最後の方まで追っていた犯人と思われた人物が実は亡くなって
いたなんて全く分からなかった。でもこの事が事件の解明に
大きく前進した。これだからミステリー小説は止められない。
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萩原朔太郎の亡霊 (徳間文庫 156-1) 文庫 – 1987/2/1
内田 康夫
(著)
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日1987/2/1
- ISBN-104195682274
- ISBN-13978-4195682272
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登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (1987/2/1)
- 発売日 : 1987/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 318ページ
- ISBN-10 : 4195682274
- ISBN-13 : 978-4195682272
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,326,087位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1934年、東京都北区生まれ。コピーライターなどを経て、1980年、自費出版で『死者の木霊』を発表。この作品が、「朝日新聞」の読書欄に取り上げら れ、自費出版としては異例の注目を浴び、鮮烈なデビューを飾る。その後、『後鳥羽伝説殺人事件』で、後に国民的名探偵となる浅見光彦をうみだし、押しも押 されもせぬ人気推理作家となる。浅見光彦シリーズは『棄霊島』で光彦100事件目を迎えた。また、同シリーズはドラマ化もされお茶の間でも人気の存在に(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 靖国への帰還 (ISBN-13: 978-4061827288 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年4月21日に日本でレビュー済み
第1作「死者の木霊」では脇役だった岡部警部が今回は打って変わって堂々と主役を務める内田康夫氏の第4作ですね。本書は最初の殺人発見のシーンがあの有名な「犬神家の一族」の水から足が突き出している場面が思い出されて誠にインパクトのある衝撃的な見立て殺人テーマの秀作ではあるのですが、やはり日本人の感性としては私にはこの犯行の手口があまりにも酷すぎて好きになれませんでしたね。
ブン屋さんが「オブジェ殺人事件」と名付けた異様な他殺死体は、実は萩原朔太郎の詩を模した物だった。事件を捜査する警視庁捜査一課の岡部警部は、被害者上野の過去を探る内に三十年前の殺人事件と容疑者らしき人物が浮上するのだが、やがて第2、第3の殺人が起きてしまうのだった。
著者はここまで殺人動機を犯人にとっての邪魔者の始末といったパターンで書いて来られましたが、この第4作でそういったものとは完全に別次元の複雑な手口を描いて見せて格段の進歩を遂げられているなと思いますし、萩原朔太郎の詩を見立て殺人に利用する秀逸さは独創的な閃きが感じられるのですが、何と言っても内容的に陰鬱である事や残酷無比な犯人の割り切りがどうにも許せない卑劣さで単なるフィクションとは言え怒りが後を引いてしまいましたね。それに関連して少し残念なのは最初の被害者二人の遺族の怒りや悲しみが書かれていない点が何だか薄情にも思えましたね。本書のメイン・トリックは外国のミステリーではお馴染みのものなのですが、遠い国の出来事として読むのと日本を舞台にした事件として読むのでは明らかにインパクトが違うと言うのが正直な感想で、多分にそれが私の嫌悪感に繋がっているのでしょうね。それから何と言っても元刑事の須貝が事件に疑惑を抱きながら黙して警察に打ち明けずにいた態度が情けなかったですよね。彼の態度が事件の解決を遅らせたと見るべきで、早ければ早い程に岡部警部が真犯人に先んじて他の可能性にも気づく事が出来たのではないかとも思えますからね。さて、岡部警部はやはり直感型の天才名探偵であまりにも出来過ぎのシナリオには懐疑の念を抱く柔軟さがありますし、これはと目星を付けた犯人逮捕に向ける粘りと執念は素晴らしくてもう手放しで感嘆するしかないですね。それから前作では省略されていた家庭人としての顔も読ませて頂けた事にホッとしましたね。また想像力には欠けるけれど実直な神谷刑事と岡部警部とのコンビのやり取りも相性が良く中々に楽しめましたね。最後に100%素直には肯けませんが、岡部警部が悪人に向けた温情の言葉にはやや心を和ませるものがありましたし、それは即ち不幸を見るのはもうこれ以上たくさんだと願う著者自身の優しさだったのでしょうね。
ブン屋さんが「オブジェ殺人事件」と名付けた異様な他殺死体は、実は萩原朔太郎の詩を模した物だった。事件を捜査する警視庁捜査一課の岡部警部は、被害者上野の過去を探る内に三十年前の殺人事件と容疑者らしき人物が浮上するのだが、やがて第2、第3の殺人が起きてしまうのだった。
著者はここまで殺人動機を犯人にとっての邪魔者の始末といったパターンで書いて来られましたが、この第4作でそういったものとは完全に別次元の複雑な手口を描いて見せて格段の進歩を遂げられているなと思いますし、萩原朔太郎の詩を見立て殺人に利用する秀逸さは独創的な閃きが感じられるのですが、何と言っても内容的に陰鬱である事や残酷無比な犯人の割り切りがどうにも許せない卑劣さで単なるフィクションとは言え怒りが後を引いてしまいましたね。それに関連して少し残念なのは最初の被害者二人の遺族の怒りや悲しみが書かれていない点が何だか薄情にも思えましたね。本書のメイン・トリックは外国のミステリーではお馴染みのものなのですが、遠い国の出来事として読むのと日本を舞台にした事件として読むのでは明らかにインパクトが違うと言うのが正直な感想で、多分にそれが私の嫌悪感に繋がっているのでしょうね。それから何と言っても元刑事の須貝が事件に疑惑を抱きながら黙して警察に打ち明けずにいた態度が情けなかったですよね。彼の態度が事件の解決を遅らせたと見るべきで、早ければ早い程に岡部警部が真犯人に先んじて他の可能性にも気づく事が出来たのではないかとも思えますからね。さて、岡部警部はやはり直感型の天才名探偵であまりにも出来過ぎのシナリオには懐疑の念を抱く柔軟さがありますし、これはと目星を付けた犯人逮捕に向ける粘りと執念は素晴らしくてもう手放しで感嘆するしかないですね。それから前作では省略されていた家庭人としての顔も読ませて頂けた事にホッとしましたね。また想像力には欠けるけれど実直な神谷刑事と岡部警部とのコンビのやり取りも相性が良く中々に楽しめましたね。最後に100%素直には肯けませんが、岡部警部が悪人に向けた温情の言葉にはやや心を和ませるものがありましたし、それは即ち不幸を見るのはもうこれ以上たくさんだと願う著者自身の優しさだったのでしょうね。
2020年4月6日に日本でレビュー済み
もう内田先生の新作が出ないので、ぼつぼつと初期のものから読み返しています。幸か不幸か内容をすっかり忘れていて二度楽しめるものもあり(笑)、この作品も、自分でも情けないことに読み終わるまでとうとう内容が思い出せませんでした。
先日、初読だった「シーラカンス殺人事件」も同様でしたが、この作品も意外に硬派で真っ当なミステリだったのにびっくりしました。もしかしたら後年の浅見光彦ものよりしっかりした構成かもしれません。内田先生は、全体のプロットを立てずに、出だしから思いつきでいきなり書き始めることで有名ですが、たいてい、読んでいる途中で「これは無理やりくっつけたな・・・」という部分が出てきて、それもまた愛嬌ということが多かったのですが、初期作品の方がそういうご都合主義が見当たりません。デビュー後まだ4作目で、広告代理店経営をやめて作家専業になった初作品というので、余計に気合が入っていたのかもしれません。
萩原朔太郎といえば短編小説の”猫町”くらいしか知らず、詩は読んだことがなかったのですが、変わった雰囲気のものが多かったのですね。その影響かこの作品もどこか異様な雰囲気に満ちています。とある事件がきっかけで、最後はホームレスにまで落ちてしまった人物の運命が理不尽で悲しいです。実は、途中で真相と犯人はわかってしまったのですが、それでもなかなかひねったストーリーだと思いました。
この作品は岡部警部もので、後にミステリ・ドラマで高橋克彦さんや松村雄基さんが主演されましたが、めずらしく岡部の家庭でのプライベートシーンが出てきて、どんな顔をして父親をやっているのかがわかっておもしろかったです。また、しっかり旅情ミステリにもなっていて、特に山形県酒田市には行ってみたくなりました。
これからも旧作を再発掘していきたいです。
先日、初読だった「シーラカンス殺人事件」も同様でしたが、この作品も意外に硬派で真っ当なミステリだったのにびっくりしました。もしかしたら後年の浅見光彦ものよりしっかりした構成かもしれません。内田先生は、全体のプロットを立てずに、出だしから思いつきでいきなり書き始めることで有名ですが、たいてい、読んでいる途中で「これは無理やりくっつけたな・・・」という部分が出てきて、それもまた愛嬌ということが多かったのですが、初期作品の方がそういうご都合主義が見当たりません。デビュー後まだ4作目で、広告代理店経営をやめて作家専業になった初作品というので、余計に気合が入っていたのかもしれません。
萩原朔太郎といえば短編小説の”猫町”くらいしか知らず、詩は読んだことがなかったのですが、変わった雰囲気のものが多かったのですね。その影響かこの作品もどこか異様な雰囲気に満ちています。とある事件がきっかけで、最後はホームレスにまで落ちてしまった人物の運命が理不尽で悲しいです。実は、途中で真相と犯人はわかってしまったのですが、それでもなかなかひねったストーリーだと思いました。
この作品は岡部警部もので、後にミステリ・ドラマで高橋克彦さんや松村雄基さんが主演されましたが、めずらしく岡部の家庭でのプライベートシーンが出てきて、どんな顔をして父親をやっているのかがわかっておもしろかったです。また、しっかり旅情ミステリにもなっていて、特に山形県酒田市には行ってみたくなりました。
これからも旧作を再発掘していきたいです。
2006年6月21日に日本でレビュー済み
内田康夫の4作目は、萩原朔太郎の詩に描かれた通りに殺人が起きるという、いわゆるマザーグース殺人を扱いながらも、デビュー作『死者の木霊』を思わせるような社会派的な面も持った作品となりました。30年前に起きた事件に端を発する復讐劇という設定は、横溝正史が好きな人なら涎ものですね。但し、前作で初登場した浅見光彦は本作には登場しません。代わって探偵役として活躍するのは30年前の事件に関わった為に刑事を辞めた須貝国男と、『死者の木霊』でも活躍した岡部和雄警部です。但し、須貝は後半で存在感が薄くなってしまうところがちょっと残念です。
本来はつまらない事件が、犯人によるミスリーディングのおかげでわくわくするような事件の衣をまとっただけという感がなきにしもあらずなのですが、読んでいる間はそれなりに楽しめます。
本来はつまらない事件が、犯人によるミスリーディングのおかげでわくわくするような事件の衣をまとっただけという感がなきにしもあらずなのですが、読んでいる間はそれなりに楽しめます。