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鯨の王 (文春文庫 ふ 28-1) 文庫 – 2009/12/4
- 本の長さ661ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2009/12/4
- ISBN-10416777321X
- ISBN-13978-4167773212
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2009/12/4)
- 発売日 : 2009/12/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 661ページ
- ISBN-10 : 416777321X
- ISBN-13 : 978-4167773212
- Amazon 売れ筋ランキング: - 804,620位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,226位文春文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
1962年、東京都生まれ。埼玉県在住。米メリーランド大学海洋・河口部環境科学専攻修士課程修了。科学雑誌の編集者や記者、映像ソフトのプロデューサー などをするかたわら小説を書き、1999年に『クリスタルサイレンス』(朝日ソノラマ)でデビュー。早川書房「ベストSF1999」国内篇1位となる。現 在はフリーランスの立場で小説のほか科学関係の記事やノンフィクションなどを執筆している。家族は妻と息子およびリクガメ1匹。
スキュー バダイビングを始めたことがきっかけで海にのめりこみ、会社を休職して3年間もアメリカの大学院に留学。東海岸のチェサピーク湾で大学の研究船や漁船に乗 り、網やドレッジで魚や蟹、貝などを獲る日々を送った。それらの獲物はもちろん研究材料だったが、貧乏な留学生の貴重な食糧源にもなった。修論はブルーク ラブという蟹(ガザミの一種)の生態に関する研究である。ブルークラブは「ソフトシェルクラブ」として、日本でも食べられるところは多い。
結 局、研究者の道へは進まずに復職し、真面目な勤め人生活を10年近く続けた後で脱サラした。金はなくなったが時間はできたので、機会をとらえては海洋研究 開発機構の様々な研究船に乗せていただいた。このうち海洋地球研究船「みらい」では1カ月近くも南極海を航海し、また有人潜水調査船「しんかい6500」 では水深1,500mの海底カルデラに潜航した。また広島大学の練習・調査船「豊潮丸」にも何度か同乗させていただいた。これらの体験は『深海のパイロッ ト』『ハイドゥナン』『鯨の王』『深海大戦』『辺境生物探訪記』といった作品に生かされている。今後も海を舞台にしたSFや冒険小説、歴史小説、ノンフィ クションなどを書いていきたいと考えている。
海以外では宇宙や生命科学、脳科学、民俗学などに強い興味を持っている。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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手に取った当初の予想に反して、深海テーマに有りがちなハードサイエンスや未知動物に対する冗長な記述は見事に抑えられており、代わりに荒唐無稽で子供っぽいとも思える冒険アクション的な展開を随所に投入していくことで、堅苦しさの取れた楽しい読み物に仕上がっている。
反面、本来ならアクが強いという設定で描かれているはずの主要人物やその背景は非常に平坦で、魅力と印象に薄いのが難点。
各章の振り割りと場面転換にもあまり意味が感じられなく、メリハリと緊張感に乏しい進行は本の厚みに比して読後感に欠ける内容に感じられてしまうのがいささか残念である。
また、上にも書いたようにハード寄りで割とアカデミックな内容を期待していた方には、中途半端でむやみに道具立ての多い話に思えてしまうことだろう。
・謎の鯨の生態がまさにセンス・オブ・ワンダー。
・登場人物がいきいきしていて良い。潜水艇パイロットの女性がのんべえの学者を毛嫌いする様には思わず笑ってしまった。
悪い点:
・イルカの脳が組み込まれた潜水艇が少し気持ち悪い。
・悪役にイスラムテロリストを配したのはどうかと・・・いろんな意味で。
・日本人で、イスラム教徒で、しかもテロリストとゆーのはかなり現実味がない。
・襲ってくる理由が説得力なし。いくら狂信者だからって、こんなものを欲しがるかな?
結論:いろいろ辛口書いちゃったけど、すごく面白かったです、ホントに。
物語の牽引力はあるものの、けっこう厚いのでそうなりました。
怪物「ダイマッコウ」がどんな生物なのかを知りたくて、つい読み進めてしまいます。
鯨類学者の須藤秀弘と、ライス博士がダイマッコウの謎を解き明かしていきます。
その圧倒的な大きさ!! 25〜40メートルあります! さらに大きいクジラも中盤くらいで出ます!
その大きさを想像して絶句した瞬間が何度もありました。水中カメラからは「白い壁」に見えるそうです。
様々な音を使い、コミュニケーション、探知、獲物を捕獲します。マッコウクジラと同じような使い方ですが、
ダイマッコウは超音波を用いて、強力な爆薬が入ったスイカが破裂するかのように人間の頭を…!
この設定はかなりスリリングです。離れていてもそれが可能なので、誰が狙われるか分からないのです。
クジラ対策も万全で、最新鋭の装備を整えた潜水艦と戦うことになるのですが、
彼らのリーダー「モービィ」は学習しながら渡り合います。このあたり、興奮しました。最高に面白いです。
人物の描写も適度に為されていて良いかと思います。
クライマックスに向けて、必要な情報をしっかり供給してくれています。丁寧なつくりです。
あえて、難を挙げれば、ダイマッコウがえさを捕まえている様子など、
もう少し彼らの生態を書いて欲しかった気がします。そうすると、人間を攻撃する理由も説得力が増すかと。
とはいえ、全体的には素晴らしいと思います。夢中で読みました。
ダイマッコウの迫力と魅力にめろめろになりました。(個人的にクジラがすきなのです。)
この種の海底ものでは本来見える筈のないものを見えるように書いているケースが多いのですが、センサー技術の範囲内で臨場感溢れる可視化がなされ、少しずつ謎が解き明かされます。
その中で人間と自然との関係についていろいろと考えさせられる物語ですし、最初に散りばめられた謎が最後に一気に氷解するのは快感でした。
偶然は多かったものの、科学的に疑問符のつく記述がなかったこともストレスなく読み進めた一因です(イルカの脳を利用しての操船には無理があるでしょうが)。未知の新種の巨大生物などという到底考えられない設定も、これまで発見されなかった理由も納得できるものでした。
著者の経歴や「謝辞」に記載された人々、そして「あとがき」を読めば、科学的根拠がしっかりしている理由がわかります。
蛇足ながら、「あとがき」は思い切り笑えます。
本の帯の推奨文曰く、「深海で繰り広げられる死闘に興奮した」、「読み始めたらやめられなくなる」、敢えて名は秘すが、どちらも冒険エンタテインメント小説を語らせたら信頼が出来る人物たちの惹句とわが国では稀な海洋アドベンチャーとの触れ込みにそそられて読み始めた。
海洋生物学の世界では幻の海獣と呼ばれるダイマッコウが暴れまわると思えたお話にも拘らず、米潜水艦が遭遇するまるでモダン・ホラーのようなゾクゾクするプロローグに、小松左京の「日本沈没」の田所博士を想起させる偏屈で頑徹な鯨類学者の登場、小笠原海溝探索中に発見された巨大生物の遺骨、何者かによる研究所の夜荒らしと序盤は極めて快調なのだが、ここからの停滞が著しい。
巨大製薬会社をスポンサーに自らの夢を追い続ける学者とまだ若き日本の女性パイロット、海底基地ロレーヌクロス、イスラムのテロ組織、米海軍とそれを指揮する冒頭の“事故”で肉親を失って復讐に燃える軍人等、幾つかのドラマが、“幻の海獣”を巡って展開するのだが、これがなんとも冗長なんですね。それなりに個々の人物の内面を掘り下げていけばもっと面白い“ドラマ”になるだろうに、間延びして一向に盛り上がってこない。
“海獣”がその全貌を現した後の最新の米潜水艦とのチェイスはぐいぐい読ませるが、それとて全体のバランスからして1割程度、ダイマッコウが変質化し凶暴になった理由もありきたりで妙に取って付けたようなモノだし、そもそもその悲しみが顕現化されてこないので、彼ら(ダイマッコウ、ね)に感情移入することも、人類(当事者)のエゴに怒りを覚えることもない。
“ドラマ”も不在だし、“海獣”も役不足、“環境問題”へのアプローチも物足らない、著者は書ける作家だと思うだけに残念。
物理的な技術が理論時にしっかり描かれていて、落ち着いて読めた。そして、名作古典「白鯨」を下敷きにしてロマンティックに物語を盛り上げている。悪役の狂信者は、あまりいらないキャラクターだったような気がした。
ヒロインのラストシーンが付け加わって、物語全体を重苦しさから救っている。