マリー・ルイーゼやナポレオン2世がどのような生涯を送ったか、良くまとまっていると思いますし、ナポレオンにまつわる人物のその後は大変興味深く読みました。
しかし、そもそもサブタイトルがおかしいことからも分かるように、
・パルマ「公国」なら「女公」であって「女王」ではない
・オーストリアの「皇女」ではなく「大公女」
・皇帝への敬称は「閣下」ではなく「陛下」
など、称号や敬称がメチャクチャなので、頭で変換しながら読まねばならず疲れます。
タイトルだけなら、読者の興味を引くために、と分かりますが、本文がずっとこれなのでさすがにどうかと思います。
著者自身のエピソードも興味深くはありますが、伝記としては不要でしょう。
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ナポレオンの皇妃からパルマ公国女王へ マリー・ルイーゼ 上 (文春文庫 つ 9-5) 文庫 – 2009/12/4
塚本 哲也
(著)
- 本の長さ414ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2009/12/4
- ISBN-104167574055
- ISBN-13978-4167574055
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2009/12/4)
- 発売日 : 2009/12/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 414ページ
- ISBN-10 : 4167574055
- ISBN-13 : 978-4167574055
- Amazon 売れ筋ランキング: - 889,510位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,877位文春文庫
- - 111,391位ノンフィクション (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2011年4月22日に日本でレビュー済み
ヨーロッパ大陸がナポレオンという一代の英雄にして戦争屋により蹂躙され、かつてヨーロッパを支配していた王朝が右往左往していた頃、フランス・ブルボン王朝の王妃として断頭台の露と消えたマリー・アントワネットを大叔母に持つ皇女が、ハプスブルク家にいた。それがマリー・ルイーゼだ。
ナポレオン戦争によりウィーンを追われ、戦乱の中で困窮した少女時代を過ごした彼女は、17歳の時に、憎き皇帝ナポレオンの皇妃となることを、父であるオーストリア皇帝フランツと、その外相メッテルニヒによって要請される。
水回りに出没する黒い昆虫の様に、ナポレオンのことを嫌っていたマリー・ルイーゼだったが、フランスへの嫁入りの道中、ナポレオンによる彼女の寝所への奇襲攻撃を受け、パリで暮らすようになってからは、一転して、ナポレオンを熱愛し、彼がいなくては寂しくては暮らせないような状況になってしまう。
一方でナポレオンも、先妻のジョセフィーヌとは違い、高貴な生まれながら家庭的で、飛びぬけた美人ではないながらもやさしいマリー・ルイーゼを愛し、初めて家庭の安らぎを得るのだった。
しかし、本来の気質である戦争屋としての生き方は変えるべくもなく、彼女をパリにおいての戦争三昧の日々が続く。そして決定的な失敗であるロシア遠征、ライプツィヒの敗北によって、二人の間は引き裂かれるのであった。
そんなマリー・ルイーゼを主役にした本なのだが、特に前半は、ナポレオンとメッテルニヒが主役といった方が良いような歴史物語となっている。ナポレオンは軍事的に、メッテルニヒは外交的に対抗し合い、それがナポレオン側に傾けばマリー・ルイーゼが嫁に行き、メッテルニヒ側に傾けば二人が引き離されるという感じだ。
しかし、引き離された後のマリー・ルイーゼが悲嘆にくれてばかりかというと、そういうわけでもない。まだ当時22歳の若き女性なのだ。それに、深窓の令嬢として育てられたわけだから、急激な政治情勢に容易に順応できるわけでもない。
寂しさを紛らわすように、オーストリアから監視役として派遣されたナイペルク将軍の愛人になってみたり、ナポレオンからエルバ島に来ないかと誘われても色々と理由をつけて結局は行かなかったり、状況に流されるように生きている。
上巻はナポレオンがワーテルローで敗北し、セント・ヘレナ島に流されるところで終わる。一代限りの女王としてパルマ公国に赴くマリー・ルイーゼと、その息子の元ローマ王の運命がどうなるか。それは下巻で描かれるだろう。
ナポレオン戦争によりウィーンを追われ、戦乱の中で困窮した少女時代を過ごした彼女は、17歳の時に、憎き皇帝ナポレオンの皇妃となることを、父であるオーストリア皇帝フランツと、その外相メッテルニヒによって要請される。
水回りに出没する黒い昆虫の様に、ナポレオンのことを嫌っていたマリー・ルイーゼだったが、フランスへの嫁入りの道中、ナポレオンによる彼女の寝所への奇襲攻撃を受け、パリで暮らすようになってからは、一転して、ナポレオンを熱愛し、彼がいなくては寂しくては暮らせないような状況になってしまう。
一方でナポレオンも、先妻のジョセフィーヌとは違い、高貴な生まれながら家庭的で、飛びぬけた美人ではないながらもやさしいマリー・ルイーゼを愛し、初めて家庭の安らぎを得るのだった。
しかし、本来の気質である戦争屋としての生き方は変えるべくもなく、彼女をパリにおいての戦争三昧の日々が続く。そして決定的な失敗であるロシア遠征、ライプツィヒの敗北によって、二人の間は引き裂かれるのであった。
そんなマリー・ルイーゼを主役にした本なのだが、特に前半は、ナポレオンとメッテルニヒが主役といった方が良いような歴史物語となっている。ナポレオンは軍事的に、メッテルニヒは外交的に対抗し合い、それがナポレオン側に傾けばマリー・ルイーゼが嫁に行き、メッテルニヒ側に傾けば二人が引き離されるという感じだ。
しかし、引き離された後のマリー・ルイーゼが悲嘆にくれてばかりかというと、そういうわけでもない。まだ当時22歳の若き女性なのだ。それに、深窓の令嬢として育てられたわけだから、急激な政治情勢に容易に順応できるわけでもない。
寂しさを紛らわすように、オーストリアから監視役として派遣されたナイペルク将軍の愛人になってみたり、ナポレオンからエルバ島に来ないかと誘われても色々と理由をつけて結局は行かなかったり、状況に流されるように生きている。
上巻はナポレオンがワーテルローで敗北し、セント・ヘレナ島に流されるところで終わる。一代限りの女王としてパルマ公国に赴くマリー・ルイーゼと、その息子の元ローマ王の運命がどうなるか。それは下巻で描かれるだろう。
2014年5月10日に日本でレビュー済み
ナポレオンとハプスブルグ家がこのような関係があったとは知らなかった。19世紀のこの時代を知るのに分かり易い1冊です。文体も非常に馴染み易く読み易い。同じ作家が書いている、皇女エリザベートなども読みたくなってきました。
2010年2月27日に日本でレビュー済み
ナポレオンの皇妃として、これまで日本であまり脚光を浴びることのなかったマリー・ルイーゼの伝記です。フランス革命の流れを受けて戦争によって新時代を切り開くナポレオンと、王政の秩序をもって平和の礎を築こうとするメッテルニヒの鮮やかな対比を縦糸に、心ならずもナポレオンに嫁ぐハプスブルグ家の皇女マリー・ルイーゼと、ナポレオン2世として生を受け豊かな才能を受けながら夭折してしまうリンヒシュタット候との母子の愛と惜別の物語を横糸に、激動の時代のヨーロッパを四季の移ろいになぞらえながら織りなす感動のノンフィクションです。まだ、お読みでない方へ! 絶対に損はしないと約束できます。オペラファンの方へは、ヴェルディのエピソードも泣かせます! 読みながら心ふるえる珠玉の1冊(本当は上下2冊)でした。