「W3(ﾜﾝﾀﾞｰｽﾘｰ)」の作品を改めて読めてよかったと思ひます。昔、ﾃﾚﾋﾞｱﾆﾒで見てゐて主題歌も覚えてゐますが、私の記憶の中ではあまり馴染めなかったやうな氣がしてゐます。大きなﾀｲﾔのやうなﾏｼｰﾝが出て来て、それに主人公達が乗り込んで話が展開されてゐたのを朧氣ながら覚えてゐるだけで、ｽﾄｰﾘｰは丸で忘れてしまってゐます。当時、四歳位だった幼児にはこの作品の全体把握は難しかったのでせう。
今になって読んで思ひますのは、ｼｰﾘｱｽな状況設定が深くて社会的であり、大人向けの作品要素に満ちてゐる事です。そして、今の時代にこそかういった感覚の作品が求められてゐるやうに感じます。
ここまでの前半を読みましての印象は、学校物、ｽﾊﾟｲ物、正義の味方物といふ複数のｼﾞｬﾝﾙを含みつつ、一つのSFﾁｯｸによくまとめられた素晴しい作品だといふ事です。さながら人間の正義と真っ直ぐな感情に訴へ掛けて参ります。
私は、ｽﾄｰﾘｰ展開に何ら異議を挟む氣はありませんが、W3の三人は銀河連盟の特別な調査任務を与へられてゐますので、もっと調査任務に努めるべきだったと感じます。色々な事情でｽﾄｰﾘｰ展開が歪められたやうですが、ちょっと残念です。でも、六十歳といふ齢となって本作品に再会して読み楽しめてゐるのは有難い事です。これからの後半の展開に期待したく存じます。
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