言われている通り、本書は和訳に問題があります。意味不明なくだりも多く、想像力や推察力も必要です。
特に頻出する『〜するだろう』の結句はかなり煩わしく、???です。
しかし、それを差し引いても、内容は衝撃的です。
無論、マーラーファンは必読ですが、分けてもアルマ著『愛と苦悩の回想』を読んだ方は、絶対に読まなくてはいけません!同書でグスタフ・マーラーの生涯が分かった気になっている方は、大きな衝撃を受けるでしょう!
例えば、アルマが『マーラーの音楽は本当のところ一度も好きになったことはない』ことなど、上記の彼女の著作を読んだ方は、信じられない筈です。
またグロピウスとの不倫関係も、マーラーファンにはショッキングな内容が、赤裸々に記されています。
そしてマーラーの寿命を縮めたのは、誰あろうアルマであることを理解できると思います。
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アルマ・マーラー 新装版: ウィーン式恋愛術 単行本 – 1999/2/1
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日1999/2/1
- ISBN-104309203132
- ISBN-13978-4309203133
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
芸術家になるべきか、芸術家の妻になるべきか。マーラー、グロピウス、クリムト、ココシュカ…。彼らはアルマを愛したゆえに、偉大な芸術家となる。だが多くの愛を得た彼女が、本当に求めていたものは何か。89年刊の新装版。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (1999/2/1)
- 発売日 : 1999/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 304ページ
- ISBN-10 : 4309203132
- ISBN-13 : 978-4309203133
- Amazon 売れ筋ランキング: - 703,849位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 127位19世紀以後のクラシック音楽
- - 31,256位楽譜・スコア・音楽書 (本)
- - 44,501位歴史・地理 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2010年10月31日に日本でレビュー済み
ここでの和訳のぎこちなさは、よくも悪くもロマン・ロラン『魅せられたる魂』(岩波文庫)あたりで翻訳フランス文学に親しんだ者として「ありゃりゃ」と、思わず身を縮めてしまうレベル。せめて仏語の文学作品での現在形もしくは未来形を、そういう文体を使う習慣がない日本語フィクションでそのまま何も考えず(横のモノを縦に)訳してしまうことへの功罪については、そろそろ誰かが声をあげてもよさそうなものだが。とはいえ、そのへんの「おふらんす文学もどき」の曖昧さを差し引いても、本書の訳者はジャーナリズム出身のようだから、仏語系の訳書としてはまだしも読みやすい部類という印象。
問題はやはり、音楽にかかわる部分での訳語の稚拙さ。原著者が音楽の専門家でないということは言い訳にならない。その点、言っては気の毒と思いつつ、たとえ仏語で「l'accord parfait(majeur)」と音楽をまるで知らない人でもよく使うような言いまわしであっても、それを「長三和音」と訳せない翻訳者は大いに問題ありとすべきだろう。翻訳者に責任はなくとも、それをチェックできなかった校閲、ひいては翻訳依頼をした編集者に言い逃れはできない。以下、訳文より引用:「ブラームスのような老いぼれのやることだから驚かないがな! 私の交響曲だって、ハ長調の完全な和音で終わるなら、同じように成功するさ!」。これは本書に登場するマーラーのセリフだが、それにしても“ハ長調の完全な和音”とな! 作曲家なら口が腐っても言わないような「ありえない音楽用語」を吐かされ、それこそマーラーが泣いているに違いない。
問題はやはり、音楽にかかわる部分での訳語の稚拙さ。原著者が音楽の専門家でないということは言い訳にならない。その点、言っては気の毒と思いつつ、たとえ仏語で「l'accord parfait(majeur)」と音楽をまるで知らない人でもよく使うような言いまわしであっても、それを「長三和音」と訳せない翻訳者は大いに問題ありとすべきだろう。翻訳者に責任はなくとも、それをチェックできなかった校閲、ひいては翻訳依頼をした編集者に言い逃れはできない。以下、訳文より引用:「ブラームスのような老いぼれのやることだから驚かないがな! 私の交響曲だって、ハ長調の完全な和音で終わるなら、同じように成功するさ!」。これは本書に登場するマーラーのセリフだが、それにしても“ハ長調の完全な和音”とな! 作曲家なら口が腐っても言わないような「ありえない音楽用語」を吐かされ、それこそマーラーが泣いているに違いない。
2004年8月14日に日本でレビュー済み
本当にもったいない。
シンプルで淡々とした記述が描くアルマをめぐる人々の世界は、じつに興味深い。訳者は巻末で、まして音楽愛好家向け専門家などはない、と弁護(?)しているが、世紀末文化を複眼的に見るにはむしろ愛好家にとっても良書なのではないだろうか。
ところが、散見される意味不明の訳文や、微妙な翻訳の稚拙さ(とおぼしき表記)が、これを減じていることが残念でならない。特に、全書を通して徹底して用いた「・・・することだろう。」という語尾は、時制を徹頭徹尾くるわせている。原文の仏語の直訳文体としてはわかるが、日本語としては完全におかしく、苦しい。「マーラーはその秋、昇給すらもするだろう。」ではなく、「...昇給さえすることになる。」とすべきではないか。
巻末言でふれられた、「仏語のニュアンス」についてアドバイスをしたという明治大学講師フロランス・小川氏や編集者がこれに同意したのなら、原文のニュアンス自体が奇抜なのだろうか。それにしても不可解だが。
シンプルで淡々とした記述が描くアルマをめぐる人々の世界は、じつに興味深い。訳者は巻末で、まして音楽愛好家向け専門家などはない、と弁護(?)しているが、世紀末文化を複眼的に見るにはむしろ愛好家にとっても良書なのではないだろうか。
ところが、散見される意味不明の訳文や、微妙な翻訳の稚拙さ(とおぼしき表記)が、これを減じていることが残念でならない。特に、全書を通して徹底して用いた「・・・することだろう。」という語尾は、時制を徹頭徹尾くるわせている。原文の仏語の直訳文体としてはわかるが、日本語としては完全におかしく、苦しい。「マーラーはその秋、昇給すらもするだろう。」ではなく、「...昇給さえすることになる。」とすべきではないか。
巻末言でふれられた、「仏語のニュアンス」についてアドバイスをしたという明治大学講師フロランス・小川氏や編集者がこれに同意したのなら、原文のニュアンス自体が奇抜なのだろうか。それにしても不可解だが。