最終巻です。甥と妹の敵、源吾を探し、甥っ子の鉄太郎2歳を背中にくくりつけて用心棒稼業にはげむヒーロー竜之介。
「子連れ先生」と呼ばれ、口入れ屋や元締め、長屋のひとたちにも人望のある竜之介の剣法ですが、巻を追うごとに、鉄太郎のポイントが高くなっていきます。
背中から伯父のまげを引っ張って、隙を作ってみせ、敵を誘いいれるワザとか、鋭い勘で大泣きして敵のありかを知らせるとか、子どもを背負っていれば、絶対に背中からは斬られないとか、鉄太郎はハンデどころではなく、むしろ伯父・甥コンビで、仕事に励んでいます。
国元から押しかけてきた千香と祝言をあげようとするも、仇討ちのせいもあり、何度も日延べ。そのたびに甥を背負って一日、挨拶にまわる竜之介。
鉄太郎は愛らしさであちこちで馳走にあずかり、天ぷらや泥鰌なべ、羊羹に団子など、食べ物の話題も多いのがほほえましいです。
この巻にいたっては、鉄太郎がついに主人公を押しのけるほどの存在感で、敵討ちの大団円。でも、さすがに沖田正午、あっという、心温まる結末になっています。
二枚目で篤実なヒーローが、子どもに振り回されつつ、なさけないところもさらしてしまう、けれどもそこがやっぱりいいんです。
素朴でほのぼの、さりげないユーモアで好感度の高いシリーズ。一巻からぜひお勧めします。
なお、この鉄太郎は、同じ版元から出ている「姫様お忍び事件帖」シリーズにも大人になって登場し、伯父に背負われすぎて外股になってしまった姿をあらわします。元締めや口入れ屋らも健在で、不遇の上にも不遇だった彼の父親、坂岡一馬の墓石が、そのシリーズのほうでは大活躍するというオチもあります。
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さらばおぶい紐: 子連れ用心棒 (徳間文庫 お 34-5) 文庫 – 2010/2/5
沖田 正午
(著)
- 本の長さ345ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2010/2/5
- ISBN-104198931097
- ISBN-13978-4198931094
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登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2010/2/5)
- 発売日 : 2010/2/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 345ページ
- ISBN-10 : 4198931097
- ISBN-13 : 978-4198931094
- Amazon 売れ筋ランキング: - 702,147位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,103位徳間文庫
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著者について
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現さいたま市生まれ。『沖田節』といわれる、人を見る目の温かさと、軽妙な筆致の作品群が多くの読者を惹きつけている。2006年『丁半小僧武吉伝』(幻冬舎文庫)で作家デビュー。『姫様お忍び事件帖』(徳間文庫)、『仕込み正宗』(祥伝社文庫)、北町影同心(二見時代文庫)、『物書き同心裏稼業』(角川文庫)等の各シリーズ。近刊に『博徒大名伊丹一家』『同 激熱』(徳間文庫)。現代小説に『お家あげます』『おれは百歳、あたしも百歳』(実業之日本社文庫)等、すでに100作品以上を発刊。
オリジナル電子書籍として「武陵源」(現代サスペンス)、「悪の遺伝子 上下巻」、「突っ走れ佐吉」、「やぶ医師天元」、「泣くな、お菊」「げんなり先生発明始末(時代小説)を刊行。
お宝文庫館を立ち上げ、電子書籍の普及に力を注いでいきます。