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玉蘭 (文春文庫) 文庫 – 2005/6/10
桐野 夏生
(著)
東京の生活に疲れ、上海に留学したが、行き詰まりを感じる有子。そこに大伯父の幽霊が現れる……。2つの世界が交錯する異色小説
- 本の長さ388ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2005/6/10
- ISBN-104167602083
- ISBN-13978-4167602086
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2005/6/10)
- 発売日 : 2005/6/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 388ページ
- ISBN-10 : 4167602083
- ISBN-13 : 978-4167602086
- Amazon 売れ筋ランキング: - 979,109位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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桐野 夏生(きりの・なつお)
1951年生まれ。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。98年『OUT』で日本推理作家協会賞(同作品は英訳され、日本人初のエ ドガー賞候補となる)、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で 婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 メタボラ(上) (ISBN-13: 978-4022645548 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
桐野夏生さんの作品はほとんど読んでますが、面白かった。上海の描写など登場人物の息遣いがきこえてくるかのよう…有子の行きにくさと変容、質が最後行きつくところ、篠田節子さんの後書きも興味深く読みました。桐野作品の中では異色な感じですが、心の深くにふれる、何度も読み返したくなる作品です。
2011年7月4日に日本でレビュー済み
二つの時代の上海が、時空を超えて描かれています。
質と浪子の物語が、切なく響いてきます。時代に翻弄されていく二人ですが
あの時代に生きて幸せだったのかも知れません。
有子・松村の二人、萱嶋を始めとする留学生達は、現代を生き抜いていかなくてはなりません。
ですから、何かに追われて、人生を探しあぐね、自分を見失い 本当の自分でない人生を送っているのかも
知れません。。
何でも出来るように思える現代は、何にも出来ない自分と向き合って生きていて 何にも出来ない自分を
思い知ってしまうのでしょうか?
桐野さんは、痛い所を突いてきます・・・・
質と浪子の物語が、切なく響いてきます。時代に翻弄されていく二人ですが
あの時代に生きて幸せだったのかも知れません。
有子・松村の二人、萱嶋を始めとする留学生達は、現代を生き抜いていかなくてはなりません。
ですから、何かに追われて、人生を探しあぐね、自分を見失い 本当の自分でない人生を送っているのかも
知れません。。
何でも出来るように思える現代は、何にも出来ない自分と向き合って生きていて 何にも出来ない自分を
思い知ってしまうのでしょうか?
桐野さんは、痛い所を突いてきます・・・・
2011年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
僕はこの小説には、今一つ感動できなかった。
ヒロインの有子の壊れ方について行けなかったからだ。
有子は、3年間付き合った医者と、浮気現場を見てしまったために
別れを決意する。
そして、会社も辞め、上海へ中国語を勉強しに行くのだが、
上海まで、医者が迎えに来てくれることを期待している。
だが、中国の大学の学生寮の性的な雰囲気に巻き込まれ、好きでもない男と次々と寝るようになる。
その理由が好きではないから寝るということも理解できなかったが、そのセックスで、今までになかった絶頂を味わうというのも理解できなかった。
女性は、愛のないセックスで絶頂を味わうことができるのだろうか?!
僕は、愛がなければ、虚しいだけで、快感など得られない。
そして、1年以上経って、その医者が上海に迎えに来た時、有子は、その医者と寝に来たと言って、3万円を要求する。
今は、売春婦をしているのだから、お金を払ってほしいと言うのだ。
そこで、医者は、怒って帰るのかと思ったら、「いいだろう、10万円やるよ。あと、10万円で明日まで貸し切りにしてくれ」と言って、20万円支払う。
だが、翌朝目覚めると、有子は、何の痕跡も残さずに、いなくなっていた。
そして、財布には、20万円が返されていた。
有子のこの気持ちが僕にはどうしても理解できなかった。
そこまで、自分を壊す必要がどこにあるのだろうか?
有子は、これから、どうしていくつもりなのか?
もう、医者との将来は考えていないのだろう。
あの、3年目に医者と別れた時、もっと話し合うべきではなかったか?
そんなに簡単に大切な人と別れていいのか?
医者の裏切りが原因であっても、とても愛していたはずの医者と別れて
よかったのだろうか?
医者に未練を残さず、普通の生活を続け、新しい恋人を作るのなら分かるが、そこまで壊れる必要があるのか?
有子には自分の人生をもっと大切にしてほしかった。
僕にとっては、不本意な小説だった。
しかし、桐野作品は素晴らしい。
ヒロインの有子の壊れ方について行けなかったからだ。
有子は、3年間付き合った医者と、浮気現場を見てしまったために
別れを決意する。
そして、会社も辞め、上海へ中国語を勉強しに行くのだが、
上海まで、医者が迎えに来てくれることを期待している。
だが、中国の大学の学生寮の性的な雰囲気に巻き込まれ、好きでもない男と次々と寝るようになる。
その理由が好きではないから寝るということも理解できなかったが、そのセックスで、今までになかった絶頂を味わうというのも理解できなかった。
女性は、愛のないセックスで絶頂を味わうことができるのだろうか?!
僕は、愛がなければ、虚しいだけで、快感など得られない。
そして、1年以上経って、その医者が上海に迎えに来た時、有子は、その医者と寝に来たと言って、3万円を要求する。
今は、売春婦をしているのだから、お金を払ってほしいと言うのだ。
そこで、医者は、怒って帰るのかと思ったら、「いいだろう、10万円やるよ。あと、10万円で明日まで貸し切りにしてくれ」と言って、20万円支払う。
だが、翌朝目覚めると、有子は、何の痕跡も残さずに、いなくなっていた。
そして、財布には、20万円が返されていた。
有子のこの気持ちが僕にはどうしても理解できなかった。
そこまで、自分を壊す必要がどこにあるのだろうか?
有子は、これから、どうしていくつもりなのか?
もう、医者との将来は考えていないのだろう。
あの、3年目に医者と別れた時、もっと話し合うべきではなかったか?
そんなに簡単に大切な人と別れていいのか?
医者の裏切りが原因であっても、とても愛していたはずの医者と別れて
よかったのだろうか?
医者に未練を残さず、普通の生活を続け、新しい恋人を作るのなら分かるが、そこまで壊れる必要があるのか?
有子には自分の人生をもっと大切にしてほしかった。
僕にとっては、不本意な小説だった。
しかし、桐野作品は素晴らしい。
2021年12月21日に日本でレビュー済み
最終章まで、たどり着くまで、苦労するほど、物語に展開がない、退屈しながらの読書。
2020年5月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
妹にプレゼントしたのですが、「気持ち良いくらい 非常に良い状態ですよ』と喜んでくれました。どうも有難う。
2012年12月6日に日本でレビュー済み
この作品を読んでいて暗い闇に連れて行かれそうな心境になった。現在の恋愛を描いた有子の迷走している様子がとても痛々しいのだ。
元恋人の行生の身勝手さで有子は深く傷ついた。しかし、その後有子は全てにおいて這い上がってこれずに沈んだままなのだ。上海に求めた新たな世界にも自分の求めているものが見つけられず、「自分は壊れた」という。有子を見ているのが辛かった。作者のあとがきに「グロテスク」の和恵の姿に似ているとある。和恵は必死に生きたにもかかわらず「グロテスク」という強烈な題名がイメージに合っている人物である。行生を許せずに生きる有子は、普通の幸せでは救われそうにない。この世界で生きづらい純粋さを持っている。あとがきに和恵の名前が出てきたこもあり、有子の今後の破滅を想像してしまう。
質と浪子の恋愛では、双方の置かれている状況、欲望、不安、裏切り、愛しさなど、幸せという言葉ではなく、関係の始まりから男女のあらゆる感情によって描かれていた。見たくない部分もあるくらい現実的だと思った。過去と現在の恋愛が幽霊を通じて繋がる物語なのでそこを含めて読み取りたかったが、私には出来なかった。別々のものとして見てしまった。有子を痛々しいという印象で読みすすめてしまったのが原因かもしれない。もっと有子の中の感情を読み取ることで過去である質たちを含めた全体のストーリーが見えたかもしれない。
元恋人の行生の身勝手さで有子は深く傷ついた。しかし、その後有子は全てにおいて這い上がってこれずに沈んだままなのだ。上海に求めた新たな世界にも自分の求めているものが見つけられず、「自分は壊れた」という。有子を見ているのが辛かった。作者のあとがきに「グロテスク」の和恵の姿に似ているとある。和恵は必死に生きたにもかかわらず「グロテスク」という強烈な題名がイメージに合っている人物である。行生を許せずに生きる有子は、普通の幸せでは救われそうにない。この世界で生きづらい純粋さを持っている。あとがきに和恵の名前が出てきたこもあり、有子の今後の破滅を想像してしまう。
質と浪子の恋愛では、双方の置かれている状況、欲望、不安、裏切り、愛しさなど、幸せという言葉ではなく、関係の始まりから男女のあらゆる感情によって描かれていた。見たくない部分もあるくらい現実的だと思った。過去と現在の恋愛が幽霊を通じて繋がる物語なのでそこを含めて読み取りたかったが、私には出来なかった。別々のものとして見てしまった。有子を痛々しいという印象で読みすすめてしまったのが原因かもしれない。もっと有子の中の感情を読み取ることで過去である質たちを含めた全体のストーリーが見えたかもしれない。
2008年12月19日に日本でレビュー済み
面白くなかった。理由は三つ。主人公への感情移入が出来ない。桐野作品の主人公は皆心の中に毒を持った悪い人だが、どこか徹底しているために、読者の心の闇と共鳴しはじめ、いつのまにか感情移入して読者は読んでいるが、本篇の登場人物は、どこにでもいそうな人物ばかりで、退屈。従って、感情移入が出来ない。二つ目は、誰が主人公かはっきりしない。最終的には、著者の大叔父がモデルであった質とわかるが、記述の量、質とも少なく、影も薄い。三つ。女主人公が最後に売春婦になるのだが、どうしてそうなったのか、良く分からない。グロテスクとどうしても比較してしまうから、何故?と理由を知りたくなる。しかし、彼女は実は狂言回し役であって、主人公ではないから、そこまで書かなかったのだろうか。
戦前の中国の描写はとても上手いと思うが、いまひとつな感じ。
戦前の中国の描写はとても上手いと思うが、いまひとつな感じ。
2023年7月22日に日本でレビュー済み
幻想的で、昔の中国の雰囲気も味わえる物語です。
これまでこのようなストーリーの小説は苦手でしたが、読み返すたびにどっぷり玉蘭の世界にはまりました。何回読んでも飽きません。
読んでいる最中にそこに質や有子の霊がいるようで、今まで感じたことのない何とも不思議な気持ちにさせられます。
最初から最後まで好きですが、最後の章が特に大好きです。
これまでこのようなストーリーの小説は苦手でしたが、読み返すたびにどっぷり玉蘭の世界にはまりました。何回読んでも飽きません。
読んでいる最中にそこに質や有子の霊がいるようで、今まで感じたことのない何とも不思議な気持ちにさせられます。
最初から最後まで好きですが、最後の章が特に大好きです。