本書は屋外空間での人々の行動を研究し、より魅力的な屋外空間のデザインを考察したものです。
本書では野外活動を必要活動、任意活動、社会活動の3つに分類し、野外空間の質が豊かな時に、子どもの遊び、あいさつや会話、コミュニティ活動、他の人をただ眺め、耳を傾けるという受身の活動などの社会活動が発展するとしています。そして建物の間で行われるアクティビティは単なる歩行者の往来やレクリエーション活動、社会活動ではなく、それらが互いに結びつき、共用空間を意味深い魅力的なものにしている活動を含んでいるとしています。従来、歩行や任意のレクリエーション活動の研究はされてきましたが、この複雑な社会活動について光を当てたのが、本書の意義です。
また、具体的な野外活動について写真付きで詳細に、ユーモアも交えながら検討していることが、本書の大きな特徴です。歩くための街路の寸法や距離、心理的な距離とデザイン、路面の材質、歩きやすい空間や高低差。立ち止まることについては多くの人がエッジ(境界)に立ち止まること、ポールなど拠り所のあるところに立ち止まることなどを紹介しています。何気ない快適さを求める人々の行動を緻密に観察しており、とてもおもしろく読めます。
具体的な都市計画についても言及しています。それは屋外空間の質を改善して屋外活動の可能性を解き放つことであり、言い換えるとたやすく安心して動きまわれること、街をのんびり歩けること、都市生活を楽しめること、人と出会い、集まれることであり、これらがよい都市とよい開発の基本原則であるとしています。領域を明確にして帰属意識を持てるようにしたりとか、孤独とふれあいのための5原則や、ボンエルフなど、人間の感覚器官に則した快適で魅力的なデザイン原則を、観察から実証的に導き出しています。
本書は建築や都市計画の本ですが、写真が多く、また日常生活上での感覚を基礎にしているので、一般人でも気軽でとてもわかりやすく、またときにほのぼのとして微笑ましくもあります。本書の提起する社会活動は、従来指摘されてきませんでしたが、快適な都市や居住環境を考える上では欠かせない視点だと思います。ぜひ、多くの人に読んでもらいたい本です。
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屋外空間の生活とデザイン (SDライブラリー 2) 単行本 – 1990/3/1
- 本の長さ246ページ
- 言語日本語
- 出版社鹿島出版会
- 発売日1990/3/1
- ISBN-104306061027
- ISBN-13978-4306061026
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登録情報
- 出版社 : 鹿島出版会 (1990/3/1)
- 発売日 : 1990/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 246ページ
- ISBN-10 : 4306061027
- ISBN-13 : 978-4306061026
- Amazon 売れ筋ランキング: - 926,422位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 61,214位アート・建築・デザイン (本)
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