「これはないわ、バカミスでもしねぇよ!」という意見もございましょうが、
”余りにも……”と自分も思った上で判断します。最高です。
巽昌章氏の解説で、”謎解きの為の世界構築への発想転換”について触れられていますが、
現実から地続きの、(パラレルワールド的な)小説世界にギリギリ踏みとどまる範囲で、
最もうまいことやった作品なのでは?という気がします。
(一方、”あり得ない!”レベルで、まとめたのが「生ける屍の死」)
踏みとどまるというのは勿論ミステリー小説の中で、ということですが、
その要素の1つが、巽氏も例にあげている「獄門島」からのモチーフ拝借です。
「あぁ姉妹連続殺人ね、なんかもう使い古されてるけど、アリっちゃアリだよね~」と、
容易に話に入ってこれるように、三つ子を用意して屠り続けたのでは。
もっとも、「獄門島」を全く知らない人には通じない手ではありますが。
余りにも簡単に死人が出続けるので、比菜子(第一部でのスガル)か・・・・・
もしくは探偵が犯人じゃないの?と思った事も、どっかの時点ではありました。
一応、一部の終盤で”解決”は提示されますが。
そして第二部。
最初の犠牲者が”雪菜”だったので、「あぁ、春夏秋冬完成させるために!?」と酷い勘違いもしました(”冬”じゃないって)。
もしくは、”三つ子は殺めなくてはならない”という裏教義が存在するでは?とか。
なんだかんだで、私も和生説に傾いてましたが、度肝を抜く展開に、本を投げそうになりました。
18年後でもじわじわ効いてくる周到な手がかり・・・。何という犯人の狡知!!
”本当に真の解決かどうか作中では証明できないこと”の他に、
”探偵が来るから更に事件が起こる”という問題も孕むこの作品、
問題作の一言では済まないくらいの「問題作」にもなってると思います。
んでも、例の二十則だかに1つ付け加えて欲しいかも。
「話の途中で死んだことになってる人物が実は生きてて、その後の事件に関わらせてはならない」と(笑)。
・その他
”奏鳴曲”を読んでる途中で知った作品で、「隻眼て桐璃に関係あるのか?」とか一瞬思ったものの全然違った。
契りの前あたりはちょっと感動覚えたというのに、私もあの感動を返して欲しいクチの一人。
それでも、このエンドシーンはいいなと思いました。ちょっと救われた。
ついでに、略して”種馬”は気づいてました。
他にも二部では、静馬絡みで二箇所ほどクスッと出来、横道的にも割りと楽しい読書体験でした。
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隻眼の少女 (文春文庫 ま 32-1) 文庫 – 2013/3/8
麻耶 雄嵩
(著)
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自殺する場所を求め寒村の温泉宿を訪れた大学生の種田静馬は、村の伝説の地で起こった少女の首切り事件に遭遇する。被害者は古から村を支配するスガル様の後継者で、九年後に起こると予言される大難事に備えるべく修行をしていた。犯人の罠により殺人犯と疑われた静馬を見事な推理で救った水干姿の十八歳の隻眼の少女の名は御陵みかげ。名探偵であった亡き母、御陵みかげの遺児で、母の名を継ぐべく、元刑事の父の手ほどきで各地で探偵としての修養を積んでいた最中だった。静馬は助手見習いとして、みかげと共に被害者の琴折屋敷へ向かうが、そこでは第二第三の殺人が待ち受けていた。三つ児の三姉妹、そして父を失いながらも難事件を解決したみかげ。だが、18年後に同じ現場で18年前を再現するような悪夢が……。絶品の超絶本格ミステリー。第64回日本推理作家協会賞、第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。
- 本の長さ506ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2013/3/8
- 寸法10.7 x 2 x 15.2 cm
- ISBN-10416783846X
- ISBN-13978-4167838461
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2013/3/8)
- 発売日 : 2013/3/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 506ページ
- ISBN-10 : 416783846X
- ISBN-13 : 978-4167838461
- 寸法 : 10.7 x 2 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 82,003位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 488位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- - 1,593位文春文庫
- - 20,110位ノンフィクション (本)
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2016年1月21日に日本でレビュー済み
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2021年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
麻耶雄嵩は相変わらず図抜けている。
「こういう文章を書く人はこういう顛末は用意しないだろうな」という先入観、お約束を易々とぶち破ってくれる。
この作品を書くにあたり、作者は田園集落のガラパゴス化した風習について相当調査したフシがあるが、真相はそういう方向性とは全く別のベクトルで語られるものだった。この作品を読書中に間違って登場人物に感情移入してしまった人ほど、読了後激怒するのではないだろうか。
こういう読者の意表を突くことに心血を作家は、つい最近早坂吝が出てくるまで他に誰もいなかったように思う。
「こういう文章を書く人はこういう顛末は用意しないだろうな」という先入観、お約束を易々とぶち破ってくれる。
この作品を書くにあたり、作者は田園集落のガラパゴス化した風習について相当調査したフシがあるが、真相はそういう方向性とは全く別のベクトルで語られるものだった。この作品を読書中に間違って登場人物に感情移入してしまった人ほど、読了後激怒するのではないだろうか。
こういう読者の意表を突くことに心血を作家は、つい最近早坂吝が出てくるまで他に誰もいなかったように思う。
2021年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最後まで気を抜けません。面白いですよ。
ただ、なかなかな描写なので、覚悟して読んで下さい。
ただ、なかなかな描写なので、覚悟して読んで下さい。
2016年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、2010年に発表され、その年末の各社ミステリランキングでも上位に掲げられたうえ、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞した、という、本格ミステリ好きなら読みたくなる作品ではないかと思います。
物語は、2部構成で、第1部は、1985年の冬。
信州の寒村で、神がかり的な点で村人に崇められている琴折(ことさき)家で事件は起こった。
神的存在として代々受け継がれてきた「スガル」の後継者とされていた娘が、首を切断されるという痛ましい状況で殺されたのだ。
大学のフィールドワークと称して、村に滞在していた種田静馬は、母親を継いで探偵を目指す、隻眼の少女、御陵(みささぎ)みかげに出会い、探偵助手見習いとなる。
やがて次々と起こる惨劇。
第2部では、18年後の2003年の冬に時が移ろい、再び村で惨劇が起こるが…。
作品を取り巻く雰囲気は、横溝正史の世界。
因習に満ちた一族と、彼らを襲う、陰惨な殺人事件の連続。
おどろおどろしい物語設定に、胸を躍らせる読者も多いのではないでしょうか。
しかし、本作品の主眼は、別のところにあります。
それは、犯人が次々と偽の証拠で探偵をかく乱するという設定。
このことが原因で、探偵・みかげは、何度も誤った推理をしてしまう。
──これは、いわゆる「クイーンの後期的問題」と呼ばれるもので、たまらない魅力を秘めています。
そういう意味では、本作品は、万人受けではなく、やはり本格ミステリ好きを狙って書かれたものだと言えるでしょう。
私は、探偵と犯人のロジックを通した、一種の頭脳戦のような展開が大変面白く思いました。
また、この作者ならではの趣向も、気に入っています。
少し大人しめの結末かもしれませんが、パズラーらしい工夫が凝らされた秀作だと感じています。
物語は、2部構成で、第1部は、1985年の冬。
信州の寒村で、神がかり的な点で村人に崇められている琴折(ことさき)家で事件は起こった。
神的存在として代々受け継がれてきた「スガル」の後継者とされていた娘が、首を切断されるという痛ましい状況で殺されたのだ。
大学のフィールドワークと称して、村に滞在していた種田静馬は、母親を継いで探偵を目指す、隻眼の少女、御陵(みささぎ)みかげに出会い、探偵助手見習いとなる。
やがて次々と起こる惨劇。
第2部では、18年後の2003年の冬に時が移ろい、再び村で惨劇が起こるが…。
作品を取り巻く雰囲気は、横溝正史の世界。
因習に満ちた一族と、彼らを襲う、陰惨な殺人事件の連続。
おどろおどろしい物語設定に、胸を躍らせる読者も多いのではないでしょうか。
しかし、本作品の主眼は、別のところにあります。
それは、犯人が次々と偽の証拠で探偵をかく乱するという設定。
このことが原因で、探偵・みかげは、何度も誤った推理をしてしまう。
──これは、いわゆる「クイーンの後期的問題」と呼ばれるもので、たまらない魅力を秘めています。
そういう意味では、本作品は、万人受けではなく、やはり本格ミステリ好きを狙って書かれたものだと言えるでしょう。
私は、探偵と犯人のロジックを通した、一種の頭脳戦のような展開が大変面白く思いました。
また、この作者ならではの趣向も、気に入っています。
少し大人しめの結末かもしれませんが、パズラーらしい工夫が凝らされた秀作だと感じています。
2020年9月25日に日本でレビュー済み
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まやさんの著作では2冊目として読みました。
1冊目は『螢』を読みまして、色んな意味ですさまじく気持ち悪い思いをしましたが
こちらはまぁアリです。個人的には。
癖が凄いし、やはりなんとなく気持ち悪い読後感(特にエピローグの最後の台詞がなんとも…)ではあります。
本格ミステリとして読んではいけません。
どちらかといえばサイコホラーやサスペンスといった風情。
内容の割りに冗長と思える部分があったり、文語としてもマニアックな熟語や常用外漢字などを使ってみたり、登場人物大体メンヘラだったり
色んな意味での読みにくさがあります。
1冊目は『螢』を読みまして、色んな意味ですさまじく気持ち悪い思いをしましたが
こちらはまぁアリです。個人的には。
癖が凄いし、やはりなんとなく気持ち悪い読後感(特にエピローグの最後の台詞がなんとも…)ではあります。
本格ミステリとして読んではいけません。
どちらかといえばサイコホラーやサスペンスといった風情。
内容の割りに冗長と思える部分があったり、文語としてもマニアックな熟語や常用外漢字などを使ってみたり、登場人物大体メンヘラだったり
色んな意味での読みにくさがあります。
2018年8月13日に日本でレビュー済み
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主人公の性格とラストシーンには受け入れがたいものがありますが、ヒロインが最高です。ひどすぎます。周りにいてほしくありません。とても感動しました。
2020年5月31日に日本でレビュー済み
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人生に疲れた青年が探偵見習いの美少女と出会い田舎の村で起きた凄惨な事件を解決する第1章とその18年後の話の第2章の2部構成の推理小説。
ラノベチックな設定ですが、ラノベの設定の多くが登場人物の装飾のためなのに対し、この小説は全て事件の伏線になっています。
読了するとその設定の深さに驚かされます。
作品としての完成度は麻耶雄嵩の作品でトップだと思いますし、そのラストの衝撃は今でも推理小説の中でトップクラスだと思います。
トリックには驚きはありませんので、純本格を期待する人には合わないかもしれません。
あとラノベ好きな人、登場人物に感情移入する人は衝撃が倍増するかもしれません。
ラノベチックな設定ですが、ラノベの設定の多くが登場人物の装飾のためなのに対し、この小説は全て事件の伏線になっています。
読了するとその設定の深さに驚かされます。
作品としての完成度は麻耶雄嵩の作品でトップだと思いますし、そのラストの衝撃は今でも推理小説の中でトップクラスだと思います。
トリックには驚きはありませんので、純本格を期待する人には合わないかもしれません。
あとラノベ好きな人、登場人物に感情移入する人は衝撃が倍増するかもしれません。
2015年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本作は二部構成になっています。
一部で一度事件が解決するわけですが、嘘だ…この作者がこんなにストレートに事件を解決させて終わりなわけがない…と思った私の判断は正しかった。
読了後、相変わらずものすごいミステリーを書く方だなと改めて感動しました。面白いです。面白いけど、本格ミステリーを求め、且つこの作者の作品が初見だという方はきっと怒るだろうなと思います。
この作者はミステリー小説をよく読む方の大半が「それは反則だろ!」と思うようなことを平気で書いてしまう、いわゆる癖のある作家というやつで、それは本作でも健在だからです。
どこがどう反則なのかはネタバレなので書けませんが、作者の本をよく読む私自身、本作を読み終わったあとは「これタブーなんじゃ…」と呆然としてしまいました。
正直反則すぎて作中で真犯人が明かされる前に真犯人及びトリックがわかった読者はゼロなのではないかと思います。トリックが巧妙だとかそういう問題ではなく、それくらい酷い反則技を使ってくるのです。
この作者の作品を初めて読んだ時はこんなのアリかと目を疑ったものですが、読んでいるうちに次はどんな反則技を使ってくるのかと楽しみになってくるのだから不思議です。つまり一癖ある作者だと覚悟した上で読むとなかなか面白いのです。
物語の大部分を使用して丁寧に丁寧に積み重ねたものを最後の最後でぶち壊すのはこの作者のお家芸みたいなものですが、今回はいつも以上にぶち壊して…というより土台から叩き崩してて驚きました。
序盤のラブコメのような展開にほんわかしたり中盤の切ない展開にしんみりしたりしていた私が馬鹿みたいではないですか。最高です。これだから麻耶雄嵩はやめられません。
本作の文章自体は翼ある闇などに比べるとかなり読みやすいです。特に二部に入ってからは物語がさらに複雑怪奇な形を成すこともあり、ノンストップで読めてしまいました。
作品自体は非常に楽しめたのですが、肝心要のトリックはやや強引め、そしてミステリー小説としてはまあやっぱり反則技だよねということで間を取って☆3です。
一部で一度事件が解決するわけですが、嘘だ…この作者がこんなにストレートに事件を解決させて終わりなわけがない…と思った私の判断は正しかった。
読了後、相変わらずものすごいミステリーを書く方だなと改めて感動しました。面白いです。面白いけど、本格ミステリーを求め、且つこの作者の作品が初見だという方はきっと怒るだろうなと思います。
この作者はミステリー小説をよく読む方の大半が「それは反則だろ!」と思うようなことを平気で書いてしまう、いわゆる癖のある作家というやつで、それは本作でも健在だからです。
どこがどう反則なのかはネタバレなので書けませんが、作者の本をよく読む私自身、本作を読み終わったあとは「これタブーなんじゃ…」と呆然としてしまいました。
正直反則すぎて作中で真犯人が明かされる前に真犯人及びトリックがわかった読者はゼロなのではないかと思います。トリックが巧妙だとかそういう問題ではなく、それくらい酷い反則技を使ってくるのです。
この作者の作品を初めて読んだ時はこんなのアリかと目を疑ったものですが、読んでいるうちに次はどんな反則技を使ってくるのかと楽しみになってくるのだから不思議です。つまり一癖ある作者だと覚悟した上で読むとなかなか面白いのです。
物語の大部分を使用して丁寧に丁寧に積み重ねたものを最後の最後でぶち壊すのはこの作者のお家芸みたいなものですが、今回はいつも以上にぶち壊して…というより土台から叩き崩してて驚きました。
序盤のラブコメのような展開にほんわかしたり中盤の切ない展開にしんみりしたりしていた私が馬鹿みたいではないですか。最高です。これだから麻耶雄嵩はやめられません。
本作の文章自体は翼ある闇などに比べるとかなり読みやすいです。特に二部に入ってからは物語がさらに複雑怪奇な形を成すこともあり、ノンストップで読めてしまいました。
作品自体は非常に楽しめたのですが、肝心要のトリックはやや強引め、そしてミステリー小説としてはまあやっぱり反則技だよねということで間を取って☆3です。