ナイトウォッチ三部作の二作目であり、ブギーポップシリーズにおけるVSイマジネーターのパート4でもある作品。前作はブギーポップを知ってればにやりとできる作品だったけど、今作はVSイマジネーターまでは読んでないと理解が難しいと思う。
前作の世界観を踏襲しつつ、舞台は月へと変わる。人類の天敵“虚空牙”との戦いから逃れた人類が移り住んだ月。前作でナイトウォッチのド派手な戦闘で魅せてくれたのと対照的に、失われてしまった技術を巡って争う人間たちが描かれる皮肉な現実描写。また、眠り続ける人間たちが生きる仮想現実世界も現実と交わっていく。記憶に残っているのに世界から忽然と消えてしまった少女を探す主人公・醒井弥生。その少女の謎を軸に、物語の断片が弥生の心の在り方へと繋がっていく。
いろいろな登場人物の視点から連作短編のように話が進む。その中でも月面を歩いて地図を作り続けるロボット・シーマスの話が童話のような読み味で好き。シーマスを作った博士の言葉も印象深い。
「月面というのは、基本的には静止していて、なんの変化もない世界だわ。だけどシーマス、あなたはそこにドラマを見つけなくちゃ駄目」
この作品のテーマにも通じる一言だよね。あとがきにあるこの言葉もいい。
「我々は自分の心の中にあるはずのものでさえ、外に形として存在している物に託さなければイメージすることができない。」
だからこそ、弥生が確信したように自分の想いを放棄せず向き合うことが、世界の在り方を変えることへと繋がっていくんだろうね。すべては自分の想像力を映す鏡。世界を変えるドラマはいつでも自分の中にある。
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わたしは虚夢を月に聴く (徳間デュアル文庫 か 1-2) 単行本 – 2001/8/1
わたしは虚夢を月に聴く (徳間デュアル文庫) [Aug 01, 2001] 上遠野 浩平; 中澤 一登
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2001/8/1
- ISBN-104199050671
- ISBN-13978-4199050671
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登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2001/8/1)
- 発売日 : 2001/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 253ページ
- ISBN-10 : 4199050671
- ISBN-13 : 978-4199050671
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,191,614位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 102位デュアル文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1968年生まれ。98年『ブギーポップは笑わない』で第4回電撃ゲーム小説大賞を受賞しデビュー(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 クリプトマスクの擬死工作 (ISBN-13: 978-4396208721 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年2月8日に日本でレビュー済み
現実世界で自分は冬眠している!
でも、生きているものの時間はとめられないから、ここであなたは夢をみている。今、現実と感じている世界は夢なのよ。
そんなことが突然目の前に突きつけられたらどうなるだろうか?
本来は夢であることさえ気が付かないように、巧妙にできた世界なのに、偶然ほころびを見つけてしまった弥生。彼女の見つけたものとは。
心とはなんだろう。
そんな疑問がわく話かもしれません。
現実とはなんだろう?
ここにいることって?
仮想の話だけど、いろいろ考えてしまうきっかけになるような物語です。
他のナイトウオッチシリーズとあわせて読むと、違った側面が見えて面白いです。
でも、生きているものの時間はとめられないから、ここであなたは夢をみている。今、現実と感じている世界は夢なのよ。
そんなことが突然目の前に突きつけられたらどうなるだろうか?
本来は夢であることさえ気が付かないように、巧妙にできた世界なのに、偶然ほころびを見つけてしまった弥生。彼女の見つけたものとは。
心とはなんだろう。
そんな疑問がわく話かもしれません。
現実とはなんだろう?
ここにいることって?
仮想の話だけど、いろいろ考えてしまうきっかけになるような物語です。
他のナイトウオッチシリーズとあわせて読むと、違った側面が見えて面白いです。
2005年7月18日に日本でレビュー済み
存在するものをすべて無と化す「虚空牙」との戦いに劣勢の人類は、月面で国家をつくり、「虚空牙」との戦いとともに、月面の国家どおしの戦争を。過去の進んだ技術を奪い合う。過去の技術で眠らされている人類は、仮想空間でその生命を永らえる。
そんな世界を舞台にした話が4編です。仮想世界での戦いを描いたもの、月の世界で人類どおしの戦いを描いたもの等です。そして話を通してあらわれる、この世界を超える少女や、「虚空牙」とのコミュニケーションをめざす宗教家(?)。人類唯一の希望。
書かれている世界に引き込まれます。いろいろな現実の、そして仮想の人物たち、そして、月面上の兵器など読みどころ満点です。話の展開も目が離せないものでした。
そんな世界を舞台にした話が4編です。仮想世界での戦いを描いたもの、月の世界で人類どおしの戦いを描いたもの等です。そして話を通してあらわれる、この世界を超える少女や、「虚空牙」とのコミュニケーションをめざす宗教家(?)。人類唯一の希望。
書かれている世界に引き込まれます。いろいろな現実の、そして仮想の人物たち、そして、月面上の兵器など読みどころ満点です。話の展開も目が離せないものでした。
2002年12月22日に日本でレビュー済み
現実世界は、超未来の月で、前作と同様,虚空牙の脅威に晒されながら、人類は,小勢力同士の小競り合いを続け、仮想世界、つまり現在の地球そのものの世界で、マトリックスと違うのは、この装置ーーというより世界ーーは、人間の精神が、何百年という、肉体の冷凍保存の果てに、朽ちてしまわないように、人間の手によって造られたモノでーーそういう成り立ちだから、タイトルでマトリックスとか言っておいて、実は、大分感じが違うのだがーー、いくら仮想といっても、装置自体は現実世界の方にあり、それを軸としてーー月という一つの小さな世界の中でーー異なる二つの世界は交錯し、物語は進行する。
語り手=主人公は、章によって、女性の私立探偵だったり、天才的戦闘センスを持つクローン兵ーー当然というか何と言うか、美少女のーーだったり、ちょっと変わりの者のウサギ型ロボットだったリーー個人的には、このロボット最高!ーーする。
ところで、表紙の(もしかして、表示なし?)、あの彼女は何者かと言うと、ブギーポップシリーズの読者なら誰もが知っているであろう、シリーズが進むにつれて、”最強の世界の敵”との呼び声がーーもしかすると、僕の周辺だけでーー高まっている、あの、彼女である。(ちなみに、僕は、初め表紙を見た時、一体どこの貞子さんかと思った。思ってしまった。こういうコレは、誹謗中傷?)以上、内輪ネタである。
ストーリーが平坦で、今一盛り上がりにかけるのが,欠点と言えば、欠点かも知れないが、逆の見方をすれば、始終盛り上がりっぱなしとも、言えなくもない訳だ。とにかく、あの魅力溢れるウサギ型ロボットーーと、勿論、その他のキャラクター達ーーに、是非とも会って欲しい。どっかにないかなー、シーマスファンクラブ。
語り手=主人公は、章によって、女性の私立探偵だったり、天才的戦闘センスを持つクローン兵ーー当然というか何と言うか、美少女のーーだったり、ちょっと変わりの者のウサギ型ロボットだったリーー個人的には、このロボット最高!ーーする。
ところで、表紙の(もしかして、表示なし?)、あの彼女は何者かと言うと、ブギーポップシリーズの読者なら誰もが知っているであろう、シリーズが進むにつれて、”最強の世界の敵”との呼び声がーーもしかすると、僕の周辺だけでーー高まっている、あの、彼女である。(ちなみに、僕は、初め表紙を見た時、一体どこの貞子さんかと思った。思ってしまった。こういうコレは、誹謗中傷?)以上、内輪ネタである。
ストーリーが平坦で、今一盛り上がりにかけるのが,欠点と言えば、欠点かも知れないが、逆の見方をすれば、始終盛り上がりっぱなしとも、言えなくもない訳だ。とにかく、あの魅力溢れるウサギ型ロボットーーと、勿論、その他のキャラクター達ーーに、是非とも会って欲しい。どっかにないかなー、シーマスファンクラブ。
2002年4月17日に日本でレビュー済み
この物語では、現実が月世界、この世界は夢、という設定になっている。
いろいろな人々の交錯する思いを著者独特のタッチで描いている。
完成度の高い作品に仕上がっているのでぜひ読んで欲しい。
いろいろな人々の交錯する思いを著者独特のタッチで描いている。
完成度の高い作品に仕上がっているのでぜひ読んで欲しい。