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ファイアボール・ブルース (文春文庫 き 19-1) 文庫 – 1998/5/8
桐野 夏生
(著)
リングの女王・火渡抄子と付き人の近田は、外人選手の失踪事件に巻き込まれる。女子プロレス界に渦巻く陰謀を描く長篇ミステリー
- 本の長さ301ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1998/5/8
- ISBN-104167602016
- ISBN-13978-4167602017
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1998/5/8)
- 発売日 : 1998/5/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 301ページ
- ISBN-10 : 4167602016
- ISBN-13 : 978-4167602017
- Amazon 売れ筋ランキング: - 407,076位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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桐野 夏生(きりの・なつお)
1951年生まれ。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。98年『OUT』で日本推理作家協会賞(同作品は英訳され、日本人初のエ ドガー賞候補となる)、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で 婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 メタボラ(上) (ISBN-13: 978-4022645548 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プロレスや女子プロは大嫌いなのに、この小説にどんどん引き込まれました。主人公の近田が火渡の付き人的なことをしつつも、自分もリングで戦う。負けばかりが続くも、火渡への憧れと尊敬の念はずっと続く。女性であるが、火渡には男気があって、とても魅力的。試合には全集中し、試合の前後は哲学をしていると思えた。この独特な女性の独特な世界と、その中での魅力的な独特の女性がなんとも言えず、すばらしくて、心を持っていかれた。
2011年6月15日に日本でレビュー済み
直木賞作家、桐野夏生が描く女子プロ小説。
弱小女子プロ団体PWP。その看板を努める火渡は他団体からも一目置かれるほどの実力の持ち主だった。そんなある日、交流試合が組まれ、火渡は外国人レスラー・ジェーンと対戦することになる。ところが、試合当日ジェーンがリングから失踪。疑惑を抱いた火渡は数日後に発見された謎の外人女性の死体をジェーンだと直感し……。
小説はすべて火渡の付き人である近田の視線で描かれます。
この、近田は元OL。しかも、一勝もできないほど弱い。
ですので当然、火渡の凄さの描写はすさまじくなるわけです。
まるで神のように強い。
そして、敵対する人たちは悪魔のように悪い。
この視線が近田の心境とともに徐々に変わっていき、やがて火渡の人間性が見えてくるのがじつに上手いと思いました。
謎としてはそれほど深いものでもなく、また真相や解決の仕方もかなりマンガ的ですが、この人物たちが出ているということで面白い小説になっています。
神々しいまでの火渡は、読んでいるだけでもファンになっていきそうなほどです。
誰にでもお薦めするという小説ではありませんが、僕は大好きです。
※ほか、ちょっと。
・火渡のモデルは神取忍だそうです。なるほど、という気がします。
・女子プロの実情ってこうなのかぁ、と、そういう点でも面白く読めました。
弱小女子プロ団体PWP。その看板を努める火渡は他団体からも一目置かれるほどの実力の持ち主だった。そんなある日、交流試合が組まれ、火渡は外国人レスラー・ジェーンと対戦することになる。ところが、試合当日ジェーンがリングから失踪。疑惑を抱いた火渡は数日後に発見された謎の外人女性の死体をジェーンだと直感し……。
小説はすべて火渡の付き人である近田の視線で描かれます。
この、近田は元OL。しかも、一勝もできないほど弱い。
ですので当然、火渡の凄さの描写はすさまじくなるわけです。
まるで神のように強い。
そして、敵対する人たちは悪魔のように悪い。
この視線が近田の心境とともに徐々に変わっていき、やがて火渡の人間性が見えてくるのがじつに上手いと思いました。
謎としてはそれほど深いものでもなく、また真相や解決の仕方もかなりマンガ的ですが、この人物たちが出ているということで面白い小説になっています。
神々しいまでの火渡は、読んでいるだけでもファンになっていきそうなほどです。
誰にでもお薦めするという小説ではありませんが、僕は大好きです。
※ほか、ちょっと。
・火渡のモデルは神取忍だそうです。なるほど、という気がします。
・女子プロの実情ってこうなのかぁ、と、そういう点でも面白く読めました。
2011年11月20日に日本でレビュー済み
愉しい。
桐野夏生といえば、年々よりシリアスな、より深い小説を書いて評価も高いし、
それはそれでもちろんいいことだが、
20年近く前に書かれたこの小説はまたえらく気楽に読める。
やはりストーリテラーとしての才能は半端ではない。
痛快時代劇、という言い方があるが、そんな言い方がぴったりの痛快さ。
だが、「痛快」の後にジャンルとしてはどういう言葉を当てはめたらいいのか。
広く言えば、何しろこの作家だからミステリーなのだろうが、異色なのである。
舞台は女子プロレス界、
ファイアーボールと呼ばれる熱く強いレスラー火渡抄子が主人公で、
その付き人の、こちらはどこかの競馬の馬のように負けてばかりの近田というのが語り手である。
外国人レスラーの失踪事件が中心にあってミステリーには違いないとはいえ、
当然ながらファイトの描写もあり、それがまた(女子プロレスに関心がなくても)魅力でもあるし、
さらにはいじめやら経営やらといった業界の話題もある。
それぞれの話が頂点に達する結末部は、それらが相互に絡み合うさまが見事である。
火渡の強烈な個性に魅力を感じる読者は多いだろう。
特に女性に受けるだろうという気がする。
かっこいいのである。
だが、その火渡の魅力を引き出しているのは、
実は茫洋として愛すべき語り手、近田であって、これも非常にいい。
珍しいことに作者の後書きが付いていて、
「荒ぶる魂」という言い方で、闘う女への思い入れが記されている。
思えば桐野夏生の小説は、いずれも「闘う」女たちの生き様を描いたものだった。
桐野夏生といえば、年々よりシリアスな、より深い小説を書いて評価も高いし、
それはそれでもちろんいいことだが、
20年近く前に書かれたこの小説はまたえらく気楽に読める。
やはりストーリテラーとしての才能は半端ではない。
痛快時代劇、という言い方があるが、そんな言い方がぴったりの痛快さ。
だが、「痛快」の後にジャンルとしてはどういう言葉を当てはめたらいいのか。
広く言えば、何しろこの作家だからミステリーなのだろうが、異色なのである。
舞台は女子プロレス界、
ファイアーボールと呼ばれる熱く強いレスラー火渡抄子が主人公で、
その付き人の、こちらはどこかの競馬の馬のように負けてばかりの近田というのが語り手である。
外国人レスラーの失踪事件が中心にあってミステリーには違いないとはいえ、
当然ながらファイトの描写もあり、それがまた(女子プロレスに関心がなくても)魅力でもあるし、
さらにはいじめやら経営やらといった業界の話題もある。
それぞれの話が頂点に達する結末部は、それらが相互に絡み合うさまが見事である。
火渡の強烈な個性に魅力を感じる読者は多いだろう。
特に女性に受けるだろうという気がする。
かっこいいのである。
だが、その火渡の魅力を引き出しているのは、
実は茫洋として愛すべき語り手、近田であって、これも非常にいい。
珍しいことに作者の後書きが付いていて、
「荒ぶる魂」という言い方で、闘う女への思い入れが記されている。
思えば桐野夏生の小説は、いずれも「闘う」女たちの生き様を描いたものだった。
2009年8月18日に日本でレビュー済み
正直色ものと思っていたのでなかなか読みませんでしたが、
案外いい。何となく、出てくる女の人たちが寂しげに凛としてて、
気分がいいし、語り部「近田」は運命に翻弄されていく様が
初期のミロのようで魅力的である。
何しろ、近田が「自分は」というところが気分である。
こういうの男が書いたら実に嘘くさいのだが、
合宿所の臭そーな感じとか、その辺が桐野さんの真骨頂であり、
電車の隣の席でみるみる厚化粧が出来上がっていくときのような
女の薄気味悪さと、その女の鏡に映っているであろう、
男の薄気味悪さみたいのが、松原だのシンギョウジだの浦和ケンジだのに
におっていて
う〜ん、きりのだなぁ、っという感じに十分楽しめた。
ミステリーとしては、何ともシンプルで,
gakkushi、なんでぇ、そんなもんかだけど、最後の火渡はかっこいいです、ほんと
案外いい。何となく、出てくる女の人たちが寂しげに凛としてて、
気分がいいし、語り部「近田」は運命に翻弄されていく様が
初期のミロのようで魅力的である。
何しろ、近田が「自分は」というところが気分である。
こういうの男が書いたら実に嘘くさいのだが、
合宿所の臭そーな感じとか、その辺が桐野さんの真骨頂であり、
電車の隣の席でみるみる厚化粧が出来上がっていくときのような
女の薄気味悪さと、その女の鏡に映っているであろう、
男の薄気味悪さみたいのが、松原だのシンギョウジだの浦和ケンジだのに
におっていて
う〜ん、きりのだなぁ、っという感じに十分楽しめた。
ミステリーとしては、何ともシンプルで,
gakkushi、なんでぇ、そんなもんかだけど、最後の火渡はかっこいいです、ほんと
2008年5月9日に日本でレビュー済み
殺人事件の種明かしよりも、火渡と近田の人間性に惹かれて読み進められた感じ。「強く、芯がある」火渡と、「迷い、もがき、強い者に憧れる」近田。この人の本は初めて読んだのだが、人間描写が上手なんですね。
それから、普段なじみのない「女子プロレス」という設定だけですでに興味がわく。なじみがないだけに、(失礼な言い方をすると)「得体の知れない」存在だった女子プロレスラーだけど、普通の人と同じようにそれぞれにキャラがあり、悩みや希望があり、学校や会社と同じように人間関係も入り組んで…という当たり前のことを、魅力的な登場人物を通じて知ることができて良かった。
それから、普段なじみのない「女子プロレス」という設定だけですでに興味がわく。なじみがないだけに、(失礼な言い方をすると)「得体の知れない」存在だった女子プロレスラーだけど、普通の人と同じようにそれぞれにキャラがあり、悩みや希望があり、学校や会社と同じように人間関係も入り組んで…という当たり前のことを、魅力的な登場人物を通じて知ることができて良かった。
2005年10月1日に日本でレビュー済み
火渡のモデルは神取忍。それはいいとして、「人(女)は何故、女子プロをやるのか?」。その答えを実は多くの女性は知っているはずだ。そんで答えを活写したのが本書である。「女」のビルディングス・ロマンを描けるステージは非常に少ない。もちろんナースとか女弁護士とか保母あるけども、「女世界」でそれを描出できる場というのは、女子プロ位じゃないだろうか?「男」との権力関係を一旦脇におき、女世界で闘技する空間というのが、成長譚のうえで不可欠だというのは、「やおい」の裏返しともいえる。ともあれこれも著者の女性解放譚の一つのパターンなのだ。
2004年10月20日に日本でレビュー済み
桐野夏生があとがきに書いているぐらいだから、この物語は「火渡」が主役なんだろうけど、小生の目から見ればこれは紛れも無く語り手「近田」の成長譚だ。彼女の悩みや謎、不安や挑戦が主軸となってドラマが進行して、ラストの試合相手が全編通しての憎まれ役となればそう見る方が順当だろう。テンポのいい筋の運びとキャラクターの魅力で一気に読ませては行くが、事件は実にあっけなく解決してミステリーとも言い難い。この作品に殺人事件は不要だったのではあるまいか。