アメリカの経済学者アルメン・アルキアンが提唱したアルキアン・アレンの定理とは、たいして利用価値がないものは淘汰されるという概念である。例えば、輸送コストをかけてまで輸出するワインは高価なワインに限られるので、オーストラリア人はフランス人よりも高価なフランスワインを飲み、フランス人はオーストラリア人よりも高価なオーストラリアワインを飲む結果となる。逆に言えば、高価な費用を払ってまで、出来の悪いワインを飲む人はいない。つまり、人はたいした価値のないものにお金を払わないということである。
イギリスの経済学者のアラン・コリンズは、「資産価値の放棄価値 戦略的処女喪失の経済学」という論文の中で、さまざまな状況の中で男女が貞操を捧げるべきかを評価している。コリンズによれば、女性の約60％は相手を愛していたから貞操を捧げたとしているが、同じ理由の男性は35％しかいない。これは、女性にとって処女を捧げるのは投資であるので、相手を慎重に選ぶ必要があるという社会生物学的考えを裏付ける証拠としている。一方で、男性にとって性行為は単なる消費なので、快楽的な意味しかない結果としている。
結婚前の同棲生活が有効なのかどうかの議論は1970年代に盛んになり、ノーベル経済学賞受賞者のゲーリー・ベッカーは、結婚前の同棲は互いのことがもっと理解できるようになり、不幸な結婚を避けられると主張していた。しかし、アメリカ国内でのデータ上では、結婚前に一緒に暮らすと離婚する可能性が高まる傾向があった。その後、経済学者のステフェン・ラインボルトが実証実験を行い、同棲と離婚の関係は偶然ではなく、教育水準の高い中流階級のカップルが同棲するのが増えるにしたがって、同棲と離婚な関係性が少なくなると確認された。
イリノイ大学のトーマス・スミス教授の調査によれば、ミュージシャンが大学に進学した場合、ジャズ以外の分野では、大学に通う費用対効果が110％であるとしている。つまり、大学に通った方が将来の収入に有利に働く。しかし、ジャズのミュージシャンは大学に通っても費用対効果はなく、むしろマイナスであることが判明した。
米バージニア大学の経済学者アマリア・ミラー教授の調査によれば、働く女性は出産時期を1年延ばすと、労働時間が長くなり、賃金も上がるので、生涯収入は10％増える。しかし、これは想定外の妊娠をした女性のデータである。そこでミラー教授は、27歳で出産した女性と28歳で出産した女性のグループを3つ比較した。まず、避妊をしていたが27歳で出産した女性と、避妊をしていて28歳で出産した女性。そして、望んで27歳で出産に成功した女性と、27歳で出産しようとしたが1年延びて28歳で出産した女性。さらに、27歳で出産に成功した女性と、27歳で流産して28歳で出産した女性。これらのいずれのケースでも、28歳で出産した女性のケースの方が、仕事の収入面では有利になっていた。
米スタンフォード大学の経済学者ベンジャミン・ホーの研究によれば、人間は謝罪をすれば好感度が上がるが、無能に見られてしまうという。その一例として、クリントン元大統領が不倫疑惑で国民に謝罪した際に、アメリカ国民からみてクリントンの好感度は上がったが、尊敬する気持ちは薄くなったとしている。
出産した後の母子が退院するまでの期間は国によって違うが、経済学者のダグラス・アーモンドとジョセフ・ドイルは、出産後の母子が病院にとどまるのが有益かどうかを調査した。その結果、母親と子供が生存しているかどうか、退院後に再入院したかどうか、という点では、母子が平均より1日病院に長くいることは有益ではないことが判明した。
経済学者のパトリック・バジャリとアリ・ホルタッシュの研究によれば、オークションサイトのイーベイの取引で、相手にマイナスの評価をつけた人の半数近くが、相手からも悪い評価を得ていることが分かった。さらに、マイナス評価には明らかな効果があり、誰か1人でもマイナス評価をつけると、口火を切ったように他の利用者もマイナス評価をすることが判明した。
経済学者のロバート・クリットカードが提唱した賄賂の公式
腐敗＝独占＋裁量−説明責任
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