下巻の前半は、非常に面白く、示唆に富む。
上巻の冒頭に浅い内容が多く、読むのをためらっていたが、次第に面白い内容が増えていく。私と同じように上巻の冒頭で止まっている方がいたら、読み進めることをお勧めします。
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サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福 単行本 – 2016/9/8
ユヴァル・ノア・ハラリ
(著),
柴田裕之
(翻訳)
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【ビジネス書大賞2017 大賞受賞】
【ビジネス書グランプリ2017 リベラルアーツ部門 第1位 】
なぜ人類だけが文明を手にしたのか?
アフリカで暮らしていた取るに足りない生物であったホモ・サピエンスは、
なぜ食物連鎖の頂点に立ち、文明を打ち立て、地球を支配するまでに至ったのだろうか?
ホモ・サピエンスの過去、現在、未来を俯瞰するかつてないスケールの大著、ついに邦訳!
「歴史と現代世界の最大の問題に取り組んだ書」
──ジャレド・ダイアモンド(『銃・病原菌・鉄』著者)
【目次】
第12章 宗教という超人間的秩序
神々の台頭と人類の地位/偶像崇拝の恩恵/神は一つ/善と悪の戦い/自然の法則/人間の崇拝
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
1 後知恵の誤謬/2 盲目のクレイオ
第4部 科学革命
第14章 無知の発見と近代科学の成立
無知な人/科学界の教義/知は力/進歩の理想/ギルガメシュ・プロジェクト/
科学を気前良く援助する人々
第15章 科学と帝国の融合
なぜヨーロッパなのか?/征服の精神構造/空白のある地図/宇宙からの侵略/
帝国が支援した近代科学
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
拡大するパイ/コロンブス、投資家を探す/資本の名の下に/自由市場というカルト/
資本主義の地獄
第17章 産業の推進力
熱を運動に変換する/エネルギーの大洋/ベルトコンベヤー上の命/ショッピングの時代
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
近代の時間/家族とコミュニティの崩壊/想像上のコミュニティ/変化し続ける近代社会/
現代の平和/帝国の撤退/原子の平和
第19章 文明は人間を幸福にしたのか
幸福度を測る/化学から見た幸福/人生の意義/汝自身を知れ
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
マウスとヒトの合成/ネアンデルタール人の復活/バイオニック生命体/別の生命/特異点/
フランケンシュタインの予言
あとがき――神になった動物
謝 辞
訳者あとがき
原 註
図版出典
索 引
【ビジネス書グランプリ2017 リベラルアーツ部門 第1位 】
なぜ人類だけが文明を手にしたのか?
アフリカで暮らしていた取るに足りない生物であったホモ・サピエンスは、
なぜ食物連鎖の頂点に立ち、文明を打ち立て、地球を支配するまでに至ったのだろうか?
ホモ・サピエンスの過去、現在、未来を俯瞰するかつてないスケールの大著、ついに邦訳!
「歴史と現代世界の最大の問題に取り組んだ書」
──ジャレド・ダイアモンド(『銃・病原菌・鉄』著者)
【目次】
第12章 宗教という超人間的秩序
神々の台頭と人類の地位/偶像崇拝の恩恵/神は一つ/善と悪の戦い/自然の法則/人間の崇拝
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
1 後知恵の誤謬/2 盲目のクレイオ
第4部 科学革命
第14章 無知の発見と近代科学の成立
無知な人/科学界の教義/知は力/進歩の理想/ギルガメシュ・プロジェクト/
科学を気前良く援助する人々
第15章 科学と帝国の融合
なぜヨーロッパなのか?/征服の精神構造/空白のある地図/宇宙からの侵略/
帝国が支援した近代科学
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
拡大するパイ/コロンブス、投資家を探す/資本の名の下に/自由市場というカルト/
資本主義の地獄
第17章 産業の推進力
熱を運動に変換する/エネルギーの大洋/ベルトコンベヤー上の命/ショッピングの時代
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
近代の時間/家族とコミュニティの崩壊/想像上のコミュニティ/変化し続ける近代社会/
現代の平和/帝国の撤退/原子の平和
第19章 文明は人間を幸福にしたのか
幸福度を測る/化学から見た幸福/人生の意義/汝自身を知れ
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
マウスとヒトの合成/ネアンデルタール人の復活/バイオニック生命体/別の生命/特異点/
フランケンシュタインの予言
あとがき――神になった動物
謝 辞
訳者あとがき
原 註
図版出典
索 引
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2016/9/8
- 寸法13.3 x 2.3 x 19.5 cm
- ISBN-104309226728
- ISBN-13978-4309226729
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商品の説明
著者について
ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari) 1976年生まれの歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。軍事史や中世騎士文化についての3冊の著書がある(いずれも未訳)。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2016/9/8)
- 発売日 : 2016/9/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 296ページ
- ISBN-10 : 4309226728
- ISBN-13 : 978-4309226729
- 寸法 : 13.3 x 2.3 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 14,585位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 21位世界史一般の本
- - 2,505位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
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2023年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「上」を時間をかけ読み終わり、やっと「下」を読み始めました。さらに内容に引き込まれそうになり、興味がさらに拡大するように感じられる本です。
2023年8月24日に日本でレビュー済み
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物事をどう見るかを考えさせられた。狩猟より農業の方が、動植物全てを含む自然に優しいと思っていたが、本書で、それは間違いとわかった。
2020年7月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
サピエンスの歴史の中で起きた大きな3つの革命、
認知革命・農業革命・科学革命について、本書は書かれている。
第12章からが下巻であり、科学革命について詳しく書かれている。
下巻の方が面白い。上巻を頑張って読み、下巻に到達すべき。
下巻には、精読すべき価値がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2章では、認知革命について述べられている。
認知革命とは、
虚構、すなわち架空の事柄について語る能力を
獲得したことである。
これにより、サピエンスはサピエンス同士で共通の神話を紡ぎ出すことができ、
無数の赤の他人と協力することができ、
世界を支配できるようになったと書かれている。
第3章では、狩猟採集民の豊かな暮らしについて、
上巻p.70~73で具体的に書かれている。
第5章では、農業革命について説明されている。
「農業革命は、安楽に暮らせる新しい時代の到来を告げるにはほど遠く、
農耕民は狩猟採集民よりも一般的に困難で、満足度の低い生活を
余儀なくされた。狩猟採集民は、もっと刺激的で多様な時間を送り、
飢えや病気の危険が小さかった。人類は農業革命によって、
手に入る食料の総量を確かに増やすことはできたが、食料の増加は、
より良い食生活や、より長い休暇には結びつかなかった。むしろ、
人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、
平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は
劣っていた。では、それは誰の責任だったのか?
犯人は、小麦、稲、じゃがいもなどの、一握りの植物種だった。
サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、
逆にサピエンスがそれらに家畜化されたのだ」(上巻p.107)
どのように一握りの植物種が、サピエンスを家畜化していったのか。
その具体的な説明は、上巻p.115~118に書かれている。
農業革命後、サピエンスの文化は統一に向かった。
第10章では貨幣が、第11章では帝国が、
第12章(ここから下巻)では宗教が、
文化の統一の基盤をいかに築いたかが論じられている。
第14章からの科学革命が本書の中で一番面白い。
第14章では、進歩という考え方が
人々に浸透し始めたことについて書かれている。
「科学革命以前は、人類の文化のほとんどは進歩というものを
信じていなかった。人々は、黄金時代は過去にあり、世界は仮に
衰退していないまでも停滞していると考えていた。
近代の文化は、まだ知られていない重要な事柄が多数あることを認め、
そのような無知の自認が、科学の発見は私たちに新しい力を与えうる
という考えと結びついたとき、真の進歩は可能なのではないかと
人々は考え始めた。解決不可能のはずの問題を科学が1つまた1つと
解決し始めると、人類は新しい知識を獲得して応用することで、
どんな問題もすべて克服できると、多くの人が確信を持ち出した」
(下巻p.76~77)
無知の自認が大きな考え方の変化であり、多方面に影響を与えたことも
本章では説明されている。
第15章では、科学と帝国の結びつきについて書かれている。
「近代科学とヨーロッパの帝国主義との歴史的絆を作り上げたのは何だろう。
主な要因は、植物を求める植物学者と、植民地を求める海軍士官が、
似たような考え方を持っていたことだ。科学者も征服者も、
無知を認めるところから出発した。両者は、外の世界がどうなっているか
見当もつかない、と口を揃えて言った。両者とも、外に出て行って
新たな発見をせずにはいられなかった。そして、そうすることで獲得した
新しい知識によって世界を制するという願望を持っていた」(下巻p.100)
「アメリカ大陸の発見は科学革命の基礎となる出来事だった。
そのおかげでヨーロッパ人は、過去の伝統よりも現在の観察結果を
重視することを学んだだけでなく、アメリカを征服したいという欲望によって
猛烈な速さで新しい知識を求めざるをえなくなったからだ。
彼らがその広大な新大陸を支配したいと心から思うなら、
その地理、気候、植物相、動物相、言語、文化、歴史について、
新しいデータを大量に集めなければならなかった。聖書や古い地理学の書物、
古代からの言い伝えはほとんど役に立たなかったからだ」(下巻p.106)
第16章では、近代科学と帝国主義に、
資本主義がいかに関わっていったかが書かれている。
経済にも進歩という考え方が取り入れられ、
将来はより豊かになると資本家は考え、
利益を新しい設備や事業に投資するようになった。
急速に市場経済が発達していき、
奴隷貿易すらなされるようになっていったプロセスが
詳しく書かれている。
第18章では、科学革命の影響について書かれている。
近代以前は、弱い国家と市場・弱い個人・強い家族とコミュニティが
お互いに関わり合っていた。
近代になり、国家や市場は大量の軍人と労働者を必要としたが、
家族やコミュニティが邪魔をした。
そこで国家や市場は地域に警察官や商人を送り込み、年金制度や福祉制度を整え、
個人に対して自己決定を促す教育をした。
その結果、強い国家と市場・強い個人・弱い家族とコミュニティ
という関係ができあがった。
そのプロセスが書かれていた。
「国家は、家族関係、とりわけ親子関係に厳しく目を光らせるようになった。
親には、国家による教育を子どもに受けさせる義務が課されている。
子どもに対して目に余る虐待をしたり、暴力を振るったりする親は、
国家による制限を受ける場合がある。
必要に応じて、国家はそのような親を刑務所に収監したり、
子どもを里親に委ねたりすることさえある。
つい最近までは、親が子どもを殴ったり侮辱したりするのを
国家がやめさせるべきだと主張しても、実効性のない馬鹿げた見解として
一蹴されていただろう。たいていの社会では、親の権威は神聖視されていた。
親を敬い、その言いつけに従うことは、とりわけ尊ばれる価値観であり、
親はといえば、新生児を殺害することから、子どもを奴隷として売る、
あるいは娘を2倍以上も年嵩の男性に嫁がせることまで、
思い通りにほぼ何でもできた。今日、親の権威は見る影もない」
(下巻p.196)
ここまで変化したのである。
暴力の減少も国家の台頭のおかげである。
いつの時代も、暴力の大部分は家族やコミュニティ間の限られた範囲で起こる
不和の結果だからである。
家族やコミュニティが問題を解決するのではなく、
警察や裁判所が問題を解決するようになって、安全水準は格段に上がった。
著者はこのように述べた後、
暴力の最たるものである戦争がいかに減ったかを詳述している。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
本書を読んで、著者によるサピエンスの歴史理解を
深く知ることができた。
但し、専門家からの評価が気になった。
例えば、ヨーロッパ人が近代に世界を征服できたのは
中国人やペルシャ人よりもテクノロジーで上回っていたからではなく、
科学的な方法や資本主義的な方法で、考えて行動してからだ
という箇所(下巻p.96~97)が挙がる。
もっと色々知りたくなるし、基礎文献として本書は最適だろう。
それにしても筆者の博識ぶりには驚嘆した。
最後に訳の素晴らしさを挙げる。
とても読みやすい。
訳者が原書を深く理解しているためであろう。
認知革命・農業革命・科学革命について、本書は書かれている。
第12章からが下巻であり、科学革命について詳しく書かれている。
下巻の方が面白い。上巻を頑張って読み、下巻に到達すべき。
下巻には、精読すべき価値がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2章では、認知革命について述べられている。
認知革命とは、
虚構、すなわち架空の事柄について語る能力を
獲得したことである。
これにより、サピエンスはサピエンス同士で共通の神話を紡ぎ出すことができ、
無数の赤の他人と協力することができ、
世界を支配できるようになったと書かれている。
第3章では、狩猟採集民の豊かな暮らしについて、
上巻p.70~73で具体的に書かれている。
第5章では、農業革命について説明されている。
「農業革命は、安楽に暮らせる新しい時代の到来を告げるにはほど遠く、
農耕民は狩猟採集民よりも一般的に困難で、満足度の低い生活を
余儀なくされた。狩猟採集民は、もっと刺激的で多様な時間を送り、
飢えや病気の危険が小さかった。人類は農業革命によって、
手に入る食料の総量を確かに増やすことはできたが、食料の増加は、
より良い食生活や、より長い休暇には結びつかなかった。むしろ、
人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、
平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は
劣っていた。では、それは誰の責任だったのか?
犯人は、小麦、稲、じゃがいもなどの、一握りの植物種だった。
サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、
逆にサピエンスがそれらに家畜化されたのだ」(上巻p.107)
どのように一握りの植物種が、サピエンスを家畜化していったのか。
その具体的な説明は、上巻p.115~118に書かれている。
農業革命後、サピエンスの文化は統一に向かった。
第10章では貨幣が、第11章では帝国が、
第12章(ここから下巻)では宗教が、
文化の統一の基盤をいかに築いたかが論じられている。
第14章からの科学革命が本書の中で一番面白い。
第14章では、進歩という考え方が
人々に浸透し始めたことについて書かれている。
「科学革命以前は、人類の文化のほとんどは進歩というものを
信じていなかった。人々は、黄金時代は過去にあり、世界は仮に
衰退していないまでも停滞していると考えていた。
近代の文化は、まだ知られていない重要な事柄が多数あることを認め、
そのような無知の自認が、科学の発見は私たちに新しい力を与えうる
という考えと結びついたとき、真の進歩は可能なのではないかと
人々は考え始めた。解決不可能のはずの問題を科学が1つまた1つと
解決し始めると、人類は新しい知識を獲得して応用することで、
どんな問題もすべて克服できると、多くの人が確信を持ち出した」
(下巻p.76~77)
無知の自認が大きな考え方の変化であり、多方面に影響を与えたことも
本章では説明されている。
第15章では、科学と帝国の結びつきについて書かれている。
「近代科学とヨーロッパの帝国主義との歴史的絆を作り上げたのは何だろう。
主な要因は、植物を求める植物学者と、植民地を求める海軍士官が、
似たような考え方を持っていたことだ。科学者も征服者も、
無知を認めるところから出発した。両者は、外の世界がどうなっているか
見当もつかない、と口を揃えて言った。両者とも、外に出て行って
新たな発見をせずにはいられなかった。そして、そうすることで獲得した
新しい知識によって世界を制するという願望を持っていた」(下巻p.100)
「アメリカ大陸の発見は科学革命の基礎となる出来事だった。
そのおかげでヨーロッパ人は、過去の伝統よりも現在の観察結果を
重視することを学んだだけでなく、アメリカを征服したいという欲望によって
猛烈な速さで新しい知識を求めざるをえなくなったからだ。
彼らがその広大な新大陸を支配したいと心から思うなら、
その地理、気候、植物相、動物相、言語、文化、歴史について、
新しいデータを大量に集めなければならなかった。聖書や古い地理学の書物、
古代からの言い伝えはほとんど役に立たなかったからだ」(下巻p.106)
第16章では、近代科学と帝国主義に、
資本主義がいかに関わっていったかが書かれている。
経済にも進歩という考え方が取り入れられ、
将来はより豊かになると資本家は考え、
利益を新しい設備や事業に投資するようになった。
急速に市場経済が発達していき、
奴隷貿易すらなされるようになっていったプロセスが
詳しく書かれている。
第18章では、科学革命の影響について書かれている。
近代以前は、弱い国家と市場・弱い個人・強い家族とコミュニティが
お互いに関わり合っていた。
近代になり、国家や市場は大量の軍人と労働者を必要としたが、
家族やコミュニティが邪魔をした。
そこで国家や市場は地域に警察官や商人を送り込み、年金制度や福祉制度を整え、
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その結果、強い国家と市場・強い個人・弱い家族とコミュニティ
という関係ができあがった。
そのプロセスが書かれていた。
「国家は、家族関係、とりわけ親子関係に厳しく目を光らせるようになった。
親には、国家による教育を子どもに受けさせる義務が課されている。
子どもに対して目に余る虐待をしたり、暴力を振るったりする親は、
国家による制限を受ける場合がある。
必要に応じて、国家はそのような親を刑務所に収監したり、
子どもを里親に委ねたりすることさえある。
つい最近までは、親が子どもを殴ったり侮辱したりするのを
国家がやめさせるべきだと主張しても、実効性のない馬鹿げた見解として
一蹴されていただろう。たいていの社会では、親の権威は神聖視されていた。
親を敬い、その言いつけに従うことは、とりわけ尊ばれる価値観であり、
親はといえば、新生児を殺害することから、子どもを奴隷として売る、
あるいは娘を2倍以上も年嵩の男性に嫁がせることまで、
思い通りにほぼ何でもできた。今日、親の権威は見る影もない」
(下巻p.196)
ここまで変化したのである。
暴力の減少も国家の台頭のおかげである。
いつの時代も、暴力の大部分は家族やコミュニティ間の限られた範囲で起こる
不和の結果だからである。
家族やコミュニティが問題を解決するのではなく、
警察や裁判所が問題を解決するようになって、安全水準は格段に上がった。
著者はこのように述べた後、
暴力の最たるものである戦争がいかに減ったかを詳述している。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
本書を読んで、著者によるサピエンスの歴史理解を
深く知ることができた。
但し、専門家からの評価が気になった。
例えば、ヨーロッパ人が近代に世界を征服できたのは
中国人やペルシャ人よりもテクノロジーで上回っていたからではなく、
科学的な方法や資本主義的な方法で、考えて行動してからだ
という箇所(下巻p.96~97)が挙がる。
もっと色々知りたくなるし、基礎文献として本書は最適だろう。
それにしても筆者の博識ぶりには驚嘆した。
最後に訳の素晴らしさを挙げる。
とても読みやすい。
訳者が原書を深く理解しているためであろう。
2018年3月24日に日本でレビュー済み
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(54ページより)
~過去500年の変化~
「人口」5億人→70億人 (14倍)
「財とサービス生産量」2500億$→60兆$ (240倍) ※1年当たり
「エネルギー消費量」13兆cal→1500兆cal (115倍) ※1日当たり
科学革命と近代化(資本主義、産業革命)の視点から、サピエンスの歴史を追っています。
第12章 宗教という超人間的秩序
11 異なる人間集団を統一するために宗教が持ち合わせる "2つの特性" とは?
15 "多神教" が一神教と区別される点とは?
22 多神教が生んだ "二元論" の宗教の特徴とは?
23 一神教と二元論がそれぞれ持つ "弱点" とは?
26 一神教、多神教、二元論が持つ宗教特有の "性質" とは?
30 "仏教" が他の宗教と異なる点とは?
33 「ソ連の共産主義は、狂信的で宣教を行う宗教だった」とは?
36 2種類の人間至上主義 "自由主義的/社会主義的な人間至上主義" とは?
37 ナチスがユダヤ人を虐殺した要因 "進化論的な人間至上主義" とは?
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
45 因果関係に関して "歴史という学問" が持つ特徴とは?
47 複雑な相互作用が生む2種類のカオス系 "一次/二次のカオス系" とは?
48 歴史学者は、なぜ歴史を研究するのか?
49 歴史が人類の利益の為に作用していると "言えない" 理由とは?
第14章 無知の発見と近代科学の成立
58 "近代科学" がジュライの知識の伝統と大きく異なる3つの点とは?
60 古代の伝統が唯一認めた "2種類の無知" とは?
75 "火薬" の恐ろしい潜在能力を軍事目的に使われるまで600年もかかった理由とは?
80 科学者が考える "死" とは?
86 なぜ現在、莫大なお金が政府や企業の金庫から "研究室や大学" に流れているのか?
第15章 科学と帝国の融合
95 "ヨーロッパ" がアメリカを征服し、海上での覇権を手にした要因とは?
98 中国人やペルシア人がヨーロッパに対して "足りなかったもの" とは?
101 ヨーロッパの軍事遠征に "同行していた人" とは?
103 15~16世紀にヨーロッパ人が "空白の多い世界地図" を書き始めた意味とは?
107 ヨーロッパ人による "遠征" の特殊性とは?
121 帝国に対して "科学" はどのように貢献したのか?
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
131 古代の人たちが "信用" による取引をあまり行わなかった理由とは?
135 アダム・スミスの "資本論" が人類史上屈指の画期的な思想である理由とは?
142 信頼による資金調達のからくり "帝国資本主義の魔法の循環" とは?
144 "オランダ" が信用を利用してヨーロッパで最も豊かな国になった方法とは?
155 国が債務を返済する見込みの指標 "信用格付け" が高い国/低い国の特徴とは?
157 完全な "自由市場" で起こる問題とは?
159 自由資本主義の "重大な欠点" とは?
第17章 産業の推進力
164 産業革命で蒸気機関が生まれたことによって崩れた "発想の壁" とは?
169 世界が "エネルギー不足" になっているのではなく何が不足している?
175 "工業化された農業" の悲劇とは?
180 「肥満は消費主義にとって二重の勝利だ」とは?
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
189 産業革命が引き起こした人類史上最も重大な "社会変革" とは?
197 "想像上のコミュニティ" の台頭を示す最も重要な2つの例とは?
201 確信を持って語れる近代社会の "唯一の特徴" とは?
208 著者が考える "真の平和" とは?
212 平和を増進し、戦争を減らす "正のフィードバックループ" の仕組みとは?
第19章 文明は人間を幸福にしたのか
222 "幸福" の決定要因とは?
226 "生物学者" が考える幸福の決定要因とは?
228 "既婚者" が独身者よりも一般的に幸福になりやすい理由とは?
231 幸せへの鍵が "生化学システム" の手中にあることが持つ重要性とは?
233 「純粋に科学的な視点から言えば、人生には全く何の意味もない」とは?
237 仏教が考える "苦しみの真の根源" とは?
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
244 人類の生物に対する知的設計の一つ "生物工学" とは?
250 人類の生物に対する知的設計の一つ "サイボーグ工学" とは?
254 人類の知的設計の一つ "完全に非有機的な存在" とは?
歴史を通して大局的な視点を養えると思います。
~過去500年の変化~
「人口」5億人→70億人 (14倍)
「財とサービス生産量」2500億$→60兆$ (240倍) ※1年当たり
「エネルギー消費量」13兆cal→1500兆cal (115倍) ※1日当たり
科学革命と近代化(資本主義、産業革命)の視点から、サピエンスの歴史を追っています。
第12章 宗教という超人間的秩序
11 異なる人間集団を統一するために宗教が持ち合わせる "2つの特性" とは?
15 "多神教" が一神教と区別される点とは?
22 多神教が生んだ "二元論" の宗教の特徴とは?
23 一神教と二元論がそれぞれ持つ "弱点" とは?
26 一神教、多神教、二元論が持つ宗教特有の "性質" とは?
30 "仏教" が他の宗教と異なる点とは?
33 「ソ連の共産主義は、狂信的で宣教を行う宗教だった」とは?
36 2種類の人間至上主義 "自由主義的/社会主義的な人間至上主義" とは?
37 ナチスがユダヤ人を虐殺した要因 "進化論的な人間至上主義" とは?
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
45 因果関係に関して "歴史という学問" が持つ特徴とは?
47 複雑な相互作用が生む2種類のカオス系 "一次/二次のカオス系" とは?
48 歴史学者は、なぜ歴史を研究するのか?
49 歴史が人類の利益の為に作用していると "言えない" 理由とは?
第14章 無知の発見と近代科学の成立
58 "近代科学" がジュライの知識の伝統と大きく異なる3つの点とは?
60 古代の伝統が唯一認めた "2種類の無知" とは?
75 "火薬" の恐ろしい潜在能力を軍事目的に使われるまで600年もかかった理由とは?
80 科学者が考える "死" とは?
86 なぜ現在、莫大なお金が政府や企業の金庫から "研究室や大学" に流れているのか?
第15章 科学と帝国の融合
95 "ヨーロッパ" がアメリカを征服し、海上での覇権を手にした要因とは?
98 中国人やペルシア人がヨーロッパに対して "足りなかったもの" とは?
101 ヨーロッパの軍事遠征に "同行していた人" とは?
103 15~16世紀にヨーロッパ人が "空白の多い世界地図" を書き始めた意味とは?
107 ヨーロッパ人による "遠征" の特殊性とは?
121 帝国に対して "科学" はどのように貢献したのか?
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
131 古代の人たちが "信用" による取引をあまり行わなかった理由とは?
135 アダム・スミスの "資本論" が人類史上屈指の画期的な思想である理由とは?
142 信頼による資金調達のからくり "帝国資本主義の魔法の循環" とは?
144 "オランダ" が信用を利用してヨーロッパで最も豊かな国になった方法とは?
155 国が債務を返済する見込みの指標 "信用格付け" が高い国/低い国の特徴とは?
157 完全な "自由市場" で起こる問題とは?
159 自由資本主義の "重大な欠点" とは?
第17章 産業の推進力
164 産業革命で蒸気機関が生まれたことによって崩れた "発想の壁" とは?
169 世界が "エネルギー不足" になっているのではなく何が不足している?
175 "工業化された農業" の悲劇とは?
180 「肥満は消費主義にとって二重の勝利だ」とは?
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
189 産業革命が引き起こした人類史上最も重大な "社会変革" とは?
197 "想像上のコミュニティ" の台頭を示す最も重要な2つの例とは?
201 確信を持って語れる近代社会の "唯一の特徴" とは?
208 著者が考える "真の平和" とは?
212 平和を増進し、戦争を減らす "正のフィードバックループ" の仕組みとは?
第19章 文明は人間を幸福にしたのか
222 "幸福" の決定要因とは?
226 "生物学者" が考える幸福の決定要因とは?
228 "既婚者" が独身者よりも一般的に幸福になりやすい理由とは?
231 幸せへの鍵が "生化学システム" の手中にあることが持つ重要性とは?
233 「純粋に科学的な視点から言えば、人生には全く何の意味もない」とは?
237 仏教が考える "苦しみの真の根源" とは?
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
244 人類の生物に対する知的設計の一つ "生物工学" とは?
250 人類の生物に対する知的設計の一つ "サイボーグ工学" とは?
254 人類の知的設計の一つ "完全に非有機的な存在" とは?
歴史を通して大局的な視点を養えると思います。
2023年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
上巻から引き続き、少し慣れない話が続いたので進みが遅くなりました。しかし、その流れから科学革命がどれほど凄いのかが理解出来ました。
人類史から見たら、かなり端っこの方で起きた事です。それなのに現代では、たくさんの科学を享受出来る。読み進めていくと、この壮大なスピード感で頭が熱くなりました。
人類史から見たら、かなり端っこの方で起きた事です。それなのに現代では、たくさんの科学を享受出来る。読み進めていくと、この壮大なスピード感で頭が熱くなりました。