本書の内容
【目次】
『死の哲学』主要概念集
序論 悲しみの情動群に向けて/無能力の最大の力能----アルトーの偉大さ
1----不死に至る病
第一節 絶対的悲しみのマイナー幾何学
今日、実践哲学とは何であるのか/〈自然界の一義性〉についての自然哲学と〈反自然の融
即〉を規定する実践哲学/無能力のマイナー幾何学----いかにして、悲しみ、憎しみ、怒り、
妬み、復讐心、等々を、あるいは否定なき無能力を表現するのか
第二節 欲望する並行論・分身論
ドゥルーズ=ガタリと分裂綜合的思考/精神的・物理的な合一論から分裂的・身体的分身論へ
欲望する並行論・分身論(その第一の規定)/系列の並行論からリゾームの分身論へ/自我の
死----ブロックとパラ・グラフの問題
2----死の遠近法
第三節 本質の外皮を引掻く
欲望する並行論・分身論(その第二の規定)/人間の本質----笑い続ける動物/有機的思考の
一寸の切断----カントの禁令/割合=比のなかでの〈死の生成〉、加速と減速の多様体
第四節 へテロリズム宣言(Manifeste pour l'héterrorisme)
へテロリズムとは何か----恐怖から残酷へ/分裂分析的経験----アルトーという絶対的事例/
人間本性から訣別するために----残酷と感染/欠如なき無能力について
3----死の哲学
第五節 不死の経験論
欲望する並行論・分身論(その第三の規定)/死が分かつもの----ドラマ化の線/偽の分身
----〈吸血鬼であれ、人間であれ〉/模倣と擬態の差異----デイヴィッド・リンチ
第六節 強度と分身----死の分裂症化
強度の離接性----〈存在であれ、本質であれ〉/死の経験と武器庫/真の身体の投射
注
あとがき
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死の哲学 (シリーズ・道徳の系譜) 単行本 – 2005/12/14
江川 隆男
(著)
死は残酷と無能力による人間本性の変化へとわれわれを導く。スピノザ、アルトー、ドゥルーズらが渦巻く大地からうまれた衝撃の実践哲学。死を折り曲げ、死を分裂症化し、ひとつの死を構成する。来るべき哲学への宣言。
- 本の長さ172ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2005/12/14
- ISBN-104309243584
- ISBN-13978-4309243580
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登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2005/12/14)
- 発売日 : 2005/12/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 172ページ
- ISBN-10 : 4309243584
- ISBN-13 : 978-4309243580
- Amazon 売れ筋ランキング: - 912,580位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2006年1月12日に日本でレビュー済み
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過度の悲しみは、死に触れる。「死」は一種の奈落で、そこにまで落ちゆく恐怖をひとは想像できる。地球上には悲しみの過程がより多く実在するのだから、〈人間の救済〉は不可能であるだろう。その不可能ゆえに、人間世界はひとつの情念体制、すなわち恐怖によって支配権をにぎられるだろう。それが「人間存在とは何か」の答えだった。それは豚のように汚なかった。
第一節、残酷が概念化される。それは本質の変形以外の何ものでもない。第二節で身体と精神の分身論が提起される。身体を死に等価なもの、〈死のモデル〉とするためである。第三節、比例=〈自我〉に死が与えられる。恐怖はなにより人称に帰属する情動だからだ。第四節、ヘテロリズム宣言。「自己の本質を連続変形のもとに曝け出す」。第五章、〈子供に−なること〉の離接性、すなわち〈幼児期の身体〉の〈無際限で−有限な〉様態。第六章、強度の二度目の死について。〈アルトー問題〉の核心である。
本書の主要なテーマの一つ、〈死の経験〉は〈アルトー問題〉を含んでいる。アルトーの「無能力」が示している能動性をいかに表現するかの問題である。それは一方では様態としての自己原因の問題――「いかにして自分で生まれ、いかにして自分のなかから死の生成を引き起こすのか」を引き起こし、他方で「破壊と「同時の」生産」を切り離されないものとしてもつ分裂綜合的思考を、さらに「逆向きの自殺」と「燃え上がる身体になる」の二者択一の実践の選択を、それぞれ問題として構成させている。
それにしても、アルトーの音調的な〈語−能動〉の群生化がなければ、残酷俳優の絶対的事例がスピノザの哲学の大地を震わせることがなければ、本書の強靭な構成はこれほど〈叫ん〉だろうか。稀な書物だ。〈書物〉になるものは稀であるという意味で。
第一節、残酷が概念化される。それは本質の変形以外の何ものでもない。第二節で身体と精神の分身論が提起される。身体を死に等価なもの、〈死のモデル〉とするためである。第三節、比例=〈自我〉に死が与えられる。恐怖はなにより人称に帰属する情動だからだ。第四節、ヘテロリズム宣言。「自己の本質を連続変形のもとに曝け出す」。第五章、〈子供に−なること〉の離接性、すなわち〈幼児期の身体〉の〈無際限で−有限な〉様態。第六章、強度の二度目の死について。〈アルトー問題〉の核心である。
本書の主要なテーマの一つ、〈死の経験〉は〈アルトー問題〉を含んでいる。アルトーの「無能力」が示している能動性をいかに表現するかの問題である。それは一方では様態としての自己原因の問題――「いかにして自分で生まれ、いかにして自分のなかから死の生成を引き起こすのか」を引き起こし、他方で「破壊と「同時の」生産」を切り離されないものとしてもつ分裂綜合的思考を、さらに「逆向きの自殺」と「燃え上がる身体になる」の二者択一の実践の選択を、それぞれ問題として構成させている。
それにしても、アルトーの音調的な〈語−能動〉の群生化がなければ、残酷俳優の絶対的事例がスピノザの哲学の大地を震わせることがなければ、本書の強靭な構成はこれほど〈叫ん〉だろうか。稀な書物だ。〈書物〉になるものは稀であるという意味で。