単行本のとき(高校1年)に読み、久々に文庫で読みました。
初読後、連想したのが三好徹「聖少女」。
高校生のときの私には両者とも「つまり、何がどう問題なのだ」と
さっぱりわからなかったのです。
あれから6年。22歳でオヤジとは呼ばれたくないですが、
佐久間公を通した大沢在昌が少し理解できるようになりました(悲)。
大人の視点では理解できなくなった現代の子どもの心のなかを、
SMやらマンガ出版などの大人の論理を駆使して理解しようとする。
佐久間公は確かに《優秀な》調査員ではなくなりましたが、
その姿勢から、心の重さを深く掘り下げているように思えます。
太田忠司「Jの少女たち」のようにマンガ=子どもの文化と、
短絡的に結び付けていない点も、大沢在昌の視野の広さを伺えます。
大沢作品にアクションを求めなくなってきたのも、歳のせいかな…。
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心では重すぎる 上 文春文庫 文庫 – 2004/1/10
大沢 在昌
(著)
失踪した人気漫画家の行方を追う探偵・佐久間公の前に、謎の女子高生が立ちはだかる。渋谷を舞台に現代を描ききった渾身の長篇
- 本の長さ480ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2004/1/10
- ISBN-10416767601X
- ISBN-13978-4167676018
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2004/1/10)
- 発売日 : 2004/1/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 480ページ
- ISBN-10 : 416767601X
- ISBN-13 : 978-4167676018
- Amazon 売れ筋ランキング: - 952,420位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1956年名古屋市出身。慶應義塾大学中退。79年第1回小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞し、デビュー。
86年「深夜曲馬団」で日本冒険小説大賞最優秀短編賞、91年「新宿鮫」で第12回吉川英治文学新人賞、第44回日本推理作家協会賞長編部門、94年「無間人形 新宿鮫4」で第110回直木賞、20001年「心では重すぎる」、02年「闇先案内人」で日本冒険小説大賞を連続受賞。04年「パンドラ・アイランド」で第17回柴田錬三郎賞を受賞。2006年「狼花 新宿鮫9」で日本冒険小説大賞。2010年第14回日本ミステリー文学大賞受賞。2012年「絆回廊 新宿鮫10」で日本冒険小説大賞。2014年「海と月の迷路」で第48回吉川英治文学賞受賞。2022年秋 紫綬褒章受章。
05年~09年社団法人日本推理作家協会理事長を務める。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年1月10日に日本でレビュー済み
佐久間公シリーズの長編第4作目。
本作品は
第十九回日本冒険小説協会大賞 日本長編部門
を受賞した。
麻薬中毒患者の更正施設で働く佐久間の元に失踪した漫画家「まのままる」の捜索の依頼が届く。また、施設の少年が東京の「飼い主様」にあうために施設を脱走する。この二人の捜索が、麻薬ビジネスも巡ってリンクして物語が展開する。
怒濤の1300枚は一級のハードボイルドに仕上がっており、正に読み応え十分で、買って損のない一冊である。ただし、私がまだ佐久間の年齢に達していないせいか、施設の少年や「飼い主様」の女子高生のやりとりが、説教臭く鼻につくところがある。おそらく作者と同年代の探偵として書き続けてきたことで、作者自身の思い入れが相当強いせいだと思うが、この点に関しては好みが分かれるところだと思う。この分私は星4つにした。
余談であるが、昭和55年に執筆された後幻となっていた佐久間公シリーズ最初の長編「標的走路」が再発行された。他の佐久間公シリーズは短編が「感傷の街角」「漂泊の街角」、長編が「標的走路」「追跡者の血統」「雪蛍」。
本作品は
第十九回日本冒険小説協会大賞 日本長編部門
を受賞した。
麻薬中毒患者の更正施設で働く佐久間の元に失踪した漫画家「まのままる」の捜索の依頼が届く。また、施設の少年が東京の「飼い主様」にあうために施設を脱走する。この二人の捜索が、麻薬ビジネスも巡ってリンクして物語が展開する。
怒濤の1300枚は一級のハードボイルドに仕上がっており、正に読み応え十分で、買って損のない一冊である。ただし、私がまだ佐久間の年齢に達していないせいか、施設の少年や「飼い主様」の女子高生のやりとりが、説教臭く鼻につくところがある。おそらく作者と同年代の探偵として書き続けてきたことで、作者自身の思い入れが相当強いせいだと思うが、この点に関しては好みが分かれるところだと思う。この分私は星4つにした。
余談であるが、昭和55年に執筆された後幻となっていた佐久間公シリーズ最初の長編「標的走路」が再発行された。他の佐久間公シリーズは短編が「感傷の街角」「漂泊の街角」、長編が「標的走路」「追跡者の血統」「雪蛍」。
2008年4月25日に日本でレビュー済み
大沢在昌って、こんなにメッセージ色の濃い作品を書く作家だったんだと認識を新たにした。
上巻を読み終えたが、まだ話はつながり始めたばかりで、この先どうなっていくのか
非常に楽しみである。
佐久間と私はほぼ同年齢であるため、佐久間の考えに共鳴するところが多い。
オヤジくさいといわれればそれまでだが。
ここまでは、大沢在昌の懐の深さがよく出ているなぁと感じさせられた上巻であった。
上巻を読み終えたが、まだ話はつながり始めたばかりで、この先どうなっていくのか
非常に楽しみである。
佐久間と私はほぼ同年齢であるため、佐久間の考えに共鳴するところが多い。
オヤジくさいといわれればそれまでだが。
ここまでは、大沢在昌の懐の深さがよく出ているなぁと感じさせられた上巻であった。
2016年5月4日に日本でレビュー済み
中年佐久間シリーズ。
かつて一世を風靡した漫画家の捜索を依頼され探偵佐久間が調査していくと、
自身が所長と務める更生施設のメンバーの抱えている問題と密接に関わっていることが分かります
基本的にはいつもの佐久間シリーズのテイストなのですが、
今回は佐久間と依頼人や情報提供者などとの語り合いが恐ろしく長く、
テンポがすごく悪い感じを受けました。
それを除けば面白いです。
かつて一世を風靡した漫画家の捜索を依頼され探偵佐久間が調査していくと、
自身が所長と務める更生施設のメンバーの抱えている問題と密接に関わっていることが分かります
基本的にはいつもの佐久間シリーズのテイストなのですが、
今回は佐久間と依頼人や情報提供者などとの語り合いが恐ろしく長く、
テンポがすごく悪い感じを受けました。
それを除けば面白いです。
2004年2月1日に日本でレビュー済み
私は、大沢在昌も、ハードボルドというジャンルも初体験だったが、非常に楽しんで読めた。
話は私立探偵佐久間が、失踪した人気漫画家の捜索と、「犬」と呼ばれる奴隷を何人ももつ謎の女子高生の調査、の二つを調べていく過程を描いている。
作中でおきるのは非常に地味な事件ばかりだ。しかし不思議と飽きることなく最後まで読み進めることができる。作者の筆力のせいだろうか。
話の中で佐久間はいろいろな人々ふれあっていくのだが、その中で思索をめぐらす佐久間の考えのひとつひとつが非常に説教くさく、ためになるような話になっている。人によってはただ疲れるだけかもしれないが、私にはプラス要素としてとらえられた。
大沢在昌という人の文章は、堅すぎず柔らかすぎず、しかし重いように感じた。だが、佐久間の思索の描写などは、非常に想起から結論に至るまでの流れがわかりやすく、すんなり理解することができた。
正直文句の付け所がない。
彼の本ならまた読んでみたい。そう思わせる逸品だ。
話は私立探偵佐久間が、失踪した人気漫画家の捜索と、「犬」と呼ばれる奴隷を何人ももつ謎の女子高生の調査、の二つを調べていく過程を描いている。
作中でおきるのは非常に地味な事件ばかりだ。しかし不思議と飽きることなく最後まで読み進めることができる。作者の筆力のせいだろうか。
話の中で佐久間はいろいろな人々ふれあっていくのだが、その中で思索をめぐらす佐久間の考えのひとつひとつが非常に説教くさく、ためになるような話になっている。人によってはただ疲れるだけかもしれないが、私にはプラス要素としてとらえられた。
大沢在昌という人の文章は、堅すぎず柔らかすぎず、しかし重いように感じた。だが、佐久間の思索の描写などは、非常に想起から結論に至るまでの流れがわかりやすく、すんなり理解することができた。
正直文句の付け所がない。
彼の本ならまた読んでみたい。そう思わせる逸品だ。
2007年4月12日に日本でレビュー済み
結局はやくざがらみの事件なんだけど、宗教やドラッグ、現代の若者の価値観など、理解できずにとまどう他人の〈心〉との関わり方を描いた傑作である。著者は本作で登場人物の口を借りておおいに考えを述べ、議論させた。もちろんその答えを提示するためではなく、物語を通じて著者がそれらと向き合った姿を力強く描いている。物語としてもいい。心を操ることのできる渋谷の〈魔女〉、失踪した漫画家を探す依頼、徐々にからみあう二つの謎(っていうか必ず1つに結びつく。これは陳腐なまでに定番)、そそられる。推理に関しても読者が気づきそうなところで主人公にもわかる、ややこしいところは主人公に整理させる。このへんのバランスも良く、読みやすい。あとなんといってもすべてのキャラがしっかりと良い個性を出している。弱さも欠点も等身大でいながら前進する力強さをもつ主人公である「人捜し専門」の探偵・佐久間公は某S島よりずっと好き。ちなみに本書でいちばん気に入ったキャラは編集者・岡田である。
2004年1月28日に日本でレビュー済み
なぞの女子高生と失踪した漫画家の関係はどうなっているのか最後までわからないところがおもしろい。
また、テーマも新興宗教やドラッグ、少年少女と現代に沿っているので現代社会の病巣などに興味がある人は特に楽しめる。
作品内でドラッグに毒されてしまった人間がどうなってしまうかを描いている場面があるが、非常に現実的であり見物である。
実際にこうなってしまうんだろうなぁと深く考えさせられるシーンだ。
「新宿鮫」シリーズからずっと大沢在昌は好きだったがこの作品でもっと好きになった。
また、テーマも新興宗教やドラッグ、少年少女と現代に沿っているので現代社会の病巣などに興味がある人は特に楽しめる。
作品内でドラッグに毒されてしまった人間がどうなってしまうかを描いている場面があるが、非常に現実的であり見物である。
実際にこうなってしまうんだろうなぁと深く考えさせられるシーンだ。
「新宿鮫」シリーズからずっと大沢在昌は好きだったがこの作品でもっと好きになった。
2007年6月12日に日本でレビュー済み
この作品、どこが面白いのだろう?
レビューを書こうとして悩んでしまった。
確かに漫画週刊誌におけるアンケート至上主義や、漫画家と編集者の
関わり等は良く書けていると思う。だけど、漫画界の内幕ならば、現在
では「消えたマンガ家」等の書籍が出版されており、その内容を知って
いる読者も多いのではないだろうか。
この作品には、漫画だけに限らず、ドラッグ、渋谷のチーマー、新興宗教、
自己啓発セミナー、ポルノにロリコン、果てはSMまで、様々なサブカルチャー
的要素が詰め込まれている。多くの題材を破綻無くストーリーに織り込んで
いるのは作者の力量だろう。だけど、それらはあくまで小説を構成する素材
であり、本当に作者が書きたかったのは、別の物であると思える。
作中で探偵を職業とする主人公「佐久間公」が、過去と現在の自分を
比較してみたり、出会った人に自分の探偵としての生き方をあれこれ
説明する。これは主人公である「佐久間公」と言うより、作者である
大沢在昌の「感傷」では無いだろうか。
解説で福井晴敏氏が指摘しているように、この作品は私小説に近い
内容である。
しかし、作者の「感傷」に読者が付き合う必要があるのか、疑問である。
あたしは、「重すぎる」と言うより、はっきり言って「ウザイ」と感じて
しまった。
レビューを書こうとして悩んでしまった。
確かに漫画週刊誌におけるアンケート至上主義や、漫画家と編集者の
関わり等は良く書けていると思う。だけど、漫画界の内幕ならば、現在
では「消えたマンガ家」等の書籍が出版されており、その内容を知って
いる読者も多いのではないだろうか。
この作品には、漫画だけに限らず、ドラッグ、渋谷のチーマー、新興宗教、
自己啓発セミナー、ポルノにロリコン、果てはSMまで、様々なサブカルチャー
的要素が詰め込まれている。多くの題材を破綻無くストーリーに織り込んで
いるのは作者の力量だろう。だけど、それらはあくまで小説を構成する素材
であり、本当に作者が書きたかったのは、別の物であると思える。
作中で探偵を職業とする主人公「佐久間公」が、過去と現在の自分を
比較してみたり、出会った人に自分の探偵としての生き方をあれこれ
説明する。これは主人公である「佐久間公」と言うより、作者である
大沢在昌の「感傷」では無いだろうか。
解説で福井晴敏氏が指摘しているように、この作品は私小説に近い
内容である。
しかし、作者の「感傷」に読者が付き合う必要があるのか、疑問である。
あたしは、「重すぎる」と言うより、はっきり言って「ウザイ」と感じて
しまった。