60年代をご存知の方は、ある種の感慨を持って読めるのではないかと思います。
「ナベプロ」の全盛期も遠い記憶になりつつありますが、この本は、渡辺晋さんと美佐さんの出会いから晋さんがお亡くなりになるまでの栄枯盛衰のドラマを思い出させてくれるます。
かねがね、アメリカ進駐軍のキャンプで経験を積んでスターになった歌手やバンドマンが多くいたことの理由を探していましたが、腑に落ちました。
戦後、ジャズが演奏できれば桁外れの収入を得ることができたのでした。それを目当てに、次々と俄かジャズメンが誕生します。渡辺晋さんもそのお一人でした。
ジャズバンドのベーシストとして有名な方でしたが、きっかけは、食ってゆくためでした。
美佐さんは、徳川将軍御典医に連なる名家のご出身でしたが、戦後の混乱期、お母さんが英語が達者だったので、ジャズメンと進駐軍の通訳から斡旋業に転進し、長女の美佐さんがそれを手伝っていたことがお二人の出会いの端緒になりました。
この辺りは、日活映画の一場面を彷彿させます。
二人は結婚し「渡辺プロダクション」を誕生させます。
ロカビリーブームを巻き起こしたお二人は、TVの時代を逸早く予見し、それは見事に当たりナベプロは巨大帝国と言われるまでになります。
力を背景に、原版制作、TV番組企画、映画製作など次々とニュービジネスを起こします。
それは、グループサウンズの頃まで続きますが、やがて全共闘の時代を迎えた頃、肝心のタレント達の人気が翳ります。
TV局側も、ナベプロの独占状態に反旗を翻す動きも出てきます。
この時にきちんとした会社組織を作り上げておけば後の衰退を招くことはなかったのではないか、と思うのですが、それから以降は、成功体験こそが自らを傷つけてゆく典型のように見えます。
永遠のように見えた巨大帝国はゆっくりと崩壊に向かいます。
最初の数ページを読むと、そのまま最後まで読み通してしまいました。
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ナベプロ帝国の興亡 (文春文庫 く 14-1) 文庫 – 1995/5/1
軍司 貞則
(著)
- 本の長さ402ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1995/5/1
- ISBN-104167571013
- ISBN-13978-4167571016
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1995/5/1)
- 発売日 : 1995/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 402ページ
- ISBN-10 : 4167571013
- ISBN-13 : 978-4167571016
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年5月4日に日本でレビュー済み
『芸能事務所』というシステムを作った渡辺プロダクション創始者、渡辺晋。
この一代記は以前テレビドラマでも描かれたが、進駐軍時代の悲惨な状況や政財界へのコネクション確立、興行師とのコネクション等、ドラマでは決して描かれない生々しいえげつなさが本書にはある。
1960年代の黄金期から70年代のフォークソングブーム以降、渡辺晋社長の皮膚がんの戦い、マネージャーの退社・独立とともに凋落する。
あらゆる要素が崩壊へ進むその姿は、まるで独裁国家の成立と崩壊を見ているようだ。
惜しむらくは1991年の出版、なので90年代、中山ヒデやホンジャマカといったお笑いタレントによって持ち直したことが書かれてないことでしょうか(すでに80年代からお笑いタレントの育成はしておりました)。
それにしても、この本の内容が昨今のJ事務所の姿と重複するのは私だけであろうか。
担当マネージャーを巻き込んだ国民的アイドルの解散騒動、新人アイドルの不振、(それまで抑え込んでいた)スキャンダル記事の頻発。
本稿で書かれている、「時代の半歩先」を読めなくなった芸能事務所は元からそういう運命といえば、そこまでなんですが。
この一代記は以前テレビドラマでも描かれたが、進駐軍時代の悲惨な状況や政財界へのコネクション確立、興行師とのコネクション等、ドラマでは決して描かれない生々しいえげつなさが本書にはある。
1960年代の黄金期から70年代のフォークソングブーム以降、渡辺晋社長の皮膚がんの戦い、マネージャーの退社・独立とともに凋落する。
あらゆる要素が崩壊へ進むその姿は、まるで独裁国家の成立と崩壊を見ているようだ。
惜しむらくは1991年の出版、なので90年代、中山ヒデやホンジャマカといったお笑いタレントによって持ち直したことが書かれてないことでしょうか(すでに80年代からお笑いタレントの育成はしておりました)。
それにしても、この本の内容が昨今のJ事務所の姿と重複するのは私だけであろうか。
担当マネージャーを巻き込んだ国民的アイドルの解散騒動、新人アイドルの不振、(それまで抑え込んでいた)スキャンダル記事の頻発。
本稿で書かれている、「時代の半歩先」を読めなくなった芸能事務所は元からそういう運命といえば、そこまでなんですが。