かつての日産は独裁的な経営者と独裁的な労働組合のトップが君臨する会社であった。日産リバイバルという名の下にその体制を放擲し、日本的ではない冷徹な外国人経営者を招き、V字回復を行った。しかしながら、体質的には外国人経営者が再び独裁的となり、同じ轍を踏むことになった。
このような日産の体質を過去に遡って見るには絶好の書物と思われるが、すこし古い話なので星3つです。
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労働貴族 (徳間文庫 た 15-20) 文庫 – 2005/8/1
高杉 良
(著)
自動車労連会長・塩路一郎。「天皇」と恐れられ、豪華クルーザーで遊び、愛人を囲う。日産の英国進出に反対し、外交問題にまでしてしまった労働貴族だ。なぜ彼はそんな存在になりえたのか? 企業にとって労働組合、労働協調とは何か? 圧倒的な筆致で描いたドキュメント小説。
- 本の長さ261ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2005/8/1
- ISBN-10419892290X
- ISBN-13978-4198922900
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登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2005/8/1)
- 発売日 : 2005/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 261ページ
- ISBN-10 : 419892290X
- ISBN-13 : 978-4198922900
- Amazon 売れ筋ランキング: - 719,126位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1939年東京生まれ。
石油化学業界紙の記者、編集長を経て、75年『虚構の城』で作家デビュー。以後、『小説 日本興業銀行』をはじめ、綿密な取材に裏打ちされた企業・経済小説を次々に発表し注目を集める。
97年、書き下ろし作品『金融腐蝕列島』で銀行不祥事を暴き、以降、『再生 続・金融腐蝕列島』『混沌 新・金融腐蝕列島』『消失 金融腐蝕列島・完結編』と続く一連のシリーズは、金融大再編を描く壮大な平成金融経済史となり、スピンオフ的に書かれた『呪縛 金融腐蝕列島Ⅱ』は銀行と裏社会との癒着を告発、映画化されて話題を呼んだ。近年の代表作は『小説ザ・外資』『乱気流 小説・巨大経済新聞』、近著は『挑戦 巨大外資』『反乱する管理職』など。「高杉良経済小説全集」(全15巻)がある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年5月16日に日本でレビュー済み
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労使問題には全くの素人ながら、なんでこんなことになってしまったのかと呆れてしまう。
労使協調という名の馴れ合いがまったく無意味ではないにしても、塩路天皇のような怪物を育てる結果になり、経営者が経営判断を下せなくなるという異常事態を招いていく。塩路個人の問題のようにもとれるが、共産主義国家のリーダーが誰もが”人民“の暮らしを顧みず、裕福な暮らしをしているのを見ると構造的な問題と思えてしまう。
また、川又会長の優柔不断ぶりが際立つし、怪物を育ててしまった主な原因が自分である認識も足りていない。そもそも会長という役職の機能は何なのだろう。権力の二重構造を作り、総無責任体制を招くだけではないか。
石原社長も我慢の人でとても剛腕とはいえない。これではしがらみのない、合理的な考えに基づくカルロス・ゴーンのような人物でなければ改革はできなかっただろう。しかしそのゴーンさんが塩路天皇のようになってしまうところに権力の魔力が見て取れ面白い。
ところで、日産における権力者とクルーザーの親和性はなぜ高いのか?
労使協調という名の馴れ合いがまったく無意味ではないにしても、塩路天皇のような怪物を育てる結果になり、経営者が経営判断を下せなくなるという異常事態を招いていく。塩路個人の問題のようにもとれるが、共産主義国家のリーダーが誰もが”人民“の暮らしを顧みず、裕福な暮らしをしているのを見ると構造的な問題と思えてしまう。
また、川又会長の優柔不断ぶりが際立つし、怪物を育ててしまった主な原因が自分である認識も足りていない。そもそも会長という役職の機能は何なのだろう。権力の二重構造を作り、総無責任体制を招くだけではないか。
石原社長も我慢の人でとても剛腕とはいえない。これではしがらみのない、合理的な考えに基づくカルロス・ゴーンのような人物でなければ改革はできなかっただろう。しかしそのゴーンさんが塩路天皇のようになってしまうところに権力の魔力が見て取れ面白い。
ところで、日産における権力者とクルーザーの親和性はなぜ高いのか?
2012年11月4日に日本でレビュー済み
大変面白かった。作品紹介は次のとおり。綿密な取材の積み重ねと作家の洞察が鋭く抉り出す落ちた偶像・塩路一郎氏の真実。労働者の間では「天皇」として恐れられ、「会社の発展」をめざすこと社長以上という、豪華クルーザーで美女と過ごし愛人を囲う「委員長」とは何か?何が彼をそうさせ、誰がそれを許したのか?その疑問を解く独自の記録小説。
一般文学通算797作品目の読書完。2012/08/02
一般文学通算797作品目の読書完。2012/08/02
2019年2月17日に日本でレビュー済み
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当時、リアルタイムで(別の単組ではあるが)組合の役員をしていたこともあり興味深く読んだ。石原社長はさておき、塩路、川又各氏の人物像への掘り下げが浅く、ドキュメントの進行が時系列的に行ったり来たりして読み難い部分が作品への感情移入を阻害する要因になっている。
昨今問題となっているルノーと日産のアライアンスだが、この本を読んで何かヒントになることがあるか?と思ったが、日産の企業風土も大きく変化してしまい表題の通りだと思う。
昨今問題となっているルノーと日産のアライアンスだが、この本を読んで何かヒントになることがあるか?と思ったが、日産の企業風土も大きく変化してしまい表題の通りだと思う。
2006年12月23日に日本でレビュー済み
かつて日産の労組のトップとして君臨した塩路一郎が、経営判断さえ支配するほど影響力を持った後に失墜していくまでの姿を「英国プロジェクト」の一件が中心に描かれています。
労組がかつて持っていた絶大な影響力の魑魅魍魎さに触れていますが、一方で御用組合だらけの昨今の現状で、経営側と組合側がいかに距離を保ちながら関係を築いていくか考える恰好の材料を提供している気がします。
労組がかつて持っていた絶大な影響力の魑魅魍魎さに触れていますが、一方で御用組合だらけの昨今の現状で、経営側と組合側がいかに距離を保ちながら関係を築いていくか考える恰好の材料を提供している気がします。
2016年5月28日に日本でレビュー済み
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「実名」による「小説」(フィクション)とは、言語矛盾ではないか!! と思う。一種のまやかしかもしれない。
にもかかわらず、30年近く前にこの本を読み、「労働貴族」とされた某労連会長について、「実名」ゆえに、事実とは異なる認識をもったかもしれないと思う。
事実は、当該企業の経営戦略やそれに関する労使関係の詳細な実証研究(例えば「労働組合の職場規制―日本自動車産業の事例研究」1994/2 )などをみるかぎり、違っていたのではないか。正義と悪の対比を意図的に、事実とはことなるかたちで描いたことを「小説」というタイトルによって言い訳にしたのではないだろうか。
このような手法が許容され.ていることは仕方ないとして、自動車産業の有力企業の経営戦略の問題や、当時の当該企業の労働組合が果たしていたと思われる経営参加の王道といってもよい活動が否定されてはならないだろう。
改めて読み返してみて、「実名小説」というジャンルのきわどさを感じている。この「小説」は「実名」をあげてはいても、「事実」異なる(それもかなり変面的な)「フィクション」だということを意識していただければとおもう。
にもかかわらず、30年近く前にこの本を読み、「労働貴族」とされた某労連会長について、「実名」ゆえに、事実とは異なる認識をもったかもしれないと思う。
事実は、当該企業の経営戦略やそれに関する労使関係の詳細な実証研究(例えば「労働組合の職場規制―日本自動車産業の事例研究」1994/2 )などをみるかぎり、違っていたのではないか。正義と悪の対比を意図的に、事実とはことなるかたちで描いたことを「小説」というタイトルによって言い訳にしたのではないだろうか。
このような手法が許容され.ていることは仕方ないとして、自動車産業の有力企業の経営戦略の問題や、当時の当該企業の労働組合が果たしていたと思われる経営参加の王道といってもよい活動が否定されてはならないだろう。
改めて読み返してみて、「実名小説」というジャンルのきわどさを感じている。この「小説」は「実名」をあげてはいても、「事実」異なる(それもかなり変面的な)「フィクション」だということを意識していただければとおもう。
2002年1月7日に日本でレビュー済み
現在の好調日産と対照的な本である。
労使協調という名のもとに組合は経営に口を挟み、経営側もそれをよしと
するだけでなく、組合トップに過剰なまでの権力を与え、相互に利用し
利用されるという、奇妙な会社へと変質していたのが70年代、80年代の
日産である。その日産の膿であった「塩路天皇」と経営トップを克明に
書き出した一冊。
実名で書かれた暴露小説は数少ない、それゆえ貴重である。
何故日産は、トップが外国人になり経営をフランス企業に握られるまで
復活の糸口を掴めなかったのか。どれだけ腐敗が深刻なものであったかに
ついて知る一助となる一冊でもある。
「労使協調」なる美名が本当に機能しているかについての反面教師とも
なり得よう。
労使協調という名のもとに組合は経営に口を挟み、経営側もそれをよしと
するだけでなく、組合トップに過剰なまでの権力を与え、相互に利用し
利用されるという、奇妙な会社へと変質していたのが70年代、80年代の
日産である。その日産の膿であった「塩路天皇」と経営トップを克明に
書き出した一冊。
実名で書かれた暴露小説は数少ない、それゆえ貴重である。
何故日産は、トップが外国人になり経営をフランス企業に握られるまで
復活の糸口を掴めなかったのか。どれだけ腐敗が深刻なものであったかに
ついて知る一助となる一冊でもある。
「労使協調」なる美名が本当に機能しているかについての反面教師とも
なり得よう。