電子書籍では、表紙ががらっと変わって天井絵のような構図になってて美しい。
ラストに絵巻物のような状態で再びこのイラストが見れるあたりがいいかんじ。
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黒十字サナトリウム ハードカバー – 2008/9/17
中里 友香
(著)
第9回日本SF新人賞受賞作
本の雑誌(10月号)の書評で「新人賞選考会では『ポーの一族』も引き合いに出された、独自の文体と強い作家性を持つ作品である。」と紹介されました。
梶原教授は、ある朝自分が狂人であることに気づいた。自分が狂人であることを知る唯一の人間飯塚を殺害すると、自殺するために大陸へと渡る。教授の目的地は、かつて傷を負った日露戦争の戦場の霧の原野だった。満蒙の枯野をさすらう教授は、やがて黒十字療養所にたどり着く。療養所には、美少女人形のような看護婦や肺を患う日欧ハーフ青年、双子の妹を守るために母親と医師を殺害した東欧の青年が暮らしていた。彼らはいずれも自らを異形や妖怪だと思い込んでいた。さらに療養所の院長は、『処刑されたキリストの復活した肉体は吸血鬼だ』という説に基づく論文を書いていた。療養所の住人にはもう一つ共通点があった。いずれもレネィ、エリーナ、レイナという美女と接点があったのだ。春が近づき、復活祭が祝われた時、療養所をめぐる様々な謎が解き明かされることとなる。
本の雑誌(10月号)の書評で「新人賞選考会では『ポーの一族』も引き合いに出された、独自の文体と強い作家性を持つ作品である。」と紹介されました。
梶原教授は、ある朝自分が狂人であることに気づいた。自分が狂人であることを知る唯一の人間飯塚を殺害すると、自殺するために大陸へと渡る。教授の目的地は、かつて傷を負った日露戦争の戦場の霧の原野だった。満蒙の枯野をさすらう教授は、やがて黒十字療養所にたどり着く。療養所には、美少女人形のような看護婦や肺を患う日欧ハーフ青年、双子の妹を守るために母親と医師を殺害した東欧の青年が暮らしていた。彼らはいずれも自らを異形や妖怪だと思い込んでいた。さらに療養所の院長は、『処刑されたキリストの復活した肉体は吸血鬼だ』という説に基づく論文を書いていた。療養所の住人にはもう一つ共通点があった。いずれもレネィ、エリーナ、レイナという美女と接点があったのだ。春が近づき、復活祭が祝われた時、療養所をめぐる様々な謎が解き明かされることとなる。
- 本の長さ364ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2008/9/17
- ISBN-104198625972
- ISBN-13978-4198625979
登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2008/9/17)
- 発売日 : 2008/9/17
- 言語 : 日本語
- ハードカバー : 364ページ
- ISBN-10 : 4198625972
- ISBN-13 : 978-4198625979
- Amazon 売れ筋ランキング: - 223,838位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年3月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品はハイレベルです。難しいという意味じゃありません。
正直、ここまで表現力のある作家さんは、個人的になかなかいきあたりません。。
「吸血鬼」のような空想世界の存在をテーマにしていながら、緻密な情景描写、間接的な心理描写など縦横無尽の表現力で、あたかもリアルに体験しているような錯覚さえ覚えます。
吸血鬼だから、空想だからという強引さは一切感じませんでした。
作者さんの視点が、こだわりや信念によって固定されていないのか、とにかく痛快に言葉が綴られていきます。
ネタばれになるので具体的に言えないのがもどかしいですが、章によっては想像力だけで構築されたとは思えないくらいのリアリティを体験しました。このリアリティから感じたのは、文章力だけではなし得ない、作者さんの人間としての体験の幅広さのようなもの、またそれらの体験によって習得した人間心理の熟知感のようなものです。それが底流にあり、さらにセンスのよい、時にアバンギャルドに感じるくらいの言葉の使い方と相まって、説得力あるリアリティ世界の実現に繋がっている、そんな気がしました。
時には陰鬱な寒々しい町、時には雨のそぼ降る郊外、そして雪深い村など・・様々なシーンで、「あ、過去にこれに似た体験してるかも」と思ってしまうほど、その場の臨場感に浸れ、大げさにいえば文章表現の新たな可能性・・を感じましたね。
なお、吸血鬼のエンターテイメントというとハリウッド映画のようなアクション気味のものを想像しがちですが、この作品はちょっと方向性が違います。しっとりとした世界感の中で展開していき、それでいてドキドキ感も十分に盛り込まれ、何気なく読むだけで十分に楽しめました。
正直、ここまで表現力のある作家さんは、個人的になかなかいきあたりません。。
「吸血鬼」のような空想世界の存在をテーマにしていながら、緻密な情景描写、間接的な心理描写など縦横無尽の表現力で、あたかもリアルに体験しているような錯覚さえ覚えます。
吸血鬼だから、空想だからという強引さは一切感じませんでした。
作者さんの視点が、こだわりや信念によって固定されていないのか、とにかく痛快に言葉が綴られていきます。
ネタばれになるので具体的に言えないのがもどかしいですが、章によっては想像力だけで構築されたとは思えないくらいのリアリティを体験しました。このリアリティから感じたのは、文章力だけではなし得ない、作者さんの人間としての体験の幅広さのようなもの、またそれらの体験によって習得した人間心理の熟知感のようなものです。それが底流にあり、さらにセンスのよい、時にアバンギャルドに感じるくらいの言葉の使い方と相まって、説得力あるリアリティ世界の実現に繋がっている、そんな気がしました。
時には陰鬱な寒々しい町、時には雨のそぼ降る郊外、そして雪深い村など・・様々なシーンで、「あ、過去にこれに似た体験してるかも」と思ってしまうほど、その場の臨場感に浸れ、大げさにいえば文章表現の新たな可能性・・を感じましたね。
なお、吸血鬼のエンターテイメントというとハリウッド映画のようなアクション気味のものを想像しがちですが、この作品はちょっと方向性が違います。しっとりとした世界感の中で展開していき、それでいてドキドキ感も十分に盛り込まれ、何気なく読むだけで十分に楽しめました。
2008年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
初めの1/3は難しくてなかなか進みませんでしたが途中からはぐいぐい引き込まれていきました。 細かい歴史背景、キリスト教、哲学、伝説をうまく組み合わせています。 作家自身が哲学専攻、アメリカへの留学経験もあることからかちょっとソフィーの世界を思い出すような哲学をところどころに織り込んでいます。 キリスト教のことなどかなりリサーチして書いているのかありきたりの吸血鬼のお話ではなくかなり深いお話に仕上がっています。
SF好きによりはミステリー、吸血鬼、美少年好きの方にお勧めです。
SF好きによりはミステリー、吸血鬼、美少年好きの方にお勧めです。
2013年10月28日に日本でレビュー済み
絶版で中古価格が高い。
電子書籍で買ったほうが中古本よりお買い得です(1680円)。
BookLive!
Digital e-hon
eBookJapan
GALAPAGOS STORE
Neowing
ソニー Reader Store
紀伊國屋Kinoppy
東芝BookPlace
ひかりTVブック
いろんなところで電子版で出てるので、アマゾンさんもKindle化をしてください。
(2016年追記)
→ついにKindle化されましたね!
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(2016年追記)
→ついにKindle化されましたね!
2008年9月24日に日本でレビュー済み
この作品がなぜ「SF」で新人賞をとったのか、ずっと不思議に思いながら読んでいると、最後の最後で、あっと言わされてしまいました。
あんなにヒントが出ていてどこかで気づくはずだったのに、と悔しいくらいです。
逆にいえば、最後までの内容は「SF」らしくありません。宇宙が出てくるわけでも、科学を駆使しているわけでもないし…。
しかも、2段組で漢字多くてとっつきにくそう…なんですが、話は面白くてぐいぐいと引っ張られるように読めます。色んな登場人物の視点から話が進んで、短編集みたいなつくり。最後にその短編がびしっと結末に繋がります。2回読むと伏線がいっぱいあって、ああそうかそうかと思いました。
特筆すべきはなんといっても独特な文章の美しさ。「稲光がまたたくみたいな美しい恐怖」とか、普通言わないけど、確かに稲光って綺麗だけど怖くもあるなあ、と納得しちゃいます。また、後半で鏡屋が「クリスタルグラスアイスムーン」という鏡を作るのですが、この場面は全体が詩みたいに美しい!
久しぶりに文章も楽しめる本だなと思いました。
長編好き、萩尾望都好きには特にオススメです。SF好きのヒトは推理小説のようにオチを探しながら読むのも楽しめると思います。
あんなにヒントが出ていてどこかで気づくはずだったのに、と悔しいくらいです。
逆にいえば、最後までの内容は「SF」らしくありません。宇宙が出てくるわけでも、科学を駆使しているわけでもないし…。
しかも、2段組で漢字多くてとっつきにくそう…なんですが、話は面白くてぐいぐいと引っ張られるように読めます。色んな登場人物の視点から話が進んで、短編集みたいなつくり。最後にその短編がびしっと結末に繋がります。2回読むと伏線がいっぱいあって、ああそうかそうかと思いました。
特筆すべきはなんといっても独特な文章の美しさ。「稲光がまたたくみたいな美しい恐怖」とか、普通言わないけど、確かに稲光って綺麗だけど怖くもあるなあ、と納得しちゃいます。また、後半で鏡屋が「クリスタルグラスアイスムーン」という鏡を作るのですが、この場面は全体が詩みたいに美しい!
久しぶりに文章も楽しめる本だなと思いました。
長編好き、萩尾望都好きには特にオススメです。SF好きのヒトは推理小説のようにオチを探しながら読むのも楽しめると思います。