映画は有名だけれど、原作である書籍ももっと注目を浴びてもいいと思う。
詩人の口から紡がれる言葉は、紙の上でこそ輝きを増すのかもしれない、と思う。
映画ではイタリアの美しい島で出会う郵便配達人と亡命した詩人が、
原作では祖国チリで出会う。互いにチリ人。チリを舞台にした物語。
時代の波に翻弄されながらも、故郷を愛し、私たち読者に、
チリという国、ひいては読者それぞれの祖国の美しさを伝えてくれる
極上の言葉たち。結末も全く違うけれど、ただの恋愛物語・友情物語に
終わっていない原作のほうが、私はより好きです。
よせる波にも、岩にぶつかる風にも、胎内の鼓動にも命が宿る。
詩に携わる人々が「霊感」と呼ぶ何かが、身近に感じられる１冊です。
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