サイードのオリエンタリズムを読んだ後だけに、実に感慨深いとともに、憤りも感じた。白人至上主義の連中全員に読ませたい本。よくぞやってくれました、という感じ。
サイードによると、1970年代のキッシンジャーの、東洋人(広く非西洋人一般)はニュートン力学を生み出さないなど、客観性に欠けるから白人に支配されて当然云々の発言があるなど、相も変わらず植民地主義、帝国主義のもとになった非西洋人蔑視が欧米で支配的なのだ。
まあ、現在のイラク情勢を見れば、わざわざキッシンジャーなんか引き合いに出す必要もないけど、この本によって、ニュートン力学が東洋になかったなどとは、もう二度といわせないぞ! むしろ、遅れていたのはヨーロッパの方で、中東やアジアの叡智のお陰をさんざん被ったくせに、てんで自覚がないわけ。いい気なもんだ。
それにしても、資料の山を良くこれだけ整理してまとめたなぁ、と関心。関連の文献のリストを見るだけで、作者の勤勉ぶりが判るというもの。労作です。
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失われた発見: バビロンからマヤ文明にいたる近代科学の源泉 単行本 – 2005/6/1
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- 本の長さ409ページ
- 言語日本語
- 出版社大月書店
- 発売日2005/6/1
- ISBN-104272440330
- ISBN-13978-4272440337
登録情報
- 出版社 : 大月書店 (2005/6/1)
- 発売日 : 2005/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 409ページ
- ISBN-10 : 4272440330
- ISBN-13 : 978-4272440337
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,186,765位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 548位科学史・科学者
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2023年5月19日に日本でレビュー済み
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【古代文明の継承】と切断について、ブローデルは、「小さなものを含め、あらゆる文明の歴史は、相互の接触と交換の歴史である。」と言った。知らないうちに西洋優越史観に扇動されていた彼自身を戒めたのかもしれない。地中海地域が強大化した要因が、非西洋文明から伝承した「武器・航海・信用商売」の技術に負う所が大きいと気がついたからだ。
殺戮と侵略によって領土を拡大したローマ帝国は、エジプト・ギリシャから継承した高度な文明を自ら切断してしまった。1000年後、十字軍とモンゴル軍がユーラシア大陸の西から東まで駆け抜けたことにより、極東アジア・中央イスラムから武器や航海技術などの源泉技術を得ることができた。西洋近代科学の萌芽は、非西洋から取り入れた発想、データ、器具に頼ったおかげだった。そして帝国は、非西洋の侵略に目覚めた。皮肉にも、ローマ帝国と同様に、今度は西洋の帝国が、非西洋が育んだ自身の源泉文明を殺戮と侵略によって切断し近代科学への萌芽をも潰した。そして、西洋の帝国は、18世紀から20世紀の戦争時代を通じて自らの近代科学をも切断した。
結局、戦争の最終勝者である米国が、西洋近代科学の全てを継承してしまった。
ーーーーーーーーーーー 技術の伝承(太線)と切断(X)ーーーーーーーーーーーーー
①アッシリア ②マケドニア ③絹の道 ④十字軍 ⑤西洋侵略
モンゴル
エジプト ┳…………………X ローマ
メソポタミア╋━ギリシャ━┓X ローマ
西中アジア ┗━ペルシャ━╋━ペルシャ━┳━イスラム━┳…オスマン…┐X 西洋
インド └………┼…クシャナ…┼…グプタ━━╋…ムガール…┐X 西洋
中華 └…周…┴…秦漢………┴…隋唐宋━━╋…元明清……┐X 西洋
┗━【西洋】━╋━近代科学
南北アメリカ …………………………………………………………………┘X 西洋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【発明の起源論】とは、多数の発見の中から「最初の唯一の発見」に、高貴な栄誉を与えることである。しかし、コロンブスによるアメリカ大陸発見や、メンデルの遺伝の法則が、明らかに「最初の唯一」ではないにもかかわらず栄誉が与えられたように、「社会集団が最初の発見者(偉人)を創る」ということを理解しなければならない。ここで言う「社会集団」のことを、本書は「西洋人」と置き換えている。
著者は、中国・インド・イスラムの創造者達が、「再発見」なのに「発見」と命名する機会を、西洋世界に都合よく与えてしまったと嘆いた。そして、原始・古代から現代までの時代を通し、世界の片隅の至る所で、特殊能力を持って科学・技術に情熱を注ぎ知恵を出し続けた、名も知れぬ神官(占星術)や技術者達を、現代に蘇らせようとした。
ーーーーーーーーーーーーー 著者の3つの信念 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
①西洋宗教が、古代からの叡智の継承を切断し、侵略で非西洋の近代科学の萌芽も潰した
②西洋は、非西洋の発明の先行権利(源泉)を、都合よく古代ギリシャに書換えた
③検証不可能な現代宇宙論・重力論は、新興宗教による暗黒時代の再来を暗示させる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【本書の構成】は、考古学や民俗学の文献から「科学技術の源泉」らしき情報をかき集め、近代科学以前にはない現代の科学分類(数学・天文学・宇宙論・物理・化学・地質学など)に基づいて強引に章を分割した結果、物語の流れの無いダイジェストのような無味乾燥のパラグラフが延々と続くものになってしまった。錬金術・物質元素論・60進法・歴・哲学的宇宙観など、分野に共通する内容がなんども重複して現れ、読者自らが、時代、系統、言語などに関連付けて重複項目を繋ぎ合わせて理解する努力を必要とする。
また、不正確な記述や概念上の誤りも、数多くある。読者は、時代齟齬・論理飛躍・誤記などの誤りを発見するだろう。これらは引用文献に由来するのかもしれないが、著者は検証しなかった。厳密性を期待するのであれば、本書の数千項目に及ぶ貴重な情報をデータベースとして利用し、他の科学的に検証された書籍を求めることをお勧めする。
殺戮と侵略によって領土を拡大したローマ帝国は、エジプト・ギリシャから継承した高度な文明を自ら切断してしまった。1000年後、十字軍とモンゴル軍がユーラシア大陸の西から東まで駆け抜けたことにより、極東アジア・中央イスラムから武器や航海技術などの源泉技術を得ることができた。西洋近代科学の萌芽は、非西洋から取り入れた発想、データ、器具に頼ったおかげだった。そして帝国は、非西洋の侵略に目覚めた。皮肉にも、ローマ帝国と同様に、今度は西洋の帝国が、非西洋が育んだ自身の源泉文明を殺戮と侵略によって切断し近代科学への萌芽をも潰した。そして、西洋の帝国は、18世紀から20世紀の戦争時代を通じて自らの近代科学をも切断した。
結局、戦争の最終勝者である米国が、西洋近代科学の全てを継承してしまった。
ーーーーーーーーーーー 技術の伝承(太線)と切断(X)ーーーーーーーーーーーーー
①アッシリア ②マケドニア ③絹の道 ④十字軍 ⑤西洋侵略
モンゴル
エジプト ┳…………………X ローマ
メソポタミア╋━ギリシャ━┓X ローマ
西中アジア ┗━ペルシャ━╋━ペルシャ━┳━イスラム━┳…オスマン…┐X 西洋
インド └………┼…クシャナ…┼…グプタ━━╋…ムガール…┐X 西洋
中華 └…周…┴…秦漢………┴…隋唐宋━━╋…元明清……┐X 西洋
┗━【西洋】━╋━近代科学
南北アメリカ …………………………………………………………………┘X 西洋
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【発明の起源論】とは、多数の発見の中から「最初の唯一の発見」に、高貴な栄誉を与えることである。しかし、コロンブスによるアメリカ大陸発見や、メンデルの遺伝の法則が、明らかに「最初の唯一」ではないにもかかわらず栄誉が与えられたように、「社会集団が最初の発見者(偉人)を創る」ということを理解しなければならない。ここで言う「社会集団」のことを、本書は「西洋人」と置き換えている。
著者は、中国・インド・イスラムの創造者達が、「再発見」なのに「発見」と命名する機会を、西洋世界に都合よく与えてしまったと嘆いた。そして、原始・古代から現代までの時代を通し、世界の片隅の至る所で、特殊能力を持って科学・技術に情熱を注ぎ知恵を出し続けた、名も知れぬ神官(占星術)や技術者達を、現代に蘇らせようとした。
ーーーーーーーーーーーーー 著者の3つの信念 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
①西洋宗教が、古代からの叡智の継承を切断し、侵略で非西洋の近代科学の萌芽も潰した
②西洋は、非西洋の発明の先行権利(源泉)を、都合よく古代ギリシャに書換えた
③検証不可能な現代宇宙論・重力論は、新興宗教による暗黒時代の再来を暗示させる
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【本書の構成】は、考古学や民俗学の文献から「科学技術の源泉」らしき情報をかき集め、近代科学以前にはない現代の科学分類(数学・天文学・宇宙論・物理・化学・地質学など)に基づいて強引に章を分割した結果、物語の流れの無いダイジェストのような無味乾燥のパラグラフが延々と続くものになってしまった。錬金術・物質元素論・60進法・歴・哲学的宇宙観など、分野に共通する内容がなんども重複して現れ、読者自らが、時代、系統、言語などに関連付けて重複項目を繋ぎ合わせて理解する努力を必要とする。
また、不正確な記述や概念上の誤りも、数多くある。読者は、時代齟齬・論理飛躍・誤記などの誤りを発見するだろう。これらは引用文献に由来するのかもしれないが、著者は検証しなかった。厳密性を期待するのであれば、本書の数千項目に及ぶ貴重な情報をデータベースとして利用し、他の科学的に検証された書籍を求めることをお勧めする。