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弱法師 (文春文庫 な 53-1) 文庫 – 2007/2/9

4.6 5つ星のうち4.6 48個の評価

病に冒された少年と義父の微妙な関係を描く表題作ほか、古典に材をとり、繊細なまでに張りつめた愛の悲しみをとらえる中篇3篇を収録

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2007/2/9)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/2/9
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 303ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4167726017
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4167726010
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 48個の評価

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中山 可穂
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作者の本は初めて読みました
表現力素晴らしいです、2周しました
2023年10月5日に日本でレビュー済み
私は「卒塔婆小町」が1番好きです。美しい文章を読んで涙したのはこれが初めてです。
「白い薔薇の淵まで」も大好きなのですが、今まで読んできた数々の本が中山可穂さんに出会うための布石にしかすぎなかったのではないかと思いました。
小さな、研磨された、ガラスの破片が心臓に刺さってもう絶対に抜けない毒のような小説です
2016年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文庫版を持っていますが探してハードカバーを買いました。弱法師の切なさ、じれったい養父と息子の愛。美しい文章。浮舟の薫子おばさんの魅力。でも一番好きなのは卒塔婆小町です。もう胸をえぐられるようでした。いつも可穂さんの作品はどんどん惹きつけて行って最後突き放されるのですよ。読書はいつも寝る前と決めていますが、可穂さんの本を手に取ると駄目、途中で止めることができません。つい夜更かしをして読んでしまいます。そして気持ちが昂り、その夜は眠れない(笑)わたしにとってはまさに麻薬です。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2007年2月12日に日本でレビュー済み
「かなわぬ恋」を描いた中編3編。

タイトルからも分かるように、能をモチーフにした中編集になっています。

内容的には、これまでの中山可穂作品とはやや異なる毛色で、激しい性描写も叩きのめされるような強烈な表現も出てきません。

静かに厳かに、死の淵へと歩みを進めていきます。

しかし、その根底に流れるものは中山可穂文学特有の「死に至る病」としての恋であり「いとしい誰かと手に手を取ってこの世の淵からこぼれ落ちる」ような愛であり、読者は身を切り命を削る恋愛の前に、ただただ圧倒されるのみです。

どうすればこれほど純度の高い恋愛小説が書けるのでしょうか。

どんな恋愛を経験すれば、どんな失恋を経験すれば。

毎度のことですが、本当に中山可穂さんには完敗です。
22人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2007年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
性愛の描写が抑えられ、ぎりぎりまで削ぎ落とされた恋愛小説は幻想的であり、透徹として美しい。
これらはどれも心中物ではないか。愛する人と死出の旅路を歩むのではないが、不可能な愛と心中する物語だ。
愛すれば愛するほど、身を引かざるを得なくなる。かなわぬから身を引くのではない。身を引いてこそ、この愛はまっとうする。
ただただ恋ゆる人を得るために。死してなお愛するために。愛する人を守り、許し、幸せを祈り、私から解放するために。
死してからこそ愛されるのは切ないが、我が身を賭して相手の人生に私を刻み込む。不在が永遠の余韻となる。
愛を自分の辞書から削除せねばならない人生や、身も心も切り刻んだ恋愛と喪失の想い出に、そうっと寄り添うような優しさと励ましを感じた。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2004年9月17日に日本でレビュー済み
ここに描かれた3つの感情はどれも深く、私の理解など到底及ばぬほどの重みがありました。冒頭に「レスリー・チャンに捧ぐ」とあります。レスリー・チャンとは飛び降り自殺で亡くなった俳優さんです。読後になってこの意味もようやくわかりました。彼の生き方とこの作品のテーマは深いところでつながっているような気がします。
装丁とそれぞれの作品タイトルから時代物と勘違いされる方もいるかと思いますが、3編とも現代小説です。
難病を抱えた少年の主治医となった医師が少年の不思議な魅力と、無意識に男を吸い寄せるその母に惹かれ、彼らと家族になる「弱法師」。新人作家が昔、編集者だったというホームレスに出会い、そのホームレスの若き日の話を聞く「卒塔婆小町」。父と母と、父の姉の複雑な関係を高校生の娘の視点から描く「浮舟」の3編。
狂おしくもひたむきな愛情。こちらが目を覆いたくなってしまうようなまっすぐな愛情。まるで読んでいる私のほうが押しつぶされそうな静かな破壊力を秘めた作品でした。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2007年5月15日に日本でレビュー済み
すごく隙のない、乱れていない文章で、最後までぐいぐいと読まされてしまいました。

単なる恋物語ではなく、現実的でもあり、恋愛よりももっと切なく、

その恋愛よりも尊いもの、深く人の心を突き動かす何か、に触れることのできる本だと

思います。

読後の、なんともいえない気持ち。

満たされたような、心がゆっくりと締め付けられ、やがてさわやかに晴れていくような、

そんな気持ち。

ぜひ、あなたもその気持ちを味わってみて下さい。

恋愛もの、とは言えど、決して甘ったるい感じではなく、むずかしい本ではないのですから。

この本には、短編が3つ収録されており、どれも命の吹き込まれたような語り口で、それぞれの話の中には、どこか生き生きとした人間らしさを含んでいるうえ、生と死を静かに感じさせるストーリーになっています。

今、もしもあなたの心に、ちょっとしたかなしみがあるのなら、この本をどうぞ。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2008年9月16日に日本でレビュー済み
脳に腫瘍を持ち、余命わずかな少年、若干20歳にして、文壇でひっぱりだこの小説家、世界を飛び歩き仕事をしていながら、義妹である病弱な母のもとにしばしば帰ってくる豪快な伯母、3篇の小説に登場する人物はどうしてこうも個性豊かで読者をも魅了するのだろう。
人が人を好きになるのに、理由などなく、その人の存在そのものが人生全てとなる。
読んでいて切なく、美しく、極上の読書タイムが持てました。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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