事件が起きてから「毒親」と決めつけるのは簡単ではありますが、事件前に、少年Ａの犯罪性を見抜き、最悪の事件を未然に防止するのは非常に困難だったかと思います。
実際、母親はこの少年Ａを、小児神経科や児童相談所で診察や指導を受けさせていますが、先生方にも見抜けなかったようです。
実際に犯罪を犯した非行少年を長年扱い、多くの経験知と世界的な研究成果で研鑽を積んだ医療少年院の専門家でないと、その子の歪んだ精神性を見抜き、適切な指導をすることは難しいかと思います。
普通の教育現場では、原則、性善説であり、何か非行やそれに類する事件があっても、すぐに犯罪者扱いして隔離することは不可能かと思います。
少年Ａが事件前に書いた作文にSOSが込められていたと草薙厚子さんが別の本で指摘していましたが、普通の教育現場では何か異様さは感じても、事件を防ぐために犯罪者（予備軍）として指導したり、ましてや隔離する、警察に引き渡すことは、非常に難しいかと思います。
少年Aは、万引き、喫煙や脅しなど非行を起こし、先生方は要注意生徒としてマークしていたようですが、そこまでしかできなかった。親は、どんなに非行を起こしても、希望を込めて子の将来を信じてしまっていたようです。
この母親も、その母から、父を早くに亡くし、３人の姉妹を育てるのに、かなり厳しく育てられた、と書いています。
内容までは不詳ですが、少年Ａにした厳しい躾け（体罰含め）と同じようなことをされて育ってきたので、少年Ａに体罰をしても、普通の日常だったかと思います。そして、言い放し気味な感じがしました。やったこと、言ったことを忘れてしまう。そういう女性を多く知っています。それは誤解を恐れずに言えば、女性の一つの特性かと思います（忙しい子育ての中で、まず目先の危険を取り除くことが急務、過去に拘っている余裕はない）。この方はその傾向が強い。
その体罰の相手が、たまたま、ダリに傾倒するような芸術家志向の、幼少から自分の世界を構築してのめりこんでしまうような子供だった。男の子3人、などなど、他にも特異点はありますが、そのような条件は他の家庭にもあり得ます。
様々な連鎖が、化学反応を起こし、このような悲劇を生んでしまったかと思います。
悪とか善を超えた、人間の業として。人間は何でもするようです。
今、ウクライナの戦場でも、世界のいろいろなところで、身近な密室でも。
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