短編「なぞの飛行機事故の巻」「オーバナ博士の挑戦の巻」が同時収録されています。
本編ではジャネル・ファイブとの戦いがクライマックスになっていきます。彼が前巻で紹介していたロボット軍団も実際に起動して襲い掛かってきますが、バラエティ豊かな機能を持っており、楽しい！のちのロビーのロボット軍団なども各々が別の性質を持っていましたが、とはいえユーモラス（？）な個性ではないのに対し、こちらは様々な能力で楽しませてくれます。
しかしジャネル・ファイブ戦で最も鉄人を苦戦させたのはアカエイでしょう。アカエイが（たしかに扱い兼ねていましたが）ジャネル・ファイブ自身の武器ではないというのは意外でした。妨害電波の類（作中では磁気と表現されますが）に鉄人が弱いというのは、本作が当時としては比較的リアルである要素の一つですし、これっきりの設定ではなく、今後も様々な形で操縦妨害には悩まされ続けます。リアルといえば、のちのギルバート戦などでも操縦者を狙うなど現実主義的かつクレバーな展開が目立つ本作ですが、アカエイにも鉄人が逆転するわけではなく、あくまで鉄人は使えず、代わりに戦闘機隊が倒すというのもリアルです。
そのアカエイを前フリとして、のちにバッカスやオックスを作る不乱拳博士が登場。鉄人前半のエンドレス長編期は、改修し損ねた伏線や説明し忘れた要素が結構ありますが、アカエイについて助言してくれた謎の老人も博士なのでしょうね。しかし、理由は謎です。無視しておけば邪魔な鉄人や正太郎が勝手に倒れたかもしれないのに。
そして博士の作った人造人間モンスターは恐ろしい怪物ですが、しょせん生物ゆえか鉄人よりは弱いというのは、これまたリアル。
なお、鉄人はクラシックヒーローの割には無敵ではなく、中盤以降に登場するライバルたちは超強敵ばかりで、そこが面白いのですが、ジャネル・ファイブのロボット戦車デラックス号やシャープXY3号、オーバナ博士のロボットなど、この巻では大型メカに対して圧倒する展開があるというのも、それはそれで痛快であります。
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