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親衛隊士の日 単行本(ソフトカバー) – 2013/9/25

4.5 5つ星のうち4.5 15個の評価

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購入オプションとあわせ買い

2028年に復活した「帝国」では、皇帝の親衛隊員たちが特権を享受していた。貴族からの強奪、謎のサカナの集団トリップ、蒸し風呂での儀式など、現代文学のモンスターが放つSF長篇。
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商品の説明

著者について

1955年ロシア生まれ。コンセプチュアリズム芸術運動に関わったのち、83年『行列』で作家デビュー。「現代文学のモンスター」の異名をとる。主な作品に、『ロマン』『青い脂』『氷3部作』、短篇集『愛』など。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2013/9/25)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/9/25
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 264ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4309206336
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4309206332
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.3 x 2.2 x 19.1 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 15個の評価

著者について

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ウラジ−ミル・ソロ−キン
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年6月2日に日本でレビュー済み
ネタバレにならないよう、設定について説明するような形で見てみますと、皇帝直属の暴力装置で、皇帝の反逆者になる(と当局が看破したもの)を、法律も裁判もなく処断(要するに、消す)権限を持った組織「親衛隊」が公的に国家にあり、その隊員の一日の物語・・・・です。

 まったく違う国の小説家ですが、桐野夏生は「私の小説は、欧米においては、彼らにとっては僻地であるアジアで、彼らの無意識の欲望を願望充足的に満たす、オリエンタリズム的に消費する物語として読まれている(大意。逐語にこの通りではありません)」と言ってたのを読んだことがあります。
 ロシア人ではない筆者から見ると、ロシア社会、ロシア文化、ロシアの権力構造・権力観がわからないので、ロシアとはこういう風に、社会秩序を維持するためには「法に優越し、問答無用に政権担当者の反対者を抹殺してもよいとする公的組織がやりたい放題を展開」して良いと発想する文化なのかしら?と、まあ、このイメージ的理解はもちろん小説的誇張なのでいくら何でも現実のロシアがこれと同じではある訳ではないにしろ、まったくのゼロからそうした小説が発想されるわけもないので(まず母国ロシアでの説得力がないから)針小棒大的に、あるいは創作的真実という形で、ロシアにはそうした力は正義なり的なコワモテの文化的発想とか、社会的連想があるのかもしれませんね、という風に読みました。

 内容には触れないようにして感想にしますが、この親衛隊は一人の女性もおらず、セックスが個人の快楽ではなく、敵に対しては拷問とか、あるいは親衛隊の内部に対しては結束を固めるための手段として、個人の快楽だけではなく、社会的な意味を持たされています。
 また、性がこのSF帝政ロシア社会で、親衛隊がその暴力とか権限で畏怖され、外部へ重圧をかけるための方法として使われている所などは、ひところ流行した構造主義が標榜した「近代社会は快楽を管理することで支配の方法にした」みたいな主張を敷衍するようでイヤなのですが、なんというかこの男性だけしかいない暴力集団が、セックスをその内外への威力誇示の方法として使うところは、20世紀のマッチョイズムというか、日本で言えば昭和的な男性至上主義というか、権力に女性を参画させない政治体制の発想だなあ…という感じがします。
(反対に、よしながふみ「大奥」は、女性だけが支配する世界では男性とは別のかたちでの性による支配が展開することを示唆する作品ですが)

 これは筆者が日本人であるからかもしれませんが、これは第二次大戦の日本における特攻隊に似た発想ではないかという気もします。
 男性しかいないという点と、国家の正義を確信させられるという点と、権力意志の前では法律も生命もなにもないという点で。
 もっとも、このロシアの未来社会の親衛隊は、知的・肉体的にも、権限的にも完全に成熟したエリート集団で、ビジネスとして賄賂を合法的に取ることも公的に権限の中にあり、日本語で言えば政商というか、公認されたマフィアというか、秩序維持のために法律を無視できるのみならず、国民と外国人に対しては法律解釈を駆使して、徴税の名目で、親衛隊の活動費用と必要経費を公然と恐喝(徴税?)する権利を持っているところは、命令一下、死なねばならない日本の特攻隊のように無力な存在ではないのですが、それでもなんとなくここにはなにか類似の、国家に絶対の忠誠を尽くすように飼い馴らされた男性集団をどう使うか、という発想があるように見受けられました。

 …という感じで、「ロシア社会の権力観念は判らないけれども、ロシアには、法を超越した存在が秩序維持のために存在しても良いと発想したり、無意識の前提にそれを許容する社会なのかしら」という意味で、桐野夏生が自作に言っていた「エキゾチックなオリエンタリズムとしてのロシア社会の戯画」として眺めました。

 筆者のこの「個人の感想」を聞いたら、ロシアのインテリゲンツィアは憤慨するかもしれませんが(苦笑)
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年7月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 話はシンプルで読み易い、滅茶苦茶だけど話はシンプルに 暗喩や対比が効いているので普通に読んでもあまり良く分からない 普通にロシアの古典を読んでいるような錯覚をするが麻薬に乱交にと無茶苦茶はする 真面目なはずなのに強姦はするわ何でもありのクレイジーな親衛隊の一日、ソローキンで一番読み易いかもしれない 
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年2月17日に日本でレビュー済み
「ロマン」や「青い脂」といった頭のおかしい諸作品群のため分類不能とされた結果無理矢理純文学の範疇に入れられていたソローキンでしたが、この作品は読者の頭を必要以上に混乱させることもなく、スムースでスピーディーな展開で読者を魅了する極上のエンタメに仕上がっています。
法に縛られない皇帝直属の暴力装置であり、絶大な権限を与えられたオプリーチニキの一員として、智力と体力を絞り暴力と陰謀の渦の中で闘う主人公の中年男の生き様はまさにロシア的ハードボイルドです。
彼のような人物はロシアにはゴロゴロいるはずであり、今もウクライナあたりであれこれしているはずですが、こうした男どもの内面を描いた作品はロシア文壇にはあまりなかったと思います。これもロシア精神の一類型であり、このような右翼な男性がロシアには多数ひしめいているであろうことを私達は理解しておいたほうが良いのではないのでしょうか。
なお、この作品は良質で読みやすい冒険小説系エンタメですが、ハードゲイも蒼褪めるような同性愛の大乱交シーンがあるので、そういうのに抵抗がある人は読むのを差し控えたほうがよいかもしれません。
17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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