新品:
¥2,200 税込
ポイント: 40pt  (2%)
無料配送5月30日 木曜日にお届け
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥2,200 税込
ポイント: 40pt  (2%)  詳細はこちら
無料配送5月30日 木曜日にお届け
詳細を見る
または 最も早い配送 本日中にお届け(4 時間 3 分以内にご注文の場合)
詳細を見る
残り5点(入荷予定あり) 在庫状況について
¥2,200 () 選択したオプションを含めます。 最初の月の支払いと選択されたオプションが含まれています。 詳細
価格
小計
¥2,200
小計
初期支払いの内訳
レジで表示される配送料、配送日、注文合計 (税込)。
出荷元
Amazon.co.jp
出荷元
Amazon.co.jp
販売元
販売元
支払い方法
お客様情報を保護しています
お客様情報を保護しています
Amazonはお客様のセキュリティとプライバシーの保護に全力で取り組んでいます。Amazonの支払いセキュリティシステムは、送信中にお客様の情報を暗号化します。お客様のクレジットカード情報を出品者と共有することはありません。また、お客様の情報を他者に販売することはありません。 詳細はこちら
支払い方法
お客様情報を保護しています
Amazonはお客様のセキュリティとプライバシーの保護に全力で取り組んでいます。Amazonの支払いセキュリティシステムは、送信中にお客様の情報を暗号化します。お客様のクレジットカード情報を出品者と共有することはありません。また、お客様の情報を他者に販売することはありません。 詳細はこちら
¥502 税込
【帯有り】中の紙面にヤケがあります。またカバーにいたみが少しありますが、その他に使用感は少なく概ね良好な状態です。■商品のお届けは表示の日より早くなることがございます。■既にお届け済みでもアマゾンの画面上「●月●日までにお届け予定」のまま更新されない場合があります。■帯につきまして、【帯有り】と表記しているもの以外の商品には帯が付いていません。■原則としてクリックポスト又はゆうメールで発送致します。ゆうメールは土・日・祝日の配達が休みのため、発送から到着までに5日程度かかる場合があります。■商品によってはカバーデザインが異なる場合があります。■検品には万全を期していますが、何かございましたらご連絡頂ければ対応させて頂きます。 【帯有り】中の紙面にヤケがあります。またカバーにいたみが少しありますが、その他に使用感は少なく概ね良好な状態です。■商品のお届けは表示の日より早くなることがございます。■既にお届け済みでもアマゾンの画面上「●月●日までにお届け予定」のまま更新されない場合があります。■帯につきまして、【帯有り】と表記しているもの以外の商品には帯が付いていません。■原則としてクリックポスト又はゆうメールで発送致します。ゆうメールは土・日・祝日の配達が休みのため、発送から到着までに5日程度かかる場合があります。■商品によってはカバーデザインが異なる場合があります。■検品には万全を期していますが、何かございましたらご連絡頂ければ対応させて頂きます。 一部を表示
無料配送 6月3日-7日にお届け(4 時間 38 分以内にご注文の場合)
詳細を見る
通常4~5日以内に発送します。 在庫状況について
¥2,200 () 選択したオプションを含めます。 最初の月の支払いと選択されたオプションが含まれています。 詳細
価格
小計
¥2,200
小計
初期支払いの内訳
レジで表示される配送料、配送日、注文合計 (税込)。
この商品は、ショップ・シンフォニー が販売、発送します。
Kindleアプリのロゴ画像

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません

ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。

携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。

KindleアプリをダウンロードするためのQRコード

著者をフォローする

何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく) 単行本 – 2009/12/1

3.9 5つ星のうち3.9 60個の評価

{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥2,200","priceAmount":2200.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,200","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"auRmmcl3bn%2FpehPI64fo3tANMo%2FteWoPuD9ZmzM9QYEkHCH6yYmx4voHG0FL0z9IG5TOtkcUtaJhgdEzJ0x3yE5sITE%2FEFDz4x3H%2FtWaggd3dV0waScyGnDXn3qlJ1Dy","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥502","priceAmount":502.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"502","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"auRmmcl3bn%2FpehPI64fo3tANMo%2FteWoPj9tPQaxdFTcD%2BarO%2FDG%2BpHSYybiYP6NJ0mFBjWU4ba4dsn4b94zjnsxM8PSrQYw3sz4%2BzIZ7pPXyf83rCiRexA8vON9Pf%2BBotfeZx3zpcEZADoc%2F%2BH4gPlMe15Qdy%2FX3ZZndIaw4kxG1vWGAIzj8eQ%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}

購入オプションとあわせ買い

究極の身体ケア

言葉と動きを封じられたALS患者の意思は、身体から探るしかない。
ロックトインシンドロームを経て亡くなった著者の母を支えたのは、
「同情より人工呼吸器」「傾聴より身体の微調整」という即物的な身体ケアだった。
かつてない微細なレンズでケアの世界を写し取った著者は、重力に抗して生き続けた母の
「植物的な生」を身体ごと肯定する。

よく一緒に購入されている商品

¥2,200
最短で5月30日 木曜日のお届け予定です
残り5点(入荷予定あり)
この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。
+
¥1,551
最短で5月31日 金曜日のお届け予定です
残り1点 ご注文はお早めに
この商品は、【まごころこめてお届けします☆】ハートモーションストアが販売し、Amazon Fulfillment が発送します。
+
¥3,080
最短で5月30日 木曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計: pt
詳細
追加されました
spCSRF_Control
これらの商品のうちのいくつかが他の商品より先に発送されます。
一緒に購入する商品を選択してください。

出版社より

1

究極の身体ケア

言葉と動きを封じられたALS患者の意思は、身体から探るしかない。ロックトインシンドロームを経て亡くなった著者の母を支えたのは、「同情より人工呼吸器」「傾聴より身体の微調整」という即物的な身体ケアだった。 かつてない微細なレンズでケアの世界を写し取った著者は、重力に抗して生き続けた母の「植物的な生」を身体ごと肯定する。

*「ケアをひらく」は株式会社医学書院の登録商標です。

実家の母の左の乳房にがんが発見されたとき、私はロンドンの郊外、テムズ川の西南に広がるリッチモンドパーク南端の街ニューモルデンに住んでいた。

日本の金融機関に勤めていた夫がロンドン支社勤務になり、一九九三年の春から私たちは家族そろって二度目の海外生活を送っていた。けれども、翌九四年の春に母は乳房ごとがんの摘出手術を受けることになり、私は一歳と五歳の二人の子どもを両腕に抱えて、一時帰国することになったのだ。

それは、不穏な予感に苛まれる日々のはじまりだった。

母によれば、初めて乳房の辺りにごりんとした感触を見つけたのは、友人と訪れた信州の温泉に入ったときだった。湯煙の向こうに三人の尼僧の剃髪した頭が霞んでみえた。ただそう聞けば夢のような優しい光景だが、母には不吉な予感がしたという。

「背中にもときどき痛みが走っていたから、たぶんこれはもう、初期ではないと思う……」

日本でもようやく患者主体の医療とかインフォームド・コンセントなどという言葉が聞かれるようになり、がんも告知される時代になっていた。母も大学病院の外科医から、それはていねいな説明を受けていて、闘病の心構えもできていた。

このときは、病気の本人が家中でもっともしっかり病気を受け止めていたし、万事において自分で采配を振るっていた。手術の段取りも母は医師と相談をして決めていたから、家族には事後報告で済んでいた。手術当日は持病の狭心症に慎重すぎるほどの対応がなされたため、術後もなかなか目覚めないほどに麻酔が効いてしまったのだが、そうとは知らない父と妹はただおろおろと廊下で気を揉んでいたという。

母は術後二週間ほどで退院してきた。だから一時帰国のお見舞いといっても名目ばかりで、私にとってはのんびりできる里帰りに変わりなかった。母も久しぶりに会う孫の成長に目を細めて、リハビリと称しては台所に立ち、得意の煮物をつくってくれた。しかし実際には母の予想したとおり早期発見とはいえない進行がんだったから、温存療法どころではなく念には念を入れた処置がなされていた。

「どれどれ」と胸を開いて手術痕を見せてもらうと、脇の下のリンパ腺も大きくえぐりとられ、筋肉を剥がされたような左の胸は、肋骨が皮膚の下に透けて見えた。その胸の傷は、母の陽気な振る舞いとは裏腹に、手術の侵襲性と深刻な現実を物語っていたのである。私の動揺を見て、母はため息まじりに寂しそうに笑った。

「これじゃあ、もう温泉には入れないわよね」

そしてぽつりとこう続けた。

「パパがわたしのことを、かたわになったなんて言うのよ」

そういう言い方でしか自分のショックを誤魔化せない父なのだ。

乳房を失った妻。女性としての自信も失った母を慰めることもできない。そんな反応も父らしいといえば父らしかった。しかし後になって振り返れば、このときは母はまだ、片方の乳房を失った「だけ」だったのだ。

(第1章「静まりゆく人」より)

商品の説明

出版社からのコメント

第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 医学書院 (2009/12/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/12/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 276ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4260010034
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4260010030
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 60個の評価

著者について

著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

カスタマーレビュー

星5つ中3.9つ
5つのうち3.9つ
60グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう

上位レビュー、対象国: 日本

2020年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 ALS(筋萎縮性側索硬化症)の母親を12年間、しかも最後の数年はTLS(一切の意思疎通ができない)の状態で在宅介護した著者が、その体験と、そこから得た「個人的な死生観(p.263)」を記す。
 ALSの母親の姿や、介護の様子が、具体的かつ客観的に描かれ、書きぶりは冷静だが、内容は壮絶。
 呼吸器の装着についての「本人の曖昧さにいらついて、『もし本気で呼吸器をつけたくないのなら、ここに一筆書いてよ』と母を責めたこともあった(p.44)」著者が、やがて「『病人を急がせて白黒はっきりさせる』ようなことはしないでおくことにした(p.45)」り、「二〇〇〇年から二年のあいだ……ALSの安楽死法制化に興味をもち、自分のホームページにもそう書いた(p.195)」著者が、2009年に書かれたあとがきでは、尊厳死法制化について「長患いの人の生を切り棄てる方向に猛スピードで走り出しているようで気が滅入り(p.264)」と批判的になったりといった、自らの考え方の推移・変化も包み欠かさず書かれていて、迷いながらすすんでいる人なのだなと思う。とても考えさせられる。
23人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年5月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本はドキュメンタリーではない。あくまでも著者からみたリアルである。
でも、だからこそ、こんな私にも伝わるものがある。

ただし、両親や妻や子供たち、家族を心から愛する者として、ALSではないが病身の義父を自宅で看取ったものとして、在宅医療に携わる者として、私は著者の考え方や生き方に共感できない。

声なき人の声を代弁しているという自負、父親や夫に対する冷ややかな視線、家族というものや人間関係に対する考え方・・・
否定はしない。
ただ、これを「よく頑張った」とか「素晴らしい」という論調で単純に捉えてしまう人間がいそうで、怖い。
在宅医療について、日本の医療・介護全般について、先入観を持たれてしまいそうで、怖い。

この本は著者の感情が吹き荒れている。
事実というより、その強い感情が読む人の心を揺さぶるのだ。
だからこそ、私は嫌いなのだ。まだ不確かな私の感情も、揺さぶられるようで。
52人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私の父もALSで亡くなりました。著者の方々が最後までここまでの介護をされた事に頭が下がる思いでした。うちの父は延命措置を一切行いませんでしたが、仲が良好だった母親の存在は大きいと思いますし、まだ50代でもともとバイタリティに溢れたお母様の生への執着と、生かしたいという想いの経緯は読み進めるほど理解できました。初めは正直、わがままな患者さんだなという思いもありました。でもお母様の人となりを知るにつれ、前向きに人生を楽しんでこられてご家族やご友人に愛し愛されていたぶん、生き抜きたいという強い想いを最後まで持たれたのだと思いました。ここまで頑張られたのは本当に天晴れです。
父は70代という年齢もあり、呼吸器も胃ろうもせず、最後は脳梗塞でふんわりした意識のまま逝きました。健康では無い母と、他県に暮らす私ではマンパワーの面でも延命措置の考えはありませんでした。著者の方のように外野の声や目がなかった事も、潔く放棄できてしまった理由のひとつですし、外野に口だけ出されても、私は夫や子供は犠牲に出来なかったので家族の歴史や事情も含め私の考えとは違うんだと思いつつ、父を想って何度も涙して読みました。
当時の介護制度や情報の少ないなか、これ程の介護をされていた(その結果、天職に就かれたのだと思います)お宅が偶然にも以前勤務していたところから5分程の場所だと知り、驚いたり泣いたり笑ったり(同級生との再会のくだりや世代の話で)、何度も思いを馳せて読み終わった後、どっと疲れました。
私は読んだらすぐ本を処分するのですが、この本はずっと本棚に置いておきます。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2010年5月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
川口有美子さんの「逝かない身体」を、あっという間に読み終えた。
大宅賞を受賞する前から話題になっていたが、やはり、とてもたくさんのことを考えさせる本だった。これは多くの人に勧めたい。

本書は、ALSの母親を12年間看た記録。
しかし、単なる介護の記録ではない。ALS患者の介護を通して、生の在り方、死の在り方について自問し、著者自身が掴んだ答えが示されている。

ALS(筋委縮性側策硬化症)は、全身の筋肉が衰えていく難病だ。
そのような病について、健康に生きている人間は、「絶望」のイメージを思い浮かべてしまう。たいていの人は、自分がALSになったらなどと考えたくはないし、介護する立場になることも、できれば想像したくないだろう。

しかし、本書を読んで、こうしたイメージは変わった。

「実際のところとてもたくさんの人たちが死の床でさえ笑いながら、家族や友人のために生きると誓い、できるだけ長く、ぎりぎりまで生きて死んでいったのである。だから、あえて彼らのために繰り返して言うが、進行したALS患者が惨めな存在で、意思疎通ができなければ生きる価値がないというのは大変な誤解である」

著者はこんなふうに書いている。

ALSという難病で、全身が動かせなくなり、言葉を発することも、眼球さえも動かせない状態になっても、「今、ここに、その人(患者)が生きている」ということに意味があるということだ。

これは、患者自身が自分の「生」に意味を見出すかどうかだけではなく、周囲の人、家族や介護者が、患者の「生」に意味を見いだせるかどうかが鍵となってくる。

「ALSの人の話は短く、ときには投げやりのようであるけれども、実は意味の生成まで相手に委ねることで最上級の理解を要求しているのだ」と著者はいう。

当人は「何もできない」存在か。
当人は「すべてを他人に委ねる」存在か。
同じ状態であっても、この2つの捉え方は大きく異なる。
同じ状態でも、その存在の価値は異なる。

捉え方によって介護に対する姿勢は変わるだろうし、介護に携わる生活の意味付けや、
介護者の人生観も変わると思う。

「生きているとは、どういうこと?」。
介護者は、ALS患者から、その「生」の解釈を委ねられる。
「生きる」ことについて、より深く向き合い、考えさせられる人たちだろう。
38人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
難しかったです。
2017年3月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大変、よかったです。介護の仕事をしてますがこの本を読み患者さん、またご家族の気持ちがよくわかりました。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
筆者の切実な気持ちが伝わってきました。切なくなりました。
ALSの人の苦しみ、悲しみ、強さがわかる1冊です
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年2月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 筆者は母を介護するために海外での生活や夫との関係、仕事の目標や子供との時間をほぼ全て、なげうった形になる。
その覚悟は尊敬に値するが、なぜか、読書の間イライラした。それは筆者が投資したコストが計り知れないから、
もう、これまでの決断を否定的に考える柔軟性を失っていることが原因だと思う。
 柔軟さを欠いた思想は、とても窮屈だ。特に「死」に対しての拒絶反応は「暗黒の死」「体温を奪い去る死」など
おどろおどろしい表現になっていて、偏りを感じた。
 個人的には、死でしか解決できない苦しみというものは、世の中に存在していると思う。けして自殺を推奨するわけではないが、
「すこしでも喜びを感じてほしい。少しでも苦しい思いをしないでほしい」という考えから、呼吸器をつけない選択(つまり「死」)も
あたたかな形で存在することだって可能だと思う。
 身体が動かなくて、意思疎通ができない状態で呼吸器をつけるということは「苦しみ」でしかないと思う。
例え、看護や介護で工夫を続けて「和らげる」ことはできても。
その苦しみを10年以上、生身の身体を差し出して受け止めたのは「母」である。
それを相殺すべきものがあったとしたら「母の喜び」でしかなく、それは当然、母個人の口から語られるべきものであろう。
この本には「母個人の言葉」が少なすぎる。いくらALSで表現ができないといえども、もっとたくさんの「つらい」というサインを
出したはずなのに、とても、少なすぎる。または、救いのあるような「母の口からでた喜びの表現」をもっと記載してほしかった。
TLSになったあとに、筆者は様々な「解釈」を重ねるが、生身の母にとってはどうでもよいことだ。
 筆者に対しては尊敬の念を抱いている分、この、否定的解釈をよせつけない、思考の固さが残酷な現実として、のしかかる。
現在も、なんとも処理しきれていない感情が残る。
 介護を経験するということが、いかに莫大なコストを投資することなのか。
そして、人はあまりに多くのコストを投資した対象に対して、否定的に考える柔軟性を失うということがわかる。
介護をした方の思考変遷をリアルにおえる点で、問題提起の本として、優れている。 
53人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート