ホラー幻想系の短編8編で120ページ、中編の「石の記憶」が158ページという構成の本です。
著者があとがきで断っておられますが、単行本未収録の作品ばかりというのは自選のオリジナル短編集に未収録という意味で、”母の死んだ家”は「七つの怖い扉」に、”なつかしい夢”は「二十四粒の宝石」に、”たすけて”は「ひと粒の宇宙」に収録されていて、”母の死んだ家”、”さむけ””マリオネット”は今は「高橋克彦自選短編集2」でも読めるということです。最初のものを読んで、どこかで読んだような気がするな・・と思ったのはそんなことからでしょう。すでに持っていらっしゃる方は重複するので注意です。
8編の短編はいかにも高橋氏らしい作品ばかりで気軽に読めます。ぞっとする怖いものもあれば、いまひとつインパクトが弱いものもありです。
また、タイトル作でメインとなる「石の記憶」ですが、結論から言うと個人的にはう~ん・・という感じでした。
土地の記憶を読むことができる特殊な能力を持つ火明継比古(ほのあかりつぐひこ)という男性、彼と作家(高橋氏本人という設定?)が2人で各地を訪ねて、読み取った記憶を記述していくというシリーズの1作目で、本当なら全都道府県を舞台に書いていくつもりだったそうです。が、掲載雑誌の廃刊で第1回のみで中断してしまったとか。1995年「野生時代」掲載作品です。
秋田県鹿角市のストーンサークルのような大湯環状列石と古代のピラミッドかもと言われている黒又山周辺が舞台。十和田湖内の火口が噴火を起こした縄文時代とおぼしき太古の昔に(十和田湖が火山の火口だなんて知りませんでした)、その時代に必死で生きた人々や、彼らが神とあがめていた宇宙人との交流を描いています。
著者には他にも独特の歴史史観を披露した伝奇小説やSFミステリがありますが、その系統に連なるものと言っていいと思います。
設定はおもしろかったのですが、人物像と人間ドラマが自分にはちょっとベタな人情ものすぎていまひとつでした。
高橋氏の本は改めて数えてみたら、ホラー、歴史もの、伝奇ものを中心にもう38冊も読んでいました。これからもお体に気をつけてずっと書いていっていただきたいです。
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石の記憶 (文春文庫 た 26-17) 文庫 – 2015/12/4
高橋 克彦
(著)
単行本未収録作品を中心に編まれた伝奇&ホラー短篇集
巨大ストーンサークルに残された太古の記憶を読み解く幻の伝奇ロマンと、「玄関の人」など傑作ホラーを集めた文庫オリジナル短篇集。
巨大ストーンサークルに残された太古の記憶を読み解く幻の伝奇ロマンと、「玄関の人」など傑作ホラーを集めた文庫オリジナル短篇集。
- 本の長さ301ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2015/12/4
- ISBN-104167905078
- ISBN-13978-4167905071
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
単行本未収録作品を中心に編まれた伝奇&ホラー短篇集
巨大ストーンサークルに残された太古の記憶を読み解く幻の伝奇ロマンと、「玄関の人」など傑作ホラーを集めた文庫オリジナル短篇集。土地の記憶を読み取る霊能力者・火明継比古により、秋田県鹿角市の大湯ストーンサークルに残された太古の記憶が解き放たれる表題作ほか、道に迷い母親が自殺した別荘に辿り着いてしまった男の恐怖を描いた「母の死んだ家」や、盛岡の裏長屋を舞台にした幽霊譚「玄関の人」など、珠玉の伝奇&ホラー作品集。霊能力者・火明継比古により秋田県鹿角市の大湯ストーンサークルに残された太古の記憶が解き放たれる。表題作など、珠玉の伝奇&ホラー作品集、文庫オリジナルで登場。
巨大ストーンサークルに残された太古の記憶を読み解く幻の伝奇ロマンと、「玄関の人」など傑作ホラーを集めた文庫オリジナル短篇集。土地の記憶を読み取る霊能力者・火明継比古により、秋田県鹿角市の大湯ストーンサークルに残された太古の記憶が解き放たれる表題作ほか、道に迷い母親が自殺した別荘に辿り着いてしまった男の恐怖を描いた「母の死んだ家」や、盛岡の裏長屋を舞台にした幽霊譚「玄関の人」など、珠玉の伝奇&ホラー作品集。霊能力者・火明継比古により秋田県鹿角市の大湯ストーンサークルに残された太古の記憶が解き放たれる。表題作など、珠玉の伝奇&ホラー作品集、文庫オリジナルで登場。
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2015/12/4)
- 発売日 : 2015/12/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 301ページ
- ISBN-10 : 4167905078
- ISBN-13 : 978-4167905071
- Amazon 売れ筋ランキング: - 537,396位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 6,714位文春文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1947年、岩手県に生まれる。早稲田大学商学部卒。
美術館勤務を経て、1983年『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞を受賞。その後、1986年『総門谷』で吉川英治文学新人賞、1987年『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、1992年『緋い記憶』で直木賞を受賞。
著書に『広重殺人事件』『竜の柩』『炎立つ』など多数。また、浮世絵研究家としても知られ『浮世絵鑑賞事典』がある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年8月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
氏の作品は東北を舞台として歴史小説が有名ですが、「母の死んだ家」を読んで流石はミステリー作家だなと唸ってしまいました。伏線の回収が秀逸で短編小説でありながらも非常に読み応えがありました。タイトルでもある「石の記憶」については、大湯ストーンサークルを舞台としたSFチックな物語です。こちらについては、「石の記憶」だけの内容だと単なる歴史SFに思えますが、「龍の柩」と併せて読むと(賛否分かれると思いますが)氏の壮大な歴史観が理解出来ると思います。
2016年8月1日に日本でレビュー済み
秋田県の大湯ストーンサークルを巡る歴史を霊能力者の力を借りて解きあかしていくというSFともファンタジーともつかない仕立て方で描いた作品。十和田湖の噴火と絡めてその土地に秘められた謎を解きあかしていくストーリーはそれなりに面白く読めた。しかし、ストーンサークルに宇宙人介在の説があるからって、もろに空飛ぶ円盤や宇宙人を登場させるってあまりにもベタに過ぎないか!?
この作品、「日本繚乱」と題した連載形式で、47都道府県毎に、書き連ねる最初の秋田県編だったのだけど、連載媒体の雑誌が休刊になってしまって、この一遍だけで終わってしまったらしい。う~む。せめて作者と縁の深い東北6県だけでも書き続けてほしかったなぁ。
この作品、「日本繚乱」と題した連載形式で、47都道府県毎に、書き連ねる最初の秋田県編だったのだけど、連載媒体の雑誌が休刊になってしまって、この一遍だけで終わってしまったらしい。う~む。せめて作者と縁の深い東北6県だけでも書き続けてほしかったなぁ。
2016年8月1日に日本でレビュー済み
壮大な東北の想像力が感じられなかった。
有史以前を想像することは、SFでしかなくなってしまう。
やはりここまでさかのぼらない方が良かった。
有史以前を想像することは、SFでしかなくなってしまう。
やはりここまでさかのぼらない方が良かった。
2015年12月11日に日本でレビュー済み
表題作他九編の未収録作品が並んでいます。
特に表題作は、そのうちの半分を占める中編です。
「解説」で、この作品の生まれた経緯が述べられていますが、「日本繚乱」というシリーズの第一作として書かれたもので、その後、掲載雑誌がなくなってしまい一作しか書かれなかったものだそうです。
この作品は、秋田県の鹿角市のストーンサークルをテーマに、そこに記憶された創世記時代の物語を描いています。
作者得意の作品群ですが、そこには大自然の驚異と人間の微力さが描かれています。
そこには、恐ろしいまでの自然の力と美しさがあり、その中で微力ながら知恵で生き抜く人間たちの逞しさがあります。
このシリーズの目標は、各県一作だったようですが、当初の構想のまま実現していたら、各県の伝承が物語として蘇り、素晴らしい作品群になったように思います。
残念です。
特に表題作は、そのうちの半分を占める中編です。
「解説」で、この作品の生まれた経緯が述べられていますが、「日本繚乱」というシリーズの第一作として書かれたもので、その後、掲載雑誌がなくなってしまい一作しか書かれなかったものだそうです。
この作品は、秋田県の鹿角市のストーンサークルをテーマに、そこに記憶された創世記時代の物語を描いています。
作者得意の作品群ですが、そこには大自然の驚異と人間の微力さが描かれています。
そこには、恐ろしいまでの自然の力と美しさがあり、その中で微力ながら知恵で生き抜く人間たちの逞しさがあります。
このシリーズの目標は、各県一作だったようですが、当初の構想のまま実現していたら、各県の伝承が物語として蘇り、素晴らしい作品群になったように思います。
残念です。
2018年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
阿弖流為や蝦夷の闘いを描く歴史長編等で高橋氏の作品に触れ、期待して読みました。
本作はミステリー系の短編集という事になると思いますが、正直がっかりです。
まだ二編しか読んでませんが「オチ」が呆気なく「えっ、それで終わり?」という感じです。
なかなか三編目以降を読む気にもなれません・・・
ようやく最終作品「石の記憶」に辿り着くと、やはり高橋作品。長編とはいきませんが、読み応えあり!ヤッパリ楽しませて頂きました。
本作はミステリー系の短編集という事になると思いますが、正直がっかりです。
まだ二編しか読んでませんが「オチ」が呆気なく「えっ、それで終わり?」という感じです。
なかなか三編目以降を読む気にもなれません・・・
ようやく最終作品「石の記憶」に辿り着くと、やはり高橋作品。長編とはいきませんが、読み応えあり!ヤッパリ楽しませて頂きました。