短編「大金塊の巻」も収録されています。
内容的には、ニコポンスキーが正体をあらわし、正太郎と闘争を繰り広げます。このあたりは、影武者要素が伏線になっていたり、正太郎が変装をしたり、まだ少年探偵ものの色が濃いですね。後半まで正太郎のクレバーさに変化はないので、キャラの印象が変わることはないのですが、変装などという直接的な探偵ものの要素は少なくなっていきます。
S国とニコポンスキーに加えて、アメリカからはギャングのスリル・サスペンスも来日。更にフランスの怪盗ジャネル・ファイブも登場し、操縦機争奪戦は正太郎を含めて四つ巴になっていきます。
最初期には堀江卓の「矢車剣之介」に人気で負けていたという「鉄人」、現代では評価が逆転すると思うのですが、盛り上がってからは「アトム」より人気があったというのが定説になっています。その「鉄人」のなかでも、中盤以降の中編的なバトルものより、前半のエンドレス長編的な操縦機争奪戦の方がファンの評価が高いです。これも、いま読むと、バトルものの方が面白い気はするのですが……。そして、争奪戦のなかで一番密度が高くなるのが四つ巴のあたりなので、作品としてピークと言えるでしょう。ある時は正義の味方、ある時は悪魔の手先というのも顕著です。
敵としては恐竜ロボットが登場。巨大で頑丈で、火をはき、機銃を内蔵しています。単純に正面からぶつかる限りでは鉄人より強いです。一般にバッカスが最初のライバルということになっていますが、怪ロボット２号や、この恐竜ロボットなど、前半も鉄人と渡り合えるロボットは登場していますね。２号やロケットなどから判断するにS国に鉄人の技術は不要なんじゃないかと思えるのですが、恐竜ロボットについても、「これが作れるなら何で鉄人が必要なんだ」という指摘がなされます。理由は「大きすぎるから」らしいんですが、恐竜ロボットのなかには弾薬庫など幾つかの部屋があるらしく、その辺を省略したら小型化できる気がしますけど……。繰り返しになりますが、怪ロボット２号を作れてるのですし……。
ともあれ、上述通り争奪戦はピークとなり、話は盛り上がるあたりです。
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