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変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫 き 31-1) 文庫 – 2009/3/10
木村 俊介
(著)
吉本隆明、小川国夫、鶴見俊輔、瀬戸内寂聴、島田雅彦、坂本龍一、秋山駿など27人が語った天才作家・埴谷雄高の実像
- 本の長さ420ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2009/3/10
- ISBN-104167764016
- ISBN-13978-4167764012
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2009/3/10)
- 発売日 : 2009/3/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 420ページ
- ISBN-10 : 4167764016
- ISBN-13 : 978-4167764012
- Amazon 売れ筋ランキング: - 643,228位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,489位文春文庫
- - 102,795位ノンフィクション (本)
- - 166,145位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私は埴谷雄高フアンです。あまり的確な表現でありませんが、氏の立ち位置にひかれます。この作品を読んでその思いを深くしました。
2009年3月15日に日本でレビュー済み
ほとんど理解不能だった『死霊』の作家、埴谷雄高を巡って20数人の作家や縁者などにインタビューしたものをまとめた1冊。親本は99年の刊行であり、インタビューに応えた側は、既に鬼籍に入った人も少なくない。
著者の木村は東大教養学部の立花隆ゼミの課題として、埴谷に関するインタビュー集を構想したようであり、完全な黒衣に徹した姿勢がこの本を類書にはない面白いものにしている。
興味深かったのは、やはり鶴見俊輔や小川国夫、吉本隆明といったところだが、井の頭公園近くの埴谷行きつけの喫茶店のマスターや面倒を見てもらっていた隣家の夫婦、最晩年を看取った家政婦さんの章が面白い。食い物の好き嫌いが多く、一旦旨いと思ったウナギを毎日のように食し、つくってくれる人に悪いからと食いたくないものを隠れて捨てる、埴谷の人がいいボンボンの性質がはっきりと語られている。また、山口泉の極めて真摯な発言には、このインタビュー集に収まりきらない巨大な問題が提起されている。
抜群に面白かった大岡昇平との対談『二人の同時代史』(岩波書店)で、埴谷は「饒舌ボレロ」と自称するほどのおしゃべり好きであることがわかったが、野菜ジュースはフルーツミックスじゃないと飲めないなどというおかしさも含めて、本書の「発見」は多いに楽しめた。
では、『死霊』でも読んでみますか。
著者の木村は東大教養学部の立花隆ゼミの課題として、埴谷に関するインタビュー集を構想したようであり、完全な黒衣に徹した姿勢がこの本を類書にはない面白いものにしている。
興味深かったのは、やはり鶴見俊輔や小川国夫、吉本隆明といったところだが、井の頭公園近くの埴谷行きつけの喫茶店のマスターや面倒を見てもらっていた隣家の夫婦、最晩年を看取った家政婦さんの章が面白い。食い物の好き嫌いが多く、一旦旨いと思ったウナギを毎日のように食し、つくってくれる人に悪いからと食いたくないものを隠れて捨てる、埴谷の人がいいボンボンの性質がはっきりと語られている。また、山口泉の極めて真摯な発言には、このインタビュー集に収まりきらない巨大な問題が提起されている。
抜群に面白かった大岡昇平との対談『二人の同時代史』(岩波書店)で、埴谷は「饒舌ボレロ」と自称するほどのおしゃべり好きであることがわかったが、野菜ジュースはフルーツミックスじゃないと飲めないなどというおかしさも含めて、本書の「発見」は多いに楽しめた。
では、『死霊』でも読んでみますか。
2023年2月27日に日本でレビュー済み
○埴谷雄高の小説はちゃんと読んでいないのだが、埴谷雄高による原民喜への弔辞を別の本で読んで心に突き刺さり、以来語る言葉に興味がある。
○その埴谷雄高の周囲の人々からの聞き書きをまとめた本書は大変な労作で、インタビューする相手の著作を全て読んで臨む姿勢などには感服させられる。
○いろんな人が、いろんな感想を語っていて、内容的にはところどころかなり面白い。鶴見俊輔の話は特に。
○でも、なぜか感じる物足りなさは何だろう? なんのためにこんなに聞き書きをしているかが自分にはわからなかったからかも知れない。
○しかし、人が語る話の面白さは、話題から逸れたところにあったりして、その面白さは横溢している。
○その埴谷雄高の周囲の人々からの聞き書きをまとめた本書は大変な労作で、インタビューする相手の著作を全て読んで臨む姿勢などには感服させられる。
○いろんな人が、いろんな感想を語っていて、内容的にはところどころかなり面白い。鶴見俊輔の話は特に。
○でも、なぜか感じる物足りなさは何だろう? なんのためにこんなに聞き書きをしているかが自分にはわからなかったからかも知れない。
○しかし、人が語る話の面白さは、話題から逸れたところにあったりして、その面白さは横溢している。
2009年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
若い世代の著した聞き書きの最高峰のひとつに数えあげられる名著です。著者の木村さんより少し上の年代として、このような書物を待ち望んでいました。
さて、立花隆さんの序文にもあるように、木村さんは全文を5回は書き直している、その実り、息遣いが、行間から立ちこめてきます。また、副題も評伝ではなく「肖像」としているところが控えめに的を射ていると思います。
中身について僕がとりわけすばらしいと思ったのは、木村さんの学生時代の問題意識が質問にぽつりぽつりと現れてきていて、それが嫌味でなく、とても質の高い切実さを伴っていることです。抑制が効いていますが、僕にも覚えのある人生問題に対してとても率直なんですね。そしてまた対象の作家先生方も木村さんの質問に、それぞれの芸風を彩りとして添えながら、誠実に、的確に、歯切れよく、先達として精一杯の対応をしていることが読み取れる、ことです。
これはインタビュアとしての木村さんのお人柄なのでしょうね。同時に、こうした先達と接することのできた木村さんは幸せだなあと、うらやましく思いました。書いて成長するってこういうことなのですね。
そう、こうしてレビューを書いていて思ったのは、この本は「知性とコミュニケーションにおける誠実さ」があふれているということです。薫陶、というのかな。ほんとうにいい本です。僕は木村さんのファンになりました。
そうして、そのような木村さんを生んだことが埴谷さんの「まわりの人たちを励まし、勇気づける」美徳の、最後の、最高の仕事になったのでしょう。
さて、立花隆さんの序文にもあるように、木村さんは全文を5回は書き直している、その実り、息遣いが、行間から立ちこめてきます。また、副題も評伝ではなく「肖像」としているところが控えめに的を射ていると思います。
中身について僕がとりわけすばらしいと思ったのは、木村さんの学生時代の問題意識が質問にぽつりぽつりと現れてきていて、それが嫌味でなく、とても質の高い切実さを伴っていることです。抑制が効いていますが、僕にも覚えのある人生問題に対してとても率直なんですね。そしてまた対象の作家先生方も木村さんの質問に、それぞれの芸風を彩りとして添えながら、誠実に、的確に、歯切れよく、先達として精一杯の対応をしていることが読み取れる、ことです。
これはインタビュアとしての木村さんのお人柄なのでしょうね。同時に、こうした先達と接することのできた木村さんは幸せだなあと、うらやましく思いました。書いて成長するってこういうことなのですね。
そう、こうしてレビューを書いていて思ったのは、この本は「知性とコミュニケーションにおける誠実さ」があふれているということです。薫陶、というのかな。ほんとうにいい本です。僕は木村さんのファンになりました。
そうして、そのような木村さんを生んだことが埴谷さんの「まわりの人たちを励まし、勇気づける」美徳の、最後の、最高の仕事になったのでしょう。
2009年3月28日に日本でレビュー済み
本書「序」に書かれているが、立花隆さんが1996年〜1998年にかけて東京大学教養学部で開設したインターネット上の仮想大学「サイバーユニバーシティー」の中で、当時「埴谷雄高氏」のページを作っていた木村俊介さんが、まとめた作品です。
27名にも及ぶ生前の埴谷雄高氏を知る著名人から近所の方にインタビューをしたものです。相当なエネルギーが込められています。当時サイバーユニバーシティーを覗いていた方、またそうでない方も一見の価値があります。また是非大学生の皆さんにも読んで欲しい作品です。学生でもこれだけのことが出来るのかと感心することでしょう。
27名にも及ぶ生前の埴谷雄高氏を知る著名人から近所の方にインタビューをしたものです。相当なエネルギーが込められています。当時サイバーユニバーシティーを覗いていた方、またそうでない方も一見の価値があります。また是非大学生の皆さんにも読んで欲しい作品です。学生でもこれだけのことが出来るのかと感心することでしょう。
2009年3月25日に日本でレビュー済み
インタヴューを通じて、一人の人間の人となりを現す手法によって、立ち現れた埴谷雄高は、書くことに人生の時のすべてを投じた方のようでした。作家は、書くという行動、書くという経験によって成長してゆく人生を選んだ人間なのでしょうが、しかし、一方で、ただの言葉や思想のつらなりを、つらつら書いて実人生を過ごすという、時をいたずらに蕩尽して仮想の人生を生きて一生を終えてしまう危険もはらんでいます。作家とて、生身の人間で在る以上、実人生の私的生活の大波小波は体験するのでしょうが、書いて書いて書いて終える人生は、一体、実際に生きた人生といえるのだろうか、よくわかりません。本当に生きるとは一体、どういうことなのだろうかを、考えさせる作家の生きざまでした。