本コーナーのレビューを拝見して読みました。
作者のロンソンはアメリカの超能力者部隊やKKK、地球はトカゲが化けた人間に侵略されているという人、ネオナチと言った人々への取材をテーマにした記事や本を書いた方。
本書はサイコパスといわれる人格障害をメインに取り上げ、狂気とは、正気とはなにか、に迫った一般読者向けルポです。
前半は精神医学の歴史に置いてサイコパスに対する60-70年代の風変わりでは有っても性善説の治療法が挫折し(この辺りは実に興味深いですが、苦い読後感が有ります)、刑務所の精神科医であったカナダのボブ・ヘイが痛い目に遭いながら生み出した治療法ではなくサイコパスを見分ける為のチェックリストが世界を席捲する様子を多くの当事者のインタビューを基に英国風の皮肉かつ自虐的なユーモアを塗して描いています。
作家L.ロン・ハバートが創設した新興宗教サイエントロジー(ロンソンはその信仰の可否には触れず、反精神医学の活動組織としての面にスポットを当て、協力を仰いでいる)や、一時期精神医学界のカリスマ的風雲児だったR.D.レインとその施設を語った子息の回想がなんとも言えない余韻を残します。
他にざっと上げただけでも、
・ハイチで反体制市民に非道な暴行を働いた秘密警察組織の創設者
・懲役を避ける為に精神病を詐病(映画「ブルー・ベルベット」のデニス・ホッパーの演技をそのまま真似ただけ)した結果、サイコパスと診断されて精神病院から出られなくなった青年
・経費節減の為に多くの従業員を解雇しウォール街では株を上げた経営者
・TVのドキュメンタリー番組受けがするエキセントリックな一般人を次々発掘するこつを見つけたプロデューサー
・冤罪事件を引き起こし失墜した元名プロファイラー
・どんどん病名が増え分厚くなって行く精神疾患診断マニュアル「DSM」
・米国で近年爆発的に増えた小児双極性障害と製薬メイカーの関り…。
と一筋縄では行かない話題が次々と取り上げられています。
終盤、著者はマスコミやジャーナリストが人々から一番エキセントリックな部分を抽出してセンセーショナルに取り上げる業こそが病を増幅している自戒に辿り着きますが…。
プロローグとエピローグに描かれた、世界各国の識者の下に届いた謎めいた本のエピソードは少々本書をドラマチックにする為に取って付けた印象を覚えました。
人心の襞を次々に剥いて行くほどに狂気と正気が錯綜としていく様子には眩暈すら覚えますが、映画・小説等からの引用・比喩が多い文章と翻訳は読みやすく大変面白い本でした。
素人が安易に他人に精神障害のレッテルを貼る事の危険性だけは良く解りました。
大いにお薦めです。
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サイコパスを探せ! : 「狂気」をめぐる冒険 単行本 – 2012/6/8
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購入オプションとあわせ買い
企業や政界のトップには、「人格異常者(サイコパス)」がたくさんいる!?
――――サイコパスとは
非常に独善的で、「他人への同情」や「良心の呵責」、「罪の意識」を持たない人々。一般人
とは脳波パターンが異なり、残酷な場面でも汗ひとつかかない。その一方で彼らは口がうまく、
人当たりがよく、しばしば外見がよくて人を惹きつける。
――――人口の1%、社会の上層部ではその3~4倍!
サイコパスは一般人口の1%を占めるが、企業や政界のトップに限ると、その割合は3~4倍に
なる。犯罪者にならなかったサイコパスは、表面的な社交性と同情心の欠如によって強者とな
り、この世を支配すると言われる。
――――ある日、世界中の学者に届いた奇妙な本(※実話)
犯人探しに駆り出されたのが、映画「ヤギと男と男と壁と」の原作者でジャーナリストのジョ
ン・ロンソン。彼は調査の過程で〈狂気〉が社会に与える影響を目の当たりにして――
――――サイコパスに突撃取材!
〈狂気〉が社会の実権を握っている?――そんな疑問にとり憑かれたジョン・ロンソンは「サ
イコパス・チェックリスト」の使い方をマスターし、ハイチ「死の部隊」の創設者〈トト〉・
コンスタンや、冷酷にリストラを敢行することで有名なCEOアル・ダンラップに会いにいく。
はたして彼らはサイコパスなのか?
イギリス流のユーモア、思わず吹き出してしまうやりとりが満載。
抱腹絶倒の、そして考えさせられるノンフィクション。
◎本書に登場する〈奇妙なひとたち〉(※実在の人物です)
――――精神病院に12年も閉じ込められている〈トニー〉、実は典型的なサイコパス! ?
――――ハイチ「死の部隊」の創設者〈トト〉・コンスタン
――――「9.11はウソだった」と主張する元英国諜報部の英雄
――――大失態を犯した天才犯罪プロファイラー、ポール・ブリトン などなど!
――――サイコパスとは
非常に独善的で、「他人への同情」や「良心の呵責」、「罪の意識」を持たない人々。一般人
とは脳波パターンが異なり、残酷な場面でも汗ひとつかかない。その一方で彼らは口がうまく、
人当たりがよく、しばしば外見がよくて人を惹きつける。
――――人口の1%、社会の上層部ではその3~4倍!
サイコパスは一般人口の1%を占めるが、企業や政界のトップに限ると、その割合は3~4倍に
なる。犯罪者にならなかったサイコパスは、表面的な社交性と同情心の欠如によって強者とな
り、この世を支配すると言われる。
――――ある日、世界中の学者に届いた奇妙な本(※実話)
犯人探しに駆り出されたのが、映画「ヤギと男と男と壁と」の原作者でジャーナリストのジョ
ン・ロンソン。彼は調査の過程で〈狂気〉が社会に与える影響を目の当たりにして――
――――サイコパスに突撃取材!
〈狂気〉が社会の実権を握っている?――そんな疑問にとり憑かれたジョン・ロンソンは「サ
イコパス・チェックリスト」の使い方をマスターし、ハイチ「死の部隊」の創設者〈トト〉・
コンスタンや、冷酷にリストラを敢行することで有名なCEOアル・ダンラップに会いにいく。
はたして彼らはサイコパスなのか?
イギリス流のユーモア、思わず吹き出してしまうやりとりが満載。
抱腹絶倒の、そして考えさせられるノンフィクション。
◎本書に登場する〈奇妙なひとたち〉(※実在の人物です)
――――精神病院に12年も閉じ込められている〈トニー〉、実は典型的なサイコパス! ?
――――ハイチ「死の部隊」の創設者〈トト〉・コンスタン
――――「9.11はウソだった」と主張する元英国諜報部の英雄
――――大失態を犯した天才犯罪プロファイラー、ポール・ブリトン などなど!
- 本の長さ344ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日出版社
- 発売日2012/6/8
- 寸法12.8 x 2.6 x 18.8 cm
- ISBN-10425500661X
- ISBN-13978-4255006611
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商品の説明
著者について
【著者プロフィール】
ジョン・ロンソン(Jon Ronson)
ロンドン在住。コラムニストとして活躍後、TVのドキュメンタリー番組を多数制作、高い評価
を受ける。ネオナチやKKKなどの過激思想家にインタビューした『彼ら』(未邦訳)で作家デ
ビュー。現在はBBCラジオで番組ホストも務める。アメリカに実在した「超能力で敵を制圧し、
敵地をスパイする特殊部隊」の関係者に取材し、驚きの真実を明らかにした『実録・アメリカ
超能力部隊』(文春文庫)が2009年、映画化された(邦題「ヤギと男と男と壁と」)。
【訳者プロフィール】
古川奈々子(ふるかわ・ななこ)
東京都生まれ。東京医科歯科大学歯学部卒。主な翻訳書は、ジェイムズ・シュリーヴ『ザ・ゲ
ノム・ビジネス』(角川書店)、レイ・モイニハン、アラン・カッセルズ『怖くて飲めない―
―薬を売るために病気は作られる』、ローラ・スタック『定時に帰る仕事術』(以上、ヴィ
レッジブックス)、グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング『一万年の進化爆
発』(日経BP社)、レナード・L・ベリー、ケント・D・セルトマン『メイヨー・クリニック
――奇跡のサービスマネジメント』(日本経済新聞出版社)など多数。
ジョン・ロンソン(Jon Ronson)
ロンドン在住。コラムニストとして活躍後、TVのドキュメンタリー番組を多数制作、高い評価
を受ける。ネオナチやKKKなどの過激思想家にインタビューした『彼ら』(未邦訳)で作家デ
ビュー。現在はBBCラジオで番組ホストも務める。アメリカに実在した「超能力で敵を制圧し、
敵地をスパイする特殊部隊」の関係者に取材し、驚きの真実を明らかにした『実録・アメリカ
超能力部隊』(文春文庫)が2009年、映画化された(邦題「ヤギと男と男と壁と」)。
【訳者プロフィール】
古川奈々子(ふるかわ・ななこ)
東京都生まれ。東京医科歯科大学歯学部卒。主な翻訳書は、ジェイムズ・シュリーヴ『ザ・ゲ
ノム・ビジネス』(角川書店)、レイ・モイニハン、アラン・カッセルズ『怖くて飲めない―
―薬を売るために病気は作られる』、ローラ・スタック『定時に帰る仕事術』(以上、ヴィ
レッジブックス)、グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング『一万年の進化爆
発』(日経BP社)、レナード・L・ベリー、ケント・D・セルトマン『メイヨー・クリニック
――奇跡のサービスマネジメント』(日本経済新聞出版社)など多数。
登録情報
- 出版社 : 朝日出版社 (2012/6/8)
- 発売日 : 2012/6/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 344ページ
- ISBN-10 : 425500661X
- ISBN-13 : 978-4255006611
- 寸法 : 12.8 x 2.6 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 629,137位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年9月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
出版社の内容説明と「サイコパスを探せ!」という表題に惹かれて購入しましたが、期待した内容とは大きく異なっていました。
本書は、サイコパス=精神病質者の特徴や彼らの行動特性ではなく、ロバート・ヘアによって開発されたサイコパス・テストの筆者の個人的な信頼性評価と、
同テストの結果によって人間を分類することの妥当性についての筆者の考えを記述した本です。ワクワクドキドキ本でも抱腹絶倒のユーモア本でもありません。
結論は明確には述べられていませんが、誤診によって長期に隔離入院させられていた人物の退院を締めくくりにもってきていることから分かるように、
読者を否定的な方向に導いていると見なされます。筆者の結論に対する賛否はともかく、身近に潜む精神病質者やその傾向の強い人たちから自分の人生をどう
守ったらよいのかが知りたい人は、他の本、例えば岡田尊司著「パソナリティー障害」やマーサ・スタウト著「良心をもたない人たち」の方が適当でしょう。
とはいえ、第10章「防ぎえたレベッカ・ライリーの死」に書かれている、DSM-4までの編纂経緯や、サイコパスが反社会的人格障害に限定された経緯は非常
に参考になりました。こういうことが知りたい人にはお勧めの本です。
本書は、サイコパス=精神病質者の特徴や彼らの行動特性ではなく、ロバート・ヘアによって開発されたサイコパス・テストの筆者の個人的な信頼性評価と、
同テストの結果によって人間を分類することの妥当性についての筆者の考えを記述した本です。ワクワクドキドキ本でも抱腹絶倒のユーモア本でもありません。
結論は明確には述べられていませんが、誤診によって長期に隔離入院させられていた人物の退院を締めくくりにもってきていることから分かるように、
読者を否定的な方向に導いていると見なされます。筆者の結論に対する賛否はともかく、身近に潜む精神病質者やその傾向の強い人たちから自分の人生をどう
守ったらよいのかが知りたい人は、他の本、例えば岡田尊司著「パソナリティー障害」やマーサ・スタウト著「良心をもたない人たち」の方が適当でしょう。
とはいえ、第10章「防ぎえたレベッカ・ライリーの死」に書かれている、DSM-4までの編纂経緯や、サイコパスが反社会的人格障害に限定された経緯は非常
に参考になりました。こういうことが知りたい人にはお勧めの本です。
2012年7月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原題「THE PSYCHOPATH TEST」を、邦題「サイコパスを探せ!」と訳しているが、邦題の方がこの本の投げかけている問題を照射していると思う。
「いまや世の中はチェックリストであふれかえっている」p299
「あらゆる意味で社会が適合を求めるからだ。だんだんと異質であることが耐えがたくなってきている。だから、ラベルを貼られるほうが楽だと感じる人もいるのだろう。それによって希望や方向性といった感覚が得られるからだ」p303
作者はサイコパスを探す行為のなかで、均質化し細分化された社会を渡り歩き、いつの間にか自分語りの様に、社会に語らせようとする。
要素分解、再構成の線形的、平面的な社会精神。
この次元は閉塞している。
だが閉塞した次元には必ず特異点があり、そこから別の次元にはぜようとする契機がある。
作者は「サイコパスを探せ!」と叫びながら、その契機を探そうとしているように思える。それは社会の自己言及の様相を呈してくる。
ミステリーのようでいて、下世話なゴシップのようでもあり、精神医学界への問題提起のようでもあるが、根底にあるのは作者の自分探しの旅です。
電車の吊革につかまりながら片手で読むのに丁度良い造本です。
「いまや世の中はチェックリストであふれかえっている」p299
「あらゆる意味で社会が適合を求めるからだ。だんだんと異質であることが耐えがたくなってきている。だから、ラベルを貼られるほうが楽だと感じる人もいるのだろう。それによって希望や方向性といった感覚が得られるからだ」p303
作者はサイコパスを探す行為のなかで、均質化し細分化された社会を渡り歩き、いつの間にか自分語りの様に、社会に語らせようとする。
要素分解、再構成の線形的、平面的な社会精神。
この次元は閉塞している。
だが閉塞した次元には必ず特異点があり、そこから別の次元にはぜようとする契機がある。
作者は「サイコパスを探せ!」と叫びながら、その契機を探そうとしているように思える。それは社会の自己言及の様相を呈してくる。
ミステリーのようでいて、下世話なゴシップのようでもあり、精神医学界への問題提起のようでもあるが、根底にあるのは作者の自分探しの旅です。
電車の吊革につかまりながら片手で読むのに丁度良い造本です。
2015年9月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これは、小説としても十分に楽しめる。そんなに長くない中身なので読みやすいのも良かった。
2012年8月24日に日本でレビュー済み
中立の意味で★3つとさせていただきます。
サイエントロジーは宗教団体で
CCHR(Citizens Commission on Human Rights, [...])という組織名で
精神医学に対して批判的な活動を行なっています。
[...]
(内容の判断についてはみなさんでご判断ください。)
このような状況を理解した上で本書を読むのが良いと思います。
サイエントロジーは宗教団体で
CCHR(Citizens Commission on Human Rights, [...])という組織名で
精神医学に対して批判的な活動を行なっています。
[...]
(内容の判断についてはみなさんでご判断ください。)
このような状況を理解した上で本書を読むのが良いと思います。
2019年5月31日に日本でレビュー済み
典型的なサイコパスは、邪悪な存在で、社会を蝕みます。個人を攻撃するかもしれないし、社会全体に影響を及ぼすかもしれない。
しかし、サイコパスっぽい性格を持つことや、サイコパスの定義が絶対的な物でないことも示されます。
著者がTEDでしゃべっています。スピーチでは、登場人物の説明の説明はほとんどなく、この本を読んでからじゃないと理解できません。TEDで見せる調子でしゃべる人には近づいてもらいたくない感じですが、本を読んでからだと著者が感じだ不安感が伝わってきます。
しかし、サイコパスっぽい性格を持つことや、サイコパスの定義が絶対的な物でないことも示されます。
著者がTEDでしゃべっています。スピーチでは、登場人物の説明の説明はほとんどなく、この本を読んでからじゃないと理解できません。TEDで見せる調子でしゃべる人には近づいてもらいたくない感じですが、本を読んでからだと著者が感じだ不安感が伝わってきます。
2012年8月17日に日本でレビュー済み
そもそもこの本を手に取ったきっかけは、連続殺人事件を起こしたとして起訴され、一審死刑判決が数ヶ月前下った日本人女性だった。
関連書籍を読んだ私は、彼女の「殺人犯」というイメージから外れた「魅力」と、裁判のただなかの他人事のような異様な落ちつきがとても気になった。
そんな時、私の感想を聞いて「サイコパス」的だと指摘するひとがおり、その呟きに示唆を受けてこの本を読むことにしたのだった。
この本の副題は<「狂気」をめぐる冒険>となっている。
ジャーナリストである著者が2年の歳月をかけてたどった「狂気」をめぐる調査と(文献や本人へのインタビュー)その考察で構成されている。
奇妙な本を受け取った神経学者の依頼により、ジョン(著者)は誰がそれを送りつけ、その目的は何なのかを調査し始める。
そして調査を行う過程で、彼の脳裏にひとつの考えが浮かんでいた。
(以下引用)
ジェームズの話によれば、神経学的な異常が、サイコパスの人格を非常に恐ろしいものに変えてしまうらしい。
SF映画に出てくる極悪非道のスペースクリーチャーのように。そういえば、心理学者が、企業や政界のトップにはサイコパスがたくさんいると言っていたっけ。そういう環境では人に共感しないことが有利に働くのだという。それは本当なのだろうか?
(引用以上)
彼はジャーナリストとして魅力的な題材「企業や政界のトップにはサイコパスがたくさんいる」というテーマを扱うことに決め、そのセンセーショナルさに興奮しつつ自らの冒険を開始する。
手始めに「DSM-WーTR」という英米で非常にポピュラーな精神障害の診断・統計マニュアル(日本でも出版されている)を入手した彼は、多くの症状が自分に当てはまることに驚く。(自己診断ができるようなガイドラインが付いているらしい)
そんな彼はまず、こうしたマニュアルを元に精神障害のラベル付けをする行為(主に精神科医によって)がどれほど信用が置けるものかを調べることにした。
取材先は「サイエントロジスト」と名乗るひとたち、精神医学を全面的に否定し、精神科医の間違いを暴くことに日夜励んでいる団体であった。
サイエントロジストの手引きにより、ジョンは「サイコパス」の診断を受け、精神病院に十年以上閉じ込められているひとりの青年と引き合わされたのだった…
…ここまで読んでもまだ全体の7分の1ほど。
著者が謎を追って手がかりをたぐるたんびに前段階の考察が裏切られ、くるくると着地点の見えないままスパイラルを描いて話が進んで行く。
フィクションの小説を読んでいるかと錯覚しそうな、どんでんがえしと奇抜な出演者たち。
けれどこれはノンフィクション。
被害者も加害者もすべて実在するのだとふと思い出して、愕然とする。
やがて問題はこれまで起こった事件の範疇を越え、読者の住む場所へと広がりをみせる。
著者の狂気をめぐる冒険をこの本で追体験し、日常に再び戻ってきた私は、自分のすべきことは何なのか、しばし考えてしまった。
答えはまだ出ていない。
関連書籍を読んだ私は、彼女の「殺人犯」というイメージから外れた「魅力」と、裁判のただなかの他人事のような異様な落ちつきがとても気になった。
そんな時、私の感想を聞いて「サイコパス」的だと指摘するひとがおり、その呟きに示唆を受けてこの本を読むことにしたのだった。
この本の副題は<「狂気」をめぐる冒険>となっている。
ジャーナリストである著者が2年の歳月をかけてたどった「狂気」をめぐる調査と(文献や本人へのインタビュー)その考察で構成されている。
奇妙な本を受け取った神経学者の依頼により、ジョン(著者)は誰がそれを送りつけ、その目的は何なのかを調査し始める。
そして調査を行う過程で、彼の脳裏にひとつの考えが浮かんでいた。
(以下引用)
ジェームズの話によれば、神経学的な異常が、サイコパスの人格を非常に恐ろしいものに変えてしまうらしい。
SF映画に出てくる極悪非道のスペースクリーチャーのように。そういえば、心理学者が、企業や政界のトップにはサイコパスがたくさんいると言っていたっけ。そういう環境では人に共感しないことが有利に働くのだという。それは本当なのだろうか?
(引用以上)
彼はジャーナリストとして魅力的な題材「企業や政界のトップにはサイコパスがたくさんいる」というテーマを扱うことに決め、そのセンセーショナルさに興奮しつつ自らの冒険を開始する。
手始めに「DSM-WーTR」という英米で非常にポピュラーな精神障害の診断・統計マニュアル(日本でも出版されている)を入手した彼は、多くの症状が自分に当てはまることに驚く。(自己診断ができるようなガイドラインが付いているらしい)
そんな彼はまず、こうしたマニュアルを元に精神障害のラベル付けをする行為(主に精神科医によって)がどれほど信用が置けるものかを調べることにした。
取材先は「サイエントロジスト」と名乗るひとたち、精神医学を全面的に否定し、精神科医の間違いを暴くことに日夜励んでいる団体であった。
サイエントロジストの手引きにより、ジョンは「サイコパス」の診断を受け、精神病院に十年以上閉じ込められているひとりの青年と引き合わされたのだった…
…ここまで読んでもまだ全体の7分の1ほど。
著者が謎を追って手がかりをたぐるたんびに前段階の考察が裏切られ、くるくると着地点の見えないままスパイラルを描いて話が進んで行く。
フィクションの小説を読んでいるかと錯覚しそうな、どんでんがえしと奇抜な出演者たち。
けれどこれはノンフィクション。
被害者も加害者もすべて実在するのだとふと思い出して、愕然とする。
やがて問題はこれまで起こった事件の範疇を越え、読者の住む場所へと広がりをみせる。
著者の狂気をめぐる冒険をこの本で追体験し、日常に再び戻ってきた私は、自分のすべきことは何なのか、しばし考えてしまった。
答えはまだ出ていない。
2012年8月9日に日本でレビュー済み
前書きに相当するものがないのは絵本かコミックか小説である。
従ってこれは小説である。ノンフィクション風味の。
前半と後半がかなり毛色が違う。
前半がいかにもな小説の導入で、うわ〜、ひでぇ奴〜なサイコパスの描写が続く。
後半が焦点がサイコパスからずれる。
陰謀説を唱えて実在の女性を架空の存在扱いしている自称救世主、
テレビ番組のネタにするために出演者(一般人)の自尊心を叩き壊し何もフォローもしない番組関係者、
DSMをでっかくした張本人など。
精神科の範疇の病を判断するのは、精神科医という、当たり前だが決定的な事実が
クローズアップされる。血液検査のような客観的数値がない世界。
チェックリストを作ると自動的に適用する当然の流れとなる。使い手がリストの中身を吟味しているとは限らない。
かなりテキトーに決まったらしいDSMのカテゴリー。
誰にでも診断できて、それ故優秀な学生が精神科から逃げたという便利なツール。
突っ込めばこれだけで一冊になったろうがここで止めたのは何故だろう。
”彼ら”と自分との違いとはなんだろう?ここにたどり着くまでの長い冒険が本書である。
個人的に一番ダメージを受けたのがテレビ番組制作での人の使い捨ての件。
与えられるだけのダメージを与えたあとで予算不足で「救済」部分は取りやめです、だと?
ふざけんじゃねぇよ!
そして爆笑したのが、自称救世主に「そういうのは自分で言っちゃダメなのよ、
あの人こそが救世主だって言わせてこそでしょ」とダメ出ししたその知人である。
彼女にプロデュースしてもらえばよかったのに、と思ってしまった。
いつになってもデビューさせてもらえなかったろうが。
従ってこれは小説である。ノンフィクション風味の。
前半と後半がかなり毛色が違う。
前半がいかにもな小説の導入で、うわ〜、ひでぇ奴〜なサイコパスの描写が続く。
後半が焦点がサイコパスからずれる。
陰謀説を唱えて実在の女性を架空の存在扱いしている自称救世主、
テレビ番組のネタにするために出演者(一般人)の自尊心を叩き壊し何もフォローもしない番組関係者、
DSMをでっかくした張本人など。
精神科の範疇の病を判断するのは、精神科医という、当たり前だが決定的な事実が
クローズアップされる。血液検査のような客観的数値がない世界。
チェックリストを作ると自動的に適用する当然の流れとなる。使い手がリストの中身を吟味しているとは限らない。
かなりテキトーに決まったらしいDSMのカテゴリー。
誰にでも診断できて、それ故優秀な学生が精神科から逃げたという便利なツール。
突っ込めばこれだけで一冊になったろうがここで止めたのは何故だろう。
”彼ら”と自分との違いとはなんだろう?ここにたどり着くまでの長い冒険が本書である。
個人的に一番ダメージを受けたのがテレビ番組制作での人の使い捨ての件。
与えられるだけのダメージを与えたあとで予算不足で「救済」部分は取りやめです、だと?
ふざけんじゃねぇよ!
そして爆笑したのが、自称救世主に「そういうのは自分で言っちゃダメなのよ、
あの人こそが救世主だって言わせてこそでしょ」とダメ出ししたその知人である。
彼女にプロデュースしてもらえばよかったのに、と思ってしまった。
いつになってもデビューさせてもらえなかったろうが。