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ちびの聖者 (シムノン本格小説選) 単行本 – 2008/7/30

4.8 5つ星のうち4.8 6個の評価

パリ下町の貧民街と中央市場を舞台に、無垢で繊細な少年が、無理解と暴力に穏やかに向かい合い、ついには人々の賞賛を集める画家に成長して行く過程を描き、「ニューヨーク・タイムズ」がシムノンの最高傑作と折り紙をつけた作品。
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商品の説明

著者について

1903-1989 ベルギーのリエージュ生まれ。18歳のときに「めがね橋」でデビュー。84編の〈メグレ警視シリーズ〉の他に300点以上の作品があり、世界中の販売部数は5億冊を超える。20世紀を代表する小説家。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2008/7/30)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/7/30
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 261ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4309204945
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4309204949
  • カスタマーレビュー:
    4.8 5つ星のうち4.8 6個の評価

著者について

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ジョルジュ・シムノン
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カスタマーレビュー

星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
6グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2015年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シムノンはユーゴー、ヴェルヌに次いで世界で最も読まれているフランス文学者である。メグレ警部シリーズが有名だが、シムノンは自身の作品をミステリーではなく純文学だと言っている。「ちびの聖者」は、ジョルジュ・シムノンの遺したメグレ警部シリーズ以外の200余りの小説の中で最も優れている作品とされている。カバーに「半自伝的作品」と記されているのが気になった。

ルイはパリの貧民街で異父兄弟6人の5番目として生まれた。父親は行方知れず。母親は野菜を売る露天商で、毎晩のように男を部屋に連れ込んでいる。兄弟たちは初等学校からも落ちこぼれて働いている。しかし、その中でルイは変わった子供だった。いつも無口で澄んだ目をして遠くを見ていた。学校でいじめられても黙って耐えていた。ビー玉を取られても言いつけたりしないので「ちびの聖者」と呼ばれるようになった。彼は早朝に起きて市場へ仕入れに行く母親の荷車を押した。彼らに戦争が近づいていた。

第一世界大戦頃のパリの街が克明に描かれている。ルイの育ったムフタール街を中心に中央市場やモンマルトルの賑わいがよくわかる。貧しい人々の生活ぶりはさらに詳しい。それもそのはずで、シムノン自身も貧しい家に生まれ初等学校しか出ていない。15歳からパン屋や印刷屋で働いた。その後、小さな新聞の記者になって文才を磨き小説を発表するようになった。つまりこの作品は「作家」を「画家」に替え、幾分かのフィクションを交えてシムノンの生涯を描いた自伝なのである。

ルイの幼少期から老年までが淡々と描かれている。貧しく複雑な家庭環境にあっても、他人のせいにせず、人に優しく、一心に励めば、ひとかどの事は達成できる。シムノンが身を持って学んだことがそのまま小説になっている。そして、読み終わって心に残るのは母親の逞しさと優しさである。男にはだらしがないが、きびしい生活の中で精いっぱい子供たちを守り育てたのだ。シムノン63歳の時の作品だが、母親への思いがこの作品を書かせたのではないかと私は推察した。
シムノン没後25年、細々とは言え彼の作品が長島良三訳で刊行されて読めるのはうれしいことである。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本では名探偵メグレ警視シリーズで有名なフランスの文豪シムノンの本格小説選と銘打たれた小説(ロマン)紹介の第2弾です。著者は全部で220編の長編を執筆していまして、メグレ警視物は84編で普通小説の方が136編と多いのです。日本では過去に集英社文庫で文芸小説が数編訳された後は、やや不活発な状態でした。河出社はメグレ警視シリーズが日本でTV放映される程ヒットした時期に精力的に紹介して来られましたが、今回は小説(ロマン)にスポットを当てて知られざる本邦初訳の名作を刊行して頂けるとの事で、とても意義深い企画だと思います。本書は推理物に見られる犯罪者の心理を暴くといった内容とは全く違いますが、登場人物の心理が鮮やかに描写されており、それぞれの人生模様が深く心に刻まれる見事な作品です。物語はパリ、ムフタール通りの貧しい露天商の一家の暮らしを、主人公ルイが幼い頃の記憶を基に回想する形で進みます。手押し車で毎日市場へ野菜を売りに出て生計を立てる母ガブリエルは、夜男を家に連れ込んで多くの子供を産み続ける奔放な性格ですが、子供達への愛情は深く細やかです。ブラディミールは長男で万引・スリを平然と犯す小悪党、次いで兄弟の面倒見が良い長女のアリス、次が反抗的で不満を抱える双子の兄弟オリヴィエとギイ、次がちびの聖者ことルイで学校で苛められても告げ口をせず、穏やかな微笑を浮かべる少年、最後が赤ん坊のエミリーで病に感染して亡くなります。手狭な部屋がやがて子供達が出て行って広くなり皆それぞれに暮らしが豊かになります。しかし次第に空虚さが漂い寂しくなる場面を読んで、必ずしも豊かである事が幸福を意味しない事に気づきます。ルイは成長して抽象画家という天職を見つけ、利益の為でなく己の理想とするきらめきを追い続けます。私は特にルイが温かい心配りでずっと母親の幸せを守り続けた姿勢に心が震える程の感動を覚えました。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年9月2日に日本でレビュー済み
貧しい家族に生まれた少年がやがて・・・というお話。

貧しい境遇に生まれた子が逆境にめげず、成功を勝ち取る・・・という展開のお話はビルドウィングス・ロマンにありがちな話ですし、本書も大体同じ様な展開をしますが、そこはシムノンだけあって、類型的な話でも面白く読ませる手腕を発揮して読ませます。

主人公の境遇がシムノンの若い頃を彷彿とさせるとの事で、本書を自伝的小説と捉える向きがあるそうですが、確かにそういう風に読める作品だと思いました。

また、シムノンが私生活では性豪で生活の中心がセックスだったと聞いた事がありますが、メグレのシリーズを50冊くらい、普通の小説を幾つか読んで、あまり濡れ場がないし、露骨にセックスを描かない主義か、検閲でカットされたかと思っていたので、本書で割とセックスに関して触れていたので、少し驚きました。そういう意味でももしかしたら異色作にあたるかもしれません。

推理小説的要素が無くても楽しめる小説。機会があったら是非。
2008年10月28日に日本でレビュー済み
 シムノンは「本格小説」(って何なんだと、本格派推理小説という言葉よりパズラーとか謎解きという方を好む自分としては思ってしまう)でも、『雪は汚れていた』や『仕立て屋の恋』のように一つの事件を中心にした話が多いのだが、その意味ではこの作品は異色作といえるだろう。それぞれが印象深い断片的な思い出を年代順に次々に積み重ねていくことで、さらに豊穣な小説世界を生み出すシムノンの手際はすばらしい。ちょっとしか登場しない人物たちさえ、忘れがたい印象を残す。
 ただ、「バルザックを彷彿とさせる」という紹介文は、『ゴリオ爺さん』しか読んでいない自分にはピンとこなかったのだが。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年7月21日に日本でレビュー済み
主人公のルイはとても温厚な性格。カラマーゾフのアリョーシャにちょい似かしら?シムノンの自伝的要素もある作品、らしいんですがシムノン同様才能が開花してよかったねぇ、と思いました。証人たちもよかったし、もっとシムノンの作品読みたいです。楽しみ!
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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