久しぶりに刺激的な本を読んだ。面白く、勉強になった。まず、「ゲーム理論」というものが、これほど現代科学の全領域に浸透しているものなのか、ということに驚いた。本書では、宇宙ビッグバンから始まり、素粒子、原子、分子、生命へと流れる世界に、競争や協調といった対立の原理があり、それが「万物の原理」=「ゲーム理論」だというのだ。それを数学的に把握しようとしたのが「ナッシュ均衡」だ。生命は『動的平衡』(福岡伸一著)だとか、様々に語られるのだが、ここに「ゲーム」が潜んでいる。「ミクロ」的には、原子や分子はそれぞれに「決断」し「選択」して行動している。それが「マクロ」的には、統計確率的には、ある種の秩序を形成する。17世紀のニュートンは物理世界にその秩序を見、18世紀はアダム・スミスが経済社会に秩序を見た。19世紀にはダーウィンが生物の世界に、そして20世紀にはゲーム理論が万物の秩序の法則を解き明かしている。「万物の法典」、ちょっと言い過ぎかも知れないが、僕はその様に本書を読んだ。僕はヘーゲル、マルクスの左翼史観に影響されたものだが、これらは、極論すれば「文学」だったということだろう。「対立物の統一」や「矛盾の止揚」といった概念は、「ナッシュ均衡」で数学的に理解される。というのが僕の今の見解だ。尚、本書の解説者も語っていることだが、「ゲーム理論」を初めて学ぶ人、僕もそうなのだが、第二章から読むことをお勧めする。
ここまで書いてきて、それでは「ゲーム理論」というものは「数学的」に如何なるものなのか?と問われてみると、てんで理解していない自分がいることに驚いてしまう。
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もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫 S 4-1) 文庫 – 2010/9/3
戦争も、生物の進化も、利益を追う人間の心も、「ゲーム理論」で読み解ける! エキサイティングな知の最先端を、数式ゼロで知る
- 本の長さ427ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2010/9/3
- ISBN-104167651718
- ISBN-13978-4167651718
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2010/9/3)
- 発売日 : 2010/9/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 427ページ
- ISBN-10 : 4167651718
- ISBN-13 : 978-4167651718
- Amazon 売れ筋ランキング: - 616,694位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2011年11月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
題名からして、「美しい数学」が「最も美しいゲーム理論」となっており、
売らんとする出版社の事情で、ここまで内容を誤解させていいのか?
出版社の良識を疑う。
かなり期待して読んだのだが、「ゲーム理論」とは関係が薄い箇所が多く困惑した。
二次大戦以降、戦略の決定に当たって多くの研究がなされているはずだが、
本書にはその内容がほとんど記されていない。
せめて、「ゲーム理論の発生(戦略の形成)」→「ゲーム理論の実際(囚人のジレンマ等)」
→「ゲーム理論の可能性」 というように、順を追っての説明がほしかったが、
「さてこれから」というところで、いつもはぐらかされた。
「がっかり」と言うよりも「えっ これで終わりか!」という箇所が多すぎる。
無駄としか思えぬ記述も多く、理論説明の本としての体裁すらなしていない。
難解な数学を駆使されたらお手上げだが、せめて「ゲーム理論のさわり」だけでも
論理的に記述してもらいたい。題名と内容の乖離がひどすぎて、人によっては
「騙された」と思う方も多々いるかと思う。
「囚人のジレンマ」でも各パラメーターを変更すれば全く異なった結論になるので、
その点をどう解決するかと思いきや…尻切れトンボ
また、実際の事例に当てはめるならば、ゲーム理論を政治に適用させた形で、
「民主主義的手続きの限界」くらいはあってもしかるべきと思う。とっくに選挙方法による
意思決定の民主的解決策はないことが証明されているのだから。
あまりにも内容が薄く、読むべきところもほとんど無い。
これでこの値段はまるで詐欺行為。
「もっとも美しい数学 ゲーム理論」なんぞという題名は、是非止めてほしい。
せっかく興味を持った読者を裏切ることになる。
売らんとする出版社の事情で、ここまで内容を誤解させていいのか?
出版社の良識を疑う。
かなり期待して読んだのだが、「ゲーム理論」とは関係が薄い箇所が多く困惑した。
二次大戦以降、戦略の決定に当たって多くの研究がなされているはずだが、
本書にはその内容がほとんど記されていない。
せめて、「ゲーム理論の発生(戦略の形成)」→「ゲーム理論の実際(囚人のジレンマ等)」
→「ゲーム理論の可能性」 というように、順を追っての説明がほしかったが、
「さてこれから」というところで、いつもはぐらかされた。
「がっかり」と言うよりも「えっ これで終わりか!」という箇所が多すぎる。
無駄としか思えぬ記述も多く、理論説明の本としての体裁すらなしていない。
難解な数学を駆使されたらお手上げだが、せめて「ゲーム理論のさわり」だけでも
論理的に記述してもらいたい。題名と内容の乖離がひどすぎて、人によっては
「騙された」と思う方も多々いるかと思う。
「囚人のジレンマ」でも各パラメーターを変更すれば全く異なった結論になるので、
その点をどう解決するかと思いきや…尻切れトンボ
また、実際の事例に当てはめるならば、ゲーム理論を政治に適用させた形で、
「民主主義的手続きの限界」くらいはあってもしかるべきと思う。とっくに選挙方法による
意思決定の民主的解決策はないことが証明されているのだから。
あまりにも内容が薄く、読むべきところもほとんど無い。
これでこの値段はまるで詐欺行為。
「もっとも美しい数学 ゲーム理論」なんぞという題名は、是非止めてほしい。
せっかく興味を持った読者を裏切ることになる。
2010年10月18日に日本でレビュー済み
全ての科学を統一し、全てを叙述することができる「万物の理論」は、アイザック・アシモフなどのSF小説だけに存在するのではない。
ゲーム理論は「万物の理論」となる可能性を秘めている。
経済学、社会学、物理学、生物学、心理学、脳科学、現在様々な分野でゲーム理論が援用されている、これはゲーム理論の持つ包容性が高く、一見矛盾するかのように見える事象も包括してしまうためである。
とはいえ現実の世界は複雑過ぎて、ゲーム理論でもまだまだ説明しきれないが、本書によるゲーム理論の進化をみると、いつか「万物の理論」を導きだすのではないか。という期待で興奮してしまう。
ゲーム理論は「万物の理論」となる可能性を秘めている。
経済学、社会学、物理学、生物学、心理学、脳科学、現在様々な分野でゲーム理論が援用されている、これはゲーム理論の持つ包容性が高く、一見矛盾するかのように見える事象も包括してしまうためである。
とはいえ現実の世界は複雑過ぎて、ゲーム理論でもまだまだ説明しきれないが、本書によるゲーム理論の進化をみると、いつか「万物の理論」を導きだすのではないか。という期待で興奮してしまう。
2010年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は、いいと思うが。文字の大きさが少し気になる。教科書的なものなら、横書きのほうがメモしやすではないか?
2010年10月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ナッシュの貢献の位置づけがわかった気がします。
本書では2章で、フォンノイマン。3章でナッシュ、そして4章
でメイナードスミスのことが書いてありました。
それぞれの、貢献の核心が明快に書かれています。
ノイマンが、おそらく、ハイゼンベルクからヒントを得て、
マトリックス形でゲームを表現したことが、すべての始まり
ですね。
ゲームの「手」、戦略、ゲームの利益、そしてゲームの均衡
など、ホモ・ゲーミクスの行動を分析する新しいパラダイムを
つくりました。
ナッシュは、このなかの、戦略をさまざまに、具体的に考察した
のだと思います。
均衡の証明にブラウアの定理を使ったことは、多分ノイマンが
さきに行ったことなので、一般均衡解の証明への貢献という
意味ではノイマンで十分ですね。
おそらく、ノイマンが発表したころは、経済学はまだ解析学の
時代なので、サミュエルソンですら、、ゲーム論を評価できな
かったのだと思います。
ノイマン以降の、理解のための過渡期があって、そして、ナッシュ
が理解されたのではないか、と思われます。
2章ではノイマンの不十分さが指摘されたましたが、パラダイム
を確立したのがノイマンで、さまざまな手と戦略を考察したのが
ナッシュということではないでしょうか。
ともあれ、よく書かれた本だと思いました。
本書では2章で、フォンノイマン。3章でナッシュ、そして4章
でメイナードスミスのことが書いてありました。
それぞれの、貢献の核心が明快に書かれています。
ノイマンが、おそらく、ハイゼンベルクからヒントを得て、
マトリックス形でゲームを表現したことが、すべての始まり
ですね。
ゲームの「手」、戦略、ゲームの利益、そしてゲームの均衡
など、ホモ・ゲーミクスの行動を分析する新しいパラダイムを
つくりました。
ナッシュは、このなかの、戦略をさまざまに、具体的に考察した
のだと思います。
均衡の証明にブラウアの定理を使ったことは、多分ノイマンが
さきに行ったことなので、一般均衡解の証明への貢献という
意味ではノイマンで十分ですね。
おそらく、ノイマンが発表したころは、経済学はまだ解析学の
時代なので、サミュエルソンですら、、ゲーム論を評価できな
かったのだと思います。
ノイマン以降の、理解のための過渡期があって、そして、ナッシュ
が理解されたのではないか、と思われます。
2章ではノイマンの不十分さが指摘されたましたが、パラダイム
を確立したのがノイマンで、さまざまな手と戦略を考察したのが
ナッシュということではないでしょうか。
ともあれ、よく書かれた本だと思いました。
2010年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原著の副題は「John Nash,Game Theory, and The Modern Quest for a Code of Nature」であって,内容もゲーム理論を述べたものではない.「Quest for a Code of Nature」の部分のウェイトが高い読み物である.繰り返すが、ゲーム理論の本とは呼べない。
そんで,実際の中身はというと,アダム・スミスの分析や主張が現在の一部の経済学者よりも上であることや色んな分野にゲーム理論が応用できることなどが書いてある(ゲーム理論の説明らしい説明なしに!).ゲーム理論とはほぼ無関係なこともたくさん書いてある.
書き方や内容は決して褒められるものではなく,最初から最後まで共通して段落ごとに話題が全く別のものになってしまっている.章ごとにバラバラなのではなく段落ごとにバラバラ.偉人伝の抜粋,研究の宣伝文句の受売り,入門書の例題,著者の個人的なことなどなど.ゲーム理論に興味がある人はもちろんのこと、一般教養を求めている人に対してもお薦めできない。
そんで,実際の中身はというと,アダム・スミスの分析や主張が現在の一部の経済学者よりも上であることや色んな分野にゲーム理論が応用できることなどが書いてある(ゲーム理論の説明らしい説明なしに!).ゲーム理論とはほぼ無関係なこともたくさん書いてある.
書き方や内容は決して褒められるものではなく,最初から最後まで共通して段落ごとに話題が全く別のものになってしまっている.章ごとにバラバラなのではなく段落ごとにバラバラ.偉人伝の抜粋,研究の宣伝文句の受売り,入門書の例題,著者の個人的なことなどなど.ゲーム理論に興味がある人はもちろんのこと、一般教養を求めている人に対してもお薦めできない。
2009年4月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の帯に「科学の先端を探検する、文科系もやさしいスリリングな「知」の一冊」とあるが、まさにこのブラーブに恥じない良質の教養書である。原著タイトルには“The Modern Quest for A Code of Nature”とあるから、「自然に潜む暗号の解読を求めて」という意味にも理解できる。本書はまさに暗号の読解に挑む人間の知の冒険史とも言える。本書を読了して、あらためて欧米の科学ジャーナリズムの力量に感服した。
2013年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
技術書のようにこういう問題がありこれをどう解く,見たいなのを想定していたため.
ただ概要の説明みたいなこの本は会いませんでした.
ただ概要の説明みたいなこの本は会いませんでした.