イスラエル文学界を代表する作家でノーベル賞の候補にもあげられているイェホシュアの中編2編を収める日本初紹介の作品集です。欧米に比べてその作品に接する機会が殆ど無いお国の文学である2編を読んで感じたのは、一時はとても辛い境遇に見舞われた主人公でも、極端に走らずに悲嘆に落ち込まないで日々を送って行けば、それなりに落ち着く所へ落ち着くという安堵の思いでした。
『詩人の、絶え間なき沈黙』:高齢出産で妻を喪い、生まれた子供が知恵遅れであった元詩人の老人が情熱を失い筆を絶つのだが、子供は父に詩作を求めて、遂に自分でも真似事を始めるようになる話。子供と意思が通い合わずに投げ出してしまい手に負えずに放ったらかしにしてしまう親なのだが、それでも子は育つのだ。
『エルサレムの秋』:かつて愛し今でも密かに思いを寄せる既に結婚した女性から、子供を3日間預ってくれと頼まれる。最初は苦い思いに捕われながらも、しぶしぶ応じた彼は開き直って結構楽しく子供と毎日を過ごす。結局自分の子では無いという無責任さで必死にはならず気楽に過ごして、子供は高熱を発したりもするが、どうにか無事にお役目を果たす。彼にとっては改めて日常を見つめ直す良い機会になった筈で、蛇の愛好家で挙句に毒蛇に噛まれてしまう変わった友人や、愛してはいないけれどつきあい続けている女友達の存在に助けられてるんだな、と感じる今日この頃なのであった。
『詩人の、絶え間なき沈黙』の方が厳しくて先が見えない展開で、老人がどう決断して行くのかは読み手の想像に委ねられます。どうか絶望の淵から這い上がってくる明るい未来を期待したいです。『エルサレムの秋』には、主人公の青年にとっては明日に元気をもらえそうな体験になったという充実感が感じられて、心の安らぎと爽やかな読後感が味わえました。
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エルサレムの秋 (Modern&Classic) 単行本 – 2006/11/8
アブラハム・B・イェホシュア
(著),
母袋 夏生
(翻訳)
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2006/11/8
- ISBN-104309204678
- ISBN-13978-4309204673
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2006/11/8)
- 発売日 : 2006/11/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 192ページ
- ISBN-10 : 4309204678
- ISBN-13 : 978-4309204673
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,070,446位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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