昔、田中小実昌が野見山暁治の義弟と聞いた時には冗談かと思った。それが本当だとわかった時には、こんな兄をもった妹、あんな夫をもった妻は純粋に凄いと思った。その義弟とのファーストエンカウンターの話も出てくる。
戦後のパリに12年。椎名其二を知り、私淑する。清貧ながら、しかし美食家の椎名。その椎名のまえでベソをかき、きつく叱られる森有正。彼は椎名の死を知って嗚咽したという。そのほか、野見山のアパートで無茶ぶりをし尽くす小川国夫、街角に寂しくひとりたたずむ藤田嗣治など……野見山の素描のような筆致のエッセイの数々。日本エッセイスト・クラブ賞もとっているのに、なぜもっと早く読まなかったのか、それが悔やまれる。
書名の「四百字」は、ショートエッセイという意味ではなく、原稿用紙のことらしい。
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四百字のデッサン (河出文庫 の 2-1) 文庫 – 1982/10/1
野見山 暁治
(著)
- 本の長さ231ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日1982/10/1
- ISBN-104309400388
- ISBN-13978-4309400389
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登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (1982/10/1)
- 発売日 : 1982/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 231ページ
- ISBN-10 : 4309400388
- ISBN-13 : 978-4309400389
- Amazon 売れ筋ランキング: - 898,179位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2023年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年9月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どうしても欲しかったので購入。
何かの折にもちあるいて、何度もよんでいます。
野見山さんの文書はすばらしい。
何かの折にもちあるいて、何度もよんでいます。
野見山さんの文書はすばらしい。
2014年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
エッセイ集と思って読み始めて、その叙情的な雰囲気にしばし酔いしれた。第一章の「ひとびと」は主に野見山氏の交友録で、画家やパリ時代の幅広い親交の中に、近しい関わりが静謐に語られている。エッセイといえども一編の私小説を読んでいるかのような文学性を感じた。詩人たちも含まれていて、その交流の広さにも驚かされた。
また「画家の髭」についてでは、その考察は私も知りたいと思っていただけに興味深かった。
第2章「うわの空」では様々な事柄について一章よりも短めの文章で、これは気楽に読めるコラムといった感じ。
思い出や事物に対する解釈など、ときにペーソス溢れる語り口で、けっして器用な文章ではないと思うけれど、そこには氏の人柄が感じられた。
画家が書いたエッセイということに興味を惹かれて読み始めたが、とても素朴で味わいのある一冊だった。
また「画家の髭」についてでは、その考察は私も知りたいと思っていただけに興味深かった。
第2章「うわの空」では様々な事柄について一章よりも短めの文章で、これは気楽に読めるコラムといった感じ。
思い出や事物に対する解釈など、ときにペーソス溢れる語り口で、けっして器用な文章ではないと思うけれど、そこには氏の人柄が感じられた。
画家が書いたエッセイということに興味を惹かれて読み始めたが、とても素朴で味わいのある一冊だった。
2015年4月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常にいい状態で買うことが出来ました。入手しにくい文庫で、読み応えがありました。
2013年9月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
野見山さん自身を含めて、身辺を取り巻く画家たちの個性豊かな様子が面白い。文字が小さいのにはまいった。
2015年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文章についても才能が溢れていることは、羨ましく思います。芸術というものは、人間性の表現力ということであるということですね。人間が好きで、長所と短所を認めて初めて完成するのかも知れません。
2012年9月18日に日本でレビュー済み
読書は常に未知の知見に出逢う喜びと、無知への不明を恥じることの繰り返し。
とはいえ本書ほど、これまで読まなかったことを悔しく思った経験は最近あまりない。
前半の、交流のあった人々への追想と、
後半の、読み切りふうのランダムな自叙伝ふうの回想。
どの文章も、視点はゆるがず、行文は平明、描写も厚ぼったくないのに、
実に深味がある。さすが“デッサン”のプロが文才をも併せもつと、こうした、
ため息の出るような“素描集”を生み出してしまう、ということか。
自叙伝ふう回想は70年代の西日本新聞連載ながら、一篇一篇の粒立ちというか、
生々しさというか、いささかも古くさくない。芥川か百ケンかと思わせる「心中」、
画家ならではの鋭利な見方の「日の丸」、ユーモアとペーソス漂う「水虫」等々、
ほとほと唸るしかない文章と、内容。
じつは本書、「週刊文春」連載の坪内祐三氏の書評で読む気になりました。
坪内さんの文庫評は、読めばほぼ毎回、購読したくなってしまうので、ふだんは自制。
が、本書については「藤田嗣治」という文字が目にはいり、藤田についての文章を
絶賛していたので、つい惹かれて読んで全くその通り、いやそれ以上だったということ。
あと、故人への追想では、森有正についての一文が強い印象を残す。
藤田も森も、いまなお私淑する人は多いはずだが、野見山氏による、
こうした彼らの比類のない“肖像画”は、どれほど知られているのだろうか。
自分だけが無知蒙昧だったのなら、むしろ幸いです。
とはいえ本書ほど、これまで読まなかったことを悔しく思った経験は最近あまりない。
前半の、交流のあった人々への追想と、
後半の、読み切りふうのランダムな自叙伝ふうの回想。
どの文章も、視点はゆるがず、行文は平明、描写も厚ぼったくないのに、
実に深味がある。さすが“デッサン”のプロが文才をも併せもつと、こうした、
ため息の出るような“素描集”を生み出してしまう、ということか。
自叙伝ふう回想は70年代の西日本新聞連載ながら、一篇一篇の粒立ちというか、
生々しさというか、いささかも古くさくない。芥川か百ケンかと思わせる「心中」、
画家ならではの鋭利な見方の「日の丸」、ユーモアとペーソス漂う「水虫」等々、
ほとほと唸るしかない文章と、内容。
じつは本書、「週刊文春」連載の坪内祐三氏の書評で読む気になりました。
坪内さんの文庫評は、読めばほぼ毎回、購読したくなってしまうので、ふだんは自制。
が、本書については「藤田嗣治」という文字が目にはいり、藤田についての文章を
絶賛していたので、つい惹かれて読んで全くその通り、いやそれ以上だったということ。
あと、故人への追想では、森有正についての一文が強い印象を残す。
藤田も森も、いまなお私淑する人は多いはずだが、野見山氏による、
こうした彼らの比類のない“肖像画”は、どれほど知られているのだろうか。
自分だけが無知蒙昧だったのなら、むしろ幸いです。
2004年6月13日に日本でレビュー済み
すばらしい本です。良い文章というのがここにあります。
短い文章でありながら描かれた人物を彷彿とさせます。
椎名其二や森有正、坂本繁二郎等々が見事に描かれています。
省略がすばらしい。
私が理想とする文章です。
短い文章でありながら描かれた人物を彷彿とさせます。
椎名其二や森有正、坂本繁二郎等々が見事に描かれています。
省略がすばらしい。
私が理想とする文章です。