あのときのやすらかな気持を想い出したかったのです。誰かに話すことで想い出したかったのです』。話し終えると、静脈の浮くマイクの細い首から、タンのからむ嫌な音が聞こえ始めた」。
この小説のおかげで、これまでよりも死に親しみが感じられるようになりました。そして、南木佳士は、私の好きな現役小説家の一人となりました。
地方の小さな町立病院の看護士になって10年の和夫が、この小説の主人公です。和夫はさまざまな死に遭遇します。和夫が小学4年生の時の母の病死。悪性腫瘍の肺転移による、24歳という若過ぎる妻の死。入院患者で肺がんがあちこちの臓器に転移した45歳のアメリカ人宣教師の死。そして、惚けた父の死。これらの死が静謐に淡々と描かれていきます。人は死ぬ時はあっけないほど簡単に死んでしまうことを思い知らされます。
登場する人物は、死者も生者も、いわゆる普通の人たちですが、死者たちはじたばたとあがくことなく、従容と死に向き合っています。
例えば、妻・俊子の場合は、このようです。「(短大1年の時に)左腕の腫瘍を手術してから、私は自分が死ぬ日のことを考えながら生きてきた、と病床で俊子は言った。明日や、今日の午後の存在すら頼りにできない生活は、今を大事にするしかないので、一所懸命だった。隠すつもりはなかったけれど、明日を信じる人たちにとっては聞きたくないはずの暗い話題をあえて口にすることができなかった。医者からはっきり予後を告げられたことはなかったけれど、だめになっていく体のリズムの変調は自分が一番よく分かった。結婚して、子供を産んで、勝手だし変な話だけれど、動物の、哺乳類の雌として果すべき役割りができたことに不思議な安心感がある。こんな生活を提供してくれたことに心から感謝したい。最後の数年間を、東京のビルに圧迫された土地ではなく、この深い森に囲まれた家の一員としてすごせたことは、死を安らかなものと思い込むのにとても役に立った。勝手を許してくれてありがとう。病床で俊子は多くのことを語ったが、要約すると以上のようになる。・・・自分が死ぬ時期を知ってるってことは、もしかしたら幸福なことなのかも知れないって、最初は無理に思い込んでたんだけど、今ではほんとうにそういう気がするの。先に行ってます。待ってたら悪いから、とにかく先に行ってますね」。
宣教師、マイク・チャンドラーの場合は、こう描かれています。「『どうしました』。(ナースコールで呼ばれた)和夫は窓とマイクの間に割り込んだ。『ああ、あなたでよかった』。マイクは蒼白な顔に、口の周囲だけシワを寄せた。話をすると、肉の落ちた目の縁を眼鏡がすべり落ち、一瞬、完璧な老人の顔になった。『星を見ていたら、たまらなく誰かと話がしたくなったのです。ご迷惑ではありませんか』。マイクは眼鏡を右手で押さえながら、頭を下げた。・・・マイクは落ちてくる眼鏡をいく度も右手で押し上げていたが、やがて高い鼻の先端にとどめたままにし、顔をのけ反らせて夜空を仰いだ。『誰かこの星たちの位置をアレンジした人がいる。私はそのとき確信したのです。(ヴェトナム戦争で対空砲火を受けて)海に落ちてから、私の心はとても平和でした。その人の胸に抱かれて、星たちとおなじ規則でアレンジされている自分を見出して、心の底から安心したのです。今、星を見ていて、あのときのやすらかな気持を想い出したかったのです。誰かに話すことで想い出したかったのです』。話し終えると、静脈の浮くマイクの細い首から、タンのからむ嫌な音が聞こえ始めた」。
この小説のおかげで、これまでよりも死に親しみが感じられるようになりました。そして、南木佳士は、私の好きな現役小説家の一人となりました。