「Truth Hits Everybody」ポリスに、こんなタイトルの曲がありました。真実は誰をも打ちのめす…ふと、それを思い出しました。
最初に断っておきますが、自分は小学生のときに広島の原爆資料館を見て「絶対、戦争なんかしちゃダメだ」と思った人間です。それから盲目的なナショナリズムにも反対です。
なぜ、そんなことをわざわざレビューを書くために明記するかというと、この本が扱っている内容を、右か、左かみたいな単純な好みで読んでほしくないから。
大筋として、筆者の論旨に賛同できる、というより、日本と日本人がこの先、生きていくには、この本の中で書かれていることは認めなくてはいけない、それが読後感ですね。
構造改革、金融再生、日米安保、自衛隊の海外派兵…たぶん、多くの人がヒステリーを起こすに違いないことを、なぜ必要か、そして、何がこれまで間違っていたか…を筆者は冷静に解き明かしています。そう、日本という国が、グローバリズムが席巻する国際社会の中で生きていくために何が必要か、現在陥っている苦境から脱出するために何をしなければならないか…がよくわかります。
よく言われる「これからの日本人には国際感覚が必要」みたいなコトバの裏には、それこそ、生きるか死ぬかがを賭けるぐらいの日本人としての覚悟が必要なんだよ、そして、気分だけ、小手先だけの改革じゃなくて、必要ならば、苦い薬を飲む覚悟が必要、ってことが伝わってきます。
同時に…日本人全体が、もっとしっかりものを考えなくてはいけないんだよね。結局、ひとりひとりの考えと行動が、政治家なり、国家なりを動かすんだから…
さまざまな雑誌等に掲載されたりしたものを一冊にまとめた本なので、ちょっと古いのが難点だけど、この本に書かれている論点は、これからの日本と日本人が避けて通ることはできない問題なので…☆は五つです。
ぜひともこの本を一読して、これからの日本と日本人のことを真剣に考えて欲しいと思います。
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日本の「敵」 (文春文庫) 文庫 – 2003/10/11
中西 輝政
(著)
中国、アメリカ、そして戦後民主主義に気をつけろ!
気鋭の政治学者が、衰退の危機を幾度も乗り越えた大英帝国を例に、日本に迫る内憂外患を分析、「失われた十年」からの再生を問う
気鋭の政治学者が、衰退の危機を幾度も乗り越えた大英帝国を例に、日本に迫る内憂外患を分析、「失われた十年」からの再生を問う
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2003/10/11
- ISBN-104167656825
- ISBN-13978-4167656829
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2003/10/11)
- 発売日 : 2003/10/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 304ページ
- ISBN-10 : 4167656825
- ISBN-13 : 978-4167656829
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,262,986位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,676位政治入門
- - 10,667位文春文庫
- - 53,344位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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昭和22年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。同大学大学院、英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。米国スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授、京都大学大学院教授などを経て、京都大学名誉教授(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『賢国への道―もう愚かではいられない (ISBN-10: 4884749847)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年8月21日に日本でレビュー済み
日本の敵は、鵺のように主張をころころ変えるお前(中西)だ。
2005年4月10日に日本でレビュー済み
第二次世界大戦後の日本がどうしてここまで発展したかというと軍事力を持つことを許さない憲法を連合軍によって強制され、世界大戦後に訪れた冷戦時代に、資本主義国の砦としてアメリカと同盟国的関係を保てたからです。日露戦争や第二次世界大戦時における日本軍の強靭な精神は世界を震撼させました。だからこそ戦後60年たった今でも中国や朝鮮は日本が再び軍事力を持つことに対して恐れを感じ、未だに教科書問題や従軍慰安婦問題に対して厳しい態度で接してきます。しかし国内では多くの人が全く戦争に対する意識がなく、軍事力を持つことを否定した憲法第9条を当たり前と考えています。武士道的な精神の支えは全くなく援助交際にうつつを抜かす日本人こそ日本の本当の敵なのではないかと感じました。
冷戦が終われば、アメリカにとって日本は必要な国ではなく、どちらかといえば他人の褌で経済成長を遂げたズルイ奴的に見えるのは当然です。そして国際社会の中でも平和ボケし軍事力も持たない日本の存在意義はどんどん薄れていくでしょう。私は短絡的に日本が軍事力を持つべきだとは思いませんが、今後日本が心身ともに成熟するために必要な方向性はどこにあるのかに答えのひとつがこの本に隠されている気がします。
冷戦が終われば、アメリカにとって日本は必要な国ではなく、どちらかといえば他人の褌で経済成長を遂げたズルイ奴的に見えるのは当然です。そして国際社会の中でも平和ボケし軍事力も持たない日本の存在意義はどんどん薄れていくでしょう。私は短絡的に日本が軍事力を持つべきだとは思いませんが、今後日本が心身ともに成熟するために必要な方向性はどこにあるのかに答えのひとつがこの本に隠されている気がします。
2004年1月29日に日本でレビュー済み
日本の衰退は目に見えて進んでいる。しかし、その衰退がなぜおこったのかは全く省みられず、小手先の改革に頼ろうとする。
根本にあるものはなにか。それは国家ビジョンの不在である。それは、国家主義をすなわち悪と切り捨てる「戦後民主主義」が浸透し、国家単位でものを考えることに消極的だからである。
グローバル化の誤った捉え方、平和、自由、個人といったものとの、観念的、感情的な関わり方等の内なる「敵」の問題を中心に、中西氏お得意の西欧史的観点、世界の捉え方を絡め、国際社会におけるあるべき態度、国家再生へのビジョンを記している。
惜しむらくは、著者本人が意識的にそのままにした文章構成が、結局読みにくさを誘発していることである。しかし、現代日本の実情を憂う人必読の書であることは、間違いない。
根本にあるものはなにか。それは国家ビジョンの不在である。それは、国家主義をすなわち悪と切り捨てる「戦後民主主義」が浸透し、国家単位でものを考えることに消極的だからである。
グローバル化の誤った捉え方、平和、自由、個人といったものとの、観念的、感情的な関わり方等の内なる「敵」の問題を中心に、中西氏お得意の西欧史的観点、世界の捉え方を絡め、国際社会におけるあるべき態度、国家再生へのビジョンを記している。
惜しむらくは、著者本人が意識的にそのままにした文章構成が、結局読みにくさを誘発していることである。しかし、現代日本の実情を憂う人必読の書であることは、間違いない。
2001年12月9日に日本でレビュー済み
「大英帝国衰亡史」、「なぜ国家は衰亡するのか」などの著作がある中西氏の1998年から本年にかけての雑誌論文8編を収めている。「日本の敵とは何か」という問いに歴史を紐解きながら、語ります。
かの繁栄を極めたローマ帝国、大英帝国も外敵ではなく、内なる敵によって崩壊した。20世紀初頭の英国衰退の兆候は、以下の通りである。「長い繁栄の中で豊かになった膨大な中流が海外へ旅行する習慣を身につけ、異常なイベントブームにより、朝早くから家を出て、良い場所を確保するために夜が明けないうちに入り口に並び眠らずに待つ多くの人々、そして健康ブーム、聞いたこともない新興宗教の出現、極めつけはローマ末期の一大流行でもあった温泉ブーム。」これは現代の日本で当たり前のように見られる風景ちはないか。下手なホラー小説よりも背筋に冷たいものが走る。
本書には米国をはじめとする国々との外交についてページを割いている。これは、国と国の外交問題だけではなく、われわれの日常生活にも突きつけられている刃でもある。ビジネスにおいて、営業マンが競合メーカーの営業マンと口も利かないということを、よく聞くが、これほど日本人の戦略性のなさ、著者の言う「ワルの感覚を持つ」と程遠いものはない。「今日の敵と組んで、明日、第三の敵と戦うことになるかもしれない」という感覚をもってほしい。そういう意味で本書は、戦後民主主義に洗脳された現代日本人のカルテである。「自由で活力に富み、歴史と伝統を重んじて自立する日本」になるために、自らが処方箋を書く気概を持たねばなるまい。われわれが、歴史を学ぶ姿勢と戦う勇気を持つことが、日本を浮上させる推進力である。
かの繁栄を極めたローマ帝国、大英帝国も外敵ではなく、内なる敵によって崩壊した。20世紀初頭の英国衰退の兆候は、以下の通りである。「長い繁栄の中で豊かになった膨大な中流が海外へ旅行する習慣を身につけ、異常なイベントブームにより、朝早くから家を出て、良い場所を確保するために夜が明けないうちに入り口に並び眠らずに待つ多くの人々、そして健康ブーム、聞いたこともない新興宗教の出現、極めつけはローマ末期の一大流行でもあった温泉ブーム。」これは現代の日本で当たり前のように見られる風景ちはないか。下手なホラー小説よりも背筋に冷たいものが走る。
本書には米国をはじめとする国々との外交についてページを割いている。これは、国と国の外交問題だけではなく、われわれの日常生活にも突きつけられている刃でもある。ビジネスにおいて、営業マンが競合メーカーの営業マンと口も利かないということを、よく聞くが、これほど日本人の戦略性のなさ、著者の言う「ワルの感覚を持つ」と程遠いものはない。「今日の敵と組んで、明日、第三の敵と戦うことになるかもしれない」という感覚をもってほしい。そういう意味で本書は、戦後民主主義に洗脳された現代日本人のカルテである。「自由で活力に富み、歴史と伝統を重んじて自立する日本」になるために、自らが処方箋を書く気概を持たねばなるまい。われわれが、歴史を学ぶ姿勢と戦う勇気を持つことが、日本を浮上させる推進力である。