ふだん、わたしたちは大きな世界のことを意識しては生活していない。
せいぜい自分の通う学校や職場や、手の届く範囲が関の山だ。
アーモンドは主人公ボビーの成長を通して、わたしたちに自分と他者との繋がりを、
また、狭い世界から大きな世界への視点の移動を訴えているのだと思う。
彼と関わるのは火喰い男マクナルティー、そしてキューバ危機を迎えた「時代」。
「・・・もしどうしてもだれかを召さなくてはならないとしたら、このぼくを。
ぼくは灯台のすぐそばのキーリーベイに、愛するもののすぐそばで暮らしています。
・・・どうぞぼくを召してください」
世界中が愛するものとともに過ごしたであろう一夜。一切の罪や過去を許したであろう一夜。
自分が生まれる以前のその日、何事もなかったからこそ、わたしたちがいま存在している。
「不思議なものや超自然的なものが一切出てこない、一見リアリズム風のこの作品こそ、
アーモンドの魅力が最も凝縮されているような気がする」
という金原さんの訳者あとがきに尽きる。
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火を喰う者たち 単行本 – 2005/1/14
- 本の長さ248ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2005/1/14
- ISBN-104309204279
- ISBN-13978-4309204277
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登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2005/1/14)
- 発売日 : 2005/1/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 248ページ
- ISBN-10 : 4309204279
- ISBN-13 : 978-4309204277
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,376,183位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。児童書やヤングアダルトむけの作品のほか、一般書、ノンフィクションなど、翻訳書は400点以上。訳書に『豚の死なない日』『青空のむこう』『国のない男』『不思議を売る男』『バーティミアス』『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』『さよならを待つふたりのために』など。エッセイに『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』『翻訳のさじかげん』など。日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』『怪談牡丹灯籠』。
(写真撮影:根津千尋)
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2005年2月11日に日本でレビュー済み
この本の舞台は1960年代のイギリスの田舎町。労働者階級の息子が試験に合格し、上流階級の子供達が通う中学校に進む普通の生活の、普通の物語。ドラマチックな展開もなければ、不思議なモノや超自然的な事は一切出てこない普通の物語。登場人物も、何処か僕らの少年時代にいたような人々ばかり。キーマンの「マクナルティー」でさえ、何処かで見たことのあるような人物。学校生活も、何となく僕らが体験してきたような事が淡々と普通に語られていく。
しかし、社会生活と学校生活にちょっとした出来事がおき、「普通の生活」と言うのがいかに脆く、また「普通」と「異常」が実は表裏一体で、僕らが「普通」と思っている事柄は、実は全く普通ではないのかも知れない。何事もない「普通の生活」こそが実は一番の奇跡でなないのかと考えさせられる作品だった。
歴史に詳しい人なら、1960年代というと、ピンと来てしまう人もいるかも知れないが、決して当時の時代背景がそうさせている訳ではなく、これは40年経った今でも通じるモノがある、と僕は思う
しかし、社会生活と学校生活にちょっとした出来事がおき、「普通の生活」と言うのがいかに脆く、また「普通」と「異常」が実は表裏一体で、僕らが「普通」と思っている事柄は、実は全く普通ではないのかも知れない。何事もない「普通の生活」こそが実は一番の奇跡でなないのかと考えさせられる作品だった。
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