第153回芥川賞を受賞した羽田圭介さんの2010年、第142回芥川賞候補になった作品です。
芥川賞受賞した作家が、他にどのような作品を書いているのだろうという興味から、本書を購入し、読んだという次第です。
主人公?のベイダーは、大学受験を失敗し、地方都市の叔父の家に居候し、予備校へ通う傍ら、
20㎞離れた建設現場でアルバイトをしていて、どちらがメインなのかわからない生活をしています。
自転車のことが出てきますが、これは著者の過去の体験から来ているのかな?
以下、ネタバレ的なことがありますから、未読の人は注意して下さい!!
同じく建設現場でバイトをする、ケンさん、ノブさん、ブヨ、、ザキさん、そして、レイラ
彼らは、今のところ、その志は別として、ベイダーのようにエリート・コースから外れた、
いわば落ちこぼれの人間の集まりだと言えます。しかし、レイラのようにバイトの傍らホストをし、金も女も既に手に入れている者もいます。
そんなベイダーが、レイラから、車検切れ寸前の黄色のビートをいらないか、と持ちかけられます。
迷った挙句、ビートを譲ってもらったベイダーですが、江の島海岸でバイクの挑発に応じて、レイラのランエボの後を追って、
いつしかアクセルを踏み、シフト・チェンジをする自分が・・・・・・・・。
今どきのある種の若者の生態を描いていると同時に、これが今の日本の若者の側面をも描いているということになるのでしょう!!
ランエボはともかく、ビートは、クルマ好きの人をくすぐる車です。
きっとベイダーは、このビートを手に入れたことで、新しい自分を手に入れそうな気がします!!
面白くないというレヴューが多いようですが、芥川賞候補作ってこんなもんでしょう!!
大江健三郎、開高健、石原慎太郎、等が輩出した時と違い、現在は、芥川賞は、あくまで作家としての第一歩目ということにすぎないのですから!
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ミート・ザ・ビート (文春文庫 は 48-1) 文庫 – 2015/9/2
羽田 圭介
(著)
新芥川賞作家、幻の名作を緊急刊行!
とある地方都市。軽自動車を手に入れた予備校生の、変わりゆく日常、そして恋。疾走する青春小説。第142回芥川賞候補作。
とある地方都市。軽自動車を手に入れた予備校生の、変わりゆく日常、そして恋。疾走する青春小説。第142回芥川賞候補作。
- 本の長さ172ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2015/9/2
- ISBN-104167904608
- ISBN-13978-4167904609
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2015/9/2)
- 発売日 : 2015/9/2
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 172ページ
- ISBN-10 : 4167904608
- ISBN-13 : 978-4167904609
- Amazon 売れ筋ランキング: - 867,752位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,638位文春文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年9月4日に日本でレビュー済み
2023年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ビートの乗り味は唯一無二。
そんなビート君が大好きです。
ビート君が出てから小説があるのを知り、読んでみましたが、まだたく面白くなく、ビート君の魅力も全く表現出来ていないと感じました。
お金と時間の無駄でした。
ビート君好きには僕はオススメ出来ません。
そんなビート君が大好きです。
ビート君が出てから小説があるのを知り、読んでみましたが、まだたく面白くなく、ビート君の魅力も全く表現出来ていないと感じました。
お金と時間の無駄でした。
ビート君好きには僕はオススメ出来ません。
2016年9月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ビートに乗り出して、小説まであるなんて知らなく、著者はなんと、今をトキメク羽田圭介さんです。本も綺麗で大変満足しました。
2015年11月26日に日本でレビュー済み
自転車で叔父の家から予備校、バイト先へと移動する主人公。それを操作しながら、風を受け、雨に打たれ、風景を楽しみ、疾走する感覚を味わう。
友人から車を譲り受けるが、母親からは、維持費に金がかかればアルバイトに勉強の時間がとられる、と忠告されるが、それを聞き入れない。結局そのとおりに車検やら自賠責やらタイヤ交換やらで金がなくなり、もっといじるためにアルバイトを増やすことになる。
しかしマニュアル車を操作する感覚を、おっかなびっくりながらも楽しむ主人公。
若者とはたいていこういうものだ。先のことなんて深く考えず、親の忠告もないがしろ、マシンや音楽といったものの感覚を楽しみ、金を必要としながら、疾走する。(物語中には数字がたくさんでてくる。たいてい速度や金のこと)
友人も、レース用に車をカスタムしたりいじったりするのに大金をかけ、あるいは一度買った売春婦に入れ込んでまた買おうとバイトを無理に増やしたり、車の運転があるにもかかわらず平然と飲酒したりと、やりたいことや目の前のことに夢中になる。道案内をしている友人が途中で他の車とバトルになって、主人公を置き去りにしたり、なんてことも。
ラストシーンで、前の車両のスピンしたタイヤのカスが降ってくる、なんて儚げな雰囲気も、若者にふさわしくて面白い。
この作者の作品はこれが一冊目だが、わりと描写が細かいな、と思った。
映画に例えれば、ハリウッドの派手な商業映画の類ではなく、ミニシネマで上映されるような味わい深いもの。
ストーリーうんぬんよりも、描写の味わいと、そこから何かを読み取るというのがこの作品の楽しみ方と思う。
友人から車を譲り受けるが、母親からは、維持費に金がかかればアルバイトに勉強の時間がとられる、と忠告されるが、それを聞き入れない。結局そのとおりに車検やら自賠責やらタイヤ交換やらで金がなくなり、もっといじるためにアルバイトを増やすことになる。
しかしマニュアル車を操作する感覚を、おっかなびっくりながらも楽しむ主人公。
若者とはたいていこういうものだ。先のことなんて深く考えず、親の忠告もないがしろ、マシンや音楽といったものの感覚を楽しみ、金を必要としながら、疾走する。(物語中には数字がたくさんでてくる。たいてい速度や金のこと)
友人も、レース用に車をカスタムしたりいじったりするのに大金をかけ、あるいは一度買った売春婦に入れ込んでまた買おうとバイトを無理に増やしたり、車の運転があるにもかかわらず平然と飲酒したりと、やりたいことや目の前のことに夢中になる。道案内をしている友人が途中で他の車とバトルになって、主人公を置き去りにしたり、なんてことも。
ラストシーンで、前の車両のスピンしたタイヤのカスが降ってくる、なんて儚げな雰囲気も、若者にふさわしくて面白い。
この作者の作品はこれが一冊目だが、わりと描写が細かいな、と思った。
映画に例えれば、ハリウッドの派手な商業映画の類ではなく、ミニシネマで上映されるような味わい深いもの。
ストーリーうんぬんよりも、描写の味わいと、そこから何かを読み取るというのがこの作品の楽しみ方と思う。
2018年12月6日に日本でレビュー済み
テレビで著者をたまに見かける(バスに乗るやつ)ので一冊読んでみた。
この本は、工事現場でバイトしている予備校生の日常をそのまま書いただけかな。東京に家がある「彼」がなぜ茨城(?)で浪人しているのかわからないが。いつひねりが来るのかなと思って読んでいたら、来なかった。
どうもビートをもらったことが「転」のようだが、名義変更の手続きのこととかを書かれても何か変わった感じはしない。仲間と江ノ島にドライブに行くのも近所のレストランに行くのも所詮同じだろう。
あと、文のリズムや言葉の選択にちょっと違和感を感じたところがあった。
この本は、工事現場でバイトしている予備校生の日常をそのまま書いただけかな。東京に家がある「彼」がなぜ茨城(?)で浪人しているのかわからないが。いつひねりが来るのかなと思って読んでいたら、来なかった。
どうもビートをもらったことが「転」のようだが、名義変更の手続きのこととかを書かれても何か変わった感じはしない。仲間と江ノ島にドライブに行くのも近所のレストランに行くのも所詮同じだろう。
あと、文のリズムや言葉の選択にちょっと違和感を感じたところがあった。
2019年10月8日に日本でレビュー済み
浪人生と同世代の男、それに風俗商売の女の子 リアルな日常風景で緻密に描かれるが少しだけ物足りない 個所箇所は現実的な表現なのだけど 違う部分では虚構を感じる 浪人生や受験生なら沁みる話かも知れないが、それは限定されすぎなような気がした
2010年4月3日に日本でレビュー済み
あー最近こういうの増えたな。
起承転結から外れてりゃあ「日常を切り取ったぜ」みたいな、勘違い小説。
その風景にビートがハマりましたか、そうですか、なめんなゴルァ。
BOOKデータベースも「誰と勝負しているのか。」とか煽ってっけどむしろまったく煽れてねえよ、自演乙だよ。
気だるさとかやり場のなさで青春の群像、みたいにまとめんのは既にもっとも安易な、典型的な手法と化しとる。
そういう流れに乗っかった24歳、ロード乗ってたんならもっとビートらしさを言葉で伝えてほしかったし、この類のフワフワ感に甘えてほしくなかった。
にしても、これ候補に挙げねばならん芥川賞の貧困よ。
起承転結から外れてりゃあ「日常を切り取ったぜ」みたいな、勘違い小説。
その風景にビートがハマりましたか、そうですか、なめんなゴルァ。
BOOKデータベースも「誰と勝負しているのか。」とか煽ってっけどむしろまったく煽れてねえよ、自演乙だよ。
気だるさとかやり場のなさで青春の群像、みたいにまとめんのは既にもっとも安易な、典型的な手法と化しとる。
そういう流れに乗っかった24歳、ロード乗ってたんならもっとビートらしさを言葉で伝えてほしかったし、この類のフワフワ感に甘えてほしくなかった。
にしても、これ候補に挙げねばならん芥川賞の貧困よ。
2011年7月5日に日本でレビュー済み
本書(羽田圭介『ミート・ザ・ビート』文藝春秋、2010年2月10日発行)は表題作と「一丁目一番地」の2篇の小説を収録した書籍である。表題作は予備校生を主人公とし、地方都市の若者の生活を描いた小説である。第142回芥川賞候補作となった。
予備校生ベイダーは自動車生活が当然という地方都市で、受験勉強しながら建設現場のアルバイトもしている。受験勉強よりもバイト仲間との交友に比重が傾きつつある生活を送っている。ホストもしているバイト仲間のレイラから軽自動車のホンダ・ビートを譲られることで彼の日常が変わっていく。
日本には一流大学を出て一流企業に就職することを目指す風潮があった。ベイダーは、そのレールに乗ることを目指している存在である。そのような固定的な価値観では、建設現場で働くフリーターであるバイト仲間は負け組である。
しかし、昼間は現場でのアルバイトで稼ぎ、夜はホストクラブで稼ぐレイラは既に金も女も手に入れている。ベイダーは「大学進学後、優良企業に就職し、金を得てから女も得るなんていう回りくどい道のり」の長さを思ってウンザリする。たとえ生涯賃金は少なくても、興味を持った仕事をぱっと始め、良いと思った女性にすぐに話しかけられる初速の速さに憧れる(17頁)。
ここには若年層の心理が見事に表れている。自分達の過去の体験でしか考えられない大人とは異なる。しかも今や一流大学を卒業しても就職できるとは限らない、一流企業に就職しても働き続けられるとは限らない時代である。勉強に目的意識を持てないとしても無理はない。大人が自分の学生時代を引き合いに出して、学生に「勉強しろ」と言ったとしても、若年層には響かないことを認識する必要がある。
同じ著者の過去の作品「走ル」は高校生が自転車で北へ向かうロード小説であった。本書に同時収録された「一丁目一番地」の主人公はジョギングする。疾走感が著者の小説の特徴になっている。本作品もビートを走らせている時の描写が細かく、クルマにかける青春小説の趣がある。
一方で日常から離れてクルマに没頭する訳でもないというところが作品世界の奥深いところである。ベイダーにとってビートはバイト仲間との交友の幅を広げるものであった。「走ル」の高校生も学校をサボって北へ向かうが、新たな出会いがある訳ではなく、高校の友人と携帯で連絡をとっている。非日常的な疾走間と繰り返される日常とのつながりという、相反する世界が同居した作品である。
予備校生ベイダーは自動車生活が当然という地方都市で、受験勉強しながら建設現場のアルバイトもしている。受験勉強よりもバイト仲間との交友に比重が傾きつつある生活を送っている。ホストもしているバイト仲間のレイラから軽自動車のホンダ・ビートを譲られることで彼の日常が変わっていく。
日本には一流大学を出て一流企業に就職することを目指す風潮があった。ベイダーは、そのレールに乗ることを目指している存在である。そのような固定的な価値観では、建設現場で働くフリーターであるバイト仲間は負け組である。
しかし、昼間は現場でのアルバイトで稼ぎ、夜はホストクラブで稼ぐレイラは既に金も女も手に入れている。ベイダーは「大学進学後、優良企業に就職し、金を得てから女も得るなんていう回りくどい道のり」の長さを思ってウンザリする。たとえ生涯賃金は少なくても、興味を持った仕事をぱっと始め、良いと思った女性にすぐに話しかけられる初速の速さに憧れる(17頁)。
ここには若年層の心理が見事に表れている。自分達の過去の体験でしか考えられない大人とは異なる。しかも今や一流大学を卒業しても就職できるとは限らない、一流企業に就職しても働き続けられるとは限らない時代である。勉強に目的意識を持てないとしても無理はない。大人が自分の学生時代を引き合いに出して、学生に「勉強しろ」と言ったとしても、若年層には響かないことを認識する必要がある。
同じ著者の過去の作品「走ル」は高校生が自転車で北へ向かうロード小説であった。本書に同時収録された「一丁目一番地」の主人公はジョギングする。疾走感が著者の小説の特徴になっている。本作品もビートを走らせている時の描写が細かく、クルマにかける青春小説の趣がある。
一方で日常から離れてクルマに没頭する訳でもないというところが作品世界の奥深いところである。ベイダーにとってビートはバイト仲間との交友の幅を広げるものであった。「走ル」の高校生も学校をサボって北へ向かうが、新たな出会いがある訳ではなく、高校の友人と携帯で連絡をとっている。非日常的な疾走間と繰り返される日常とのつながりという、相反する世界が同居した作品である。