いつか再読しようと思っていました。
主人公は雷電為右衛門と鍵屋助五郎。背景は浅間山の噴火、繰り返される江戸の大火。作者の視点は飢えと渇きに苦しむ農民と馬鹿な糞侍や自己顕示の大名。
出だしは雷電が赤子や稚児の病魔祓いをしているシーンから。相撲取りが赤ん坊を抱くと病気にならない。だから、雷電だけでなく、雷電の息のかかった相撲取りが赤ん坊を抱くシーンがよく出てくる。
鍵屋助五郎は火事で焼きだされ、奉公人の麻吉と逃げ出し、助かったところで、なくなった自分の親の店の再興を誓い、それぞれが奉公し、やがて鉄物商の鍵屋を再興します。
このふたりのまわりはいい人ばっかり。それを乾いた筆致で克明に描いていくのは、この作者の腕です。ユーモアも人情もあります。
再読してみて、覚えていたのは赤ん坊を抱くシーンだけで、記憶とはなんとあてにならないものかと思いました。
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2022/11/19
ほん‐ぎ【本紀】
〘名〙 紀伝体の歴史書で、帝王の事跡を書いたもの。〔史記−太史公自序〕
Facebook友だちが紅葉を見に軽井沢あたりの写真をアップしていて、そのときに浅間山の名前も。
そこで浅間山→江戸時代の大噴火→鬼押し→雷電為右衛門という連想ゲームで、浅間山といえば雷電やねとコメントしました本人はわからなかったかもしれませんが。
それがわかるのが本書。本紀は紀伝体といっても、小説ですから、純粋に歴史書のスタイルではなく、それなりの工夫はされています。
なぜか、再再読。でも、とてもおもしろい本です。
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雷電本紀 (河出文庫 い 8-1 BUNGEI Collection) 文庫 – 1996/9/1
飯嶋 和一
(著)
- 本の長さ512ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日1996/9/1
- ISBN-104309404863
- ISBN-13978-4309404868
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登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (1996/9/1)
- 発売日 : 1996/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 512ページ
- ISBN-10 : 4309404863
- ISBN-13 : 978-4309404868
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,278,036位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2020年12月22日に日本でレビュー済み
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あまり知らないことがわかりました
2020年6月19日に日本でレビュー済み
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この作品の作者は、何を読んでも構成の緻密さに、圧倒される。
2016年5月22日に日本でレビュー済み
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勧進大相撲や江戸大相撲の取組場面が延々と続く中盤が結構退屈。微に入り細にわたる取組の描写も最初はいいが、これでもかというくらい読まされるとつらいものがある。著者は本書の執筆に六年かけたというが、時代考証を厳密におこなったせいか(これらの取組の一番一番は史実なのでしょう)、小説としてのドラマ性や盛り上がりに欠けてしまった印象。雷電の人間像もはっきりと浮かび上がってこない。確かにすごい力士だった、というのはわかるが、それは容貌や取組など外からの描写によるもので、雷電の内なる感情が読む者に伝わってこない。対して雷電のタニマチで反骨の大商人助五郎の生き様は魅力的。助五郎を主役にした方が、面白い小説になったのでは?
2017年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
地位や名誉に頓着せず、権威や力に屈せず、情をかける、つながりを大切にする。そんな人たちの生き様を見ていると心安らぎ、豊かな気持ちにならずにはいられません。
作家の飯嶋和一さんは、そんな情の描き方がうまい。「雷電本記」の登場人物の多くが、溢れんばかりの情を持ち合わせていて、周囲の人間と交誼を結んでいます。
◇
本の題名は「雷電本記」ですが、雷電を描き出すのは鍵屋助五郎であり、この二人の交わりがこの話の中心軸です。雷電がいかに情のある相撲取りであったのか、いかに庶民、特に下層の人々に人気があったのか、いかに徳があったのかが縷々描かれています。
また、その二人を取り巻く登場人物の多くが、たまらなく情の深い人ばかりです。幼くして火事で父母を亡くした助五郎に情をかける幸兵衛。助五郎と手代の麻吉の交誼。店の金を使い込んだ嫌疑をかけられ店を追われた小僧真吉への情。貧しい人々にただ同然で手当を施す医者の恵舟(けいせん)。派手で遊び好きだが、相撲に対する心がけや弱者への情に関しては、雷電と心を一つにする千田川。どの人物の言動も心に滲みて、温かい気持ちにしてくれます。
登場人物の周囲には、様々な悲劇が襲いますが、彼らの思いやりが、まるでそれを和らげているように感じさせます。
中盤に取組の記述が続き、唯一スピード感が緩む所があり、それを差し引いて☆☆☆☆🌠としますが、これが飯嶋和一さんでなければ、文句なく☆☆☆☆☆をつけたいですね。本当に楽しかった。
◇
雷電爲エ門は、江戸最強の相撲取り。身長197cm(推定)筋肉質の巨漢だったと言われています。生涯の通算成績が254勝10敗2分14預(預かりというのは、武士が途中で勝敗を預かってしまうことで、多くは雷電が勝っていたとも)、 勝率96.2%。生涯に10敗しかしておらず、あまりの強さに、江戸の相撲通は雷電が土俵に上がる前に小屋を出てしまったといいます。優勝相当の場所を数えると現代の相撲取りでもなかなか敵うものがおらず、1年に2場所しかなかった当時の状況を考えると、史上最強と言ってもいいと思われます。また、相撲取りとしては、かなり高い教養の持ち主であり日記等も残っているそうで、作者の飯嶋和一さんは、それらの史実をもとにして、自分なりの雷電像を描きました。同じ飯嶋さんの「始祖鳥記」といい、この本といい、わずかな史実からこの様な素晴らしい話を書いてしまうのですから、稀有の作家だと思います。この人と磯田道史(「無私の日本人」の作家)さんのお蔭で、最近は何やら読む本が「時代もの」に偏ってしまいました。
「神無き月十番目の夜」(飯嶋和一)も持っていて、読むのが楽しみです。
作家の飯嶋和一さんは、そんな情の描き方がうまい。「雷電本記」の登場人物の多くが、溢れんばかりの情を持ち合わせていて、周囲の人間と交誼を結んでいます。
◇
本の題名は「雷電本記」ですが、雷電を描き出すのは鍵屋助五郎であり、この二人の交わりがこの話の中心軸です。雷電がいかに情のある相撲取りであったのか、いかに庶民、特に下層の人々に人気があったのか、いかに徳があったのかが縷々描かれています。
また、その二人を取り巻く登場人物の多くが、たまらなく情の深い人ばかりです。幼くして火事で父母を亡くした助五郎に情をかける幸兵衛。助五郎と手代の麻吉の交誼。店の金を使い込んだ嫌疑をかけられ店を追われた小僧真吉への情。貧しい人々にただ同然で手当を施す医者の恵舟(けいせん)。派手で遊び好きだが、相撲に対する心がけや弱者への情に関しては、雷電と心を一つにする千田川。どの人物の言動も心に滲みて、温かい気持ちにしてくれます。
登場人物の周囲には、様々な悲劇が襲いますが、彼らの思いやりが、まるでそれを和らげているように感じさせます。
中盤に取組の記述が続き、唯一スピード感が緩む所があり、それを差し引いて☆☆☆☆🌠としますが、これが飯嶋和一さんでなければ、文句なく☆☆☆☆☆をつけたいですね。本当に楽しかった。
◇
雷電爲エ門は、江戸最強の相撲取り。身長197cm(推定)筋肉質の巨漢だったと言われています。生涯の通算成績が254勝10敗2分14預(預かりというのは、武士が途中で勝敗を預かってしまうことで、多くは雷電が勝っていたとも)、 勝率96.2%。生涯に10敗しかしておらず、あまりの強さに、江戸の相撲通は雷電が土俵に上がる前に小屋を出てしまったといいます。優勝相当の場所を数えると現代の相撲取りでもなかなか敵うものがおらず、1年に2場所しかなかった当時の状況を考えると、史上最強と言ってもいいと思われます。また、相撲取りとしては、かなり高い教養の持ち主であり日記等も残っているそうで、作者の飯嶋和一さんは、それらの史実をもとにして、自分なりの雷電像を描きました。同じ飯嶋さんの「始祖鳥記」といい、この本といい、わずかな史実からこの様な素晴らしい話を書いてしまうのですから、稀有の作家だと思います。この人と磯田道史(「無私の日本人」の作家)さんのお蔭で、最近は何やら読む本が「時代もの」に偏ってしまいました。
「神無き月十番目の夜」(飯嶋和一)も持っていて、読むのが楽しみです。
2018年3月5日に日本でレビュー済み
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江戸時代の最強力士、雷電為右衛門(らいでん ためえもん)の伝記的な歴史小説です。読み進むのに時間がかかりましたが、それだけ濃密で手ごたえのある内容。雷電と、取り巻く人間模様、社会の様子などがこまかく描写されていて、まるで江戸時代にタイムスリップしたような気持ちになります。
とりわけ、取り組みの描写は、立ち合いから結末まで手に汗握る戦いの様子が細かく描かれていて、すごいです。
江戸に起こる火災、打ちこわしといった社会問題も織り込まれていて、非常に勉強にもなりました。
相撲好きな方には、ぜひ、お勧めしたい唯一無二の相撲小説です。
とりわけ、取り組みの描写は、立ち合いから結末まで手に汗握る戦いの様子が細かく描かれていて、すごいです。
江戸に起こる火災、打ちこわしといった社会問題も織り込まれていて、非常に勉強にもなりました。
相撲好きな方には、ぜひ、お勧めしたい唯一無二の相撲小説です。
2007年1月25日に日本でレビュー済み
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日本の相撲史のなかで最強の力士「雷電」を描いた本です。当時の相撲人がどのような立場であり、庶民がどれほど相撲人に対して憧れを持っていたのかが良く分かります。
相撲人気と当時の治世や自然災害等が深くかかわっていたこと、そして相撲が神聖的行事であったことが分かります。これも著者の研究力の賜物だと思います。
ただし本書の特徴として時間軸が多少前後する傾向があり、読み進めて「あれ?」っと思う場面が何度かあり、決して読みやすいものではありませんでした。その分だけ星4つとさせていただきます。
相撲人気と当時の治世や自然災害等が深くかかわっていたこと、そして相撲が神聖的行事であったことが分かります。これも著者の研究力の賜物だと思います。
ただし本書の特徴として時間軸が多少前後する傾向があり、読み進めて「あれ?」っと思う場面が何度かあり、決して読みやすいものではありませんでした。その分だけ星4つとさせていただきます。
2015年5月17日に日本でレビュー済み
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本の上体は良かったです。内容については重厚な歴史小説で、もう一度じっくり読み返そうと思います。