著者は名前しか知らず、とりあえず…の気持ちでこの
「デス・コレクターズ」と「百番目の男」を取り寄せました。
レビュー自体あまり信用していなかったのですが、これは久々の
ヒットでした。
主人公が身内の「シリアルキラー」に相談するなど、「羊たちの沈黙」に
似通った背景ですが、決して物まねではありませんでした。
薄気味の悪い「アート」や殺人者に関わる物を収集する人々。
この手のコレクターが実際に存在するからこそ描ける事件の背景なのでしょう。
次々に殺害される人。そこに残される「アート」。
主人公が相棒と一緒にその事件の背景をかぎ回と、そこには30年前の殺人事件が絡む。
過去の事件に関わった警官が、退職後もその事件の秘密を探し求める。
現実にはあり得ないような設定ですが、著者の巧みな構成によって
それがフィクションとは思えないほどに現実味を帯びています。
何よりスピード感たっぷりな展開が面白く、一気に読み通せました。
ややもすると荒唐無稽になりがちな筋をよく組み立てたものです。
コレクターの描写もまた見事。人間の暗い部分を見せつけられた思いです。
「ハンニバル」でも、ハンニバルの監視をしていた人が
「ハンニバルの拘束面(口元に穴があいている物、映画でもグロテスクでした)」を
コレクターに売るシーンがありました。
この手の物に惹かれるアメリカ人って…どうにかしてますね。
最後の場面も後味が悪くないようになっており、これもまた良いものです。
これで後味が悪いと結構嫌な物が心の中に残りそうでした。
作者の稀に見る才能が分かります。今後も楽しみです。お薦めの一冊。
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デス・コレクターズ (文春文庫 カ 10-2) 文庫 – 2006/12/6
現場に絵画の断片を残す連続殺人発生。若き刑事カーソンは芸術家肌の殺人鬼との関わりを疑う。恐怖と驚愕のサイコ・サスペンス
- 本の長さ439ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2006/12/6
- ISBN-104167705400
- ISBN-13978-4167705404
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2006/12/6)
- 発売日 : 2006/12/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 439ページ
- ISBN-10 : 4167705400
- ISBN-13 : 978-4167705404
- Amazon 売れ筋ランキング: - 699,103位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
テーマが異常なだけが個性といえば作者の個性かな、と思いながら読み進んだ。
意外な犯人設定も何かあざとい感じがしてしまった。
モビールの町は、南部でも有数の黒人差別のあった(いまでも?)僕ことカーソンの相棒のハリーが黒人なのが意外といえば意外な感じ。
ハリーの存在がなければ、このカーソンものも興味半減してしまうと言ったら言いすぎだろうか。
意外な犯人設定も何かあざとい感じがしてしまった。
モビールの町は、南部でも有数の黒人差別のあった(いまでも?)僕ことカーソンの相棒のハリーが黒人なのが意外といえば意外な感じ。
ハリーの存在がなければ、このカーソンものも興味半減してしまうと言ったら言いすぎだろうか。
2010年7月29日に日本でレビュー済み
本作品は、「このミステリーがすごい!」
2008年版の第8位にランキングされているのを眼にして
読んでみようと思ったのですが、
手にとって見ると、帯広告には、
「本格ミステリ作家クラブ主催、
海外優秀本格ミステリ顕彰・最優秀作」の文字が。
2001年1月から2009年12月までの
海外本格ミステリのベスト1とのことです。
サイコ・サスペンスだということは、
背表紙の作品紹介の1行目に
「死体は蝋燭と花で装飾されていた」
という文言があることから想像がつきますが、
驚くのは展開の早さ。
この殺人現場の描写は
最初の30ページ位に出てくるのですが、
何とここまでで、
他に2件も殺人事件が発生しているという、
テンポの良さに圧倒されてしまいます。
また、探偵役のカーソン・ライダー刑事
(【僕】という一人称で描写)の境遇もユニーク。
「僕の兄」であるジェレミー・リッジクリフが
冒頭の「主な登場人物」欄に紹介されていますが、
その設定に驚きました。
遂にこんな兄弟を持つ探偵役も現れたかという感じです。
そして、この作品の一番大きな特徴は、
サイコ・サスペンスでありながら、
きっちりと本格ミステリの要素も兼ね備えているところでしょう。
事件の真相もなかなか凝ったもので、
意外性のある犯人像とともに、
その周到な犯行計画は、
読者を満足させる内容となっています。
「死の収集家(デス・コレクター)」
という題名が最後にずしりと響く、傑作といえましょう。
もっとも、この作品、
カーソン・ライダー刑事ものの2作目であり、
1作目であるとともに、
著者の処女作でもある「百番目の男」は、
2004年の発表当時ミステリ好きの間では
随分と評判になったようです。
遅ればせながら、前作も読んでみようと思っています。
2008年版の第8位にランキングされているのを眼にして
読んでみようと思ったのですが、
手にとって見ると、帯広告には、
「本格ミステリ作家クラブ主催、
海外優秀本格ミステリ顕彰・最優秀作」の文字が。
2001年1月から2009年12月までの
海外本格ミステリのベスト1とのことです。
サイコ・サスペンスだということは、
背表紙の作品紹介の1行目に
「死体は蝋燭と花で装飾されていた」
という文言があることから想像がつきますが、
驚くのは展開の早さ。
この殺人現場の描写は
最初の30ページ位に出てくるのですが、
何とここまでで、
他に2件も殺人事件が発生しているという、
テンポの良さに圧倒されてしまいます。
また、探偵役のカーソン・ライダー刑事
(【僕】という一人称で描写)の境遇もユニーク。
「僕の兄」であるジェレミー・リッジクリフが
冒頭の「主な登場人物」欄に紹介されていますが、
その設定に驚きました。
遂にこんな兄弟を持つ探偵役も現れたかという感じです。
そして、この作品の一番大きな特徴は、
サイコ・サスペンスでありながら、
きっちりと本格ミステリの要素も兼ね備えているところでしょう。
事件の真相もなかなか凝ったもので、
意外性のある犯人像とともに、
その周到な犯行計画は、
読者を満足させる内容となっています。
「死の収集家(デス・コレクター)」
という題名が最後にずしりと響く、傑作といえましょう。
もっとも、この作品、
カーソン・ライダー刑事ものの2作目であり、
1作目であるとともに、
著者の処女作でもある「百番目の男」は、
2004年の発表当時ミステリ好きの間では
随分と評判になったようです。
遅ればせながら、前作も読んでみようと思っています。
2015年11月20日に日本でレビュー済み
百番目の男を読み終え、本作を読み始めたが、途中でやめた。
主人公カーソン・ライダーに全く魅力を感じない。青臭さを無理に出そうとしていて、不快だ。
もうこのシリーズは読まない。
主人公カーソン・ライダーに全く魅力を感じない。青臭さを無理に出そうとしていて、不快だ。
もうこのシリーズは読まない。
2015年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
サイコなんだけど、どちらかというとソフトなサイコサスペンスシリーズ。
この小説で、チャールズ・マンソンだけでなく、ウェイン・ゲイシーというシリアルキラーを思い出したのは
私だけではないでしょう。
実在のシリアルキラーを参考にしている部分があると思います。
こういったコレクターも実在しますから…
でも、面白く読めました。
2作目にして、前作より洗練された文体です
この小説で、チャールズ・マンソンだけでなく、ウェイン・ゲイシーというシリアルキラーを思い出したのは
私だけではないでしょう。
実在のシリアルキラーを参考にしている部分があると思います。
こういったコレクターも実在しますから…
でも、面白く読めました。
2作目にして、前作より洗練された文体です
2015年10月20日に日本でレビュー済み
おしい本です
もっと良くなる余地がもりだくさんです
名作になりえたと思うだけに本当に惜しいです
以下ネタバレあり
まず、翻訳がだめ
これに限りませんが、翻訳者は自分の翻訳した本を読み返しているのでしょうか?
本当に読みづらい
原書で読む能力が無い自分が悪いのですが、海外本はせめて
左ページに英語、右ページに翻訳、というスタイルでだしてほしい
(価格が倍になっても仕方ないと思いますので、検討して欲しいです)
肝心のストーリーですが、良く練られていると思います
素晴らしいと思います
でも、へクスキャンプに限らず人が死ぬ間際に、暗号のような言葉を残しますか?
具体的な名前をあげるでしょ?ここは明らかに作為的すぎます
ここをこうしなければ後のストーリーが展開しづらかったのでしょうが・・・
一言、”カリュプソ”で良かったんじゃないですか?
いやそのほうが間違いなく良かったです
細かくはいろいろありますが、本当に惜しい本です
でも一気に読みました
読む価値はあります
もっと良くなる余地がもりだくさんです
名作になりえたと思うだけに本当に惜しいです
以下ネタバレあり
まず、翻訳がだめ
これに限りませんが、翻訳者は自分の翻訳した本を読み返しているのでしょうか?
本当に読みづらい
原書で読む能力が無い自分が悪いのですが、海外本はせめて
左ページに英語、右ページに翻訳、というスタイルでだしてほしい
(価格が倍になっても仕方ないと思いますので、検討して欲しいです)
肝心のストーリーですが、良く練られていると思います
素晴らしいと思います
でも、へクスキャンプに限らず人が死ぬ間際に、暗号のような言葉を残しますか?
具体的な名前をあげるでしょ?ここは明らかに作為的すぎます
ここをこうしなければ後のストーリーが展開しづらかったのでしょうが・・・
一言、”カリュプソ”で良かったんじゃないですか?
いやそのほうが間違いなく良かったです
細かくはいろいろありますが、本当に惜しい本です
でも一気に読みました
読む価値はあります
2006年12月23日に日本でレビュー済み
モビールを舞台にしたカーソンものの2作目。
相変わらずカーソンは多感で、軽薄で、困難な事件を名推理で解決に導きます。
どこか漂う青春小説の味わいは、本作も健在です。
前作は荒唐無稽なストーリーと個性的すぎるキャラクターが、
ややもするとミステリー小説としての説得力を損なう気配もありましたが、
本作はそのあたりがうまく修正されて、
技巧が向上しています。
現在と過去の連続殺人、カルト、ロマンス等、展開はスピーディーで、
カーソンへの感情移入も犯人探しのスリルも合格点。
面白い作品に仕上がっています。
本作の見所はこんなところ。
前作で恋人となったアヴァは去ってしまいますが、
新しいロマンスが描かれます。
フランスへ出張するのですが、
会話も含めて、なかなか美しい描写です。
アメリカ人のヨーロッパへの憧れがよく現れているようで・・・。
そして最後のストーリーの盛り上がりは、
よくできています。
意外な犯人に「やられた!」と思いました。
相変わらずカーソンは多感で、軽薄で、困難な事件を名推理で解決に導きます。
どこか漂う青春小説の味わいは、本作も健在です。
前作は荒唐無稽なストーリーと個性的すぎるキャラクターが、
ややもするとミステリー小説としての説得力を損なう気配もありましたが、
本作はそのあたりがうまく修正されて、
技巧が向上しています。
現在と過去の連続殺人、カルト、ロマンス等、展開はスピーディーで、
カーソンへの感情移入も犯人探しのスリルも合格点。
面白い作品に仕上がっています。
本作の見所はこんなところ。
前作で恋人となったアヴァは去ってしまいますが、
新しいロマンスが描かれます。
フランスへ出張するのですが、
会話も含めて、なかなか美しい描写です。
アメリカ人のヨーロッパへの憧れがよく現れているようで・・・。
そして最後のストーリーの盛り上がりは、
よくできています。
意外な犯人に「やられた!」と思いました。
2007年1月2日に日本でレビュー済み
ジャック・カーリイは、デビュー作『百番目の男』が’05年、各種のミステリーベストテンの上位にランクインして話題を呼んだ。第二長編である本書は、サイコサスペンスと謎解きを見事に両立させており、ミステリーとしての完成度は『百番目の男』を上回っているといえよう。
主人公は、前作に続いて‘僕’ことアラバマ州モビール市警本部のカーソン・ライダーである。『百番目の男』の事件でようやく内外に認知された≪精神病理・社会病理捜査班≫の31才の若き刑事だ。
寂れたモーテルで女性の全裸死体が発見される。死体は拷問を受け、一度埋めて掘り返されてから、ろうそくと花で不気味に装飾されていた。のちに修道女と判明するこの殺人を、‘僕’と相棒のハリーは担当することになるのだが、30年以上前に裁判所で射殺されたシリアル・キラーのアートが事件解決の鍵だと知る。そこでシリアル・キラー(過去の有名な連続殺人犯たち)の「記念品コレクター」を調べることになるのだが・・・。
本書における事件の動機や背景の異常性は前作以上である。なにしろ「コレクター」の姿を詳述し、その価値観を読者に理解させない限り、本書の動機は説得力を持ち得ない。それほど異常なのである。加えて本書は、第一級の“サイコサスペンス”でありながら、読者を執拗に欺いてゆくとプロットの凝りようといい、意外で衝撃的な真犯人といい、“謎解きパズラー小説”の趣も兼ね備えている。身元不明者が何人も登場するが、その正体が判明するたびに、事件の輪郭がパズルのピースがはめ込まれるように浮かんでくる仕掛けになっている。
また本書は、多彩なキャラクターとさまざまなサブエピソードを持つ“エンターテインメント”であると同時に、カーソン刑事の‘僕’という一人称で語られる、屈折した若者の心情が率直に表現された“青春小説”でもある。
ジャック・カーリイは本書で更なる進化を遂げたのである。
主人公は、前作に続いて‘僕’ことアラバマ州モビール市警本部のカーソン・ライダーである。『百番目の男』の事件でようやく内外に認知された≪精神病理・社会病理捜査班≫の31才の若き刑事だ。
寂れたモーテルで女性の全裸死体が発見される。死体は拷問を受け、一度埋めて掘り返されてから、ろうそくと花で不気味に装飾されていた。のちに修道女と判明するこの殺人を、‘僕’と相棒のハリーは担当することになるのだが、30年以上前に裁判所で射殺されたシリアル・キラーのアートが事件解決の鍵だと知る。そこでシリアル・キラー(過去の有名な連続殺人犯たち)の「記念品コレクター」を調べることになるのだが・・・。
本書における事件の動機や背景の異常性は前作以上である。なにしろ「コレクター」の姿を詳述し、その価値観を読者に理解させない限り、本書の動機は説得力を持ち得ない。それほど異常なのである。加えて本書は、第一級の“サイコサスペンス”でありながら、読者を執拗に欺いてゆくとプロットの凝りようといい、意外で衝撃的な真犯人といい、“謎解きパズラー小説”の趣も兼ね備えている。身元不明者が何人も登場するが、その正体が判明するたびに、事件の輪郭がパズルのピースがはめ込まれるように浮かんでくる仕掛けになっている。
また本書は、多彩なキャラクターとさまざまなサブエピソードを持つ“エンターテインメント”であると同時に、カーソン刑事の‘僕’という一人称で語られる、屈折した若者の心情が率直に表現された“青春小説”でもある。
ジャック・カーリイは本書で更なる進化を遂げたのである。