この本自体には記載がありませんが、Amazonの表示では、読者対象が物理学専攻の学部生・院生・研究者となっていて、まえがきでも「学術書」と位置付けられている、この本ですが、一般向けの機械学習・深層学習の解説書を読んだ程度のレベルで、物理に特段の関心もない自分でも(意味不明な専門用語の洪水ですが)著者の先生方の語り口の巧みさもあって話の流れは充分追えます。
先日ひと昔前の理系の学生向けの教科書を読もうとして訳の分からなさに学生時代のトラウマが蘇った自分としては、何にせよ分かりやすさが一番だと思うので星5つです。
ちなみにこのところ統計の本を読んでいて、ベイズだのガウスだのマルコフだの人名由来の良く分からないものが出て来るので、中身が分かる名前にしてくれないものか、と思ったりもしましたが、物理学の本の場合は、人名が付いた良く分からない専門用語が変にカッコよかったりもします。
ところで、この本は物理学の分野別にまとめた4部構成になっているので題材が多岐に渡るものと思いましたが、案外分野にあまり関係せずに「イジング模型」と「ボルツマンマシン」が良く出て来ます。この2つが良く出て来るのは、深層学習がブームになるより前に、イジング模型などのスピン系のモデルにボルツマンマシン(またはその前身のホップフィールドネットワーク)を適用させたことが物理分野での機械学習の適用の端緒になっている(間違っていたらごめんなさい)ことが関係しているようです。
おそらくは、その関係もあって、まえがきには、この本がまとめられたきっかけとしてディープラーニング(深層学習)の文字がありますが、書名自体は「機械学習」になったのではないかと思います。
そんなわけでボルツマンマシンは最後の方で登場頻度が高くなっていてRBM、GRBMと進んで来て、編者の先生が担当の最終章でラスボスの如く深層ボルツマンマシンが登場しますが、深層ボルツマンマシンは「学習に困難があるため、」結局普通の深層学習フレームワーク(P.191にPyTorchとあります)を使った、とのくだりは腰砕け感が否めません。
ボルツマンマシンに限らず、この本では随所に計算量(計算コスト)が問題として出て来ますが、高邁な理想を追った物理学の理論は自分には理解不能だとしても、計算量は自分にも理解可能な問題に満ちた現実で、冬休みに俄に計算量削減に目覚めた自分には興味深い話も多いので、よく読んで勉強させてもらうことにします。
なおこの本の読者は必要としていないと思いますが、ソースコードの類は一切載っていません(使用言語・計算環境については簡単に付記されています)。
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物理学者,機械学習を使う ー機械学習・深層学習の物理学への応用ー 単行本(ソフトカバー) – 2019/10/11
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フルカラーで解説。機械学習を使って物理学で何ができるのか。物性,統計物理,量子情報,素粒子・宇宙の4部構成。〔内容〕機械学習,深層学習が物理に何を起こそうとしているか/波動関数の解析/量子アニーリング/中性子星と核物質/超弦理論/他
- 本の長さ212ページ
- 言語日本語
- 出版社朝倉書店
- 発売日2019/10/11
- 寸法21 x 14.8 x 2.5 cm
- ISBN-104254131291
- ISBN-13978-4254131291
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商品の説明
出版社からのコメント
●読者対象
物理学専攻の学部生・院生・研究者
●目次
0. 機械学習,深層学習が物理に何を起こそうとしているか [橋本幸士]
第1部 物 性
1. 深層学習による波動関数の解析 [大槻東巳・真野智裕]
2. 量子多体系とニューラルネットワーク [斎藤弘樹]
3. 機械学習でハミルトニアンを推定する [藤田浩之]
4. 深層学習とポテンシャルフィッティング [安藤康伸]
第2部 統 計
5. 自己学習モンテカルロ法 [永井佑紀]
6. 深層学習は統計系の配位から何をどう学ぶのか [青木健一・藤田達大・小林玉青]
第3部 量子情報
7. 量子アニーリングが拓く機械学習の新時代 [大関真之]
8. 量子計測と量子的な機械学習 [久良尚任]
第4部 素粒子・宇宙
9. 深層学習による中性子星と核物質 [福嶋健二・村瀬功一]
10. 機械学習と繰り込み群 [船井正太郎]
11. 量子色力学の符号問題への機械学習的アプローチ [柏 浩司]
12. 格子場の理論と機械学習 [富谷昭夫]
13. 深層学習と超弦理論 [橋本幸士]
物理学専攻の学部生・院生・研究者
●目次
0. 機械学習,深層学習が物理に何を起こそうとしているか [橋本幸士]
第1部 物 性
1. 深層学習による波動関数の解析 [大槻東巳・真野智裕]
2. 量子多体系とニューラルネットワーク [斎藤弘樹]
3. 機械学習でハミルトニアンを推定する [藤田浩之]
4. 深層学習とポテンシャルフィッティング [安藤康伸]
第2部 統 計
5. 自己学習モンテカルロ法 [永井佑紀]
6. 深層学習は統計系の配位から何をどう学ぶのか [青木健一・藤田達大・小林玉青]
第3部 量子情報
7. 量子アニーリングが拓く機械学習の新時代 [大関真之]
8. 量子計測と量子的な機械学習 [久良尚任]
第4部 素粒子・宇宙
9. 深層学習による中性子星と核物質 [福嶋健二・村瀬功一]
10. 機械学習と繰り込み群 [船井正太郎]
11. 量子色力学の符号問題への機械学習的アプローチ [柏 浩司]
12. 格子場の理論と機械学習 [富谷昭夫]
13. 深層学習と超弦理論 [橋本幸士]
著者について
■編集者
橋本幸士
■著者(執筆順)※所属は執筆当時
橋本幸士 大阪大学
大槻東巳 上智大学
真野智裕 上智大学
斎藤弘樹 電気通信大学
藤田浩之 東京大学
安藤康伸 産業技術総合研究所
永井佑紀 日本原子力研究開発機構
青木健一 金沢大学
藤田達大 金沢大学
小林玉青 米子工業高等専門学校
大関真之 東北大学
久良尚任 東京大学
福嶋健二 東京大学
村瀬功一 北京大学
船井正太郎 沖縄科学技術大学院大学
柏 浩司 福岡工業大学
富谷昭夫 理化学研究所
【編集者紹介】
橋本幸士
大阪大学大学院理学研究科 教授
著書に『Dブレーン ―超弦理論の高次元物体が描く世界像』(東京大学出版会),『超ひも理論をパパに習ってみた ―天才浪速阪教授の70分講義』(講談社)、『ディープラーニングと物理学 ―原理がわかる,応用ができる』(共著、講談社)など。
橋本幸士
■著者(執筆順)※所属は執筆当時
橋本幸士 大阪大学
大槻東巳 上智大学
真野智裕 上智大学
斎藤弘樹 電気通信大学
藤田浩之 東京大学
安藤康伸 産業技術総合研究所
永井佑紀 日本原子力研究開発機構
青木健一 金沢大学
藤田達大 金沢大学
小林玉青 米子工業高等専門学校
大関真之 東北大学
久良尚任 東京大学
福嶋健二 東京大学
村瀬功一 北京大学
船井正太郎 沖縄科学技術大学院大学
柏 浩司 福岡工業大学
富谷昭夫 理化学研究所
【編集者紹介】
橋本幸士
大阪大学大学院理学研究科 教授
著書に『Dブレーン ―超弦理論の高次元物体が描く世界像』(東京大学出版会),『超ひも理論をパパに習ってみた ―天才浪速阪教授の70分講義』(講談社)、『ディープラーニングと物理学 ―原理がわかる,応用ができる』(共著、講談社)など。
登録情報
- 出版社 : 朝倉書店 (2019/10/11)
- 発売日 : 2019/10/11
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 212ページ
- ISBN-10 : 4254131291
- ISBN-13 : 978-4254131291
- 寸法 : 21 x 14.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 366,290位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 428位物理学一般関連書籍
- カスタマーレビュー:
著者について
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1982年 北海道生まれ
2005年 北海道大学工学部応用物理学科卒業
2010年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。博士(理学)
2010年-2019年 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 研究員
2016年-2017年 米国マサチューセッツ工科大学物理学科客員研究員
2018年-2023年 国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員
2019年-2024年 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 副主任研究員
現職 東京大学情報基盤センター学際情報科学研究部門 准教授
専門は物性理論、計算物理。近年では機械学習と物理学を組み合わせた研究も行っている。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
橋本さんが以前に出した"ディープラーニングと物理学"と比較して,より多くの分野の事例が紹介されている分,それぞれの分量は少なくなっている.それでも,筆者らが取り組む研究についての概要は理解できる内容になっていると思う.教科書ではないし,啓蒙書でもない.物理学会誌で分野の紹介として載っていそうな内容というような印象を受けた・
物理の知識としては研究室配属されるくらいの時期のものがあれば,大方の章は読み進められるだろう.もちろん,分野が多岐に渡っているので全てを十分に理解するにはより多くの知識が必要となる.機械学習の知識としては読むだけであればニューラルネット,ボルツマンマシンを少し知っていれば問題ない.
個人的な印象では,研究室等で何らかの理論計算,数値計算,データ解析などで手を動かしたことのある人が読むと新しいものが見えてくるのではないかと思う.非機械学習での経験がある人ほど,機械学習を用いた場合の面白さがわかるのではないだろうか.各章の最後に筆者が計算に使った環境が提示されている.多くの場合個人でも手が届くレベルの環境なので,実際に研究をなぞってみるのも面白そうである.
私が読んで特に面白かったのは5,6章の統計,7章,9章である.実際に手を動かしたり,論文を調べる気にさせてくれた.一方で量子情報や量子重力については私の知識・能力不足で理解が追いつかなかった.人によって関心のある分野は異なるだろうから,各章の内容を見て面白そうと思う項目だけを読んでも良いとは思う.
日本語で物理学での機械学習の利用について具体的な事例に触れられる貴重な一冊だと思う.
物理の知識としては研究室配属されるくらいの時期のものがあれば,大方の章は読み進められるだろう.もちろん,分野が多岐に渡っているので全てを十分に理解するにはより多くの知識が必要となる.機械学習の知識としては読むだけであればニューラルネット,ボルツマンマシンを少し知っていれば問題ない.
個人的な印象では,研究室等で何らかの理論計算,数値計算,データ解析などで手を動かしたことのある人が読むと新しいものが見えてくるのではないかと思う.非機械学習での経験がある人ほど,機械学習を用いた場合の面白さがわかるのではないだろうか.各章の最後に筆者が計算に使った環境が提示されている.多くの場合個人でも手が届くレベルの環境なので,実際に研究をなぞってみるのも面白そうである.
私が読んで特に面白かったのは5,6章の統計,7章,9章である.実際に手を動かしたり,論文を調べる気にさせてくれた.一方で量子情報や量子重力については私の知識・能力不足で理解が追いつかなかった.人によって関心のある分野は異なるだろうから,各章の内容を見て面白そうと思う項目だけを読んでも良いとは思う.
日本語で物理学での機械学習の利用について具体的な事例に触れられる貴重な一冊だと思う.