ゲーム理論の学術的理解を深めたい、またビジネス書として仕事に役立てたいという動機でこの本を買う人はやめたほうがいい。
この本が想定する読者は、身の回りの出来事をゲーム理論的に喩えるととどうなるかということに興味がある人である。
本書で扱われているゲームの種類はごくごく基本的なもの（囚人のジレンマ、最後通牒ゲーム、バトルオブセックス、チキンレースなど）に留められており、代わりにこれでもかというくらいの多くの例が挙げられる。世の中にはこんなにもゲーム理論で解説できることが多いのかと、この理論の適用可能性の広さを再認識することができるが、一方でくどくどしい印象を拭えないことも確かで、妙な文学的な言い回しがそれに拍車をかけている（まぁこれは翻訳者の問題なのかもしれないが・・・）
ただし、ゲーム理論をすでにかじっている人でも、リスク選好やプロスペクト理論を引いて、その限界に言及している最終章は一読に値する。もっとも浅く広くふれているだけなので、この部分に興味ある読者は、さらに他の文献にあたることが必要だが。
一般的な教養書として読むならば星4つだが、もっとコンパクトにできたはずなので、ひとつ減じて三つ星とした。
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